2023/07/06

🟧難聴の人、補聴器を使えば認知症リスク軽減 国際研究チームが分析

 加齢などで周囲の音が聞き取りにくくなる難聴は、認知症のリスク要因とされます。イギリスに住む約44万人のデータを中国・山東大などの国際研究チームが分析すると、難聴の症状があるのに補聴器を使っていなかった人は、耳が健康な人に比べて認知症を発症するリスクが大きく高まることがわかりました。

 一方で、難聴の人が補聴器を使うと、健康な人と変わらない程度までリスクを減らせる可能性があることも示されました。

 「難聴は40歳代の早い時期に始まることが多いが、認知症は診断まで20年以上かけて少しずつ認知機能の低下が続く」とチームの研究者。「耳が聞こえにくくなったら早いうちに補聴器を使って対処することが重要だ」と指摘しています。

 チームは「UKバイオバンク」に登録されたイギリス人のデータを利用。約44万人を40~69歳から平均12年間追跡し、難聴の症状や補聴器使用の有無と、認知症発症との関係を分析しました。

 その結果、難聴にもかかわらず補聴器を使わなかった人は、難聴がない人に比べて認知症になるリスクが1・42倍と高くなりました。難聴で補聴器を使っていた人のリスクは、難聴がない人とほぼ同等の1・04倍でした。

 補聴器を使うことで認知機能の低下を抑制できそうだとする研究結果は、国立長寿医療研究センターのチームが日本人のデータで示しています。今回の研究はイギリス人が対象ですが、より大規模なデータで認知症との直接の関係を調べたものとして注目されます。

 国際研究チームには日本やイギリス、オーストラリアの研究者も参加。研究結果はイギリス医学誌「ランセット・パブリック・ヘルス」に発表しました。

  認知症を減らすために、もっとも容易に介入できる危険因子は難聴対策ですが、社会福祉法人「京都聴覚言語障害者福祉協会」の調査によれば、日本の難聴者のうち、補聴器を使用しているのは13・5%にすぎません。イギリス(42・4%)、ドイツ(34・9%)、アメリカ(30・2%)など、欧米先進国にははるかに及びません。

  使用時期も遅く、欧米先進国では、難聴を自覚してから補聴器をつけるまでの期間は2~3年なのに対して、日本は平均4~6年かかっています。

 聴力は40歳代後半から、高音域から低下し始めます。70歳代になると、ほぼすべての音域で聴力が低下し、75歳以上では、約半数の人が難聴に悩みます。高齢化が進んだ日本で、難聴は国民病といっていいかもしれません。

 補聴器が普及しない理由としては。補聴器技能者が少ないこと、補聴器のイメージが悪いこと、世界の補聴器市場は欧米の5社の寡占状態であり、日本人に合わせた商品が開発されていないことなどが挙げられています。 

 2023年7月6日(木)

🟧乳がん遺伝子検査「オンコタイプDX」、9月1日から公的医療保険の対象に 3割負担で13万500円

 厚生労働省は5日、乳がんの遺伝子検査「オンコタイプDX」について、公的医療保険の対象とすることを決めました。厚労相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)で同日、了承されました。9月1日から適用となります。

 検査の対象は、女性ホルモンに反応し、がんが増殖するタイプの早期患者。採取したがん組織に含まれる21個の遺伝子を解析し、再発のリスクを点数化、抗がん剤治療をするかの判断などに役立てます。

 検査費の公定価格は43万5000円で、3割負担だと13万500円。所得によっては、医療費の自己負担に上限を設ける高額療養費制度の適用となります。年1万8700人が検査を受けると推計されています。

 この検査は2021年12月、製造販売元のエグザクトサイエンス社の開発が遅れ、保険適用が見送られました。今回、同社が開発を終えたため、中医協で改めて審議されました。

 2023年7月6日(木)

🟧中国の6月のコロナ死者239人、前月から45%増 発熱外来の受診者は減少

 中国疾病予防コントロールセンターは6日までに、6月に新型コロナウイルスで239人が死亡したと発表しました。5月の164人と比べて45%増となりました。6月1日に28万8000人だった発熱外来の受診者数は、30日には16万4000人まで減少しました。

 中国では4月下旬からコロナが再流行し、専門家は6月末にピークを迎えて1週間に4000万人から6500万人が感染すると予測していましたが、6月の感染者数は公表されておらず、再流行の実態把握は困難です。

 中国当局は感染を徹底して抑え込む「ゼロコロナ」政策を1月に終了した際に、正確な感染者数の公表を取りやめています。

 2023年7月6日(木)

2023/07/05

🟧「触覚」伝える支援ロボットで世界初の手術、東京医科歯科大病院が成功 東工大などと共同開発

 東京医科歯科大学病院(東京都文京区)は4日、触覚を伝える手術支援ロボットを使った世界初の手術に成功したと発表しました。操作する医師が感触を得られることで、安全性の向上が期待できます。2024年度の統合を目指す東京工業大などと共同開発したもので、「医工連携」の成果をアピールしました。

 ロボット手術は、患者の体に入れた内視鏡や器具が接続されたアームを、医師が患部の画像を見ながらハンドルで操作します。国内では2012年に公的医療保険の適用となり、広がっています。

 新たなロボット「サロア」は、両大学と、東工大発の新興企業「リバーフィールド」が開発し、今年5月に医療機器として承認されました。空気圧で3本のアームを動かし、先端の器具にかかった圧力から、臓器などの硬さや軟らかさを推定し、医師の指先に感触を伝えます。

 従来のロボットでも、手ぶれがないなど精密な操作ができますが、同大病院によると、触った感覚が得られないため、不慣れな医師では、切る必要のない組織を切ったり、臓器に穴を開けたりする恐れがあったといいます。

 今回の手術は7月3日、40歳代のS字結腸がん患者に実施。術後の経過は良好で、1週間ほどで退院する予定です。

 執刀した絹笠祐介教授(大腸・肛門外科)は記者会見で、「ガーゼと脂肪の違いもわかった。引っ張る力なども伝わるよう改良していく」と話しました。

 両大学は、2024年度の統合に向けて、医工連携を進めてきました。藤井靖久病院長は「連携によりロボットが実用化されたことは大変意義がある」と強調しました。

 日本ロボット外科学会の渡辺剛理事長は、「触覚を備えたロボットは画期的だ。経験が少ない医師でも、標準的な手術を、より確実に行えるのではないか。機能の改良とともに、価格を抑える工夫も求めたい」と述べています。

 2023年7月5日(水)

🟧太平洋赤道域のエルニーニョ現象、7年ぶり発生 WMO、気温上昇や災害発生に警戒

 国連の世界気象機関(WMO)は4日、太平洋赤道域で海面水温が高い状態が続く「エルニーニョ現象」が7年ぶりに発生したと宣言しました。「世界の多くの地域や海洋で気温の記録が更新され、猛暑を引き起こす可能性が大幅に高まる」として、注意を呼び掛けました。

 エルニーニョは、南米ペルー沖から太平洋中部の赤道域で、海面水温が平年よりも高くなる現象。数年おきに発生し、世界の気温を押し上げるほか、地球規模で異常気象に伴う災害発生の原因になるとされます。

 WMOは世界の気象当局、研究機関や専門家による助言などを基に、今夏のエルニーニョは少なくとも中程度の強さを保ち、90%の確率で今年後半まで続くと予測しました。ペッテリ・ターラス事務局長は声明で、「WMOによる宣言は、私たちの健康、生態系、経済への影響を抑えるために、各国の政府に準備を呼び掛ける警告だ」と述べた。

 WMOは、今年から5年間の世界の気温が記録的に高まる可能性が高いと予測しています。2016年は前年に発生したエルニーニョと人為的な地球温暖化との「ダブルパンチ」で、世界の年平均気温が観測史上で最も高い年になりました。エルニーニョの地球の気温への影響は発生翌年に現れる傾向があり、今夏のエルニーニョは2024年の世界の気温に最も強く影響を与える可能性があるといいます。

 気象災害のみならず、漁業被害や熱帯病の増加など広範囲の影響が危惧されています。アメリカのダートマス大の研究グループは今年5月、アメリカの科学誌「サイエンス」に発表した論文で、エルニーニョに伴う長期的なコストを過去の事例を基に検証。今夏にエルニーニョが発生した場合は、2029年までに世界経済に3兆ドル(約433兆円)の経済損失をもたらす可能性があると見積もっています。

 2023年7月5日(水)

🟧日本医師会、「新型コロナ第9波と判断が妥当」 沖縄県など九州地方で感染拡大

 日本医師会の釜萢敏(かまやち・さとし)常任理事は5日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染が沖縄県など九州地方で拡大していることなどを踏まえ、「現状は第9波と判断することが妥当だ」と指摘しました。

 この中で、釜萢常任理事は、新型コロナウイルスの感染状況について、「5類への変更後、一貫して全国で徐々に増えているのは変わらない。ほとんどの県で、5月よりも6月のほうが報告数が増えており、沖縄県の感染者の増加が非常に著しい」と懸念を示しました。

 その上で、「これまで一時下がって、最も低いところになって、もう一度上がる状態がずっと持続している場合には、新しい波と考えてきた。現状は、第9波という状況になっていると判断することが妥当ではないか」と指摘しました。

 加えて、沖縄県では、リスクの高い高齢者などへの感染を防ぐ取り組みが最も求められるとし、ほかの地域についても、今後の感染状況を注視していく必要があるという考えを示しました。

 厚労省は6月30日、全国約5000の定点医療機関から6月19~25日の1週間に報告された新型コロナウイルスの感染者は前週から2641人増えて、計3万255人となり、1医療機関当たりの平均は6・13人だったと発表。前週比1・09倍でした。都道府県別では沖縄県が最多の39・48人(前週比1・37倍)、続く鹿児島県が11・71人(同1・22倍)で、前週比で増加したのは39都府県に上りました。

 新型コロナの法的位置付けが5月8日に「5類」に移行してから2・3倍となり、6週連続で増加しています。

 2023年7月5日(水)

🟧北朝鮮、7月からマスク着用義務緩和か メディアの画面や写真でノーマスクの住民を確認

 北朝鮮当局が7月に入り、新型コロナウイルス対策として取っていた屋内外でのマスク着用義務を解除したもようです。テレビ画面や新聞の写真から、住民がマスクを着用していない姿が確認されました。アメリカ政府系のラジオ自由アジア(RFA)は、北朝鮮当局がマスク着用義務を7月1日に解除したと報じました。 

 朝鮮中央テレビでは2日から、屋内でマスクを着けていない住民の姿が見られました。3日には北東部の咸鏡北道の劇場で、マスクを着用していない数百人の若者がびっしりと着席している様子が映し出されました。6月30日にはまだ、屋内の行事で全員がマスクを着けていました。

 朝鮮労働党機関紙の労働新聞を見ると、6月30日付け紙面に掲載された平壌樹脂鉛筆工場の写真では、写っている5人全員がマスクを着けています。一方、7月4日に掲載された咸鏡北道出版物管理局の写真の8人は誰も着用していません。咸鏡北道革命史跡館と金正淑平壌紡績工場の写真にも、マスクを着けた住民は見当たりません。

 ただし、新型コロナ防疫に従事する人と田で農薬をまく農業従事者は、マスクを着けています。

 RFAは西部・平安北道在住の消息筋の話として、6月30日に住民に対しマスク着用義務を7月1日付けで解除するとの指示が出されたと伝えました。国家非常防疫司令部が各道の防疫指揮部に着用義務解除を指示し、道内の工場や企業所、機関、社会団体、住民に伝達されたといいます。

 だが、着用義務の解除は一時的な措置の可能性もあります。RFAによると、当局は解除を公示した際、夏場のマスク着用による皮膚と目の不調・病気が広がることを懸念した臨時措置と説明しました。

 昨年5月から新型コロナウイルス感染者が急増した北朝鮮では、同年8月に金正恩朝鮮労働党総書記が新型コロナに「勝利した」と宣言し、マスク着用の義務はいったん解除されました。しかし、翌9月下旬から当局は再び全住民にマスク着用を求めていました。

 北朝鮮は感染対策として、2020年1月末から国境を越える人の往来を厳格に統制しており、この措置が緩和される見通しは立っていません。

 2023年7月5日(水)

🟥インフルエンザ、昨年より約1カ月早く流行 特に子供で広がる

 インフルエンザの流行が昨年よりもおよそ1カ月早いペースで進んでいる。特に今シーズンは子供の患者が多く、専門家は学校での換気や人混みでのマスクの着用など対策を呼び掛けている。  国立健康危機管理研究機構などによると、11月23日までの1週間に全国約3000カ所の定点医療機関から...