2023/08/17

🟧26歳男性専攻医の自殺を労災認定 神戸市の病院勤務で3カ月間休日なし

 神戸市東灘区の「甲南医療センター」で勤務していた男性専攻医(旧後期研修医)が昨年5月に自殺し、西宮労働基準監督署(兵庫県)が、長時間労働で精神障害を発症したのが原因だとして、労災認定していたことがわかりまし。男性は医師になってから3年目で、自殺するまで約3カ月間休日がなく、直前の時間外労働は、国の労災認定基準を大幅に超える月207時間に上っていたといいます。

 労災が認められたのは、高島晨伍(しんご)さん(当時26歳)。神戸大卒業後の2020年4月からセンターで研修医として勤務し、2022年4月から消化器内科の専攻医として研修を受けながら診療していました。5月17日の退勤後、神戸市の自宅で亡くなっているのを訪ねた家族が見付け、兵庫県警が自殺と断定しました。

 労災認定は今年6月5日付。認定によると、高島さんの死亡直前1カ月の時間外労働は207時間50分で、3カ月平均でも月185時間を超えていました。いずれも国が定める精神障害の労災認定基準(月160時間以上、3カ月平均100時間以上)を大幅に上回っていました。また、休日も2月を最後に取得していなかったといいます。

 センターは昨年、外部の医師や弁護士で作る第三者委員会を設けて亡くなったいきさつなどを調査し、委員会は今年1月、「長時間労働によってうつ状態になり、自殺したのではないか」とする報告書をまとめました。

 これについて労基署が電子カルテの記録などを調べ、「専攻医になったばかりで先輩医師と同等の業務量を割り当てられ、指示された学会発表の準備も重なり、長時間労働となった」と判断。長時間労働で精神障害を発症したことが自殺の原因と結論付けました。

 センターはマスコミの取材に「病院にいた時間がすべて労働時間ではなく、『自己研さん』の時間も含まれている。学会発表も当院からの指示ではなく、当院が指示した範囲では業務量は適切だった」と長時間労働の指示を否定。一方で、労基署が認定した労働時間に基づき、遺族に未払い残業代130万円余りを支払ったといいます。

 医師の働き方を巡っては、2018年に成立した改正労働基準法に基づき、2024年4月から時間外労働に罰則付き上限が設けられるため、各地の病院で働き方の見直しが進められています。

 センターは救急対応も行う中核病院で、地域の診療所などを支援する「地域医療支援病院」として兵庫県に承認されており、病床数は約460床。

 2023年8月17日(木)

🟧脱水対策の「経口補水液」、表示と飲みすぎに注意を 消費者庁が呼び掛け

 脱水症状の際に失われた水分や塩分を速やかに補う経口補水液を巡り、消費者庁が注意を呼び掛けています。同庁が定める成分基準を満たしていない製品があるほか、日常の水分補給として水やお茶のようにがぶ飲みすると塩分や糖分を取りすぎたりするためです。このため、今年5月から「経口補水液」という表示に許可制を導入し、適切な製品を適切に摂取するよう促しています。

 「飲む点滴」とも呼ばれる経口補水液は、ナトリウムなどのミネラルとブドウ糖を一定の割合で水に配合した飲料。体内での吸収速度を高めるため、体液とほぼ同じ浸透圧に調製されています。市販品のほか、家庭でも水1リットルに砂糖40グラムと塩3グラムを溶かして作ることができます。

 一方で、消費者庁は経口補水液を製品として販売する場合、個別に臨床試験データの提出を受け、ナトリウムやカリウム、ブドウ糖の含有量などが審査に合格したものを「特別用途食品」と認定してきました。ただ、今年8月現在で認定を得ているのは、大塚製薬工場の「オーエスワン(ОS-1)」など3社の製品のみ。清涼飲料水に該当しながら「経口補水液」と表示されている製品と、店舗で並べて販売されるケースもありました。

 このため今年5月、特別用途食品としての表示に許可制を導入し、特別用途食品制度の個別評価型病者用食品としての許可を得ていない製品は「経口補水液」の表示ができないようになりました。事業者は猶予期限の2025年5月末までに表示を変更する必要がありますが、購入者の混同を避けるため、店舗で区別して陳列することも求めました。

 ただ許可を受けた製品であっても、経口補水液はスポーツドリンクより塩分が多く、脱水状態ではない時に大量に飲むと、ナトリウムの過剰摂取を招きかねません。特に高血圧や慢性腎臓病の人は1日の食塩摂取量を6グラム未満とすることが推奨されており、オーエスワン1本(500ミリリットル)中にはその4分の1近い食塩換算で1・46グラム分のナトリウムが含まれています。このため大塚製薬工場は脱水時に医師の指示に従って飲むよう製品に表示しています。

 消費者庁は「がぶ飲みによる健康被害を招いたり、逆に効果がなかったりする恐れがある。表示をよく読んで適切に判断してほしい」としています。

 2023年8月17日(木)

🟧ブタの腎臓を人間に移植、1カ月以上正常に機能 アメリカの研究チーム

 アメリカの研究チームは、脳死状態の男性に対し、遺伝子操作を行ったブタの腎臓の移植を家族の同意を得て行ったところ、1カ月以上、正常に機能し続けていると発表しました。

これはアメリカのニューヨーク大学の医師らでつくる研究チームが16日、明らかにしました。

 研究チームは7月、生命維持装置が装着されている脳死状態の57歳の男性に対し、拒絶反応が起こりにくいよう遺伝子操作を行ったブタの腎臓を家族の同意を得た上で移植しました。

 すると、移植したブタの腎臓は男性の体の中で働き始め、1カ月余りたった今も、拒絶反応が出ることなく、腎臓としての機能を果たしていることが確認できたということです。

 研究チームによりますと、遺伝子操作を行ったブタの腎臓を人間に移植するのは今回が3度目で、正常に機能している期間としては最長です。

 研究チームは移植した腎臓が正常に今後も働き続けるか、確認するとしており、腎臓移植を待ち望む患者が多い中、担当者はこの研究によって多くの命が救われる可能性があるとしています。

 遺伝子操作を行った動物の臓器を人間に移植する技術を巡っては、アメリカのメリーランド大学医療センターで昨年、心臓疾患の男性に対し、ブタの心臓が世界で初めて移植され、約2カ月間生存しました。

 2023年8月17日(木)

🟧機能性表示食品、新たに65件が届け出撤回 撤回は計80件に

 消費者庁は17日、裏付けのない効果をうたっていたとして、事業者が再発防止の措置命令を受けたサプリメントと同様に、ドコサヘキサエン酸(DHA)など3つのうち1つ以上の成分を含んでいたとする食品計88件のうち、65件が新たに「機能性表示食品」としての届け出を撤回すると発表しました。すでに申し出があったものと併せて撤回は計80件となりました。

 消費者庁によると、残りの8件は科学的根拠があると主張しており、消費者庁は「関係法令に基づいて適切に対処していく」としています。また、撤回の申し出をした80件のうち、46件は手続きを終えておらず、現在も機能性表示食品として販売されている可能性があります。消費者庁は、いずれも安全上の問題はないとしています。

 消費者庁は6月、機能性表示食品としていたサプリが優良誤認表示に当たるとして、福岡市の会社に措置命令を出しました。このサプリと同じ科学的根拠に基づいて機能性表示食品との届け出をしていた事業者に対し、裏付けを確認し回答するよう求めていました。

 2023年8月17日(木)

2023/08/16

🟧レナサイエンス、新薬候補の皮膚がん治験で有効性 オプジーボを併用

 東北大学発バイオ企業のレナサイエンスは16日、開発中の新薬候補とがん免疫薬「オプジーボ」を併用した臨床試験(治験)の結果を発表しました。悪性度の高い皮膚がんの治療で既存の治療を上回る有効性が示されたといいます。今後、規制当局と相談し、次の治験などについて検討します。

 レナサイエンスが開発中の新薬は、炎症などに関係するたんぱく質「PAIー1(パイワン)」という分子を阻害する仕組みで、がんや呼吸器疾患など幅広い病気への治療効果が期待されています。京都大学や第一三共と創薬に向けた共同研究契約を締結しています。

 今回、皮膚がんの一種である悪性黒色腫(メラノーマ)に対する医師主導の第2段階の治験で、事前に設定した有効性の評価項目を達成しました。がん免疫薬の有効性を高める効果が期待できるといいます。

 治験は日本医療研究開発機構の支援で、2021年4月から東北大学や筑波大学、東京都立駒込病院など全国6病院で実施されました。

 レナサイエンスの新薬候補を使った治験では、皮膚がんのほか、大腸がんや肺がん、血液がんでも治験が進んでいます。

 2023年8月16日(水)

🟧埼玉県の新型コロナ感染者16・36人で11週連続で増加 千葉県は17・63人で2週連続減

 埼玉県内の新型コロナウイルスの新たな感染者の数は、1医療機関当たり16・36人と11週連続で増加しており、県は「体調に不安がある時は、高齢者など重症化しやすい人と会うことは控えてほしい」と呼び掛けています。

 埼玉県が16日に発表した新型コロナの感染状況によりますと、8月7日から13日までの1週間に定点把握の対象となっている261の医療機関のうち、報告があった212の医療機関の新たな感染者数は3468人でした。

 1医療機関当たりで16・36人となり、前の週と比べて、約1割増えて11週連続で増加しています。

 年代別では、50歳代が506人と最も多く、次いで10歳未満が468人、10歳代が458人、40歳代が439人、20歳代が437人などとなっています。

 埼玉県は「夏休みやお盆の時期は、普段会わない人との接触も多く感染リスクが高くなる。体調に不安がある時は、重症化しやすい高齢者などと会うことは控えてほしい。増加傾向が続きそうなので、引き続き注視していく」と話しています。

 一方、千葉県は16日、県内173の定点医療機関から1週間(8月7日~13日)に報告された新型コロナウイルスの感染者数が1医療機関当たり17・63人で、前週の約0・98倍(0・28人減)になったと発表しました。前週を下回るのは2週連続。総数は3050人でした。

 16保健所別では、松戸など7保健所で平均報告数が増え、9保健所で減少しました。

 前週の県全体の平均報告数について、県は17・92人から17・91人に訂正しました。

 県の週報によると、保健所別では松戸が最多の24・29人、次いで長生が23・71人、印旛が23・12人。

 2023年8月16日(水)

🟧7月の世界の平均気温は観測史上最高 NASA発表

 アメリカ航空宇宙局(NASA)は、7月の世界の平均気温が1880年以降で最も高くなったと発表しました。

 NASAが14日に明らかにしたところによりますと、7月の1カ月間の世界の平均気温は、データがある1880年以降で最も高くなったということです。

 基準としている1951年から1980年までの7月の平均気温と比べて、世界全体では1・18度上回り、特に気温の上昇幅が大きかった北アメリカや南アメリカ、アフリカ北部、それに南極の一部の地域では、約4度上回ったとしています。

 この記録的な暑さについて、NASAは、今年5月ごろからの海水温の上昇が原因だと分析しており、さらに今後、来年2月から4月にかけて、大きな影響が現れると予測しています。

 7月は、アジアやアメリカ、それにヨーロッパなど世界各地が熱波の影響を受けたほか、カナダやギリシャの大規模な山火事も、このところの暑さの影響である可能性が指摘されています。

 NASAは「科学的にみても、この気温上昇が正常でないことは明らかだ」とした上で、「温暖化は人類が排出する温室効果ガスが主な原因で起きている。温暖化が進むと、人々や生態系への影響がさらに深刻になる」として、警鐘を鳴らしています。

 2023年8月16日(水)

🟪新型コロナ、沖縄県が独自で注意喚起へ 流行時に「拡大準備情報」を発出 

 沖縄県は19日、新型コロナウイルス感染症の流行が疑われる場合、県独自で「新型コロナ感染拡大準備情報」を発出すると発表しました。新型コロナについては、過去の感染データの蓄積が乏しいことなどから、国がインフルエンザのような注意報や警報の発令基準を設けていない一方、重症化する高齢者...