2023/08/30

🟧熱中症救急搬送者、全国で7424人 北海道が935人で最多

 危険な暑さが相次いだ27日までの1週間に熱中症で病院に救急搬送された人は全国で7400人余りと、3週連続で前の週を上回り7000人を超えたことが、総務省消防庁のまとめでわかりました。

 総務省消防庁によりますと、8月21日から27日までの1週間に熱中症で病院に運ばれた人は全国で合わせて7424人でした。

 前の1週間(7360人)より64人多く、昨年の同じ時期と比べて約2・5倍に上っています。

 このうち死亡した人は7人で、入院が必要な「重症」や「中等症」が合わせて2386人、「軽症」が4884人でした。

 年齢別では、65歳以上の高齢者が4164人と最も多く半数余りを占めたほか、18歳以上65歳未満が2634人、7歳以上18歳未満が599人、0歳から7歳未満が27人でした。

 都道府県別では、北海道が935人と最も多く、昨年の同じ時期の25倍余りに上っています。次いで東京都が410人、大阪府が379人、兵庫県が342人、愛知県が305人などとなっています。北海道内では過去最長の41日連続で「真夏日」が観測されるなど、連日厳しい暑さが続いています。 また、大都市部などに次いで、東北地方や北陸地方でも秋田県で245人、新潟県で239人が救急搬送されています。

 場所別では、住居が3137人と最も多く、次いで道路が1068人、工事現場や工場などの仕事場が1051人などとなっています。

 総務省消防庁は、「例年は8月下旬になると搬送者数が減少するが、今年は増え続けていて高止まりの状態となっている。特に北海道では900人を超えて急増した。こまめな水分補給や『熱中症警戒アラート』が発表された地域では外出を控えるなど、引き続き熱中症への対策を心掛けてほしい」と呼び掛けています。

 2023年8月30日(水)

🟧中国、入国時の新型コロナ検査を撤廃 30日から抗原検査も不要に

 中国政府は28日、海外からの入国者に求めてきた新型コロナウイルスの検査を30日から撤廃すると発表しました。

 現在、中国に入国するには、搭乗前の48時間以内に抗原検査やPCR検査を受けて陰性の結果を提示する必要があります。

 中国外務省の汪文斌報道官は28日の記者会見で、中国に入国する中国人や外国人に対し、これらの新型コロナの検査を30日から撤廃すると発表しました。

 理由は明らかにしていませんが、コロナ禍からの景気回復が遅れるなか、外国との人の往来を少しでも円滑にしたい考えとみられます。

 また、中国政府は8月10日には、日本やアメリカ、韓国など78の国と地域を対象に団体旅行を解禁していて、海外旅行をした中国人がスムーズに帰国できるようにする狙いもありそうです。

 2023年8月30日(水)

2023/08/18

🟧新型コロナ感染の入所者対応でうつ病発症 施設職員に労災認定、兵庫県宝塚市

 新型コロナウイルス感染者への対応が原因でうつ病を発症したとして、介護施設に勤務する60歳代女性が労災認定されました。女性は普段、事務職として働いていたものの、施設内でのクラスター(感染者集団)発生で介護職員が不足し、感染した入所者の介護や遺体の移動を急きょ命じられていました。労働問題に詳しい弁護士らは「コロナ対応のストレスが原因の労災認定は珍しい」としています。

 女性の代理人を務める谷真介弁護士(大阪弁護士会)などによると、女性は兵庫県宝塚市の介護老人保健施設で、入所手続きなどを担当する支援相談員として働いていました。その施設で2021年4月に大規模なクラスターが発生。認知症の人が暮らすエリアの入所者36人が感染し、同エリアで働く職員17人も感染する事態となりました。

 当時は変異型「アルファ型」が猛威を振るう「第4波」のまっただ中。入所者の搬送先は見付からず、働ける職員も足りなくなり、女性は4月のある日、施設の運営法人の理事長から「(認知症入所者のエリアに)行ってくれへんか」と指示され、同エリアで計6日間勤務。入所者への配膳やおむつ交換など介護の仕事をするようになりました。

 施設内で8人が死亡したため、女性は看護師と一緒に遺体を運ぶ作業にも携わりました。遺体は感染防止のため透明のビニール袋に覆われ、作業中は故人の顔を間近で見ざるを得なかったといいます。

 女性は施設に就職する前、介護ヘルパーとして働いたことはあったものの経験は浅く、突然の指示でコロナ感染の最前線に立たされ「孤独でつらさを感じた」といい、遺体との対面時も「動けなくなり、経験したことがないショックを受けた」と振り返ります。防護服の支給は1日1着で、休憩で脱ぎ着する際は感染リスクにさらされました。高齢の母ら同居家族への感染を防ぐため約2週間自宅に帰れず、ホテル暮らしを余儀なくされました。

 5月から事務職に復帰したものの、遺体の光景がフラッシュバックするなどして下旬ごろから食欲不振や不眠といった症状が出て休職。6月に病院を受診し、うつ病と診断されました。女性は現在も休職しています。

 女性の労災申請を受けた西宮労働基準監督署は2023年5月、うつ病の発症は労災に当たると認定しました。当時は高齢者らへのワクチン接種が始まったばかりで、女性は感染の恐怖を感じながら業務に従事していたと指摘。さらに遺体の搬送作業で心理的な負荷が強まったと判断しました。クラスター発生後の時間外労働も月50時間で、前月に比べて2倍に急増したことも考慮しました。

 新型コロナの流行などを受けて、厚生労働省は、精神障害の労災認定基準に「感染症などの病気や事故の危険性が高い業務」も加える見込みです。新認定基準は秋にも運用が始まります。

 女性は代理人を通じて、「(当時は)いつまで頑張ればいいのかわからず、しんどい気持ちが蓄積された。状況がよくなっているのか悪くなっているのか、施設内での情報共有がもっと必要だったと思う」とコメントしました。谷弁護士は、「労基署の判断は実態に沿った妥当なものだ。今後基準が改定されれば、同様のケースは労災認定されやすくなるだろう」と話しています。

 施設の運営法人は「コメントは差し控える」としました。

 新型コロナウイルスに対応する介護職員のメンタルケアに役立ててもらおうと、厚労省は2021年、専用のガイドを策定しました。

 この中で、新型コロナウイルスに対応する介護の現場では、重症化しやすい高齢者に感染させないよう細心の注意を払いながら職員が業務に当たる必要があり、「平時よりも大きな心理的ストレスを抱えている状態にある」と指摘しています。

 そして、今まで以上にメンタルヘルスケアに留意した職場環境を整えることが重要だとして、ガイドでは、メンタルヘルスケアについての教育や研修の実施や、相談しやすい環境づくり、ストレスチェックの実施など、職場で行える対策の実施を呼び掛けています。

 2023年8月18日(金)

🟧研究者1人がチフス菌に感染し腸チフス発症 国立感染症研究所

 国立感染症研究所は、研究者の職員1人がチフス菌に感染し、腸チフスを発症したと発表しました。

 国立感染症研究所によりますと、この職員は業務でチフス菌を扱っていたということで、現在、保健所が感染経路の調査を行っています。

 この職員は8月11日に医療機関を受診して入院し、15日に腸チフスと診断されたということで、現在、発熱や腹痛などを訴えているということです。

 職員が使ったと考えられる実験室やトイレなどはすでに消毒したということで、現時点でほかに体調不良を訴えている人はいないということです。

 国立感染症研究所のホームページによりますと、腸チフスはチフス菌が原因の感染症で、ふん便で汚染された食べ物や水を介して人から人に感染します。

 感染すると7日から14日の潜伏期間をへて発熱や頭痛、食欲不振、全身のけん怠感といった症状が出るほか、重症になると意識障害や難聴が起きることもあります。

 腸チフスの患者は世界では年間2690万人に上ると推定され、特に南アジアや東南アジアでの患者が多く、中南米、アフリカでも見られ、衛生水準の高くない国で流行しているということです。

 国内では近年、腸チフスの感染例は数十例で推移し、その多くが流行している地域への旅行者によるものだということです。

 一方、海外渡航歴のない患者も毎年、確認されており、過去には飲食店での集団感染が起きたこともあります。

 感染症法上は「コレラ」や「細菌性赤痢」と同じ「3類」となっていて、患者、無症状病原体保有者(保菌者)、および死亡者(死亡疑い者を含む)を診断した医師は、直ちに最寄りの保健所を通じて都道府県知事への届出が義務付けられています。

 2023年8月18日(金)

2023/08/17

🟧26歳男性専攻医の自殺を労災認定 神戸市の病院勤務で3カ月間休日なし

 神戸市東灘区の「甲南医療センター」で勤務していた男性専攻医(旧後期研修医)が昨年5月に自殺し、西宮労働基準監督署(兵庫県)が、長時間労働で精神障害を発症したのが原因だとして、労災認定していたことがわかりまし。男性は医師になってから3年目で、自殺するまで約3カ月間休日がなく、直前の時間外労働は、国の労災認定基準を大幅に超える月207時間に上っていたといいます。

 労災が認められたのは、高島晨伍(しんご)さん(当時26歳)。神戸大卒業後の2020年4月からセンターで研修医として勤務し、2022年4月から消化器内科の専攻医として研修を受けながら診療していました。5月17日の退勤後、神戸市の自宅で亡くなっているのを訪ねた家族が見付け、兵庫県警が自殺と断定しました。

 労災認定は今年6月5日付。認定によると、高島さんの死亡直前1カ月の時間外労働は207時間50分で、3カ月平均でも月185時間を超えていました。いずれも国が定める精神障害の労災認定基準(月160時間以上、3カ月平均100時間以上)を大幅に上回っていました。また、休日も2月を最後に取得していなかったといいます。

 センターは昨年、外部の医師や弁護士で作る第三者委員会を設けて亡くなったいきさつなどを調査し、委員会は今年1月、「長時間労働によってうつ状態になり、自殺したのではないか」とする報告書をまとめました。

 これについて労基署が電子カルテの記録などを調べ、「専攻医になったばかりで先輩医師と同等の業務量を割り当てられ、指示された学会発表の準備も重なり、長時間労働となった」と判断。長時間労働で精神障害を発症したことが自殺の原因と結論付けました。

 センターはマスコミの取材に「病院にいた時間がすべて労働時間ではなく、『自己研さん』の時間も含まれている。学会発表も当院からの指示ではなく、当院が指示した範囲では業務量は適切だった」と長時間労働の指示を否定。一方で、労基署が認定した労働時間に基づき、遺族に未払い残業代130万円余りを支払ったといいます。

 医師の働き方を巡っては、2018年に成立した改正労働基準法に基づき、2024年4月から時間外労働に罰則付き上限が設けられるため、各地の病院で働き方の見直しが進められています。

 センターは救急対応も行う中核病院で、地域の診療所などを支援する「地域医療支援病院」として兵庫県に承認されており、病床数は約460床。

 2023年8月17日(木)

🟧脱水対策の「経口補水液」、表示と飲みすぎに注意を 消費者庁が呼び掛け

 脱水症状の際に失われた水分や塩分を速やかに補う経口補水液を巡り、消費者庁が注意を呼び掛けています。同庁が定める成分基準を満たしていない製品があるほか、日常の水分補給として水やお茶のようにがぶ飲みすると塩分や糖分を取りすぎたりするためです。このため、今年5月から「経口補水液」という表示に許可制を導入し、適切な製品を適切に摂取するよう促しています。

 「飲む点滴」とも呼ばれる経口補水液は、ナトリウムなどのミネラルとブドウ糖を一定の割合で水に配合した飲料。体内での吸収速度を高めるため、体液とほぼ同じ浸透圧に調製されています。市販品のほか、家庭でも水1リットルに砂糖40グラムと塩3グラムを溶かして作ることができます。

 一方で、消費者庁は経口補水液を製品として販売する場合、個別に臨床試験データの提出を受け、ナトリウムやカリウム、ブドウ糖の含有量などが審査に合格したものを「特別用途食品」と認定してきました。ただ、今年8月現在で認定を得ているのは、大塚製薬工場の「オーエスワン(ОS-1)」など3社の製品のみ。清涼飲料水に該当しながら「経口補水液」と表示されている製品と、店舗で並べて販売されるケースもありました。

 このため今年5月、特別用途食品としての表示に許可制を導入し、特別用途食品制度の個別評価型病者用食品としての許可を得ていない製品は「経口補水液」の表示ができないようになりました。事業者は猶予期限の2025年5月末までに表示を変更する必要がありますが、購入者の混同を避けるため、店舗で区別して陳列することも求めました。

 ただ許可を受けた製品であっても、経口補水液はスポーツドリンクより塩分が多く、脱水状態ではない時に大量に飲むと、ナトリウムの過剰摂取を招きかねません。特に高血圧や慢性腎臓病の人は1日の食塩摂取量を6グラム未満とすることが推奨されており、オーエスワン1本(500ミリリットル)中にはその4分の1近い食塩換算で1・46グラム分のナトリウムが含まれています。このため大塚製薬工場は脱水時に医師の指示に従って飲むよう製品に表示しています。

 消費者庁は「がぶ飲みによる健康被害を招いたり、逆に効果がなかったりする恐れがある。表示をよく読んで適切に判断してほしい」としています。

 2023年8月17日(木)

🟧ブタの腎臓を人間に移植、1カ月以上正常に機能 アメリカの研究チーム

 アメリカの研究チームは、脳死状態の男性に対し、遺伝子操作を行ったブタの腎臓の移植を家族の同意を得て行ったところ、1カ月以上、正常に機能し続けていると発表しました。

これはアメリカのニューヨーク大学の医師らでつくる研究チームが16日、明らかにしました。

 研究チームは7月、生命維持装置が装着されている脳死状態の57歳の男性に対し、拒絶反応が起こりにくいよう遺伝子操作を行ったブタの腎臓を家族の同意を得た上で移植しました。

 すると、移植したブタの腎臓は男性の体の中で働き始め、1カ月余りたった今も、拒絶反応が出ることなく、腎臓としての機能を果たしていることが確認できたということです。

 研究チームによりますと、遺伝子操作を行ったブタの腎臓を人間に移植するのは今回が3度目で、正常に機能している期間としては最長です。

 研究チームは移植した腎臓が正常に今後も働き続けるか、確認するとしており、腎臓移植を待ち望む患者が多い中、担当者はこの研究によって多くの命が救われる可能性があるとしています。

 遺伝子操作を行った動物の臓器を人間に移植する技術を巡っては、アメリカのメリーランド大学医療センターで昨年、心臓疾患の男性に対し、ブタの心臓が世界で初めて移植され、約2カ月間生存しました。

 2023年8月17日(木)

🟩公立病院の院長になる要件に「医師少ない地域での勤務」を検討 医師偏在で厚労省

 医師が都市部などに偏り地方で不足する「医師の偏在」への新たな対策として、厚生労働省が、公立病院の院長などの管理者になる要件に、医師が少ない地域で1年以上勤務することを新たに加える方向で検討を進めていることがわかりました。  「医師の偏在」は医師が都市部や特定の診療科などに偏り...