2021年の日本人の死亡率は前の年に比べて2%余り増加し、10年ぶりに増加したことが、国立がん研究センターの調査で明らかになりました。研究チームでは、新型コロナウイルスの流行が影響した可能性があるとしています。
国立がん研究センターの研究チームは、国が公表している1995~2021年までの27年間の「人口動態統計」を基に、年ごとの死亡率の変化について統計学的な手法で調べました。
その結果、2021年の死亡率は人口10万当たり989・6人で、前の年の人口10万当たり968・4人に比べて2・2%増加したということです。
日本人の死亡率はこの数年、減少傾向が続いており、前の年より増加するのは東日本大震災の影響を受けた2011年以来、10年ぶりで、当時の1・4%増を上回ったということです。
死因別に分析したところ、前の年から増加が大きかったのは、いずれも人口10万当たりで、新型コロナウイルスの感染の11・8人、老衰の93・8人、心不全などの心疾患の145・2人で、研究チームでは、新型コロナウイルスの流行やコロナ禍で診療体制が制限されたことなどが影響した可能性があるとしています。
国立がん研究センターがん対策研究所の田中宏和研究員は、「コロナ禍の影響が死亡率にも表れる結果となった。ほかにもがん治療の先延ばしや検診の受診控えなどが今後、がんの死亡率に影響してくる可能性があり、注視していく必要がある」としています。
2023年9月1日(金)