2023/09/01

🟧2021年の日本人の死亡率、10年ぶり増加 新型コロナや老衰などが要因

 2021年の日本人の死亡率は前の年に比べて2%余り増加し、10年ぶりに増加したことが、国立がん研究センターの調査で明らかになりました。研究チームでは、新型コロナウイルスの流行が影響した可能性があるとしています。

 国立がん研究センターの研究チームは、国が公表している1995~2021年までの27年間の「人口動態統計」を基に、年ごとの死亡率の変化について統計学的な手法で調べました。

 その結果、2021年の死亡率は人口10万当たり989・6人で、前の年の人口10万当たり968・4人に比べて2・2%増加したということです。

 日本人の死亡率はこの数年、減少傾向が続いており、前の年より増加するのは東日本大震災の影響を受けた2011年以来、10年ぶりで、当時の1・4%増を上回ったということです。

 死因別に分析したところ、前の年から増加が大きかったのは、いずれも人口10万当たりで、新型コロナウイルスの感染の11・8人、老衰の93・8人、心不全などの心疾患の145・2人で、研究チームでは、新型コロナウイルスの流行やコロナ禍で診療体制が制限されたことなどが影響した可能性があるとしています。

 国立がん研究センターがん対策研究所の田中宏和研究員は、「コロナ禍の影響が死亡率にも表れる結果となった。ほかにもがん治療の先延ばしや検診の受診控えなどが今後、がんの死亡率に影響してくる可能性があり、注視していく必要がある」としています。

 2023年9月1日(金)

🟧東京都、新型コロナ感染者が2週連続増 高齢者の感染拡大に警戒を

 東京都内の新型コロナウイルスの感染者数は、前の週の1・33倍と2週連続で増え、専門家は「10歳未満や60歳以上の増加が目立っており、重症化リスクの高い高齢者などの感染拡大に警戒が必要だ」と呼び掛けています。

 都は8月31日、都内の新型コロナウイルスの感染状況についてモニタリング項目を発表しました。

 それによりますと、定点把握の対象になっている都内419の医療機関のうち410カ所から報告があり、8月27日までの1週間の感染者数は合わせて5956人で、1医療機関当たり14・53人でした。

 これは前の週の10・96人の1・33倍で、増加したのは2週連続です。

 8月28日時点での入院患者数は、前の週とほぼ変わらず2684人でした。

 専門家は「先週は診療日数減少の影響を受けており、前週比の評価には注意が必要」とした上で、「感染者を年代別に見ると、10歳未満や60歳以上の増加が目立っており、特に重症化リスクが高い高齢者などの感染拡大を警戒する必要がある」として、場面に応じたマスク着用や換気などとともに、体調が悪い時は外出を控えるよう呼び掛けています。

 新型コロナの感染拡大時に、住民に注意喚起する際の参考にしてもらう目安として国が作成した4つの指標について、東京都は8月31日、都に当てはめた数値を公表しました。

 それによりますと、医療機関が「外来がひっ迫している」と回答した割合が25%を超える時、感染者数が1医療機関当たり19・78人を超える時、入院患者数が2230人以上の時、確保している病床の使用率が50%を超える時、としています。

 31日に発表された都のモニタリング項目では、入院患者数が2684人と国の目安を超えていますが、都の担当者は「数値はあくまでも参考であり、都内の病床はひっ迫している状況ではない。注意喚起に当たっては専門家による医療現場の状況確認や、数値の増加スピードなどを踏まえて総合的に判断していく」としています。

 2023年9月1日(金)

2023/08/31

🟧新型コロナの全国感染状況、前週比1・26倍 増加に転じ5類変更後最多

 新型コロナウイルスの全国の感染状況は、8月20日までの1週間では1つの医療機関当たりの平均の患者数が17・84人で、前の週の1・26倍となっています。厚生労働省は「お盆期間や祝日に人に会う機会が増えた影響などもあり、緩やかな増加に転じた。例年、お盆が明けた時期に感染拡大のピークを迎える傾向があり、このまま増加傾向が続くかどうか注視したい」としています。

 厚労省によりますと、8月14日から20日までの1週間に全国約5000の医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から1万9686人増えて8万6756人となりました。

 また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は17・84人で、前の週の1・26倍となりました。直近は2週連続で減少していましたが、今回、増加に転じ、感染症法上の位置付けが5類に変更された5月8日以降で最多となりました。

 都道府県別では多い順に、岐阜県が31・03人、岩手県が30・42人、秋田県が28・48人、茨城県が27・42人、石川県が26・69人、青森県が25・93人、愛知県が25・69人、福島県が25.・27人などとなっていて、41の都道府県で前の週より増加しています。前週比が最も高かったのは秋田県の2・42倍。

 少なかったのは沖縄県7・65人、鹿児島県10・89人、東京都10・96人、大阪府11・88人、福井県12・51人、兵庫県12・70人。

 このほか、8月20日までの1週間に新たに入院した人は全国で1万3135人で、前の週と比べて554人増加し、前週比1・04倍となりました。

 2023年8月31日(木)

🟧RSウイルス感染症のワクチン、日本国内初承認へ 対象は60歳以上

 子供や高齢者が感染すると、重い肺炎になることもある、RSウイルス感染症のワクチンについて、厚生労働省の専門家部会は28日夜、60歳以上を対象に使用を認めることを了承しました。今後、厚労省の正式な承認を経て、RSウイルス感染症のワクチンの製造・販売が国内で初めてできるようになります。

 28日の専門家部会で了承されたのは、イギリスの製薬大手グラクソ・スミスクラインが開発した、RSウイルス感染症のワクチン「アレックスビー」です。

 RSウイルス感染症は、発熱やせきなど、風邪のような症状が出る病気で、幼い子供や高齢者が感染すると肺炎などを引き起こし、重症化することがあり、今回のワクチンは、重い症状になるのを防ぐ効果や発症を防ぐ効果が期待されています。

 グラクソ・スミスクラインが昨年10月に厚労省に承認申請を行い、28日夜開かれた厚労省の専門家部会は、有効性が確認でき、安全性にも重大な懸念はないとして、使用を認めることを了承しました。

 グラクソ・スミスクラインの臨床試験によりますと、ワクチンは17カ国の約2万5000人の60歳以上が接種を受けて、有効性が確認できたということです。

 RSウイルス感染症は、ウイルスに感染して発熱やせき、鼻水など風邪のような症状が出る病気。乳幼児を中心に流行し、多くは軽症ですみますが、特に幼い子供が初めて感染した場合などにはせきがひどくなったり、肺炎を引き起こしたりして重症化することがあります。

 また、幼い子供だけでなく、免疫の働きが低下した高齢者が感染した場合も症状が重くなって亡くなるケースもあるほか、重症化したことを切っ掛けに寝たきりになったり、食事を取りづらくなったりすることも少なくないということです。

 グラクソ・スミスクラインなどの研究グループの推計によりますと、日本国内でRSウイルスに感染して入院する60歳以上の人は、1年間に約6万3000人、入院して亡くなる人はおよそ4000人とみられるということです。

 2023年8月31日(木)

🟧長野県が「医療警報」を発出、新型コロナ5類移行後初 お盆明けに感染者急増

 長野県は29日、県内で新型コロナウイルスの感染が拡大し、入院者数が増加しているとして、県独自の医療アラートである「医療警報」を全域に発出しました。新型コロナの感染症法上の位置付けが5月8日に5類に移行して以降、県内で医療警報が出されるのは初めて。

 県内の定点医療機関に届け出があった直近1週間(14~20日)の感染者数は前の週の約1・5倍で、お盆を境に感染が広がっています。前週比での増加は9週連続。

 入院者数でみると、8月21日に297人(うち中等症が50人)を記録。23日以降は暫定的な数値ながら医療警報発出の目安である300人を超過し続け、27日は341人(同47人)に達しました。感染者の届け出数と入院者数ともに5類移行後最多となっているといいます。

 医療警報は10日間をめどに継続し、その後は専門家会議などを踏まえて解除を判断します。

 医療警報を発出した県は、重症化リスクの高い人の命を守る重要性を強調。手洗いや換気、密を避けることが感染防止には引き続き有効だとして、重症化リスクの高い人には換気の悪い場所や近接した会話を避けること、感染を広げないためのその場に応じたマスク着用や「せきエチケット」の実施、発熱やのどの痛みがある場合は出勤・登校などを控えることを検討するよう求めています。

 2023年8月31日(木)

🟧青森県で新型コロナ感染者が増加 初の注意報で感染対策呼び掛け

 青森県では新型コロナウイルスの感染者が、前の週より300人以上増えました。県は、31日、初めて注意報を出し、感染対策を徹底するよう呼び掛けています。

 県は8月27日までの1週間における感染症の状況を発表し、このうち新型コロナウイルスは県内60の医療機関での感染者数が合わせて1878人で、前の週より322人、割合にして2割余り増えました。

 1医療機関当たりの平均は県全体では31・30人で、保健所ごとにみると五所川原保健所管内で37・86人、上十三保健所管内で36・89人、むつ保健所管内で31・67人、八戸市保健所と三戸地方保健所の管内で31・15人、青森市保健所と東地方保健所の管内で28・17人、弘前保健所管内で26・77人となっています。

 県内では新型コロナの感染者数が増加傾向にあることなどを受けて、県は「注意報」と「警報」を発表する取り組みを始め、31日初めて「注意報」を発表しました。

 「注意報」は前の週の1医療機関当たりの感染者数の平均が30人以上、または県全体の入院患者の1日当たりの平均が400人以上、「警報」は1医療機関当たりの感染者数の平均が40人以上、もしくは県全体の入院患者の1日当たりの平均が600人以上となった時に発表されます。

 青森県は今後、感染拡大のピークを迎える可能性もあるとして、手指の消毒や場面に応じたマスク着用、定期的な換気など感染対策を徹底するよう呼び掛けています。

 2023年8月31日(木)

2023/08/30

🟧7月の熱中症での救急搬送、全国で3万6549人 猛暑続き、過去2番目の多さ

 総務省消防庁は28日、熱中症により7月に病院に救急搬送された人は全国で3万6549人だったとの確定値を公表しました。昨年の7月より9340人増え、1・3倍となりました。比較可能な2008年以降で、7月としては、「災害級の暑さ」といわれた2018年の5万4220人に次いで過去2番目の多さでした。

 41都道府県で昨年よりも増加。全国的に気温が高く、北日本や東日本で日照時間が長かった影響とみられます。搬送後に死亡が確認されたのは44人でした。

 3週間以上の入院が必要な重症は805人、短期入院が必要な中等症は1万1553人でした。全体の65・5%に当たる2万3938人は軽症。搬送者の半数超は65歳以上でした。

 年齢別では、65歳以上の高齢者が2万671人と半数以上を占めました。18歳以上65歳未満が1万1991人、7歳以上18歳未満が3579人、7歳未満が308人となっています。

 場所別では、住居が1万5492人と最も多く、道路が6288人、屋外の競技場や駐車場が4328人、工場や農地などの仕事場が4208人などとなっています。

 都道府県別では、東京都が3487人と最も多く、埼玉県が2570人、愛知県が2486人、大阪府が2353人などとなっています。

 気象庁によりますと、7月は、太平洋高気圧の張り出しが強まった影響で北日本を中心に南から暖かい空気が流れ込み続け、危険な暑さとなった日が相次ぎました。

 総務省消防庁は、「暦の上では秋になっても、今後もしばらく暑い日が続く見込みだ。エアコンを使ったりこまめに水分をとったりするなど熱中症への対策を続けてほしい」と話しています。

 2023年8月30日(水)

🟩公立病院の院長になる要件に「医師少ない地域での勤務」を検討 医師偏在で厚労省

 医師が都市部などに偏り地方で不足する「医師の偏在」への新たな対策として、厚生労働省が、公立病院の院長などの管理者になる要件に、医師が少ない地域で1年以上勤務することを新たに加える方向で検討を進めていることがわかりました。  「医師の偏在」は医師が都市部や特定の診療科などに偏り...