2023/09/25

🟧アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」を正式承認 厚生労働省、年内実用化へ

 厚生労働省は25日、製薬大手エーザイとアメリカの医薬品大手バイオジェンが共同開発したアルツハイマー型認知症治療薬「レカネマブ」(商品名・レケンビ)を正式承認しました。早期のアルツハイマー病患者を対象にした治療薬で、病状の進行を抑制します。

 薬の価格は、すでに7月に承認されているアメリカでは1人当たり平均で年間2万6500ドル(約390万円)に設定されていますが、日本ではまだ決まっていません。今後、中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関、中医協)で、公的医療保険の適用と薬の価格について結論が出され、早ければ年内に医療現場での使用が始まります。

 エーザイの内藤晴夫最高経営責任者(CEO)は、「アルツハイマー病治療の歴史に新たなページを開くことができた」とのコメントを発表しました。

 レカネマブは、アルツハイマー病の原因とされるタンパク質「アミロイドβ(ベータ)」を脳内から除去することで、症状の進行を遅らせる効果が期待されます。臨床試験(治験)では、投与開始から1年半後の時点で、投与しなかった患者と比べて認知機能の低下を27%抑制。これについて、エーザイは病状の進行を約7カ月半遅らせる効果に相当すると説明しています。

 進行を遅らせる効果は認められたものの、病状を戻したり、根治したりといったことは期待できません。脳のむくみや、出血などの副作用も報告されました。

 添付文書では、検査などの体制が整備された医療機関でリスク管理ができる医師の下で使用するよう明記。副作用のリスクについて十分な情報提供をした上で患者や家族らの同意が必要とされました。投与開始前に脳のむくみや一定程度の微小出血がある人は使えません。

 2023年9月25日(月)

🟧新型コロナ後遺症が長期化した女性に初の傷病補償年金支給 感染から2年以上症状続く

 新型コロナウイルスの感染した後に症状が長引く後遺症を巡り、東京都内の女性に「傷病補償年金」の支給が認定されました。支援するNPO法人東京労働安全衛生センターによりますと、コロナの感染でこの年金が支給されるのは初めてとみられ、後遺症に苦しむ人たちの救済につながると期待されています。

 22日、厚生労働省で東京都内に住む55歳の女性が記者会見を開きました。

 女性は2021年1月、東京都福生市の有料老人ホームで事務員として働いていた際に、施設でクラスター(集団感染)が発生し、自身も新型コロナに感染して症状が悪化し、救急搬送されました。CT(コンピューター断層撮影)検査で両肺が真っ白に映るほどの重度の肺炎を起こしていたということです。1カ月ほどで退院しましたが休職し、その後も呼吸困難の症状が収まらず、7月に労災認定を受けました。

 その後も息苦しさなどは改善せず、自宅で酸素療法を続ける生活を2年以上続けていたところ、今年5月に労働基準監督署から傷病補償年金の支給が決まったと通知されたということです。

 傷病補償年金はこれまでじん肺などで療養を始めてから1年半が経過した、症状が重い人が対象となっていましたが、NPO法人東京労働安全衛生センターによりますと、コロナで支給されたのは初めてとみられるということです。

 女性は「毎日酸素を2リットル使う生活で、元気に動ける日が少なく不自由な生活になった。時間がかかったけど、支給が認められてほっとしています」と話していました。

 NPO法人東京労働安全衛生センターの飯田勝泰事務局長は、「コロナの後遺症に苦しむ人たちの治療と補償が課題になっている中で、国は傷病補償年金を支給し多くの人たちの救済につなげてほしい」と話していました。

 労働問題に詳しい東洋大学の鎌田耕一名誉教授は、「新型コロナの後遺症が労災認定されるのは、そもそもハードルが高いといわれている。そうした中で後遺症が長期化した人に傷病補償年金の支給を認めたことは重要な判断だ。コロナの後遺症は企業によっては理解が進んでおらず、症状が続く人が『いつまで仕事を休むのか』といわれるようなケースが少なくないため、こうした人たちへの支援をどう進めていくか、考えていく必要がある」と話しています。

 厚労省の研究班は、成人の新型コロナ感染者のうち11・7%から23・4%に後遺症があったとの調査結果を公表しています。

 2023年9月25日(月)

2023/09/24

🟧アイリスオーヤマ「もち麦ごはん」回収、160万個に拡大 当初対象外の製品にも変色や液状化

 アイリスオーヤマが製造し、グループ会社のアイリスフーズを通じて販売した電子レンジで温めるごはんについて、会社側は9月19日に自主回収すると発表しましたが、23日この対象をこれまでの5倍以上に相当する約160万個に拡大すると明らかにしました。

 発表によりますと、自主回収の対象となるのは、アイリスオーヤマが製造し、アイリスフーズを通じて販売した電子レンジで温めるごはん「もち麦ごはん」で、特定のロット番号で賞味期限が来年(2024年)4月から9月までの商品となります。

 これらは自社ブランドのほか、通販サイトのアマゾンとスーパーのライフ、セブン‐イレブンで、それぞれのプライベートブランドとしても販売されたということです。

 会社側は9月19日に30万個あまりの自主回収を発表しましたが、この際に対象となった商品以外にも、同じようにごはんが変色して液状化している商品があることが消費者からの指摘でわかりました。

 このため回収の対象をこれまでの5倍以上に当たる約160万個に拡大することを決めたということです。

 会社側によりますと、これまでのところ健康への被害は確認されていないということです。

 販売したアイリスフーズは、「度重なるお知らせとなり、お客様にはお手数とご迷惑をおかけしますことを深くおわび申し上げます」とコメントしています。対象製品の生産を当面見合わせるといいます。

 問い合わせ先の電話番号は、フリーダイヤル0800-888-6060で、午前9時から午後5時まで受け付けています。(土日祝日は午後0時から1時を除く)

 2023年9月24日(日)

🟧多摩地域の全市町村、住民からPFAS検出 市民団体が血液検査

 一部で有害性が指摘されている有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」について、専門家と市民団体は、東京都の多摩地域の住民を対象にした血液検査の平均で、国の調査の約2・3倍の血中濃度が検出されたとする結果を公表しました。

 「PFAS(ピーファス)」は、人工的に作られた有機フッ素化合物の総称で、このうち「PFOS(ピーフォス)」と「PFOA(ピーフォア)」と呼ばれる2つの物質は、アメリカの研究などで有害性が指摘されています。

 沖縄県のアメリカ軍基地周辺で国の暫定的な目標値を超える値が相次いで検出され、多摩地域の水道水からも検出されたことを受け、京都大学大学院の原田浩二准教授と市民団体は、これまでに横田基地のある多摩地域の住民789人の血液検査を行い、21日、立川市で開いた記者会見で結果を公表しました。

 それによりますと、すべての市町村の住民からPFASが検出され、検出したPFOSとPFOAを合わせた平均値は13・9ナノグラムで、これは国が一昨年、全国の3地点で行った調査の平均値の約2・3倍に相当するということです。

 多摩地域の30市町村でそれぞれ10人以上検査を行い、自治体別でみると国分寺市で23ナノグラム、立川市で19ナノグラムなどと北部地域の値が高い傾向だったということです。一方で、八王子市や町田市、奥多摩町などでは値が低くなっています。

 オンラインで参加した原田准教授は、「都は水道水などの調査で濃度が高い場所の取水を停止しているが、効果が出るのが遅いのか、土壌などほかの要因が考えられるのか調べるべきだ」と指摘し、「国分寺市の値は全国的にみても高く、PFASの検出が問題となっている沖縄県と比べても高い状況だ。健康への影響は無視できずアメリカの指針値を参考にした対応を考える必要がある」としています。

 市民団体は原因究明のため、多摩地域の井戸や河川などで行っている水質調査の結果も近いうちに発表する方針です。 

 2023年9月24日(日)

🟧熊本県の70歳代男性、日本脳炎に感染 2023年で全国初の確認 

 熊本県は22日、玉名郡の70歳代男性が日本脳炎に感染したと発表しました。男性は意識障害などがあり、有明保健所管内の医療機関に入院中。今年に入り感染者が確認されたのは全国で初めて。

 県健康危機管理課によると、男性は4日に発熱やろれつが回らなくなるなどの構音障害の症状があり、医療機関を受診。呼吸状態も悪化し、21日に検査で陽性が確認されました。

 日本脳炎は蚊の「コガタアカイエカ」が媒介するウイルスによる感染症。ウイルスに感染して日本脳炎を発症するのは100~1000人に1人で、発症すると高熱やけいれんなどの症状が出るほか、子供や高齢者が感染した場合には死亡するケースもありますが、人から人へ感染することはないということです。

 昨年は全国で日本脳炎の患者5人を確認。うち3人は熊本県内で、70歳代の女性1人が死亡しました。

 同課は7月27日から県内全域に日本脳炎注意報を発令中。蚊に刺されないよう長袖、長ズボンの着用や虫よけ剤の使用を心掛け、蚊の発生源となる水たまりをなくすなどの対策を呼び掛けています。

 2023年9月24日(日)

🟧吉田屋、営業禁止処分に 駅弁が原因の食中毒と八戸市保健所が断定

 青森県八戸市の駅弁製造販売会社「吉田屋」の弁当を食べた人が、相次いで体調不良を訴えている問題で、八戸市保健所は、弁当が原因の食中毒と断定し、食品衛生法に基づき、23日付けで「吉田屋」を営業禁止の処分にしました。

 青森県の八戸市保健所によりますと、「吉田屋」が作った消費期限が9月16日と17日の弁当を食べた人が、下痢やおう吐などの体調不良を訴えました。

 この問題で、八戸市保健所は23日に記者会見し、症状を訴えた人に共通する食事が、この弁当に限られていることや、症状を訴えた人と弁当から食中毒の原因となる黄色ブドウ球菌とセレウス菌が検出されたことなどから、弁当が原因の食中毒と断定したことを明らかにしました。このため、23日付けで「吉田屋」を営業禁止処分としました。

 21日までに全国で270人が食中毒であることが判明したとしていますが、これまでに300人余りが体調不良を訴えていることから、さらに増えるものとみられるということです。

 保健所は、施設と設備の清掃や消毒を徹底することや、衛生管理の実施記録を毎日つけて保存することなどを指示したということです。

 八戸市保健所の石井敦子副所長兼衛生課長は、「今回2つの原因物質が判明したが、施設内がどういう状況で、どういった衛生管理をしていたのかわからないので、今後は原因究明のための指導を行っていきたい」と述べました。

 八戸市保健所が「吉田屋」の弁当が原因の食中毒と断定し、営業禁止処分にしたことを受けて「吉田屋」の吉田広城社長が、会社のホームページでコメントを発表しました。

 それによりますと、「食中毒の被害に遭われた方、商品を購入したお客様に改めておわび申し上げます」と謝罪した上で、「一部の食材を県外の委託業者から仕入れて製造しましたが、食材の受け入れに当たって必要とされる作業を十分に行うことができず、その結果、食材に付着した菌が増殖するなどして商品に含まれることになったと考えています。どのような原因でこれらの菌が製造された商品に含まれたかは保健所の指導を受けて引き続き調査を行ってまいります。皆様の信頼を裏切る結果になり、誠に申し訳なくざんきに堪えません」などとコメントしています。

 青森県の八戸市保健所は、23日の会見で21日までに全国各地の保健所から合わせて270人が食中毒と確認されたことを明らかにしました。

 内訳は、青森県で1人、宮城県で21人、山形県で1人、福島県で34人、茨城県で5人、栃木県で1人、埼玉県で32人、千葉県で7人、東京都で23人、神奈川県で8人、静岡県で81人、三重県で1人、兵庫県で5人、島根県で9人、岡山県で1人、広島県で1人、山口県で5人、香川県で1人、福岡県で25人、佐賀県で5人、大分県で3人と、1都20県におよんでいます。

 また、患者がこれまでに食べた弁当は、いずれも八戸市で今月15日と16日に作られた「函館わっぱめし海鮮ミックス」、「海女のうに弁当」、「北海道産特選いくらの贅沢丼」、「こぼれイクラととろサーモンハラス焼き弁当」、「函館海宝煌めくイクラと大玉ほたて弁当」、「函館うにの箱めし」、「焼き鯖の赤酢ずし」、「たらば蟹とサーモンの北国函館寿し」、「極うにかにいくら弁当」、「三陸産煮穴子めし」、「函館市場寿し」「穴子と三種の海鮮弁当」の合わせて12種類となっています。

 八戸市保健所は、今後も各地の保健所から報告が見込まれることから、患者数や弁当の種類が増える可能性もあるとしています。

 2023年9月24日(日)

2023/09/22

🟧八戸市の「吉田屋」の弁当、33都道府県に2万2184個流通

 青森県八戸市の駅弁メーカー「吉田屋」の弁当を食べた人が相次いで体調不良を訴えている問題で、八戸市保健所は、原因とみられる消費期限が9月16日と17日の弁当が33の都道府県に流通していたと発表しました。

 青森県の八戸市保健所によりますと、八戸市にある駅弁メーカー「吉田屋」が作った、消費期限が9月16日と17日の弁当を食べ下痢やおう吐などの体調不良を訴えている人の数は、22日午前9時の時点で301人となり、21日より3人増えました。

 八戸市保健所によりますと、この問題の原因とみられている9月16日と17日が消費期限の弁当は、それぞれ前日に製造されていました。

 弁当の材料は県内外から仕入れられ、調理から包装まで「吉田屋」で行われたということで、2日間で製造された合わせて59種類、2万2184個の弁当が1都1道1府30県の1080店舗に流通し、7割ほどがスーパーのフェアなどで販売されたということです。

 また、保健所によりますと、吉田屋に対して食べた人などから問い合わせや苦情があったのは59種類のうち12種類の弁当で、吉田屋はこの12種類について自主回収を行ったということです。

 八戸市保健所は、9月17日に行った立ち入り検査などの結果がわかると見込まれる来週にも、詳しい原因などを公表するとしています。

 2023年9月22日(金)

🟥COP30、合意文書採択し閉幕 脱化石燃料の工程表は見送り

 ブラジル北部ベレンで開かれた国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)は22日、温室効果ガス排出削減の加速を促す新たな対策などを盛り込んだ合意文書を採択し、閉幕した。争点となっていた「化石燃料からの脱却」の実現に向けたロードマップ(工程表)策定に関する直接的な記述...