2023/09/28

🟧認知症新薬「レカネマブ」、12月保険適用へ 年間市場規模は1500億円超

 アルツハイマー病の原因物質に直接働き掛ける新薬「レカネマブ(商品名レケンビ)」が正式に承認されたことを受けて、中央社会保険医療協議会(中医協)は、12月下旬までに公的医療保険を適用することを目指し、価格の算定を進める方針を確認しました。

 日本の製薬大手「エーザイ」がアメリカの「バイオジェン」と共同で開発した、認知症の原因の1つアルツハイマー病の新しい治療薬「レカネマブ」について、中医協は27日の総会で、保険適用と価格の算定を巡る議論を始めました。

 アメリカでは年間の価格が1人当たりの平均で約390万円に設定されていて、厚生労働省は、患者の数などによっては、年間の市場規模が1500億円を超える可能性があるなどと説明しました。

 これに対して委員からは、薬の効果への期待が大きいとして、安全性を担保した上で保険の適用を求める意見が出された一方、「保険財政への負担が極めて大きいため、対象となる患者や、投与の期間などを適切にすべきだ」といった意見も出されました。

 そして、25日の正式承認から90日となる12月24日までに保険適用にすることを目指し、価格の算定を進めていく方針を確認しました。

 アルツハイマー病の新たな治療薬を巡っては、このほか、アメリカの製薬大手「イーライリリー」が26日、開発中のアルツハイマー病の新薬「ドナネマブ」について、日本国内での承認を求める申請を行ったことを明らかにしています。

 2023年9月28日(木)

🟧厚労省、薬の審査機関をアメリカに開設へ 「ドラッグロス」解消を目指す

 厚生労働省は2024年度中に、薬の承認審査を担う「医薬品医療機器総合機構(PMDA)」の海外戦略を強化し、アメリカに拠点を開設する方針を固めました。現地の創薬ベンチャーに日本での開発を働き掛け、承認申請の相談などに無料で応じます。アメリカ食品医薬品局(FDA)とも緊密に連携し、欧米で承認された薬が日本で開発されず使えない「ドラッグロス」の解消を目指します。

 PMDAは、厚労省所管の独立行政法人で、開設するアメリカ事務所の候補地には、首都ワシントンが挙がっています。日本人職員に現地スタッフを加えて、数人置く予定です。

 アメリカ事務所は、日本での申請や開発が難しいといった誤解を解くため、創薬ベンチャーの経営者らが集まる商談会や学会に参加し、英語で情報発信します。日本の魅力として、承認までに必要な臨床試験や手続きにアメリカと共通点が多いことや、効果が高い薬を迅速に承認する制度が整備されていることなどをPRします。

 日本でも薬の承認を得ることを希望する場合、安全性や有効性を確かめる治験の進め方などについて相談に応じます。日本からアメリカに職員を派遣したり、オンラインで対応したりします。

 厚労省は2024年度予算の概算要求に6600万円の関連予算を盛り込みました。

 厚労省などによると、近年、欧米で承認されていても日本では承認されていない薬が増えています。欧米で2016~2020年に承認されたものでは、がんや難病などの分野で86品目(今年3月時点)に上り、このうち創薬ベンチャーの製品が56%(48品目)を占めています。

 創薬ベンチャーは、アメリカやヨーロッパでの承認取得にとどまるケースが多く、アメリカ、中国に次ぐ約10兆円の市場規模がある日本に進出しない背景として、「言葉の壁」などが指摘されています。

 厚労省は、アメリカ事務所を拠点に、国として現地企業との関係づくりを進め、日本での医薬品開発を積極的に促していく考えで、承認申請に至るまで「伴走者」として支援します。

 PMDAの海外拠点は2024年度中にアジアにも開設することが検討されており、タイ・バンコクが想定されています。

 医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、 厚生労働省から委託を受け、医薬品や医療機器、再生医療製品の承認審査などを担う機関。治験の内容や承認申請に関する助言も企業や大学・研究機関に行います。2004年に設立され、2023年4月時点で職員数は1044人、うち審査部門は623人。

 2023年9月28日(木)

2023/09/27

🟧八戸市の駅弁食中毒、26都道県394人に拡大 10人入院、重症者なし

 青森県八戸市保健所は26日、同市の駅弁製造会社「吉田屋」の弁当を原因とする食中毒で、25日時点で26都道県394人の患者を確認したと発表しました。23日に発表した21都県270人から北海道、岩手、愛知、徳島、熊本の5道県が加わったほか、各都県で新たに患者が判明しました。

 394人のうち入院者は10人で、9人はすでに退院ずみ。残る1人も27日に退院予定。重症者の報告はないといいます。

 また、食中毒が出た15日製造分の米飯約700キログラム(約3000食相当)を岩手県の業者から搬入した際、吉田屋の担当者が「いつもより熱く、45度だった」と話していることも保健所の聞き取りで判明しました。

 吉田屋では米飯を30度まで冷ましてから弁当に盛り付けることになっており、担当者は真空冷却機で中心温度を45度から30度まで冷ましてから盛り付けを始めたといいます。

 保健所によると、45度は菌が繁殖しやすい温度で、今後、米飯の温度と食中毒の因果関係を調査します。

 一方、保健所は岩手県の業者の施設について、衛生管理に問題はなかったと明らかにしています。

 2023年9月27日(水)

🟧プール熱の患者数、過去10年間で最多を更新 5週連続増加

 子供がかかりやすく、高熱や結膜炎などの症状が出る、いわゆる「プール熱」の患者が、過去10年間で最も多くなったことがわかりました。 

 咽頭結膜熱、いわゆるプール熱は子供を中心に高熱やのどの痛み、結膜炎などの症状を起こすアデノウイルスによる感染症で、せきやくしゃみなどの飛まつで感染するほか、プールでの接触やタオルの共用を介して感染することもあります。

 国立感染症研究所によりますと、全国およそ3000の小児科の医療機関で、9月17日までの1週間に報告された患者は、前の週から570人余り増えて4539人で、前の週から5週連続で増えました。1医療機関当たりの患者数は1・45人で、過去10年間で最も多くなった前の週の1・26人をさらに上回りました。

 都道府県別でみると、1医療機関当たりの患者が最も多いのは福岡県で4・65人、次いで大阪府が4・09人で、警報レベルとされる「3・0人」を超えていて、京都府が2・95人、奈良県が2・88人などとなっています。

 子供の感染症に詳しい国立病院機構三重病院の谷口清州院長は、「この感染症は5歳未満の子が感染することが多いが、今年はこの3年間でウイルスに感染してこなかった上の年齢の子にも広がっている。症状がある時は登園や登校を避け、手洗いやマスクの着用など対策を心掛けてほしい」と話しています。

 2023年9月27日(水)

🟧沖縄県の玉城知事、県庁のPFAS流出を陳謝 発生から3カ月以上未公表

 沖縄県庁(那覇市泉崎)の地下駐車場で6月に有害な有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)を含む泡消火剤が放出され、庁舎外にも流出した問題で、玉城デニー知事は27日未明、開会中の県議会本会議で流出の経緯を説明し、事案発生から3カ月以上公表していなかったことについて「県民に多大な不安を与えたこと、報告が遅れたことについておわび申し上げる」と陳謝しました。 

 県管財課によると、6月18日早朝、県庁地下2階駐車場で消火設備のスプリンクラーが老朽化で誤作動し、PFASの一種のPFOS(ピーフォス)などを含む泡消火剤約900リットルが放出されました。一部は回収したものの、残りは地下2階の貯水槽に流れ込みました。

 担当課は、貯水槽内の水は庁舎外に排出されないと判断し、設備の点検業者と処分先や回収方法を検討していました。しかし、9月12日に貯水槽内を確認したところ、水位が低下しており、泡消火剤を含む水が庁舎外に流出したことが判明しました。台風などの大雨の流入で自動排水機能が作動したことが原因とみられます。

  9月19日に貯水槽内の水を採取してPFASの濃度を分析したところ、国の暫定目標値(1リットル当たり50ナノグラム)を大幅に上回る1リットル当たり2万4000ナノグラムの高濃度で検出されました。庁舎外の排水溝の水からも、1リットル当たり6600ナノグラムの高濃度で検出されました。一方、近くを流れる久茂地(くもじ)川の水は1リットル当たり34ナノグラムで、暫定目標値は下回りました。

 県によると、消火設備の容器内は2010年にPFOSなどを含まない泡消火剤に交換していたものの、配管内にPFOSを含む泡消火剤が残留していました。宮城力総務部長は27日午後に記者会見し、「6月の段階で公表すべきだったと反省している」と話しました。

 県議会で知事の説明を聞いた自民県議は、「アメリカ軍基地で(PFASの流出が)起きた時に、いの一番に抗議し、原因究明を求めてきたのが知事のスタンスだ。足元の県庁で起きたことについて隠蔽(いんぺい)に近いやり方をするのは言語道断だ」と批判しました。

 県議会は26日午前に9月定例会が開会しましたが、県政野党の自民がPFAS流出について玉城知事からの説明を求め、調整に時間がかかりました。その間に、県政与党会派の一部県議と退勤した県職員が県議会内の会派室で酒の提供を伴う会合を開いていたことが発覚。事実関係の確認のため空転し、玉城知事の説明は27日未明にずれ込みました。

 2023年9月27日(水)

🟧埼玉県、新型コロナ感染者が前週の約半分に減少

 埼玉県内の新型コロナウイルスの新たな感染者の数は、1医療機関当たり12・62人で前の週のおよそ半分に減少しました。

 埼玉県が27日発表した新型コロナの感染状況によりますと、9月18日から24日までの1週間に定点把握の対象となっている261の医療機関から報告のあった新たな感染者数は3268人でした。

 1医療機関当たりでは12・62人で、24・98人だった前の週と比べておよそ半分に減少しました。

 世代別にみると、10歳代が844人と最も多く、10歳未満が521人と続いていますが、すべての世代で前の週よりも減少したということです。

 県は感染者数が減少傾向に転じているものの、高齢者や基礎疾患がある人にとっては重症化リスクが高いとして、体調が悪い時は外出を控えるなど引き続き感染対策を徹底するよう呼び掛けています。

 2023年9月27日(水)

🟧調査委が検証結果公表、早期治療で「救命の可能性」 愛知県愛西市でコロナワクチン接種直後に女性死亡

 昨年11月、愛知県で新型コロナウイルスのワクチン接種を受けた女性が、接種直後に死亡した問題で、専門家による調査委員会は、女性は重いアレルギー反応を起こしていた可能性が高く、早期に治療薬を投与していれば、救命できた可能性は否定できないなどとする検証結果を公表しました。

 昨年11月5日、愛知県愛西市の集団接種会場で、新型コロナワクチンの4回目の接種を受けた飯岡綾乃さん(当時42)が接種直後、息苦しさを訴えた後、容体が急変し、死亡しました。

 これを受けて、愛西市は、専門家による「医療事故調査委員会」で原因の調査を進め、26日に報告書を公表しました。

 報告書では、当時の飯岡さんの状態について、接種後の経過観察中にせきが出始め、その後、息苦しさを強く訴え、症状が出始めてから10分後に心停止となっていることから、重いアレルギー反応の「アナフィラキシーを起こしていた可能性が高い」としています。

 そして、当時、医師がアナフィラキシーの治療薬のアドレナリンを投与しなかったことは標準的ではないと指摘した上で、「早期にアドレナリンが投与された場合、救命できた可能性を否定できず、投与されなかったことの影響は大きい」としています。

 また、接種会場の体制について、接種を始める前に、医師と看護師が集まって、急変時の対応の確認などが行われず、救命のためのチームワークが十分実行されなかったと指摘しています。

 調査委員会では、再発防止策として、接種後に呼吸困難を訴えた場合は、アナフィラキシーを想定して直ちにアドレナリンを注射することや、接種開始前に医師や看護師らがあらかじめ情報を共有する時間を確保し、アナフィラキシーへの対応を確認しておくことなどを提言しています。

 2023年9月27日(水)

🟩岐阜県本巣市の養鶏場で鳥インフルエンザ検出、1万5000羽を殺処分へ 今季全国で9例目

 岐阜県本巣市の養鶏場で、死んでいた鶏から検出されたウイルスが、致死率の高い高病原性鳥インフルエンザ(H5亜型)と判明し、殺処分が行われることが決まりました。  岐阜県によりますと、18日午前、本巣市にある養鶏場から「死ぬ鶏が増えている」などと県に通報があり、簡易検査で鳥インフ...