2023/09/28

🟧悪性度高い大腸がん、転移促進するタンパク質解明 京都大などの研究チーム

 治療が難しく、転移しやすい高悪性度の大腸がんでは、がん細胞の周辺に多く含まれる特定のタンパク質が転移を促進していることを、京都大などの研究チームが突き止めました。このタンパク質は、骨髄で作られて腫瘍に集まる免疫細胞から多く分泌されていることも判明。このタンパク質の発生を抑えられれば、がんの転移を効果的に抑制する可能性があるとしています。論文は25日、イギリスの科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」電子版に掲載されました。

 このタンパク質は、悪性度の高い大腸がんのうち、がん細胞以外の「腫瘍間質」に多く含まれる「トロンボスポンジン1」(THBS1)。遺伝子操作でTHBS1を分泌しないようにしたマウスの大腸に、研究チームががん細胞を移植したところ、免疫細胞が活性化して転移が抑制され、生存期間が延びました。

 このマウスに、正常なマウスの骨髄細胞を移植したところ、THBS1が分泌されるようになり、再び転移が見られるようになりました。

 THBS1を作るのは骨髄でできる免疫細胞の一種で、大腸がんを取り巻く組織から出るケモカインという物質に反応して集まってくる一方で、がんを攻撃せず、逆に保護する動きをすることも判明。ケモカインの働きを抑える化合物を大腸がんのマウスに投与するとTHBS1が減り、がんの転移は大幅に抑えられました。

 研究チームの京都大大学院医学研究科、中西祐貴助教は、「大腸がんは転移すると生存率が低下する。THBS1を標的にした大腸がん治療法の開発だけでなく、ほかのがんの転移抑制にもつなげたい」と話しています。 

 大腸がんは国内では年間約15万人が新たに発症しています。内視鏡検査などで早期発見して取り除けば高い確率で治癒するものの、大腸がんの約2割は転移しやすいタイプとされ、治療の妨げになっています。

 2023年9月28日(木)

🟧東京都、新型コロナ感染者数が前週から半減 診療日数減少が影響か

 東京都の新型コロナの感染者数は、1医療機関当たり8・89人で、前の週の約55%とほぼ半数に減少したものの、専門家は「祝日に伴い医療機関の診療日数が減り、低めの数値となっている可能性がある」として、基本的な感染対策の継続を呼び掛けました。

 都は28日、都内の新型コロナの感染状況について、モニタリング項目を発表しました。それによりますと、定点把握の対象になっている都内419の医療機関のうち、415カ所から報告があり、9月24日までの1週間の感染者数は合わせて3688人で、1医療機関当たり8・89人でした。

 これは前の週の16・04人の約55%となり、大きく減少しました。感染者報告数が減少するのは3週連続です。年代別にみると、10歳代以下が大きく減少し、前の週の半分以下となっています。

 また、9月25日時点での入院患者数は1769人で、前の週より483人減りました。

 専門家は、「先週は月曜と土曜が祝日で休診のところもあり、低めの数値となっている可能性があり注意が必要だ。インフルエンザなどの受診者が増加してきており、医療提供体制への負担が長期化している」などと指摘し、基本的な感染対策の継続を呼び掛けました。

 2023年9月28日(木)

🟧介護費用、最多の11兆1912億円 サービス利用者も最多、2022年度

 介護保険制度で2022年度にかかった介護費用(介護給付費と自己負担)の総額は11兆1912億円となり、過去最多を更新しました。前年度より約1621億円(1・5%)増えました。厚生労働省が26日に発表しました。

 介護保険制度は2000年に始まったものの、介護費用の総額は増加傾向にあり、2018年度に10兆円、2021年度に11兆円を突破。2022年度は、2001年度(4兆3783億円)の約2・6倍となりました。

 サービスの利用者も前年度に比べて14万2700人多い652万4400人となり、過去最多でした。うち介護度の軽い要支援1、2の人が受ける介護予防サービスの利用者は約118万4700人(前年度比4万400人増)、必要な介護の度合いが高い人(要介護1~5)が受ける介護サービスの利用者は約559万1600人(前年度比12万3000人増)でした。サービス別で見ると、施設サービスよりも、訪問介護や短期入所といった居宅サービスの増加率が大きくなりました。

 受給者1人当たりの費用は17万5500円(2023年4月分)で、前年比2700円増えました。

 2023年9月28日(木)

🟧認知症新薬「レカネマブ」、12月保険適用へ 年間市場規模は1500億円超

 アルツハイマー病の原因物質に直接働き掛ける新薬「レカネマブ(商品名レケンビ)」が正式に承認されたことを受けて、中央社会保険医療協議会(中医協)は、12月下旬までに公的医療保険を適用することを目指し、価格の算定を進める方針を確認しました。

 日本の製薬大手「エーザイ」がアメリカの「バイオジェン」と共同で開発した、認知症の原因の1つアルツハイマー病の新しい治療薬「レカネマブ」について、中医協は27日の総会で、保険適用と価格の算定を巡る議論を始めました。

 アメリカでは年間の価格が1人当たりの平均で約390万円に設定されていて、厚生労働省は、患者の数などによっては、年間の市場規模が1500億円を超える可能性があるなどと説明しました。

 これに対して委員からは、薬の効果への期待が大きいとして、安全性を担保した上で保険の適用を求める意見が出された一方、「保険財政への負担が極めて大きいため、対象となる患者や、投与の期間などを適切にすべきだ」といった意見も出されました。

 そして、25日の正式承認から90日となる12月24日までに保険適用にすることを目指し、価格の算定を進めていく方針を確認しました。

 アルツハイマー病の新たな治療薬を巡っては、このほか、アメリカの製薬大手「イーライリリー」が26日、開発中のアルツハイマー病の新薬「ドナネマブ」について、日本国内での承認を求める申請を行ったことを明らかにしています。

 2023年9月28日(木)

🟧厚労省、薬の審査機関をアメリカに開設へ 「ドラッグロス」解消を目指す

 厚生労働省は2024年度中に、薬の承認審査を担う「医薬品医療機器総合機構(PMDA)」の海外戦略を強化し、アメリカに拠点を開設する方針を固めました。現地の創薬ベンチャーに日本での開発を働き掛け、承認申請の相談などに無料で応じます。アメリカ食品医薬品局(FDA)とも緊密に連携し、欧米で承認された薬が日本で開発されず使えない「ドラッグロス」の解消を目指します。

 PMDAは、厚労省所管の独立行政法人で、開設するアメリカ事務所の候補地には、首都ワシントンが挙がっています。日本人職員に現地スタッフを加えて、数人置く予定です。

 アメリカ事務所は、日本での申請や開発が難しいといった誤解を解くため、創薬ベンチャーの経営者らが集まる商談会や学会に参加し、英語で情報発信します。日本の魅力として、承認までに必要な臨床試験や手続きにアメリカと共通点が多いことや、効果が高い薬を迅速に承認する制度が整備されていることなどをPRします。

 日本でも薬の承認を得ることを希望する場合、安全性や有効性を確かめる治験の進め方などについて相談に応じます。日本からアメリカに職員を派遣したり、オンラインで対応したりします。

 厚労省は2024年度予算の概算要求に6600万円の関連予算を盛り込みました。

 厚労省などによると、近年、欧米で承認されていても日本では承認されていない薬が増えています。欧米で2016~2020年に承認されたものでは、がんや難病などの分野で86品目(今年3月時点)に上り、このうち創薬ベンチャーの製品が56%(48品目)を占めています。

 創薬ベンチャーは、アメリカやヨーロッパでの承認取得にとどまるケースが多く、アメリカ、中国に次ぐ約10兆円の市場規模がある日本に進出しない背景として、「言葉の壁」などが指摘されています。

 厚労省は、アメリカ事務所を拠点に、国として現地企業との関係づくりを進め、日本での医薬品開発を積極的に促していく考えで、承認申請に至るまで「伴走者」として支援します。

 PMDAの海外拠点は2024年度中にアジアにも開設することが検討されており、タイ・バンコクが想定されています。

 医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、 厚生労働省から委託を受け、医薬品や医療機器、再生医療製品の承認審査などを担う機関。治験の内容や承認申請に関する助言も企業や大学・研究機関に行います。2004年に設立され、2023年4月時点で職員数は1044人、うち審査部門は623人。

 2023年9月28日(木)

2023/09/27

🟧八戸市の駅弁食中毒、26都道県394人に拡大 10人入院、重症者なし

 青森県八戸市保健所は26日、同市の駅弁製造会社「吉田屋」の弁当を原因とする食中毒で、25日時点で26都道県394人の患者を確認したと発表しました。23日に発表した21都県270人から北海道、岩手、愛知、徳島、熊本の5道県が加わったほか、各都県で新たに患者が判明しました。

 394人のうち入院者は10人で、9人はすでに退院ずみ。残る1人も27日に退院予定。重症者の報告はないといいます。

 また、食中毒が出た15日製造分の米飯約700キログラム(約3000食相当)を岩手県の業者から搬入した際、吉田屋の担当者が「いつもより熱く、45度だった」と話していることも保健所の聞き取りで判明しました。

 吉田屋では米飯を30度まで冷ましてから弁当に盛り付けることになっており、担当者は真空冷却機で中心温度を45度から30度まで冷ましてから盛り付けを始めたといいます。

 保健所によると、45度は菌が繁殖しやすい温度で、今後、米飯の温度と食中毒の因果関係を調査します。

 一方、保健所は岩手県の業者の施設について、衛生管理に問題はなかったと明らかにしています。

 2023年9月27日(水)

🟧プール熱の患者数、過去10年間で最多を更新 5週連続増加

 子供がかかりやすく、高熱や結膜炎などの症状が出る、いわゆる「プール熱」の患者が、過去10年間で最も多くなったことがわかりました。 

 咽頭結膜熱、いわゆるプール熱は子供を中心に高熱やのどの痛み、結膜炎などの症状を起こすアデノウイルスによる感染症で、せきやくしゃみなどの飛まつで感染するほか、プールでの接触やタオルの共用を介して感染することもあります。

 国立感染症研究所によりますと、全国およそ3000の小児科の医療機関で、9月17日までの1週間に報告された患者は、前の週から570人余り増えて4539人で、前の週から5週連続で増えました。1医療機関当たりの患者数は1・45人で、過去10年間で最も多くなった前の週の1・26人をさらに上回りました。

 都道府県別でみると、1医療機関当たりの患者が最も多いのは福岡県で4・65人、次いで大阪府が4・09人で、警報レベルとされる「3・0人」を超えていて、京都府が2・95人、奈良県が2・88人などとなっています。

 子供の感染症に詳しい国立病院機構三重病院の谷口清州院長は、「この感染症は5歳未満の子が感染することが多いが、今年はこの3年間でウイルスに感染してこなかった上の年齢の子にも広がっている。症状がある時は登園や登校を避け、手洗いやマスクの着用など対策を心掛けてほしい」と話しています。

 2023年9月27日(水)

🟥子供の近視進行抑える国内初の目薬、参天製薬が4月発売 軽度から中等度の近視を想定

 参天製薬は18日、主に子供の近視の進行を抑制する点眼薬「リジュセア」を4月21日に発売すると発表しました。近視の進行を抑える目薬は国内初。公的医療保険の対象外で、全額自己負担となります。参考価格は1カ月分で税込み4380円。  主に軽度から中等度の近視の子供を想定しています。...