2023/09/30

🟧乳がんの再発リスクを調べる遺伝子検査「オンコタイプDX」、9月から公的医療保険の対象に

 乳がん患者一人ひとりの再発リスクを数値で示す遺伝子検査「オンコタイプDX」が9月、公的医療保険で認められました。脱毛などの副作用がある抗がん剤治療が、手術後に必要かどうかの判断材料となります。検査はこれまで、約45万円かかる自費診療でした。保険適用で費用負担が軽減され、望む患者が受けやすくなりました。

 乳がんは日本の女性に最も多いがんで、2019年には新たに9万7142人が診断されました。女性の9人に1人が生涯にかかるとされています。

 治療の基本は手術となります。さらに、再発予防のため薬物治療を行います。

 どの薬を選ぶかは、がんのタイプで異なります。女性ホルモンと、「 HER2(ハーツー )」と呼ばれるタンパク質が、それぞれがんの増殖にかかわる「陽性」かどうかで、大きく4つに分かれます。

 ただ、その分類だけでは選択しづらいこともあります。特に、ホルモン陽性でHER2陰性の場合は悩む例が多いです。

 このタイプは、ホルモン療法のみか、抗がん剤を併用するかを選びます。抗がん剤は脱毛や吐き気などの副作用があります。このため、再発を防ぐ効果があると見込まれる患者にのみ併用するのが望ましいですが、その見極めが難しい患者が少なからずいます。

 新たに保険適用になった遺伝子検査「オンコタイプDX」は、このタイプのうち、わきの下のリンパ節転移が0~3個の患者が対象です。がん組織を調べて、再発に関わる21種類の遺伝子を解析、結果は0~100の数値「再発スコア」で示されます。点数が高いほど再発しやすく、抗がん剤の併用が勧められます。25以下は抗がん剤の効果はないため、原則、併用の必要性は低いと判定されます。

 検査費(公定価格)は43万5000円。3割負担だと13万500円です。所得によっては、医療費の自己負担に上限を設ける高額療養費制度が適用され、さらに負担が抑えられます。製造販売元のエグザクトサイエンス(東京都千代田区)は、乳がん患者の約半数がこの検査の対象になるとみています。

 相良病院(鹿児島市)院長の大野真司さんは検査について、「再発のリスクや抗がん剤の効果を予測するものです。再発するかが確実にわかるわけではありませんが、病理検査と組み合わせて、より正確に抗がん剤治療の必要性を判断できます」と話しています。

 2023年9月30日(土)

🟧さいたま市、すべての市立中学校の校門にAEDを新たに設置へ

 12年前、小学6年生の女の子が心臓発作で死亡した事故を切っ掛けに自動体外式除細動器(AED)の普及を進めているさいたま市は、すべての市立中学校58校の校門にAEDを新たに設置することになりました。

 30日はさいたま市北区の日進中学校で市内の中学校に設置されるAEDの贈呈式が行われ、市内の酒造会社から清水勇人市長にAEDが手渡されました。

 30日は市立日進小6年だった12年前に駅伝選考会中に心臓発作で倒れて亡くなった桐田明日香さんの命日で、明日香さんが通うはずだった私立日進中学校で行われた贈呈式には母親の寿子さんも出席しました。

 この事故を切っ掛けにさいたま市は学校の校内へのAEDの普及を進めてきましたが、30日に寄贈されたAEDはすべての市立中学校の校門に設置する予定です。

 学校の屋外に屋外型収納ボックスに無施錠で入れたAEDを設置しておくことで、地域の人が夜間や休日も使えるようになるため24時間救命措置が可能になるということです。

 収納ボックスを開けると、本体の遠隔監視システムが作動し、位置情報などがさいたま市教育委員会に伝わるため故障や盗難などへの対応も可能。今後は詳細な利用マニュアルを定めるとしています。

 AEDを寄贈した西区の「小山本家酒造」の小山景市会長は、「地域に貢献したい思いで寄贈しました。同じような事故が起きないようにしてほしい」と話していました。

 明日香さんの母親の寿子さんは、「長年の願いだった24時間、誰もが使えるAEDの設置が決まり非常にうれしく思います。こうした取り組みを全国に広げてもらいたいです」と話しています。

 2023年9月30日(土)

🟧バングラデシュでデング熱が大流行 死者900人超で過去最悪

 バングラデシュでは、デング熱が大流行していて、亡くなった患者は900人を超えるなど過去最悪となっています。世界保健機関(WHO)は、気候変動を背景にデング熱のような蚊を媒介とする感染症が拡大していると警告しています。

 デング熱は蚊が媒介する感染症で、高熱や激しい頭痛、それに筋肉痛や関節痛などの症状が出ます。

 現地の保健当局によりますと、バングラデシュでは毎年、デング熱が流行しますが、今年は例年より早く4月下旬からデング熱が流行し、8月12日には一日で最多の約1万人が入院。9月18日までに過去最多となる計17万768人の感染、839人の死亡が確認されました。感染者の19%、死者の12%が15歳以下の子供といいます。

 この感染者数は、約6万2000人だった昨年の3倍近くで、過去最多の10万人超が感染し、164人が死亡した2019年を早くも上回っています。

 さらにWHOの9月24日時点の最新の統計などによりますと、死者数は過去最悪の909人となり、感染はバングラデシュ全国に広がり大流行しているということです。

 現地からの映像では、首都ダッカの病院に子供たちが多く入院し、母親とみられる女性が心配そうに寄り添っている姿も見られます。 

 バングラデシュの日本大使館も複数の日本人が感染したと連絡を受けているということで、肌の露出を少なくするなど感染予防を徹底するよう、注意喚起を出しています。

 WHOの専門家は、気温上昇など気候変動がもたらす影響によって、デング熱の流行が今後、世界規模で、感染者数が記録的な規模になる恐れがあると警告しています。

 WHOのデング熱対策の責任者であるラマン・ベラユダン博士は、今年7月の会見で「世界人口の約半数がデング熱の危険性にさらされ、感染が約129か国に広まっている可能性がある」と説明しました。

 さらに博士は、気候変動に加えて、人や物の移動、都市化や衛生環境の悪化などによりデング熱の流行が広がっているとしています。

 デング熱は、デングウイルスを持つ蚊に刺されることで発症する感染症で、初めての感染では重症化は多くないということですが、再び感染した場合などに重症化することもあり、早期に適切な治療を行うことが必要です。

 また、デング熱を媒介する蚊は降雨量が多い時だけでなく、干ばつの時でも繁殖することが可能で、感染を拡大させる恐れがあると指摘しました。

 2023年9月30日(土)

🟧マイナ保険証、医療費自己負担割合の誤表示5695件 厚労省が公表

 医療機関を受診した際に患者が窓口で支払う医療費の自己負担の割合について、医療機関用のシステムに誤って表示されるトラブルが全国で5700件近く確認されたことが、厚生労働省の調査でわかりました。

 マイナンバーカードと保険証を一体にしたマイナ保険証に合わせて整備が進められている医療機関用のシステムに、医療費の自己負担割合などが誤って表示されるトラブルが相次いだことから、厚労省は、健康保険を運営するすべての「保険者」を対象に調査を行いました。

 その結果、こうしたトラブルが全国で5695件確認されたということで、29日開かれた社会保障審議会・医療保険部会に報告されました。

 それによりますと、データの入力作業のミスなどが原因のケースが4000件余りで、残りはシステムに問題があったということです。

 各保険者が把握している正確な情報に基づき、データはすでに修正されているということで、窓口で本来より多く医療費を支払っていた場合も、すでに正しい負担割合で精算されているということです。

 厚労省は、再発防止に向けて入力作業のマニュアルをわかりやすくしたり、負担割合が正しく表示されているか定期的に確認できる仕組みを導入したりする方針です。

 厚労省は、再発防止に向けて入力作業のマニュアルを改定し、正しい手順を踏むよう保険者に要請します。保険者が把握する正確な情報とマイナ保険証で受診した際に表示される情報を照合し、チェックする仕組みも導入します。2024年夏までの対応を目指します。

 患者の不安に応えるための相談体制も整えます。患者が加入する保険者に氏名や生年月日、受診した医療機関と受診日を伝えれば、情報を確認します。過払いがあった場合は返金などの対応をとります。

 医療機関を受診した際の自己負担は、年齢や所得に応じて1〜3割に設定されています。

 2023年9月30日(土)

🟧研究者のチフス菌感染は実験室内 国立感染症研究所が調査結果を発表

 8月中旬、国立感染症研究所の研究者がチフス菌に感染した問題について、研究所は29日に、感染は実験室で起きたとみられると発表しました。研究所は、実験室での病原体の扱いについて、緊急の点検を行うなどして再発防止に努めるとしています。

 国立感染症研究所は、チフス菌の検査などの業務に当たっていた研究者が、8月11日に医療機関を受診して入院し、15日に腸チフスと診断された問題について、29日に感染の経路などを安全監視委員会が調査した報告書を発表しました。安全監視委員会は外部有識者らで構成され、問題発覚後、研究所に立ち入り調査しました。

 報告書によりますと、研究者から検出されたチフス菌と、研究所で取り扱っていたチフス菌の遺伝子を比較した結果などから、施設が原因の可能性は低く、感染は実験室内で起きたとみられるとしています。

 感染した原因は特定できなかったとしていますが、感染を防ぐための防護服の脱着や除染についてのマニュアルが作成されていなかったことや、病原体を取り扱う区域と、それ以外の区域が明確に分けられていなかったことなどが、感染につながったと考えられるとしています。

 研究者は20年以上病原体を扱うベテランだといい、報告書は「そのような者が無意識のうちに発症した事実は極めて深刻だ」と指摘しました。研究者は回復しつつあるが、今も入院中。

 チフス菌などを扱うレベルの実験室は、研究所自身や外部による監査の対象となっていないということで、研究所は、実験室での病原体の扱い方について緊急の点検を行うとともに、実験室の使用マニュアルを作成するなどして、再発防止を図ることにしています。

 国立感染症研究所の脇田隆字所長は、「感染研の近隣住民を始め、国民からの信頼を損ないかねない極めて重大な事故である。病原体等を取り扱うすべての職員が、再発防止策の迅速な実施に最大限努力する」とコメントしています。

 2023年9月30日(土)

2023/09/29

🟧新型コロナ感染、ピーク越えた可能性 前週比0・63倍、全国で減少

 新型コロナウイルスの全国の感染状況は、9月24日までの1週間では1つの医療機関当たりの平均の患者数が11・01人で、前の週の0・63倍となっています。

 厚生労働省は、「3週連続で前の週から減少しているほか、今回はすべての都道府県で減少していてピークアウトの可能性がある。今後も感染対策を続けてほしい」としています。

 厚労省によりますと、9月24日までの1週間に全国約5000の定点医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から3万2164人減って5万4346人となりました。

 また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は11・01人で前の週の0・63倍となりました。前の週から減少が続くのは3週連続で、すべての都道府県で減少しました。

 都道府県別では多い順に、愛知県が16・61人、岐阜県が15・24人、茨城県が14・53人、千葉県が14・43人、熊本県が12・74人などとなっています。少なかったのは山形県7・30人、香川県7・83人、福井県8・23人。

 このほか、9月24日までの1週間に新たに入院した人は全国で7685人で、前の週と比べて2288人の減少となりました。

 また、厚労省は29日、死亡診断書を基に集計した7月の新型コロナ関連死者数が2460人だったと明らかにしました。6月よりも800人以上増えました。担当者は「感染者数の増加に伴い、同じような割合で死者も増えた」と説明しています。

 2023年9月29日(金)

🟧八戸市の駅弁食中毒、29都道府県497人に増加

 青森県八戸市保健所は29日、同市の駅弁製造会社「吉田屋」の弁当を原因とする食中毒で、28日時点で29都道府県の497人の患者を確認したと発表しました。27日時点では489人でした。

 市保健所によると、都道府県別で長野県が加わったほか、各地で新たな患者が判明しました。埼玉県、東京都、福岡県、熊本県で過去の報告分からそれぞれ1人を取り下げました。重複集計があったとしています。

 吉田屋は23日から営業禁止処分中。患者が食べた弁当数は28日時点で21種類に上りました。

 2023年9月29日(金)

🟩岐阜県本巣市の養鶏場で鳥インフルエンザ検出、1万5000羽を殺処分へ 今季全国で9例目

 岐阜県本巣市の養鶏場で、死んでいた鶏から検出されたウイルスが、致死率の高い高病原性鳥インフルエンザ(H5亜型)と判明し、殺処分が行われることが決まりました。  岐阜県によりますと、18日午前、本巣市にある養鶏場から「死ぬ鶏が増えている」などと県に通報があり、簡易検査で鳥インフ...