2023/10/13

🟧ブタからサルへ腎臓移植で2年超生存 アメリカ企業「人への移植に近付いた」

 拒絶反応が起こりにくくなるように遺伝子を改変したミニブタの腎臓をサルに移植して、最長2年間生存させることに成功したと、アメリカの企業「イージェネシス」やマサチューセッツ総合病院などの研究チームが発表しました。同社は「ブタの腎臓を人に移植する臨床試験に近付いた」と説明しています。

 イギリスの科学誌「ネイチャー」(電子版)に11日付で発表しました。

 動物の臓器を人に移植する「異種移植」は、別の人からの臓器移植に代わる方法として長年研究されてきました。特にミニブタは、臓器の大きさが成人のものに近く、管理もしやすいため、適しているとされます。

 ただ、人の免疫細胞から「異物」とみなされやすく、移植後に起きる激しい拒絶反応が大きな課題になっていました。

 研究チームは今回、「ゲノム編集」技術でブタ特有のタンパク質を作る3つの遺伝子を壊し、移植直後の超急性拒絶反応を引き起こす分子を除去。さらに、人の免疫などにかかわる7つの遺伝子をブタに導入し、人の免疫細胞からの攻撃を受けにくくしたといいます。

 こうしてできた遺伝子改変ブタの腎臓を15匹のカニクイサルに1つずつ移植。サルに元々あった2つの腎臓は取り除き、免疫抑制剤で拒絶反応を抑えながら2023年3月末まで観察しました。

 その結果、最長で1匹が758日生存しました。一方、4匹は腎不全などで10日以内に死にました。

 今回の研究は、人への移植を想定してブタの遺伝子を改変しており、人に移植した場合のほうが結果がよくなることが予想されるといいます。

 アメリカ食品医薬品局(FDA)に認められれば、来年にも人の腎不全患者を対象とした臨床試験を始められる可能性があるといいます。

 ブタの腎臓や心臓を使った移植は、人からの提供臓器の不足を補う目的で研究が進んでいます。アメリカでは昨年、重い心臓病のためにブタの心臓の移植を受けた男性が約2カ月後に死亡しました。

 2023年10月13日(金)

🟧神奈川県、インフルエンザの感染者が2週連続増加 新型コロナの感染者は4週連続減少

 季節性インフルエンザを巡り、神奈川県は12日、県内の定点医療機関で報告された感染者数を発表しました。2~8日の1週間で、1医療機関当たりの平均患者数は15・84人で、前週比で0・79人増えました。増加は2週連続。前週に引き続き、注意報の発令基準となる10人を超えています。

 報告された患者数は県内全体で5623人。地域別では、1医療機関当たりの報告数で平塚保健福祉事務所管内(24・91人)、川崎市(21・85人)で20人を超えました。厚木保健福祉事務所管内(19・16人)、茅ケ崎市(18・82人)などでも高水準でした。

 8日までの1週間で、県内の幼稚園4、小学校124、中学校44、高校7、その他1の計180校がインフルエンザにより学級閉鎖になりました。

 一方、新型コロナウイルス感染症を巡り、神奈川県は12日、県内の定点医療機関で報告された感染者数を公表しました。2~8日の1週間で、1医療機関当たりの平均患者数は4・26人となり、前週比で4・04人減りました。減少は4週連続。

 報告された患者数は県内全体で1513人。1医療機関当たりの報告数は、横浜市で3・69人、川崎市で4・20人、相模原市で3・76人、政令市以外の県域で5・10人でした。381カ所の定点医療機関のうち、355カ所から報告がありました。

 11日時点の入院者数は580人(前週比200人減)で、うち重症者は16人(同7人減)でした。

 2023年10月13日(金)

2023/10/12

🟧男女とも3人に1人が性生活に「プレッシャー」 小林製薬が調査

 日常生活で過半数の人がプレッシャーを抱えており、生活の局面別では「仕事」の際が6割、「性生活」でも3人に1人が感じているという実態が、小林製薬(大阪市)が行った調査でわかりました。両者とも重圧を覚える割合に男女で差はなく、性生活へのプレッシャーの原因には「加齢」を挙げた割合が最も多くなりました。

 日常生活でプレッシャーを「感じる」か「感じない」か調査したところ、「感じる」と回答したのは53・3%。「感じない」は46・8%でした。

 プレッシャーを感じる局面を「仕事」「家事」「性生活」に分けて尋ねると、仕事は男女同率で57・7%が「感じる」と回答。家事で「感じる」としたのは41・5%でしたが、男性が37・4%、女性は45・4%と男女間で差が開きました。性生活では34・4%(男性34・2%、女性34・6%)が「感じる」と答えました。

 調査では、性生活でプレッシャーを「感じる」と回答した人に原因も聞いたところ、「加齢」(20・4%)が最も多く、「メンタルの疲れ」(17・4%)が続きました。これに対し「適切な方法がわからず、対策はしていない」(26・1%)、「あきらめて対策はしていない」(25・8%)など、過半数が対策をとっていないことも浮き彫りとなりました。

 調査は全国の20~60歳代の男女を対象に、今年9月13、14日にインターネットで実施。男女各1000人から回答を得ました。

 小林製薬は、性生活においてプレッシャーを感じている男性の焦りや不安を和らげることで神経質を改善する漢方薬「メンタフ」(第2類医薬品)を、10 月11 日から新発売しました。その発売に合わせ、「性生活に関するプレッシャー調査」を実施しました。

 2023年10月12日(木)

🟧東京都のプール熱感染者が増加 統計開始以降初めてとなる警報を発表

 子供を中心に感染する咽頭結膜熱、いわゆるプール熱の感染者数が増えて基準を超えたとして、東京都は初めてとなる警報を出し、手洗いやうがいなどの感染対策を呼び掛けています。

 これは12日、東京都庁で開かれた感染症の対策会議で発表されました。

 プール熱は、子供を中心にのどの痛みや高熱、結膜炎などの症状が出るウイルス性の感染症で、せきやくしゃみなどの飛まつで感染するほか、ウイルスが付着したタオルやプールでの接触などを介しても感染します。

 プール熱は季節性インフルエンザと同じ5類感染症に位置付けられていて、通常は7月から8月に流行のピークを迎えます。今年は8月をすぎてから都内で感染が急拡大していて、10月8日までの1週間で、警報レベルにある保健所の管内人口の合計が都全体の人口の30%超となり、都全体としての警報基準に達したため、都は12日、統計を取り始めた1999年以降初めてとなる警報を出しました。

 感染者の8割は5歳以下の子供だということです。

 東京感染症対策センターの賀来満夫所長は、「プール熱はほとんどの場合は自然に治るが、アルコールがなかなか効かないので、感染を拡大させないためにも、流水による手洗いやうがい、タオルを別にするなどの対策をお願いしたい」と呼び掛けました。

 また、対策会議では新型コロナの感染者数について、1医療機関当たり3・62人と、前の週の約51・1%と5週続けて減少したことが報告されました。

 一方、インフルエンザの感染者数は、1医療機関当たり16・44人と前の週からほぼ横ばいで、引き続き注意報のレベルを超えています。

 2023年10月12日(木)

🟧5000キロ以上離れた愛知県とシンガポールでロボット遠隔手術の実験 藤田医科大学など

 手術支援ロボットを使った遠隔手術の実証実験が愛知県の藤田医科大学と5000キロ以上離れたシンガポール国立大学の間で行われました。藤田医科大学は、遠隔で手術を支援し、高度な医療技術を広めていきたいとしています。

 この実証実験は、愛知県豊明市にある藤田医科大学とシンガポール国立大学との間で9日から4日間の予定で行われ、医療用ロボットメーカー「メディカロイド」(神戸市)の手術支援ロボット「hinotori(ヒノトリ」が使われています。

 11日は、ロボット手術の第一人者で藤田医科大学の宇山一朗教授らが、シンガポール国立大学でロボットを操作し、5000キロ以上離れた藤田医科大学の手術台に設置された、人工の胃からがんを切除する手術を遠隔で行う様子が公開されました。

 2つの病院は専用の高速回線でつながれ、宇山教授らは離れた場所からの操作に遅れがないかや、正確に動いているかを確認していました。

 藤田医科大学は、今後、国内外で遠隔で手術を支援することで、高度な医療技術を広め、医療の質の向上に貢献していきたいとしています。

 宇山教授は、「実験が成功し、うれしく思っています。0・1秒くらいの遅延を感じたが、やっているうちに慣れていくので、特に大きな問題はなかった。今後はロボット手術の指導を遠隔で行っていきたい」と話していました。

 2023年10月12日(木)

2023/10/11

🟧新型コロナと季節性インフルの両方に効果、第一三共が混合ワクチン開発へ

 製薬大手の第一三共は10日、新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの両方に効果がある混合ワクチンの開発を始めると発表しました。遺伝物質「メッセンジャーRNA(mRNA)」を使ったタイプで、同時流行の際、より大勢の感染予防効果を高められるほか、医療従事者の負担軽減も期待されます。

 新型コロナとインフルの混合ワクチンは、冬季に流行しやすい2種類の感染症の予防が1度の接種ですみます。mRNAワクチンの開発を独自に進める同社は、新型コロナのオミクロン型から派生した「XBB」系統に対応するタイプの製造販売の承認を厚生労働省に申請中。新たに開発する混合ワクチンもmRNAを使う方針で、政府のワクチン推進事業に採択されたことで、政府のワクチン開発の司令塔「先進的研究開発戦略センター( SCAスカRDAーダ )」が開発費を支援します。

 mRNAを使った混合ワクチンの開発を巡っては、アメリカのモデルナ社とアメリカのファイザー社が先行しています。このうちモデルナ社は10月4日、初期の臨床試験で安全性と有効性が確認できたと発表。年内にも最終段階の試験を開始し、2025年の承認を視野に入れています。

 2023年10月11日(水)

🟧しらす干しパックに毒を持つフグの稚魚混入 食品加工会社の川崎事業所が自主回収

 9日、東京都内のスーパーで販売されたしらす干しのパックに猛毒・テトロドトキシンを持つフグの稚魚のような魚が混入しているのが見付かり、製造した川崎市の食品加工会社が商品の自主回収を進めています。

 川崎市は購入した人に絶対に食べずに返品するよう呼び掛けています。

 川崎市によりますと、9日、東京都内にあるスーパー「マルエツ」の店舗でしらす干しのパックを購入した人から「異物が混入していた」という連絡が店側にありました。

 店側が調べたところ、体長約2・5センチの毒を持つフグの稚魚のような魚が混入しているのが見付かり、製造した食品加工会社「マルエツフレッシュフーズ」の川崎事業所が自主回収を進めています。

 自主回収の対象は、このしらす干しと同じロットで製造された1474パックで、9日と10日の2日間、東京都、神奈川県、千葉県の合わせて108店舗で販売されましたが、これまでに健康被害の報告は入っていないということです。

 川崎市は食品加工会社に再発の防止を指導するとともに、購入した人には絶対に食べずに返品するよう呼び掛けています。

 フグ処理の資格・免許を持たない素人による調理は大変危険なため禁じられていますが、一方でフグがほかの魚に混じって誤って販売されてしまったケースは度々起こり問題になっています。

 返品の連絡先は、「マルエツフレッシュフーズ」川崎事業所で、電話番号は044−287−2730、24時間受け付けているということです。

 2023年10月11日(水)

🟪関東ではしか感染報告相次ぐ、すでに昨年1年間の4倍以上 海外渡航の注意や予防接種呼び掛け

 関東ではしか(麻疹)の感染報告が相次いでいます。アメリカでは33年ぶりの大流行となっており、厚生労働省や各自治体は海外渡航の注意や予防接種を呼び掛けています。  厚労省によると、7月2日までの全国のはしか発生件数は計167件。そのうち関東1都6県は計96件で、全国の半数以上を...