2023/10/17

🟧プール熱の患者、過去10年で最も多い状態が続く 福岡など6府県で「警報レベル」 

 子供がかかりやすく、高熱や結膜炎などの症状が出る咽頭結膜熱、いわゆるプール熱の10月2日から8日までの1週間に報告された患者が、過去10年で最多を記録した前週(9月25日から10月1日)を上回ったことが、国立感染症研究所が17日に公表した速報でわかりました。過去10年最多を2週連続で更新しており、患者が増加傾向の自治体は警戒を強めています。

 いわゆるプール熱は、高熱やのどの痛み、結膜炎などの症状を起こすアデノウイルスによる感染症で、せきやくしゃみなどの飛まつで感染するほか、ウイルスが付着したタオルや、プールでの接触などを介しても感染します。

 国立感染症研究所によりますと、全国約3000の小児科の医療機関で、10月8日までの1週間に報告された患者は前の週から2週連続で増えて、5854人でした。

 1医療機関当たりの患者数は1・87人で、過去10年間で最も多くなった前の週の1・81人をさらに上回りました。

 都道府県別でみると、1医療機関当たりの患者が最も多いのは福岡県で5・83人、次いで、沖縄県で4・97人、大阪府で3・82人、奈良県で3・5人、佐賀県で3・39人、京都府で3・2人と、6府県で警報レベルとされる「3・0人」を超えています。

 子供の感染症に詳しい国立病院機構三重病院の谷口清州院長は、「例年、秋は感染症の患者が減る時期だが、今年に限ってはさまざまな種類の感染症が流行し発熱やのどの症状で受診する患者が高止まりしている状況だと思う。プール熱はのどの痛みで食事や水分がとれず脱水気味になることがあるので、水分がとれず元気がない時は医療機関を受診してほしい」と話しています。

 2023年10月17日(火)

🟧有害性指摘のPFAS、2つの浄水施設で国の値超える濃度検出 岡山県吉備中央町と三重県桑名市

 有機フッ素化合物のPFAS(ピーファス)のうち有害性が指摘されている2つの物質について、岡山県の浄水場で国の値の20倍を超える濃度が検出されるなど、全国の2つの浄水施設の水道水から国の値を超える濃度が検出されたことがわかりました。

 有機フッ素化合物のPFASは、水や油をはじき、熱や薬品に強いなどの特性を持つ化学物質で1万種類以上が存在するとされます。そのPFASの中の「PFOS(ピーフォス)」は金属メッキや泡消火薬剤、「PFOA(ピーフォア)」は界面活性剤など幅広い用途で使用されてきましたが、この2つの物質は発がん性や子供の成長への影響などが報告され、体内で蓄積しやすく自然界で分解しないことから現在は製造や輸入が原則禁止されています。

 国は1リットル当たりのPFASの濃度を50ナノグラムとする暫定目標値を設定し、2020年度から水質検査の実施に努めるとする項目に追加しました。

 日本水道協会が公表した2021年度に全国1247地点で行われた水道水の水質検査の結果によりますと、PFASの2つの物質について、岡山県吉備中央町の「円城浄水場」で国の暫定目標値の24倍に当たる1リットル当たり1200ナノグラム、三重県桑名市の「多度中部送水場」で3・4倍に当たる1リットル当たり170ナノグラムが検出されたということです。

 厚生労働省によりますと、PFASの測定結果が初めて公表された前回、2020年度の調査で国の値を超えたのは589の調査地点のうち5地点で、三重県桑名市は前回に続き、値を超えました。

 一方、岡山県吉備中央町は今回が初めての結果公表のため前回のデータはありません。

 前回、国の値を超えた神奈川県座間市、長野市、兵庫県宝塚市、沖縄県金武町は、今回は値を下回りました。

 PFASの環境省専門家会議のメンバーでもある京都大学大学院の原田浩二准教授は、「1000ナノグラムを超えているのは、水道水の汚染の中では極めて高い状況だ。発生源はどこになるのか、低減対策などが可能かどうかについて検討する必要がある」と話しています。

 国の値の20倍を超える濃度のPFASが浄水場から検出された岡山県吉備中央町は17日に会見を開き、該当する地域では水道水を飲み水として利用しないよう呼び掛けました。

 吉備中央町によりますと、522世帯の約1000人が利用する水道水を供給している「円城浄水場」で、2021年度の検査で、国の値の24倍に当たる1リットル当たり1200ナノグラム、2022年度は28倍に当たる1400ナノグラムのPFASが検出されたということです。

 山本雅則町長などが17日に会見を開き、原因は不明で、該当する地域の世帯では水道水を飲み水として利用しないよう呼び掛けるとともに、給水車を派遣したり、ペットボトルの水を配ったりする対応をとっていることを明らかにしました。

 また、国の値を超える調査結果をこれまで公表してこなかったことについて、「飲み水として適切だと判断したが、認識が甘かった」などと説明しました。

 町は、この浄水場について、PFASの除去に一定の効果があるという活性炭を置き換えたり、別のダムの水に入れ替えることも検討しているということです。

 山本町長は、「高い数値が出て驚いている。原因究明が必要なので、県と協議しながら対応していきたい」と話していました。

 2023年10月17日(火)

2023/10/16

🟧治療継続のコロナ後遺症に初の傷病補償年金支給 症状が2年以上続く東京都内の女性に 

 新型コロナウイルス感染後に労災認定を受け、後遺症が2年以上続く東京都内の女性(55)に対し、「傷病補償年金」の支給が認められました。コロナの労災認定は約20万件に上るものの、後遺症による年金支給は初めてとみられます。社会が平時の姿を取り戻す一方、原因不明の症状に苦しむ人は多く、救済につながるとして期待の声も上がっています。

 9月中旬、東京都内で記者会見した女性はハンカチを握りしめ、苦しい胸の内を明かしました。

 2021年1月、勤務先の有料老人ホームで集団感染が起き、事務職だった女性も感染しました。CT検査で両肺が真っ白になるほどの肺炎に陥り、一時入院。退院後も息苦しさは残り、自宅での酸素吸入が必要となりました。

 同年5月に労災請求し、同年7月に認定を受けたものの、1日に2リットルの酸素が必要で「ずっとチューブにつながれた状態」(女性)。感染前は運動不足解消のため2駅分歩くこともあったものの、ほとんど外出はしなくなり、歩行速度も以前の半分に満たないほどに落ちました。

 倦怠(けんたい)感や頭痛も残り、家の中でも体と相談しながら動く日々。少し活動量が増えると、翌日から2~3日は寝込んでしまうという不安定な状態での職場復帰は、到底考えられませんでした。

 労働基準監督署から傷病補償年金の支給決定通知を受けたのは今年5月。「ほっとした」という女性は、休職扱いとなっていた勤務先を退職し、現在は療養に専念できています。

 厚生労働省の研究班は9月、3自治体の住民らを対象に行った調査で、成人のコロナ感染者11・7~23・4%に後遺症があったとする結果を公表。重症化しにくいとされるオミクロン型の罹患(りかん)者にも、倦怠感、咳(せき)、集中力の低下などの症状が、感染から2カ月以上続く人が多くいる実態が明らかとなりました。

 コロナ感染による労災申請は今年8月31日時点で約21万件。このうち、認定を受けたのは約20万件に上っています。

 傷病補償年金の支給は労災認定を受けていることが前提となり、療養開始後1年半を経過しても傷病が治らず、重い症状が続いている人を対象として、労基署長が認定可否を判断します。

 NPO法人「東京労働安全衛生センター」(東京都江東区)によると、これまで傷病補償年金の支給対象となった多くは、重度のじん肺や脊髄損傷などの患者でした。女性は呼吸器障害で傷病等級3級に該当すると判断されたといい、コロナ後遺症では初のケースとみられるといいます。

 同センターの飯田勝泰事務局長は、「今回のケースは後遺症に苦しんでいる方にも年金を適用できるという事例を示したものであり、患者にとっては治療を続けていく上で大きな支えになる」と指摘。「国は労災申請の勧奨に取り組むとともに、症状が相当程度重い方については年金移行に該当するかを審査し、移行できるものは移行してもらいたい」と訴えました。

 2023年10月16日(月)

🟧アステラス製薬の更年期障害薬、ヨーロッパ当局が承認勧告

 アステラス製薬は16日、更年期障害向け治療薬「フェゾリネタント」について、女性の閉経に伴う中等度から重度の血管運動神経症状「VMS」に対する経口の非ホルモン治療薬として、ヨーロッパ医薬品庁(EMA)のヨーロッパ医薬品委員会(CHMP)が販売承認勧告を採択したと発表しました。CHMPの販売承認勧告を受けて、欧州委員会(EC)が今後67日以内に最終的な承認可否を判断する予定。

 VMSは、顔のほてりやのぼせ、夜の発汗などの症状が特徴。フェゾリネタントは、脳の体温調節中枢のバランス回復を助け、閉経に伴う中等度から重度のVMSの頻度と重症度を軽減すると期待されます。

 現在、更年期障害にはホルモン補充療法が行われているものの、乳がんと血栓の発症リスクを高める恐れがあります。フェゾリネタントは非ホルモン治療薬で、臨床試験によって症状を緩和し、患者の生活の質が向上することが示されました。ただし、同薬には肝酵素の上昇ないし肝障害の発症についての注意書きが添付されます。

 フェゾリネタントは5月に、アメリカで承認を取得しています。アステラス製薬は同薬のピーク時の売上高を最大5000億円と見込み、注力製品の1つと位置付けています。

 CHMPの販売承認勧告により、イギリス医薬品医療製品規制庁(MHRA)への承認申請が可能となり、MHRAによる承認可否の判断は数カ月以内に行われる見込み。

 2023年10月16日(月)

🟧新型コロナの飲み薬、「自己負担あり」変更後に処方率減少 10月1週目は前週から9ポイント減

 新型コロナウイルスの感染が確認された新規患者に、医師が新型コロナの飲み薬を出す処方率が、10月1週目(1~7日)に急減したことが、民間の診療情報データベースで明らかになりました。

 飲み薬3製品(ゾコーバ、パキロビッド、ラゲブリオ)の合計の処方率は、9月最終週(24~30日)は22・2%でしたが、10月1週目は13・1%と9・1ポイント低下。専門家は、10月から新型コロナ治療薬について一部患者負担を求め始めたことが影響しているとみています。なお、薬剤ごとの低下率は非公開。

 医師向け情報提供企業「エムスリー」が全国約4100のクリニックから集めた診療情報データベース「JAMDAS」(Japan Medical Data Survey:日本臨床実態調査)によると、新型コロナの飲み薬の処方率は7月23~29日の週に20%を超え、9月最終週まで20%以上で推移してきました。国内では今夏、感染第8波が広がったこともあり、重症化リスクの高い患者らを中心に医療現場で一定程度、飲み薬の処方が定着してきたとみられます。

 一方、政府は10月から、それまで「患者負担ゼロ」としてきた新型コロナ治療薬の公費支援を見直し、所得に応じて患者が上限3000~9000円を負担する対応に切り替えました。

 新型コロナ治療薬は高額で、例えばラゲブリオの薬価は約9万円。窓口負担が3割の人は本来であれば2万7000円を払う必要がある中、政府としては激変緩和策として自己負担を最大9000円に抑えた形ながら、患者側からは「負担増」と映っているとみられます。

 国際医療福祉大の松本哲哉教授(感染症学)は、「10月に入り『お金を払うのであれば薬はいらない』という患者が増えてきている。重症化予防という点で重要な薬で、内服した方がよいと思われる患者もいるが、説明しても拒否されると残念ながら断念せざるを得ない」と説明。この秋冬に懸念される新型コロナの再流行についても「ハイリスク者で薬を『使わない』選択をする人が増えると、医療負荷が大きくなる懸念がある」と語っています。

 2023年10月16日(月)

🟧医師の時間外労働、年間960時間超えが2割 2022年の勤務実態調査

 来年度から医師の働き方改革が本格的に始まるのを前に、去年行われた医師の勤務実態調査の結果が公表され、休日・時間外労働の時間が来年度以降、「上限」の1つとなる年間960時間を超える医師の割合は4年前より減少したものの、依然として2割に上っていたことがわかりました。

 医師の働き方を巡っては2024年4月から、患者の診療に当たる勤務医に対して、労働基準法に基づき、休日・時間外労働の上限規定が適用され、年間換算で960時間が上限となります。

 これを前に、12日、厚生労働省の検討会が開かれ、2022年に行われた医師の勤務実態調査の結果が公表されました。

 この中で、休日・時間外労働時間が年間に換算すると、過労死ラインとされる月平均80時間に相当する960時間の上限を超える医師の割合は全体の21・2%、1920時間を超える医師は3・6%いることがわかりました。4年前の同様の調査より16・6%と4・9%、それぞれ減少したものの、依然、長時間労働が課題となっています。

 一方、働き方改革と地域医療体制の維持との両立が課題となる中、地域医療で中心的な役割を担う医療機関への調査では、来年4月時点で、大学病院の医師の引き上げにより診療機能に支障が出ることが見込まれる医療機関の数は、46の都道府県で合わせて「30」あったということです。

 検討会で委員からは、「単に労働時間を短縮するのでなく、現場の医師がワークライフバランスを実感できることが重要だ」とか、「自己研さんの時間が適切に勤務時間と認められているのか見直す必要がある」といった意見が出されていました。

 来年4月に向けて、各地の医療機関は労働時間短縮に向けた計画をまとめていて、国は研修会などを通して今後、さらに長時間労働の是正に向けた呼び掛けを進めることにしています。

 2023年10月16日(月)

2023/10/15

🟧新型コロナ後遺症、血液中物質に特定の変化 アメリカの大学の研究チーム発表

 新型コロナウイルスの感染後、症状が長引く人では、ストレス反応にかかわるホルモンが減少するなど、血液中の物質に特定の変化がみられるとする研究成果を、アメリカの研究チームが発表しました。研究チームは新型コロナの「後遺症」の正確な診断や治療法の開発に応用できるとしています。

 この研究は、アメリカのコネチカット州ニューヘイブンに本部を置くイエール大学の岩崎明子教授らの研究チームが、科学雑誌「ネイチャー」で発表しました。

 研究チームは、新型コロナに感染した後、けん怠感や息苦しさなど、何らかの症状が長引く「後遺症」が1年以上ある人と、感染後、後遺症がない人、感染しなかった人など、合わせて268人の血液成分を分析しました。

 その結果、後遺症がある人たちでは、血液中にあるB細胞やT細胞と呼ばれる特定の免疫細胞が増加していたほか、体内で潜伏していたヘルペスウイルスが活性化するなどの変化が確認されたということです。

 さらに、後遺症がある人では、体の状態を一定に保ちストレス反応にかかわる「コルチゾール」というホルモンの量が、後遺症がない人や感染しなかった人と比べ、半減していました。

 研究チームは、こうした変化を指標にすることで、新型コロナの後遺症の正確な診断や、治療法の開発につながるとしています。

 岩崎教授は「後遺症の中でも、けん怠感は、コルチゾールの低下が要因だと考えられ、ほかの症状も、免疫とホルモンの量が不安定になることで起きている可能性がある。後遺症があることを周りに理解されず悩み続ける人も多いので、原因の解明を目指し、さらに研究を進めたい」と話しています。

 2023年10月15日(日)

🟪関東ではしか感染報告相次ぐ、すでに昨年1年間の4倍以上 海外渡航の注意や予防接種呼び掛け

 関東ではしか(麻疹)の感染報告が相次いでいます。アメリカでは33年ぶりの大流行となっており、厚生労働省や各自治体は海外渡航の注意や予防接種を呼び掛けています。  厚労省によると、7月2日までの全国のはしか発生件数は計167件。そのうち関東1都6県は計96件で、全国の半数以上を...