2023/11/09

🟩運動不足で年5万人死亡 中等度の強度で毎週2回以上計150分以上の運動がお勧め

 運動不足になると、糖尿病や高血圧、肥満など生活習慣病になるリスクが上がります。その結果、長期的には心筋梗塞や脳卒中など命にかかわる病気になりやすく、死亡リスクも上昇します。最近では、運動不足は心筋梗塞や脳卒中だけでなく、がんや認知症リスクも高めるといわれています。

 日本では運動不足による死亡者数は喫煙、高血圧に次ぎ3位で、年間約5万人が運動不足で亡くなっていると推定されています。

 では、どの程度の運動を何時間、週に何回やれば、生活習慣病やがんにならずにすみ、健康寿命を延ばせるのかといえば、1日数回10分ほど、早歩き程度の運動を続けても健康に効果があります。週末だけでも1日8000歩以上歩くと一定の健康増進効果が期待でき、死亡リスクが下がります。

 ただし、ほとんどの研究で、その効果が出るのに10年ぐらいかかります。三日坊主ではなく、数年以上続けないと、病気のリスクを下げたり寿命を延ばしたりすることはできないでしょう。

 少し前の調査では、日常的に健康維持や増進のために意識的に運動をしている人の割合は、男性も女性も5割ほどいます。しかし、1回30分以上「少し息が弾む」程度の運動(中等度の運動)を週2回以上かつ1年以上続けている運動習慣のある人に限ると、男女ともに3~4人に1人です。

 現在推奨されている運動は、中等度の強度で毎週2回以上、計150分以上行うことです。このような運動をしている人は、長期的に心筋梗塞のリスクが2割減少し、死亡リスクも2割ほど低下します。より運動強度の高い有酸素運動を週に75分行っても同程度の効果があります。

 運動時間を増やすと追加効果が期待でき、さらに生活習慣病や死亡のリスクが下がります。ただ、やりすぎは禁物で、過度に長い時間運動したり、より高負荷の運動を続けたりすると、運動による追加的健康効果がなくなるばかりか、逆に死亡リスクを上げます。

 健康寿命を延ばす運動は、テニスでもジョギングでも、ゴルフや水泳でもよく、要は、少し汗ばむ程度の運動負荷を身体にかけ、脈拍が100~120/分になる有酸素運動であれば効果が期待できます。これを週に2~3時間するのがよいといわれています。

 目標とする運動時間や負荷は、年齢により異なります。30歳代や40歳代の人は脈拍が130/分ほどになる運動を週3時間程度するのがよく、60歳代の人は脈拍が110/分ほどになる運動を週2時間ほどすれば十分でしょう。

 このような運動で健康は増進されます。一方、脳の健康や認知症の予防には、もう少し工夫が必要です。運動する時に、左右の足を非対称に動かしたり、手足を別々に動かしたりするほか、簡単な計算や仲間と楽しくしり取りをすると、同時に脳も使うため、効果があるとされています。

 2023年11月9日(木)

2023/11/08

🟩マイナンバーカード、救急搬送時に医療情報閲覧システム導入へ

  救急搬送を迅速に行うためとして、総務省消防庁は、健康保険証と一体化したマイナンバーカードを救急隊が現場で読み取り、通院歴などの情報を閲覧できるシステムを導入する方針を固めました。必要な費用を今年度の補正予算案に盛り込むことにしています。

 救急搬送の要請を受けた救急隊は、現場で患者や関係者から通院している医療機関などを聞き取って搬送先を決める参考にしていますが、患者本人が話ができない場合は正確な情報を得られず、現場で迅速な措置ができないケースもあるということです。

 こうしたことから総務省消防庁は、健康保険証と一体化したマイナンバーカードを患者が持っている場合に、救急隊が専用のタブレットを使って現場でカードを読み取り、医療情報を閲覧できるシステムを導入する方針を固めました。

 導入すれば、氏名や生年月日に加えて、通院歴がある医療機関や処方された薬などの情報が閲覧でき、現場での救命措置や、搬送する医療機関の選定に役立てられるということです。

 カードの読み取りには患者本人の同意が必要ですが、意識がない場合などは、救急隊の判断で閲覧できるようにすることも検討することにしています。

 総務省消防庁は、来年度、全国の約50の消防本部で実証事業を行うことにしており、必要な費用3億7000万円を、今年度の補正予算案に盛り込むことにしています。

 2023年11月8日(水)

🟩今年の10月は「観測史上最も暑い10月」 5カ月連続で記録更新

 ヨーロッパ連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス(C3S)は8日、今年の10月は1940年からの観測史上最も暑い10月だったと発表しました。世界の平均気温は6月から5カ月連続で記録を更新しており、2023年は史上最も暑い年になる見込み。

 C3Sのサマンサ・バージェス副所長は、「世界の気温の記録が4カ月連続で破られた後の2023年10月は特に異常な気温となった」と述べました。

 「2023年は、ほぼ確実に観測史上最も暑い年になるといえる。現時点で(今年の気温は)産業革命前の平均より1・43度高い。野心的な気候変動対策を求める切迫感がこれまでになく高まった状態で、国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)がアラブ首長国連邦で30日から始まる」と述べました。

 C3Sによると、今年の10月の平均気温は15・3度で、これまで最も高かった2019年を0・4度上回り10月の記録を更新。産業革命前の10月の推定平均気温を1・7度上回りました。北緯60度から南緯60度の海域を対象にした平均海面水温も20・79度で、10月としては最高でした。

 また、C3Sは、1~10月の世界平均気温も1940年からの観測史上、過去最高だったと発表しました。1991~2020年の同期間の平均気温を0・55度上回り、これまで最高だった2016年を超えました。

 正式な観測記録以外では、木の年輪や氷床コアなどのデータから、今年の気温は人類史上類をみない高さで、過去10万年で最も暑かった可能性があるとされます。

 今年はアジアや北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカが熱波に見舞われ、カナダやギリシャ、スペインなどで山火事が相次ぎました。

 2023年11月8日(水)

🟩北海道大、ウイルス増殖抑制の化合物発見 新型コロナ、デング熱の新薬期待

 北海道大学の前仲勝実教授と松田彰名誉教授らは、新型コロナやデング熱などのウイルス増殖を抑える化合物を新たに発見しました。細胞には強い毒性を持たず、デングウイルスなど複数のウイルス種に対して強力な抗ウイルス活性を示す化合物を同定しました。

 ウイルスのリボ核酸(RNA)の合成伸長を阻害し、投与によりウイルス感染マウスの生存率が向上しました。デング熱など有効な治療薬のない新興・再興ウイルス感染症に対する抗ウイルス薬開発が期待されます。

 北大創薬科学研究教育センターの化合物ライブラリーを用いてスクリーニングし、デングウイルス感染モデルで薬効評価した結果、「2―Thiouridine(s2U)」という化合物が強力な抗ウイルス活性を持つことを見いだしました。

 s2Uは、デングウイルスだけでなく、人に重篤な疾患を引き起こすジカ、黄熱、日本脳炎ウイルスやオミクロン型を含む複数の新型コロナウイルスなどプラス鎖RNAをゲノムに持つ多数のウイルスにおいて、その複製を強力に抑制しました。

 デングウイルスなどのRNAウイルスは、自身のゲノム複製時にRNA依存性RNAポリメラーゼという酵素を介して核酸合成します。s2Uはこの酵素に作用し、酵素によるウイルスRNAの合成伸長を妨げることでウイルス増殖を抑えます。

 実際にデングウイルスと新型コロナウイルスの感染マウスでの試験において、投与量に応じて体内のウイルス量が減少し、致死抑制効果を認めました。

 前仲教授は、「将来起きうるパンデミック(世界的大流行)にいち早く対応できる新薬の開発につながる可能性がある」と述べています。

 2023年11月8日(水)

🟩ピーナッツなし版の「柿の種」にピーナッツ混入 亀田製菓が2万8000パック自主回収

 亀田製菓(新潟市江南区)は7日、米菓「135g亀田の柿の種ピーナッツなし6袋詰」約2万8000パックを自主回収すると発表しました。パッケージに記載のないアレルギー物質のピーナッツ(落花生)が混入していました。

 亀田製菓によると、製造工程で本来とは違う作業が行われ、一部の該当商品にピーナッツが混入しました。購入者からの指摘で6日に把握しました。

 同社は「お客様には多大なご迷惑をおかけいたしますこと深くお詫び申し上げます。落花生にアレルギーのある方は、発症する恐れがあるのでお召し上がりにならないようお願いいたします」とし、「特定の日におけるヒューマンエラーによるもので、被害の拡大性はない」と説明しています。

 回収対象は、賞味期限が2024年4月6日の商品。亀田製菓は該当商品を着払いで返品すれば、商品相当額のクオカードを送るとしています。

 問い合わせ先の電話番号は0120-956-382。受付時間は平日の午前9時から午後5時まで。11日、12日の土日は問い合わせを受け付けるといいます。

 2023年11月8日(水)

2023/11/07

🟩糖尿病の治療薬が不足、「ダイエット目的の不適切使用」で必要な患者に届かず

 医療現場で糖尿病の治療薬が不足しているとして、医師や患者らで作る日本糖尿病協会(清野裕理事長)などが6日、安定供給対策を求める要望書を、厚生労働省に提出しました。糖尿病患者以外に、ダイエット目的で不適切に使われているとの指摘もあります。同協会は「命にかかわる糖尿病患者に確実に届ける仕組みを作ってほしい」としています。

 不足しているのは、「GLP―1受容体作動薬」というタイプの注射薬です。体内でインスリンの分泌を促して血糖値を下げる働きがあるほか、食欲を抑え体重を減らす効果があり、国内外で需要が増加。国内では使えない患者が増加しています。

 要望は、同協会と日本糖尿病学会、日本くすりと糖尿病学会が行いました。これ以外の治療薬でも供給が不安定だとして対策を求めました。

 患者で同協会業務執行理事の中園徳斗士(のりとし)さんは、「患者の声を聞きながら、対策を進めてほしい」と訴えました。

 日本医師会が10月に公表した医薬品不足に関する緊急調査でも、せき止め薬などと並んで、GLP―1受容体作動薬の不足が目立ちました。その一つである「トルリシティ皮下注0・75mgアテオス」は、不足を訴えた医療機関が4番目に多くなりました。

 日本医師会は、「美容クリニックなどで、やせ薬として不適切に使用されている実態を憂えている」と述べ、「不適切な使用で薬が不足する事態が続いている」と指摘しました。

 その上で、「糖尿病の患者がしっかり使えるよう、不適切な使用は控えてほしいし、ダイエット目的の場合、副作用の被害救済制度の対象外となり、非常に大きな問題だ」としています。

 2023年11月7日(火)

🟩せき止め薬、たん切り薬の増産、24社に要請 武見厚労相「まだ足りない」

 供給不足が続くせき止め薬やたんを切る去痰(きょたん)薬について、厚生労働省は7日、製薬企業24社に増産を要請しました。武見敬三厚労相は製薬企業の幹部と省内で面会し、今冬の感染症の流行に備え、安定供給に向けた「あらゆる手立てを講じていただくことを改めてお願いしたい」と要請しました。

 厚労省は10月にも、不足している薬を製造する主要メーカー8社に対し、増産を要請。ほかの医薬品の製造ラインからの融通や在庫の放出により、9月末時点から1割以上の供給増となる見込みです。しかし、医療現場などから「薬がまだ足りない」との声が寄せられており、今冬に新型コロナや季節性インフルエンザなどの流行が拡大する恐れがあることから、幅広い企業を対象に改めて増産を要請しました。

 企業側からは「医薬品供給の責任を果たすために、要請を踏まえできる限りの増産を検討する」「行政からの支援もお願いしたい」との意見が出たといいます。

 政府が2日に閣議決定した総合経済対策では、さらなる増産に対応する企業への支援や、来年度の薬価改定での対応を検討することが盛り込まれました。

 2023年11月6日(月)

🟪小中学生の体力調査、中学生男子はコロナ感染拡大前を上回る

 全国の小学5年生と中学2年生を対象に、50メートル走など8つの項目で体力や運動能力を調べる今年度の国の調査で、中学生の男子の合計点は新型コロナウイルスの感染拡大前を上回りました。一方で、小学生の男女は低下傾向にあり、スポーツ庁は運動の機会を増やす取り組みに力を入れていく方針で...