2023/11/13

🟩ブラジル熱帯林の消失が2割減少 2018年以来1万平方キロ下回る

 ブラジルの国立宇宙研究所(INPE)は9日、2022年8月から1年間の国内のアマゾン地域熱帯林消失面積が推定約9000平方キロだったと発表しました。前年同期比で消失面積は約22・3%減少。ルラ・ダシルバ政権は「世界の肺」と呼ばれるアマゾンの保護強化を掲げており、消失面積が1万平方キロを下回ったのは2018年以来。

 ブラジルはアマゾン熱帯林の約6割を抱えています。アマゾン保護に後ろ向きだったジャイル・ボルソナロ前大統領が就任した2019年から2022年まで年間1万平方キロを上回る消失が続いていました。

 今年1月に就任したルラ大統領は2030年までにアマゾンの伐採の実質ゼロを公約に掲げ、保護の強化に転じました。2025年の国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)を、アマゾンを抱えるブラジル北部パラ州ベレンで開催することも決まっています。

 2023年11月13日(月)

🟩東京都武蔵村山市の国立感染症研究所、エボラウイルスなど「1類感染症」動物実験を開始へ

 国立感染症研究所は、村山庁舎(東京都武蔵村山市)のBSL4(バイオセーフティーレベル4)施設で、エボラ出血熱など致死率の高い病気の原因ウイルスを動物に感染させる実験を今後進めます。8日、地元住民らに担当者が方針を説明しました。治療薬の効果を確かめることが目的で、国内で感染事例が発生した場合に備え、治療体制の整備を急ぎます。

 対象として扱う病原体は、致死率が高いため感染症法で最も危険度が高い「1類」に指定されているエボラ出血熱、マールブルグ病、クリミア・コンゴ出血熱、ラッサ熱の各ウイルス。エボラ出血熱については、海外で使用されている治療薬があるものの、国内ではまだ承認されていません。

 同庁舎のBSL4施設で11月以降、病原体を培養細胞やマウス、サルに感染させ、治療薬の効果を確認したり、既存の抗ウイルス薬を転用できないか評価したりする実験を行います。消毒液の効果や、検査方法の改良も進めます。

 1類感染症は、感染が疑われる患者が出た場合、指定の医療機関に入院させ、同庁舎などで検体に含まれる病原体を調べることになっています。感染症研究所は2019年、南米出血熱を含む計5種類の病原体を海外の研究機関から初めて輸入し、検査方法の確認を進めてきました。

 感染症研究所の海老原秀喜・ウイルス第一部長は、「人の往来が再び活発になり、感染症が国内に入ってくるリスクが高まっている。患者の命を守るための仕組みを作っていきたい」と話しています。

 2023年11月13日(月)

🟩手術に欠かせない抗菌薬、30年ぶりに国産化 政府の助成で中国依存の脱却図る

 中国に依存している抗菌薬の原薬製造に、国内の製薬企業が約30年ぶりに乗り出します。手術に欠かせない抗菌薬が、経済安全保障推進法における特定重要物資に位置付けられたことを受けた対応です。政府は今夏、2つの企業グループに対して製造設備への助成を決めており、2024年までに製造を開始し、2030年までに自給体制を整えることを目指します。

 抗菌薬は、細菌を死滅させたり増殖を抑制したりする医薬品で、抗生物質とも呼ばれます。手術では、臓器などに細菌が感染し増殖して命にかかわる恐れがあるため、点滴や注射で用いる抗菌薬が欠かせません。

 抗菌薬の原薬は、特定のカビ菌による発酵で作った原材料を化学合成するなどして作ります。国内企業は1990年代まで原薬を製造していたものの、薬価の下落を受けて、製造コストを低く抑えられる中国への技術移転を進めました。現在は、ペニシリン系などの抗菌薬で、原材料のほぼ1000%を中国から輸入しています。

 2019年には中国にある工場の操業停止などで、日本の医療機関が抗菌薬を入手しにくくなり、手術延期など大きな影響が出ました。

 2022年5月に成立した経済安全保障推進法で抗菌薬が特定重要物資に位置付けられたことを受けて、厚生労働省は約550億円の予算を確保。基金を設置して、ペニシリン系などの抗菌薬の原薬製造に必要な培養タンクや精製装置の設置費用などを支援する仕組みを整えました。今年7月には「Meiji Seika ファルマ」(東京都中央区)と、塩野義製薬の子会社シオノギファーマ(大阪府摂津市)を中核とする2つの企業グループを支援先に選びました。

 原薬の確保は海外でも課題となっています。アメリカのジョー・バイデン政権は医薬品の中国依存を問題視し、医療現場で必要性が高い医薬品について、抗菌薬など86品目をリスト化。原薬の国産化を進めるとともに、日本など同盟国から調達する考えを示しています。

 厚労省幹部は、「助かる命を救えなくなる事態を避けなければならない」として、国内で消えかけた原薬の生産力を取り戻したい考えです。

 成川衛・北里大学教授(医薬開発学)は、「原薬確保のため、製造設備への支援は重要だが、企業が利益を確保できなければ、製造は再び止まってしまう。抗菌薬が国産であることを明示する方法や、一定の価格で取引される仕組みなどを検討する必要がある」と指摘しています。

 2023年11月13日(月)

🟩明治「ブルガリアヨーグルト」、11万7618個を自主回収 動物用医薬品成分混入の可能性

 明治は13日、牛の感染症予防などに使用される動物用医薬品成分が微量含まれている可能性があるとして、大阪府の工場で製造した「明治ブルガリアヨーグルト LB81 プレーン」(400グラム)11万7618個を自主回収すると発表しました。食べても健康への影響はないといいます。

 対象は、賞味期限が11月16~18日の商品で、愛知、岐阜、三重、静岡、富山、石川、福井、大阪、京都、滋賀、奈良、和歌山、兵庫の2府11県のスーパーなどに出荷されたもの。健康被害は報告されていません。

 含有の可能性があるのは「スルファモノメトキシン」。明治の商品を巡っては10日にも、宅配専用の瓶容器入りの「明治牛乳」(180ミリ・リットル)からスルファモノメトキシンが検出されたとして、大阪府が同社に約4万5000本の回収を命じていた。

 明治は、ヨーグルトの原乳が対象の牛乳と同じだったため回収が必要と判断しました。容器を回収し、クオカードで代金相当を返します。

 問い合わせは通話料無料の明治商品回収係、電話(0120)232518。

 2023年11月13日(月)

2023/11/12

🟩強度近視から長期的に失明など視覚障害となるかAIで高精度予測 東京医科歯科大が開発

 東京医科歯科大は9日、失明リスクのある「強度近視」の患者の長期的な視力低下や視覚障害のリスクを高い精度で予測する方法を人工知能(AI)を使って開発したと発表しました。失明予防の治療などにつながる可能性があります。論文は同日までに、海外の眼科関連の学術誌に掲載されました。

 強度近親は、近親よりも眼球の長さが伸び、視力低下などを引き起こします。網膜剥離や緑内障などの合併症を発症して、失明につながることもあります。近視の人は世界的に増加しており、海外の研究グループによると、2050年には全世界の人口の約半数が近親となり、強度近視は約1割にまで増加すると推計されています。

 東京医科歯科大の大野京子教授(近視、網膜疾患)らのチームは、同大で診察を受け、初診時は正常な視力だった症例計813例の診察時の情報や眼底写真などのデータをAIに学習させました。

 その結果、86・8%の正答率で、眼鏡などで矯正しても5年後に視力が0・5未満になるリスクを判断できました。また、別の症例を学習させたモデルでは、3年後と5年後の矯正後の視力をそれぞれ68%、66%の精度で予測できたといいます。

 大野教授は、「強度近視の患者は、今は視力がよくてもいつか合併症を発症して失明するのではとの不安を抱えている」と指摘。「障害のリスクや将来的な視力を予測することで、患者の不安軽減にもつながるのではないか」と話しました。

 2023年11月12日(日)

🟩すい臓の自律神経刺激でインスリン増加 マウスの糖尿病改善、東北大

 すい臓につながる神経を刺激すると、血糖値の調節に必要なすい臓の細胞が体内で増えることを、東北大学のチームがマウスを使った実験で突き止めたと発表しました。糖尿病の新たな治療法などの開発につながる成果として、注目されています。

 この研究は東北大学大学院医学系研究科の今井淳太准教授たちのチームが、10日付の国際的な科学雑誌「ネイチャー バイオメディカルエンジニアリング」で発表しました。

 血糖値を下げるインスリンはすい臓にある「β細胞」と呼ばれる細胞から分泌されますが、この細胞が減少すると血糖値の調節ができなくなって、糖尿病を発症することが知られています。

 チームではすい臓にある自律神経の1つ「迷走神経」とβ細胞の関係に注目し、マウスのすい臓でこの神経を刺激すると血液中のインスリンの量が増加し、β細胞の働きがよくなることを突き止めました。

 さらに、糖尿病の状態にしたマウスのすい臓でこの刺激を3週間ほど続けたところ、体内でβ細胞の数が2倍以上に増えていて、血糖値が上がるのを抑えられることも確認できたということです。

 チームでは今回の成果を応用することで今後、糖尿病の新たな治療法や予防法の開発につながることが期待されるとしています。

 2023年11月12日(日)

🟩「エクソソーム」を美容目的などに使う自由診療が拡大 「将来的に規制を」再生医療学会が提言

 細胞が分泌する「エクソソーム」と呼ばれる物質を美容目的などで使う自由診療が拡大しているとして、日本再生医療学会は、将来的に何らかの規制のもとに置くことを求める提言をまとめました。

 この提言は、日本再生医療学会がまとめ、学会の理事長を務める慶応大学の岡野栄之教授が、10日に開かれた厚生労働省の再生医療に関する部会で報告しました。

 エクソソームは、細胞から分泌される組織の再生を促す物質などが含まれた微少な粒子で、病気の治療への応用を目指した研究が進められています。

 提言によりますと、現在、エクソソームをアンチエイジングなどの美容目的で自由診療で投与するクリニックなどが広がっているということです。

 エクソソームは細胞そのものではないため再生医療の安全に関する法律の対象外となっていますが、管理が不十分な場合などには敗血症などの細胞加工物と類似の重篤な事故が起こる可能性があり、海外でもクリニックなどでの安易な使用にはリスクがあるとする指摘が出ているということです。

 このため学会ではエクソソームを治療に応用する際のガイドラインの作成が急務だとし、製造過程などを含めて、将来的には何らかの形で規制のもとに置くことが望ましいと提言しました。

 2023年11月12日(日)

🟪新型コロナ、沖縄県が独自で注意喚起へ 流行時に「拡大準備情報」を発出 

 沖縄県は19日、新型コロナウイルス感染症の流行が疑われる場合、県独自で「新型コロナ感染拡大準備情報」を発出すると発表しました。新型コロナについては、過去の感染データの蓄積が乏しいことなどから、国がインフルエンザのような注意報や警報の発令基準を設けていない一方、重症化する高齢者...