2023/12/04

🟧日本初の「内臓脂肪減少薬」が来春発売 購入には高いハードルも

 大正製薬(東京都豊島区)は薬局などで買える一般用医薬品(市販薬)として、日本初の内臓脂肪減少薬「alli(アライ)」を来春、発売すると明らかにしました。販売は研修を受けた薬剤師がいる限定店舗のみで、購入も運動や食事といった生活習慣の改善に取り組んでいる人に限られます。

 アライは食事に含まれる脂肪の分解を阻害し、排泄(はいせつ)させる作用を有します。主な服用対象は腹囲が男性85センチ以上、女性90センチ以上で、糖尿病や脂質異常などの健康障害がない18歳以上。

 日本では肥満に加え健康障害があると「肥満症」などとして治療の対象となる一方で、健康障害がない場合は服薬や手術などの治療手段がありませんでした。アライは、摂取した脂肪の約25%を排出することが期待できるとされ、医療用医薬品としての発売をへずに薬局とドラッグストア(薬店)で購入が可能な市販薬として注目を集めています。

 ただ、あくまで食事や運動といった生活習慣の改善を助ける補助的な使用であり、購入には服用3カ月前から生活習慣の改善に取り組む、服用1カ月前から生活習慣の改善に取り組んでいる記録を示すなど、高いハードルがあります。また、同剤を販売できる薬局も、専用の研修を受けた薬剤師がいる店舗に限られます。

 仙台市で11月25、26日に開かれた日本肥満学会・日本肥満症治療学会学術集会では、アライを紹介する大正製薬のブースに注目が集まりました。千葉大学医学部付属病院の横手幸太郎院長は同学会で、「行動改善と組み合わせて未病の段階から対処することにより、予防医学を新しいレベルで達成することが期待される」と述べました。

 2023年12月4日(月)

2023/12/03

🟧年代別に推奨する運動頻度のガイド案を作成 成人には1日60分以上の歩行を推奨

 新型コロナウイルスの影響などで、子供の体力が低下する中、厚生労働省は年代別に推奨する運動の頻度を示したガイド案を取りまとめました。

 スポーツ庁の調査では、小中学生の体力テストの合計点がここ数年低下していて、コロナ禍で子供の運動機会が制限された影響などが指摘されています。

 こうした中、厚生労働省は、子供(18歳未満)、成人(18歳以上)、高齢者に分け、年代別に健康のために推奨する運動量の目安を示したガイド案を取りまとめました。

 ガイド案では、18歳未満の子供は、世界保健機関(WHO)が推奨している参考値として、通学なども含めて、1日60分以上少し息が上がる程度の体を動かす活動を行うほか、ジョギングなどより強度の高い運動を週に3日以上行うことを示しました。

 さらに、スマートフォンなどの画面を見てすごす時間や座りっ放しの時間を減らすことも示しました。

 一方、部活動などで激しすぎる運動をすると、体の故障につながる可能性があるとして、週に2日以上の休養日を設けるよう注意を促しています。

 また、18歳以上の成人は1日60分以上、高齢者は1日40分以上、ウォーキングなどの活動を行うことを推奨しているほか、成人と高齢者ともに、週に2日から3日、スクワットなどの「筋トレ」を行うことが望ましいとしています。

 厚労省は、年度内にもガイドを作って自治体などに周知し、地域での健康づくりのための計画策定などに生かしてもらうことにしています。

 2023年12月3日(日)

🟧市販薬のネット販売を原則解禁へ 乱用対策で多量購入禁止、厚労省

 厚生労働省は11月30日、市販薬(一般用医薬品)のネット販売を原則解禁する案などを取りまとめ、有識者検討会に提示しました。年内に結論を出し、2025年以降に医薬品医療機器法の改正を目指します。

 医師が処方する医療用医薬品から市販薬に移行した直後の要指導医薬品は、対面販売の義務を原則撤廃し、ビデオ通話によるオンライン服薬指導を条件として、ネット販売を解禁します。市販薬は原則、全面的にネット販売可能になる見通し。

 乱用対策では、若年層を中心に依存性がある成分を含む風邪薬など一部の市販薬の過剰摂取が広がっていることを踏まえ、20歳未満には複数個・大容量の製品は販売しません。20歳以上でも複数個・大容量の場合は理由や氏名を確認し、販売記録を保管します。

 市販薬と呼ばれる一般用医薬品の区分も、整理します。現在は薬剤師のみが販売できる1類と、薬剤師と登録販売者が販売できる2類、3類に分かれていますが、2類と3類の分類をなくし、販売者による区別とします。

 市販薬を販売する際の情報提供は2類と3類の統合後、専門家の関与が必要ないものは医薬部外品に移し、その他は説明を努力義務とします。現状の1類については情報提供の義務を維持します。

 処方箋なしで病院の薬が買える「零売(れいばい)薬局」も規制を強化し、「緊急時のみ」販売できることを法令で規定します。

 2023年12月3日(日)

🟧2023年の気温上昇、1・5度に迫る 世界気象機関「今こそ行動すべき」

 国際連合の専門機関の一つである世界気象機関(WMO)は11月30日、今年の世界の平均気温が産業革命前を約1・4度上回る見通しだとする分析を発表しました。1891年の統計開始以降、最高で、上昇を1・5度までに抑えるとするパリ協定の目標値に迫りました。 WMOのペッテリ・ターラス事務局長は、気候変動の危機を最小限に抑えるため「今こそ行動すべきだ」と強調しました。

 11月30日には国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)がアラブ首長国連邦(UAE)ドバイで開幕。WMOが示した現状を踏まえ、干ばつや洪水といった気象災害の続くアフリカ諸国などから、先進国に対して対策加速を求める声が強まるのは確実です。

 WMOによると、今年は大気中の温暖化ガス濃度も過去最高を更新する見込み。南極や北極を始め、寒冷地では氷の融解が進み、スイスの氷河はここ2年で体積の10%を失いました。

 2024年は南米ペルー沖から太平洋赤道海域の日付変更線付近にかけての海面水温が平年より上がる「エルニーニョ現象」の影響で、気温が上昇しやすい条件が整っており、さらに厳しい年になるとの予測も出ています。

 2023年12月3日(日)

🟧「PFAS」の2種の発がん性、評価を引き上げ 国際がん研究機関

 世界保健機関(WHO)傘下の国際がん研究機関(IARC)は、有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス」の代表的な物質で有害とされる「PFOA(ピーフォア)」と「PFOS(ピーフォス)」の発がん性に対する評価を引き上げたと発表しました。PFOAを4段階中最も高い「発がん性がある」グループに、PFOSを新たに下から2番目の「可能性がある」グループにそれぞれ分類しました。

 PFASは日本各地の河川などでも検出されており、環境省が有害性の本格的な調査研究に乗り出す方針です。IARCは動物実験や遺伝、免疫などの研究に基づき、人での発がん性に十分な証拠があるかどうかを判断し、4段階で評価しています。

 1日の発表によると、PFOAはこれまで「可能性がある」でしたが、2段階引き上げられ最も高いグループとなりました。同じ分類にはアスベストやたばこの煙などが含まれます。PFOSは最も低い「分類不能」のグループでした。

 PFOAやPFOSは食品の包装や化粧品、防水の衣服などさまざまな製品から検出されています。現在は多くの国で使用が禁止されているといいます。

 2023年12月3日(日)

🟧中国保健当局、子供の呼吸器疾患増加で「既知の病原体」と強調 一部地域で明らかに増加

 中国で子供たちを中心に呼吸器疾患の患者が増えていることを巡り、保健当局は「一部の地域で感染者が明らかに増加している」として今も流行が続いているという見方を示しました。一方、「新たなウイルスや細菌は見付かっていない」と改めて強調し、引き続き感染対策の徹底を呼び掛けました。

 中国では今年10月以降、北部を中心にインフルエンザやマイコプラズマ肺炎などが複合的に流行し、国内の病院では子供たちの受診が目立っています。

 これについて中国の保健当局の国家衛生健康委員会の米鋒報道官は2日、記者会見を開き、「一部の地域で子供が呼吸器疾患にかかるケースが明らかに増加していて、気管支炎や肺炎に悪化する場合もある」として、今も流行が続いているという見方を示しました。

 一方で、「呼吸器疾患はいずれもすでに知られている既知の病原体が引き起こし、新たなウイルスや細菌による感染症は見付かっていない」と改めて強調し、新型コロナウイルスの感染が拡大した際の初動の対応や情報提供の遅れを念頭に国民の不安の払拭(ふっしょく)に努める姿勢を示しました。

 その上で、冬から春はインフルエンザなどの呼吸器疾患が増加する季節だとして、ワクチンの接種やマスクの着用など引き続き感染対策を徹底するよう呼び掛けました。

 2023年12月3日(日)

2023/12/02

🟧インフルエンザ患者数、今シーズン最多を更新 23道県で「警報レベル」 

 全国の医療機関から報告された季節性インフルエンザの患者数は、11月26日までの1週間で1医療機関当たり28・30人と、前の週からさらに増加し、今シーズンで最も多くなりました。

 国立感染症研究所などによりますと、11月26日までの1週間に全国約5000カ所の定点医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は13万9914人で、前の週からさらに増加し、今シーズンで最も多くなりました。

 1医療機関当たりでは前の週から6・64人多い28・30人となりました。

 データを基に推計されるこの1週間の全国の患者数は約95万人となっていて、今年9月4日以降の累積の患者数は約597万5000人と推計されています。

 都道府県別にみますと、北海道が51・9人、長野県が51・83人、佐賀県が49・67人、宮城県が43・78人、長崎県が43・67人、福岡県が41・44人などと、23の道県で「警報レベル」とされる30人を超えたほか、残る24の都府県すべてで「注意報レベル」の10人を超えています。

 また、44の都道府県で前の週より患者の数が増加していて、全国的な拡大傾向が続いています。

 インフルエンザの影響で、全国の6174の学校などが休校や学級閉鎖となっています。

 感染症に詳しい東邦大学の舘田一博教授は、「地域によっては1医療機関当たり50を超える地域もみられ、今後も全国的に増加していくと予想される。リスクが高まる場面では適切にマスクを使ったり、換気に注意したりといった基本的な感染対策を行うほか、具合が悪い時には自宅で休んだり、早めに医療機関を受診したりしてほしい」と話しています。

 2023年12月2日(土)

🟥COP30、合意文書採択し閉幕 脱化石燃料の工程表は見送り

 ブラジル北部ベレンで開かれた国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)は22日、温室効果ガス排出削減の加速を促す新たな対策などを盛り込んだ合意文書を採択し、閉幕した。争点となっていた「化石燃料からの脱却」の実現に向けたロードマップ(工程表)策定に関する直接的な記述...