2024/01/27

🟧2023年の全国の自殺者2万1818人 2年ぶりに減少も、男性は2年連続の増加

 厚生労働省と警察庁は26日、2023年の全国の自殺者数(暫定値)が、前年より63人少ない2万1818人だったと発表しました。2年ぶりに減少したものの、30~60歳代を中心に男性は増えており、厚労省は物価高騰などによる経済的困窮が影響したとみています。

 男性は全体の7割を占める1万4854人(前年比108人増)で、2年連続の増加でした。このうち9403人は30~60歳代で、前年から3・3%(298人)増えました。50歳代が最多の2934人(86人増)で、40歳代が2663人( 52人増)、60歳代が1928人(66人増)。

 会社員や自営業などの人が多く、「生活苦」や「事業不振」といった経済的な問題を抱えている人が目立ちました。

 厚労省の担当者は「物価高などにより、家計を支える男性が精神的に追い込まれている可能性がある」としています。

 女性は4年ぶりの減少となる6964人(同171人減)。20歳代以下の若年層が1298人に上り、前年から13・4%(153人)の大幅増となりました。原因・動機別でみると、「親子の不和」や「うつ病」、「失恋」など、対人関係の悩みや精神疾患が多くなりました。

 一方、小中高生は507人で、過去最多だった一昨年(514人)に次いで過去2番目に多く、高止まりしています。内訳は小学生13人、中学生152人、高校生342人。男子は259人、女子は248人でした。

 厚労省の担当者は、「行動制限が続いたコロナ禍で孤立が深まり、対人関係に悩む子供が増えている可能性がある」と分析しています。

 厚労省は悩みを抱える人の相談窓口として、「こころの健康相談統一ダイヤル」(0570・064・556)を設けています。18歳以下の子供の相談は、NPO法人「チャイルドライン支援センター」(東京都新宿区)が、電話(0120・99・7777)やインターネットのチャットで受け付けています。

 2024年1月27日(土)

🟧国の暫定目標値の80倍の濃度で「PFAS」検出 広島県東広島市の水路

 有機フッ素化合物の「PFAS(ピーファス)」のうち、有害性が指摘されている2つの物質について、広島県東広島市の水路で国の暫定目標値の80倍となる濃度が検出されました。東広島市は周辺の住民に井戸水の飲用を控えるよう呼び掛けるとともに、今後、さらに詳しい調査を行うことにしています。

 有機フッ素化合物の「PFAS」のうち、「PFOS(ピーフォス)」と「PFOA(ピーフォア)」の2種類は発がん性などの有害性が指摘され、国内でも製造や輸入が禁止されています。

 東広島市は昨年12月27日に採取した水を調べた結果、八本松町宗吉の水路で「PFOS」と「PFOA」が合わせて、国の暫定目標値である1リットル当たり50ナノグラムの80倍となる1リットル当たり4000ナノグラム検出されたと26日、発表しました。

 周辺には18世帯が住んでいるということで、東広島市は井戸水の飲用を控えるよう呼び掛けています。

 また、高い濃度が検出された水路とつながる瀬野川の2つの地点でも、国の暫定目標値を上回る1リットル当たり250ナノグラムと170ナノグラムがそれぞれ検出されたということで、東広島市は周辺の地下水などを詳しく調べて、発生源の特定を進めることにしています。

 高い濃度が検出された水路の近くにはアメリカ軍の川上弾薬庫があり、東広島市は国を通じて、「PFOS」や「PFOA」を使用していたか、使用していた場合はいつごろまで、どれくらいの量だったかなどを報告するよう求めたということです。

 国内各地の河川などから検出が相次ぎ、有害性が指摘されている有機フッ素化合物「PFAS」について、国の食品安全委員会の作業部会は健康への影響評価の案を取りまとめ、人が摂取しても問題ない量の指標を示しました。

 多くの種類がある有機フッ素化合物「PFAS」のうち、有害性が指摘される「PFOS」と「PFOA」は国内各地の河川や水道水で高い濃度で検出されるケースが相次いでいることから、国は水質について暫定的な目標値を定めています。

 これについて、食品安全委員会は作業部会を設けて、「PFAS」が飲料水や食品などとして体内に入った場合の健康への影響評価を進めており、26日に評価書の案を取りまとめました。

 それによりますと、国内外の研究で一部のがんとの関連が報告されているものの、証拠は限定的だとした上で、動物実験の結果などから、PFOSとPFOAについて、毎日摂取しても問題ない量を、いずれも体重1キログラム当たり20ナノグラムとする指標を示しました。これは現在の国の水質の暫定的な目標値とほぼ同等だということです。

 このほか、評価書の案では一般的な食生活で著しい健康リスクが生じている状況ではないものの、健康影響についての情報が足りないため、できるだけ摂取量を抑えるなどの対策が必要だと指摘しました。

 評価書の案は今後、正式に取りまとめられた上で、国の水質の正式な目標値などの議論に活用されるということです。

 環境省のPFAS対策を話し合う専門家会議のメンバーで、環境汚染による健康影響に詳しい京都大学大学院の原田浩二准教授は今回の報告書について、「PFASによる影響が少なくとも、脂質代謝やコレステロール値、子供の生まれてくる時の体重などと関係はありそうだという評価がされている。有害かどうかという点は専門家の中で意見が違うところはあるが、少なくとも疫学に関する知見が非常に高まっている。国内において行政によるPFASのリスクの評価はこれが初めてで、一つの基礎ができたと評価できる」と話しています。

 2024年1月27日(土)

🟧コロナ禍をへて、健康のために走り始めた人が9%増加 市民ランニング雑誌が調査

 市民ランニング雑誌「月刊ランナーズ」を発行しているアールビーズ(東京都渋谷区)が実施した「ランナー世論調査」で、「健康のために走り始めた」と回答した割合が、新型コロナウイルス禍前の2018年に比べて、2023年は9%上昇したことがわかりました。また、走ることのモチベーションに関する質問に対しては「走ること自体が楽しいから」と回答した割合も、コロナ禍前に比べて11%上昇。

 同社では、「多くの大会が(コロナ禍で)中止になった期間をへて、自由に走れることの喜びや楽しさを再認識するランナーの増加を示す結果となった」としています。

 5年ぶりに実施された調査は、市民ランナーのトレーニングや大会参加の実態を調査することを目的に2010年から開始。昨年10月に男女約1万3000人を対象にインターネットで実施しランニングを始めた切っ掛けを尋ねたところ、「健康のため」と回答した割合が62%と、2018年の調査時に比べて9%上昇。

 同社は「(コロナ禍で)行動が制限され運動不足になった人が、健康を保つために運動の必要性を感じ、その手段としてランニングを選んだと考えられる」と分析しています。

 また、「ランニングを続けるモチベーション」という質問に対し、「走ること自体が楽しいから」と回答した割合が2018年の調査時に比べて11%上昇。ランニングの実施頻度を問う質問では、週に1日以上を実施する人が全体の94%を占めました。

 一方、ランニンググッズにかける年間の金額は「1万円以上3万円未満」が38%と最多。物価高の影響で、ランニングにかける金額が「増えた」と回答した割合は22%でした。

 「ランニングを始めた切っ掛け」をコロナ禍前の2018年と比較すると、「健康のため」が9%上昇しました。行動が制限され運動不足になった人が、健康を保つために運動の必要性を感じ、その手段としてランニングを選んだと考えられます。

 また、「レース出場のため」は8%上昇しました。コロナ後、エントリー数が定員に満たない大会が増え、ランナーの「大会離れ」が指摘されますが、レース出場に魅力を感じて走り始めたランナーが増加しているという事実は、今後の大会参加者数回復に希望を見いだせる結果です。

 ランニングの実施頻度を問う設問では、「週に1日以上」実施する人が全体の94%を占めました。2017年の調査と比較すると、週に1日(1回)以上実施する人は5%上昇しており、コロナ禍によって「走ることに向き合う時間が増えた」「走ることが習慣化した」ランナーの増加を示す結果となりました。

 また、「週に5日以上」と回答した人は21%で、2017年(週に5~6回+週に7回以上)と比較して、5%上昇する結果となりました。

 2024年1月27日(土)

2024/01/26

🟧新型コロナ感染者、9週連続増加 昨年9月中旬以来、1医療機関当たり10人超

 1月15日から21日までの1週間に全国の医療機関から報告された新型コロナウイルスの患者数が前の週から増加していて、厚生労働省は「手洗いや、こまめな換気を行うなど引き続き対策を徹底してほしい」などと呼び掛けています。

 厚労省によりますと、1月21日までの1週間に全国およそ5000の定点医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から1万6090人増えて6万268人となりました。

 また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は12・23人で、前の週の「8・96人」から1・36倍に増えました。

 前の週から増加が続くのは9週連続で、1医療機関当たりの平均患者数が10人を超えるのは、昨年9月中旬以来です。

 都道府県別では多い順に、福島県が18・99人、茨城県が18・33人、愛知県が17・33人、大分県が17・16人、佐賀県が17・05人などとなっており、すべての都道府県で前の週より増加しています。

 能登半島地震の影響で、新型コロナの患者数を報告することになっている石川県の48の医療機関のうち、能登北部の4カ所からの報告は含まれませんが、石川県は14・33人で前の週より増加しました。

 1月21日までの1週間に、全国およそ500の定点医療機関から報告された新たに入院した患者の数は3462人で、前の週と比べて600人増加しました。

 新たに入院した患者数は、現在の集計方法を始めた昨年9月下旬以降最も多くなりました。

 厚労省は全国の流行状況について、「すべての都道府県で患者数が増え、感染拡大が続いている。手洗いやうがい、マスクの着用やこまめな換気などの感染対策を引き続き徹底してほしい」としています。

 2024年1月26日(金)

🟧沖縄県で警報レベル、41都府県で注意報レベル インフルエンザ患者が全国的に増加傾向

 国立感染症研究所などによりますと、1月15日から21日までの1週間に全国およそ5000カ所の定点医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は8万7318人で、1医療機関当たりでは17・72人と前の週よりも4・73人増え、前の週の「12・99人」から1・36倍になりました。

 データを基に推計されるこの1週間の全国の患者数はおよそ61万7000人となり、昨年9月4日以降の今シーズンの累積の患者数はおよそ1221万7000人と推計されています。

 1医療機関当たりの患者数を都道府県別にみますと、沖縄県が最も多く32・33人で、「警報レベル」の30人を超えました。

 また、宮崎県が27・81人、福岡県が25・85人となっているほか、愛知県が22・71人、大阪府が19・23人、東京都が16・24人などと、41の都府県で10人を超える「注意報レベル」となりました。

 前の週と比べると、兵庫県は1・7倍、佐賀県は1・67倍、京都府は1・66倍などと、42の都府県で増えており、全国的に増加傾向となっています。

 東邦大学の舘田一博教授はインフルエンザの感染状況について、「前回や前々回の集計では正月の影響で減少傾向となっていたが、全国的に増加傾向に転じている。例年は、1月末から2月にかけて感染拡大のピークを迎えることから、今後も増加傾向が続き、子供や高齢者の患者も増えてくると考える必要がある」と話しています。

 2024年1月26日(金)

🟧心臓移植にかかわる医師や医療関係者ら「日本心臓移植学会」設立 「助かる命を助けられる国にしたい」

 心臓移植の件数が世界的にみても少ないなどの課題を受けて、心臓移植医療にかかわる医師や医療関係者らが新たに「日本心臓移植学会」を設立し、代表の大阪大学の澤芳樹名誉教授は、心臓移植が必要な人の待機期間を短くするために、速やかに移植を受けられる仕組み作りを国などに働き掛けていく考えを示しました。

 新たに設立されたのは「日本心臓移植学会」で、心臓移植にかかわる医師や看護師、臓器移植コーディネーターなど約560人などが参加しています。

 25日、学会の代表を務める大阪大学の澤教授らが東京都内で会見を開き、設立の趣旨を説明しました。

 澤教授は昨年の国内で行われた心臓移植の件数は115回と、これまでで最も多かったほか、移植後10年間の生存率も2014年までのデータで89・3%と高い水準となっている一方、臓器移植を行うことができる医療機関のうち、実際に必要な人員や機材を整備できているのは半分程度で、速やかに移植ができる態勢が十分に整っていないとしています。

 また、心停止や脳死と判定された人で臓器を提供した人の数は、日本の場合人口100万人当たり年間で0・62人と、アメリカの41・6人や韓国の8・56人と比べると大幅に少ない水準にとどまっているということで、心臓移植が必要な人の中には、提供の意思がある人が出るまで長期にわたって待機しなくてはいけないケースもあるということです。

 日本臓器移植ネットワークによりますと、昨年末時点で、日本で心臓移植を待つ人は865人に上るということです。しかし、実際に移植を受けられるのは待機者の13%程度にとどまり、移植を待つ間に亡くなる人のほうが、移植を受けることができた人より多いといった課題があるということです。

 このため学会では臓器を提供する意思のある人が脳死と判定された場合に、希望を確実にくみ取って移植を待つ人に速やかにつなげる仕組み作りを国などに働き掛けていきたいとしています。

 澤教授は「日本の医療レベルは高いが、心臓を提供するドナーが少ないのが問題。助かる命を助けられる国にしたい」と話しています。

 2024年1月26日(金)

2024/01/25

🟧小児・AYA世代のがん患者の10年生存率初公表 大人より高率、国立がん研究センター

 国立がん研究センターは25日、2011年にがんと診断された患者約36万人の10年生存率が53・5%だったと発表しました。前回調査(2010年)より0・2ポイント上昇しました。併せて、小児(15歳未満)と、思春期以降のAYA世代(15~39歳)の10年生存率を初めて公表し、小児がんは約7~9割と、5年生存率と大きな差がありませんでした。

 全国のがん診療連携拠点病院などが参加する「院内がん登録」の大規模データから集計しました。前回調査に続いて、純粋にがんのみが死因となる場合を推定した「純生存率(ネット・サバイバル)」を算出しました。部位別の10年生存率は、前立腺がんで 85・4%、乳がん(女性)で82・9%、大腸がんで57・9%、胃がんで56・8%などでした。

 また、小児がんとAYA世代のがんは、すべての死因による死亡者数を計算に含めた実測生存率を算出し、5年生存率と比較しました。

 小児がんでは、白血病の5年生存率が88・4%で10年生存率が86・2%、脳腫瘍の5年生存率が73・5%で10年生存率が71・5%と、いずれも10年生存率と5年生存率との差は約2ポイントとなり、わずかな低下にとどまりました。

 一方、AYA世代の10年生存率は、子宮がん(子宮頸(けい)部・子宮体部)が5年生存率より1・4ポイント減の87・2%だったのに対し、乳がんは同6・5ポイント減の83・5%、脳・脊髄腫瘍は同5・7ポイント減の77・8%など、がんの種類によって低下の幅に差がみられました。

 同センター院内がん登録分析室の石井太祐(たいすけ)研究員は、「これまで小児がんやAYA世代のがんは生存率に関するデータが限られていた。小児がんは治療後の見通しがよいことが裏付けられたが、AYA世代ではがんの種類によって必要な支援もさまざまだ。今回のデータを支援策を考える上で基礎資料にしてほしい」と話しています。

 2024年1月25日(木)

🟥ゴールドウイン、PFAS不使用に 年内に衣料品の素材切り替え、海外拡大で

 アパレル大手で衣料品の素材として有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」を使うことを取りやめる動きが広がっている。「ザ・ノース・フェイス」などを展開するゴールドウインは2025年内で代替素材に切り替える。PFASは熱に強く、アウトドア向け衣料で活用されている。健康への有害性...