2024/02/05

🟧アメリカ疾病対策センター、東京都内に事務所を開設 世界の健康安全保障にとって重要

 アメリカで新型コロナウイルスの対応を中心的に担った疾病対策センター(CDC)が5日、新たに東京都内に「東アジア・太平洋地域事務所」を開設しました。

 開設に合わせて来日したCDCのトップ、マンディー・コーエン所長は、「多くの新型ウイルスが発生していることから、この地域が健康という観点から、世界の安全保障にとって、いかに重要かを理解している」と述べ、新型コロナウイルスが当初、中国を中心に感染が広がったことも念頭に、東京都内に事務所を設ける意義を強調しました。

 その上で、新たな感染症への備えについて、「脅威を特定し、迅速に対応するためには協力と情報交換が重要だ。人々の健康を守るためには、それぞれが持つ強みを結集する必要がある」として、日本を含めた各国と速やかな情報共有を行うとともに、検査能力やウイルスの変異を調べるゲノム解析の能力について、各国を支援していく考えを示しました。

 また、コーエン所長は日本について、「健康安全保障のリーダーだ」と述べ、治療薬やワクチンの生産などで、日本の果たす役割に期待を示しました。

 2024年2月5日(月)

🟧劇症型溶血性レンサ球菌感染症、昨年1年間の患者数が941人で過去最多 今年に入ってからも139人確認

 足の壊死(えし)など短時間で急速な状態悪化を招き、「人食いバクテリア」とも呼ばれる「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」の患者報告が昨年、過去最多となりました。今年に入ってからも、多数の患者が確認されており、警戒が高まっています。

 国立感染症研究所の公表データによると、劇症型溶血性レンサ球菌感染症の患者は2014年に268人となって以降、増加が続き、2019年には800人を超えました。

 新型コロナウイルス禍となった2020~2022年はやや減少したものの、2023年は941人(暫定値)と、それまで最も多かった2019年の894人を上回り、現在の方法で統計を取り始めた1999年以降で最多となりました。今年に入っても1月21日時点で139人の患者報告があります。

 主な病原体は「A群溶血性レンサ球菌」という細菌。感染経路は飛沫(ひまつ)や接触とされ、通常は体内に入っても咽頭炎などを患う程度ですみます。だがまれに、血液などに菌が侵入して重篤な事態を招くのが劇症型です。60歳代以上の大人に多いとされます。

 国内では現在、A群溶血性レンサ球菌による子供の咽頭炎が増加。ヨーロッパで流行が報告されている病原性や感染力の高いタイプの株も確認されている状況にあります。

 厚生労働省は1月17日、劇症型の患者から採取した検体の解析を進めるよう自治体に依頼。武見敬三厚労相は同19日の閣議後会見で、今後の感染動向を「注視していく必要がある」と述べました。

 劇症型の初期症状は発熱や悪寒、手足の痛みや、はれなど。ただ、短時間で細菌が増殖して急激な状態悪化に見舞われます。筋肉周辺組織の壊死や多臓器不全などで発症後数十時間で死に至ることもあり、致死率は約3割とされます。

 東京女子医科大病院の菊池賢教授(感染症科)は、「例えば、朝までは、『先が少しはれている程度』だった足がみるみるうちに真っ黒になっていき、昼ごろには膝ぐらいまで壊死が進んでしまうこともある」と、状態悪化の急速さを説明。

 こうした状態で病院搬送されてきた患者の場合、抗菌薬の投与だけでは救命が間に合わず「すぐに股関節当たりから足を切断しなければ、命を助けられないとの緊迫感の中で、対応を進める必要が出てくる」とも明かします。

 菊池教授は、手洗いやアルコール消毒、マスク着用など基本的感染対策に加え、「足の清潔」を気にかけてほしいと話しています。

 菊池教授がこれまで診てきた劇症型の患者の多くは高齢者で、転倒して足を打撲した後に容体急変に見舞われるなど「足の傷口」からの感染が疑われるケースが目立ち、傷口がある状態で屋外を素足で歩き回れば、傷口から細菌が入り込む恐れが高まり、靴擦れや水虫といった足の状態もリスクになり得るといいます。

 ただ、患者側にとっては判断の難しさもありそうです。微熱、軽い足の痛みなどの症状段階で医療機関に行くべきかを悩む人もいるかもしれないものの、菊池教授は「はれが増して高熱が出るなど強い症状があれば迷うことなく、入院設備の整った病院を受診してほしい」と呼び掛けています。

 2024年2月5日(月)

🟧Hib感染症を加えた「5種混合ワクチン」、4月から定期接種へ

 百日せきや破傷風などを予防する子供を対象にした4種混合ワクチンに、肺炎などを引き起こすHib(ヒブ)感染症を加えた「5種混合ワクチン」について、厚生労働省は今年4月から新たに法律上の定期接種に位置付けて接種を行う方針を決めました。

 子供が接種する4種混合ワクチンは、百日せきや破傷風、ジフテリア、ポリオを予防するためのもので、生後2カ月から接種が行われています。

 5日開かれた厚労省の専門家分科会で、4種混合ワクチンに肺炎や髄膜炎などを引き起こすHib感染症を加えた「5種混合ワクチン」について、法律上の定期接種に位置付けて接種を行うことについて了承されました。

 定期接種の対象となるのは生後2カ月から7歳半までで、一定の期間を空けて初回接種と追加接種で合わせて4回の接種が行われます。

 Hibワクチンは、現在も単体で定期接種が行われていますが、4種混合ワクチンも合わせると合計8回の接種が必要で、スケジュール管理が課題となっており、5種混合ワクチンに混合することで接種回数を減らすことができると期待されています。

 5種混合ワクチンの定期接種は、今年4月から行われます。

 2024年2月5日(月)

🟧恵方巻き食べた34人が食中毒、1700本販売したすし店を営業禁止処分 兵庫県姫路市

 兵庫県姫路市保健所は4日、同市魚町のすし店「雷寿司」で販売した節分の恵方巻きを食べた2~81歳の男女34人が、吐き気や下痢、腹痛などの症状を訴えたと発表しました。

 同保健所は、それぞれの症状が似ていて発症した時間も近いことに加え、ほかに疑われる感染経路が確認できないことなどから、食中毒と断定し、同店を4日付で営業禁止処分としました。全員軽症で入院した人はおらず、快方に向かっているといいます。

 発表では、3日午後から複数の人が同保健所管内の医療機関を受診。いずれも3日に同店で購入した巻きずしを食べていたといいます。

 同店では2、3両日で計約1700本を予約客や常連客に販売。同保健所が詳しい原因を調べています。

 2024年2月5日(月)

2024/02/04

🟧製薬会社の資金提供、医師への接待費も公表義務化へ 厚労省、4月から適用

 厚生労働省は、製薬会社が資金を出し、自社製品の臨床研究を大学病院などの医師が行う際のルールを厳格化する方針を決めました。臨床研究法では、製薬会社に対し、研究責任者の医師に提供した資金の公表を義務付けていますが、医師への接待費用などを新たに加えます。透明性を高める狙いで、同法の施行規則を改正し、4月から適用します。

 現行のルールでは、研究資金のほか、医師が所属する大学などへの寄付金、講演会の講師謝金、原稿執筆料が公表対象となっています。しかし、「別の名目で資金提供される可能性がある」との指摘があり、対象を広げることにしました。

 新たに公表対象にするのは、医師への接待費のほか、医師に対する説明会や講演会にかかった費用や件数、情報提供関連費。期間は、研究中や研究終了後2年以内とします。

 臨床研究法は、高血圧治療薬「ディオバン」を巡る臨床研究データ改ざん事件で、製薬会社から研究を実施する大学側に寄付金が提供されていたことを受け、2018年に施行されました。

 2024年2月4日(日)

🟧コロナ派生型「JN・1」、東京都内6割に拡大 感染力が強く入院増

 新型コロナウイルスのオミクロン型から派生した「JN・1」の感染が、日本や米欧など各国で拡大しています。国内の入院患者は2023年12月から増え続け、2023年夏の第9波のピークを上回りました。インフルエンザなども同時流行する中、各地の救急医療は逼迫しつつあります。

 世界保健機関(WHO)は12月、JN・1を「注目すべき変異型(VOI)」に指定し、監視レベルを引き上げました。

 東京都のゲノム解析では、昨年12月4~10日に17・2%だったJN・1の割合は、同25~31日に45・1%、1月8~14日には58・3%と急速に拡大し、流行の主流へと置き換わっています。

 アメリカ疾病対策センター(CDC)の推定でも、JN・1は1月7〜20日のアメリカの新規感染で約86%に上りました。

 JN・1は派生型「BA・2・86」に変異が加わったもので、直近の主流だった「EG・5(通称エリス)」などよりも感染力が強くなっています。東京大学や北京大学の研究グループはそれぞれ、JN・1は免疫から逃れる性質が強いとの分析結果を報告しました。体内の抗体がJN・1には効きにくいため、感染が広がる一因になっているとみられます。

 厚生労働省によると、全国約500カ所の定点医療機関で1月15〜21日の新規入院患者数は3483人で、2023年8月の第9波のピークを上回りました。22〜28日も3311人と高水準でした。全国約5000の定点医療機関で報告された新規感染者数は10週連続で増加しました。

 呼吸器感染症が流行しやすい冬を迎え、JN・1の感染力の強さや、ワクチン接種から時間がたったことによる免疫の低下なども影響して、感染者と入院患者の増加につながっています。今冬はインフルエンザや咽頭結膜熱、溶連菌感染症なども流行しています。

 各地の救急医療体制は逼迫しつつあります。総務省消防庁によると、搬送先がすぐに見付からない「救急搬送困難事案」も、2023年8月の直近のピークに並ぶ規模です。

 人混みでのマスク着用やワクチン接種などの基本的な対策は有意義。JN・1は免疫から逃れやすくなっているものの、派生型「XBB・1・5」に対応した現在のコロナワクチンの接種には、免疫をある程度底上げする効果が期待されます。コロナに感染しないことは、倦怠(けんたい)感などの後遺症を避けるための対策にもなります。

 2024年1月4日(日)

🟧市販薬の過剰摂取疑いで救急搬送5625人、2023年上半期 若年層に目立ち、7割が女性

 市販薬の過剰摂取(オーバードーズ)が原因と疑われる救急搬送者が、昨年1〜6月で5625人に上ったことが3日までに、総務省消防庁と厚生労働省の調査でわかりました。20歳代が1742人で最も多く、10歳代の846人と合わせて半数近くを占めました。女性が4132人で全体の7割でした。

 風邪薬やせき止めなどの過剰摂取は、一時的に気分が高揚することもあるものの、意識障害や呼吸不全を引き起こす危険があります。

 調査は各都道府県や政令市などの計52消防本部を対象に、2020年1月〜2023年6月の救急搬送に関する活動記録に「オーバードーズ」「薬」「過剰」などが含まれる事例を集計しました。薬の誤飲なども含まれている可能性があるとして、厚労省は参考値としています。

 集計結果によると、2020年9595人、2021年1万16人、2022年1万682人で増加が続いており、2020年と2022年を比べると10歳代は1・5倍、20歳代は1・2倍に増えていました。10歳未満も毎年30人前後いました。

 厚労省は依存性がある成分を含む市販薬を20歳未満に販売する場合は、小容量製品1個に制限するといった制度の見直し案をまとめ、医薬品医療機器法改正を目指しています。

 2024年2月4日(日)

🟧「十分に眠った」と感じているのに、実際は睡眠不足も 筑波大発表、自己評価と客観的分析に差

 「十分に眠った」と感じているのに、実際は睡眠不足―。筑波大国際統合睡眠医科学研究機構(茨城県つくば市)の柳沢正史機構長らが14日、睡眠の時間や質に関する自己評価は、脳波の測定に基づく客観的な結果とは異なる場合が多いと発表しました。睡眠障害の早期発見や予防には、計測による正確な...