2024/02/06

🟧胎児にブタの腎臓を一時移植、慈恵医大が国内初の臨床研究を計画

 重い腎臓病の胎児が生後、別の治療を受けられるようになるまで、一時的にブタの腎臓を移植する国内で初めての臨床研究を東京慈恵会医科大学や国立成育医療研究センターなどのチームが計画していることが6日、わかりました。チームでは、年内にも国が認定する委員会への申請を目指すということです。

 臨床研究を計画しているのは、東京慈恵会医科大学の横尾隆主任教授などのチームです。

 計画は、生まれる前から腎臓が働かず、十分に尿が作れない「ポッター症候群」の胎児にブタの胎児の腎臓を移植するもので、出生後に人工透析による治療ができるようになるまでの、一時的な治療を目指しているということです。

 動物の臓器や細胞を人に移植する「異種移植」は拒絶反応が大きな課題ですが、チームによりますと、ブタの胎児の腎臓は拒絶反応が起こりにくく、人工透析ができるようになれば移植したブタの腎臓は取り除くということです。

 一方、異種移植には倫理的な課題も指摘されていることから、チームでは市民の理解が得られるかを踏まえながら慎重に準備を進めるということで、今後、研究施設の倫理委員会で審査を受けた上で、年内にも国が認定する委員会への申請を目指すことにしています。

 異種移植が実際に行われれば、国内では初めてだということです。

 横尾主任教授は、「治療法がない子供に生きる希望を与えられる治療法だと思う。社会に許容されるのか、安全性、有効性、そして倫理面の3つをしっかり検証しながら進めたい」と話しています。

 2024年2月6日(火)

🟧大雪の影響で東京都で4歳~92歳の男女計120人救急搬送 神奈川県、千葉県では重傷者も

 関東甲信を中心とした大雪の影響で、東京都内では5日から6日午前11時までに4~92歳の男女計120人が救急搬送されました。全員、命に別状はありません。

 東京消防庁によると、東京都足立区で6日午前7時ごろ、出勤途中の40歳代男性が雪で滑って転倒し、左脚の骨を折って救急搬送されたといいます。

 埼玉県では53人が軽傷を負いました。千葉県は重傷1人、軽傷12人。神奈川県は重傷5人、軽傷34人。

 関東甲信を中心とした大雪は6日早朝にはピークをすぎ、気象庁は5日に9都県の全域や一部に出していた大雪警報を順次、解除しました。

 気象庁は気圧の谷や寒気の影響で6日も雪や雨が降る所があるとして路面凍結などに伴う交通障害に警戒を呼び掛けました。

 2024年2月6日(火)

2024/02/05

🟧アメリカ疾病対策センター、東京都内に事務所を開設 世界の健康安全保障にとって重要

 アメリカで新型コロナウイルスの対応を中心的に担った疾病対策センター(CDC)が5日、新たに東京都内に「東アジア・太平洋地域事務所」を開設しました。

 開設に合わせて来日したCDCのトップ、マンディー・コーエン所長は、「多くの新型ウイルスが発生していることから、この地域が健康という観点から、世界の安全保障にとって、いかに重要かを理解している」と述べ、新型コロナウイルスが当初、中国を中心に感染が広がったことも念頭に、東京都内に事務所を設ける意義を強調しました。

 その上で、新たな感染症への備えについて、「脅威を特定し、迅速に対応するためには協力と情報交換が重要だ。人々の健康を守るためには、それぞれが持つ強みを結集する必要がある」として、日本を含めた各国と速やかな情報共有を行うとともに、検査能力やウイルスの変異を調べるゲノム解析の能力について、各国を支援していく考えを示しました。

 また、コーエン所長は日本について、「健康安全保障のリーダーだ」と述べ、治療薬やワクチンの生産などで、日本の果たす役割に期待を示しました。

 2024年2月5日(月)

🟧劇症型溶血性レンサ球菌感染症、昨年1年間の患者数が941人で過去最多 今年に入ってからも139人確認

 足の壊死(えし)など短時間で急速な状態悪化を招き、「人食いバクテリア」とも呼ばれる「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」の患者報告が昨年、過去最多となりました。今年に入ってからも、多数の患者が確認されており、警戒が高まっています。

 国立感染症研究所の公表データによると、劇症型溶血性レンサ球菌感染症の患者は2014年に268人となって以降、増加が続き、2019年には800人を超えました。

 新型コロナウイルス禍となった2020~2022年はやや減少したものの、2023年は941人(暫定値)と、それまで最も多かった2019年の894人を上回り、現在の方法で統計を取り始めた1999年以降で最多となりました。今年に入っても1月21日時点で139人の患者報告があります。

 主な病原体は「A群溶血性レンサ球菌」という細菌。感染経路は飛沫(ひまつ)や接触とされ、通常は体内に入っても咽頭炎などを患う程度ですみます。だがまれに、血液などに菌が侵入して重篤な事態を招くのが劇症型です。60歳代以上の大人に多いとされます。

 国内では現在、A群溶血性レンサ球菌による子供の咽頭炎が増加。ヨーロッパで流行が報告されている病原性や感染力の高いタイプの株も確認されている状況にあります。

 厚生労働省は1月17日、劇症型の患者から採取した検体の解析を進めるよう自治体に依頼。武見敬三厚労相は同19日の閣議後会見で、今後の感染動向を「注視していく必要がある」と述べました。

 劇症型の初期症状は発熱や悪寒、手足の痛みや、はれなど。ただ、短時間で細菌が増殖して急激な状態悪化に見舞われます。筋肉周辺組織の壊死や多臓器不全などで発症後数十時間で死に至ることもあり、致死率は約3割とされます。

 東京女子医科大病院の菊池賢教授(感染症科)は、「例えば、朝までは、『先が少しはれている程度』だった足がみるみるうちに真っ黒になっていき、昼ごろには膝ぐらいまで壊死が進んでしまうこともある」と、状態悪化の急速さを説明。

 こうした状態で病院搬送されてきた患者の場合、抗菌薬の投与だけでは救命が間に合わず「すぐに股関節当たりから足を切断しなければ、命を助けられないとの緊迫感の中で、対応を進める必要が出てくる」とも明かします。

 菊池教授は、手洗いやアルコール消毒、マスク着用など基本的感染対策に加え、「足の清潔」を気にかけてほしいと話しています。

 菊池教授がこれまで診てきた劇症型の患者の多くは高齢者で、転倒して足を打撲した後に容体急変に見舞われるなど「足の傷口」からの感染が疑われるケースが目立ち、傷口がある状態で屋外を素足で歩き回れば、傷口から細菌が入り込む恐れが高まり、靴擦れや水虫といった足の状態もリスクになり得るといいます。

 ただ、患者側にとっては判断の難しさもありそうです。微熱、軽い足の痛みなどの症状段階で医療機関に行くべきかを悩む人もいるかもしれないものの、菊池教授は「はれが増して高熱が出るなど強い症状があれば迷うことなく、入院設備の整った病院を受診してほしい」と呼び掛けています。

 2024年2月5日(月)

🟧Hib感染症を加えた「5種混合ワクチン」、4月から定期接種へ

 百日せきや破傷風などを予防する子供を対象にした4種混合ワクチンに、肺炎などを引き起こすHib(ヒブ)感染症を加えた「5種混合ワクチン」について、厚生労働省は今年4月から新たに法律上の定期接種に位置付けて接種を行う方針を決めました。

 子供が接種する4種混合ワクチンは、百日せきや破傷風、ジフテリア、ポリオを予防するためのもので、生後2カ月から接種が行われています。

 5日開かれた厚労省の専門家分科会で、4種混合ワクチンに肺炎や髄膜炎などを引き起こすHib感染症を加えた「5種混合ワクチン」について、法律上の定期接種に位置付けて接種を行うことについて了承されました。

 定期接種の対象となるのは生後2カ月から7歳半までで、一定の期間を空けて初回接種と追加接種で合わせて4回の接種が行われます。

 Hibワクチンは、現在も単体で定期接種が行われていますが、4種混合ワクチンも合わせると合計8回の接種が必要で、スケジュール管理が課題となっており、5種混合ワクチンに混合することで接種回数を減らすことができると期待されています。

 5種混合ワクチンの定期接種は、今年4月から行われます。

 2024年2月5日(月)

🟧恵方巻き食べた34人が食中毒、1700本販売したすし店を営業禁止処分 兵庫県姫路市

 兵庫県姫路市保健所は4日、同市魚町のすし店「雷寿司」で販売した節分の恵方巻きを食べた2~81歳の男女34人が、吐き気や下痢、腹痛などの症状を訴えたと発表しました。

 同保健所は、それぞれの症状が似ていて発症した時間も近いことに加え、ほかに疑われる感染経路が確認できないことなどから、食中毒と断定し、同店を4日付で営業禁止処分としました。全員軽症で入院した人はおらず、快方に向かっているといいます。

 発表では、3日午後から複数の人が同保健所管内の医療機関を受診。いずれも3日に同店で購入した巻きずしを食べていたといいます。

 同店では2、3両日で計約1700本を予約客や常連客に販売。同保健所が詳しい原因を調べています。

 2024年2月5日(月)

2024/02/04

🟧製薬会社の資金提供、医師への接待費も公表義務化へ 厚労省、4月から適用

 厚生労働省は、製薬会社が資金を出し、自社製品の臨床研究を大学病院などの医師が行う際のルールを厳格化する方針を決めました。臨床研究法では、製薬会社に対し、研究責任者の医師に提供した資金の公表を義務付けていますが、医師への接待費用などを新たに加えます。透明性を高める狙いで、同法の施行規則を改正し、4月から適用します。

 現行のルールでは、研究資金のほか、医師が所属する大学などへの寄付金、講演会の講師謝金、原稿執筆料が公表対象となっています。しかし、「別の名目で資金提供される可能性がある」との指摘があり、対象を広げることにしました。

 新たに公表対象にするのは、医師への接待費のほか、医師に対する説明会や講演会にかかった費用や件数、情報提供関連費。期間は、研究中や研究終了後2年以内とします。

 臨床研究法は、高血圧治療薬「ディオバン」を巡る臨床研究データ改ざん事件で、製薬会社から研究を実施する大学側に寄付金が提供されていたことを受け、2018年に施行されました。

 2024年2月4日(日)

🟥サンフランシスコ市、超加工食品の製造業者提訴 健康被害への責任追及

 アメリカのカリフォルニア州サンフランシスコ市は2日、超加工食品の製造業者を相手取り訴訟を起こしたことを明らかにした。超加工食品を巡っては、数十年にわたる過剰摂取の結果、多くのアメリカ人が肥満になったと専門家らは指摘している。  訴訟の対象には、クラフト・ハインツ、コカ・コーラ...