2024/02/21

🟧韓国、医学部の定員増加に抗議で研修医ら6000人以上が辞表提出 医療現場での混乱広がる

 韓国では、医師不足への対応策として医学部の定員増加を発表した政府と、増員に反対する医師が激しく対立していて、各地の病院に勤務する研修医ら6000人以上が政府に抗議するため辞表を提出するなど、医療現場での混乱が広がっています。

 韓国政府はソウル首都圏以外の地方での深刻な医師不足に対応するため、2006年度から3058人で据え置かれてきた全国の大学医学部の定員を、2025年度の入試から2000人増やして5058人とする方針をまとめました。

 しかし、医師の団体は受け入れの準備が間に合わないほか、医学部教育や医療サービスの質の低下を招くと主張して、反発を強めています。

 こうした中、各地の病院では医師団体の意向に賛同する、臨床現場に配属されて間もない研修医らが辞表を提出して出勤を拒否する動きが相次いでおり、韓国保健福祉省によりますと19日までに6400人余りの研修医が辞表を提出し、少なくとも700人余りが20日朝から出勤していないということです。

 韓国メディアはソウルの主な病院の中には救急外来に対応できないところや手術の延期が相次ぐところなど、医療現場での混乱が広がっていると伝えています。

 問題の背景には狭き門の医学部に受験生が殺到し、医師のステータスが特権化した韓国の極端な受験競争があるとも指摘されています。

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は20日の閣議で、「国民の生命と健康を人質にしてはならない」と述べて早期の復帰を求めました。

 また、韓国政府は軍の医師などを動員して医療体制を維持させるとしていますが、研修医の職場放棄が長期化すれば医療現場への影響はさらに深刻になるとの懸念も出ています。

 2024年2月21日(水)

2024/02/20

🟧神戸徳洲会病院に改善命令、医療法で兵庫県内初 不適切措置で患者死亡相次ぎ

 神戸徳洲会病院(神戸市垂水区)で昨年9月以降、糖尿病の入院患者が適切な治療を受けられずに死亡するなどの問題が相次いだことを巡り、神戸市は20日、運営する医療法人徳洲会(大阪市)に対し、医療法に基づく改善命令を出しました。同法による改善命令の発出は、兵庫県内で初めてとなります。

 同病院では昨年6月、カテーテル治療後に複数の患者の死亡が発覚し、同市が8月に行政指導を行いました。しかし、さらに別の患者3人が死亡した事例で医療安全上の不備が度重なり「組織のガバナンスが機能しておらず非常に危険」と見なし、行政処分に踏み切りました。

 市保健所によると、糖尿病患者は70歳代男性で昨年8月、新型コロナウイルスに感染し同病院から別の大学病院に転院。その後、神戸徳洲会病院に再入院しましたが、糖尿病の治療に用いられるインスリンの投与などが適切に行われず、同9月に死亡しました。主治医は外科医の新保雅也院長で、電子カルテに記載された持病を見落としました。

 遺族には死因を肺炎と説明したものの、市の立ち入り調査後に不十分な血糖値のコントロールが死因の可能性があると説明し直しました。院内の医療安全対策委員会で医療事故かどうか調査したものの、結論を出しませんでした。

 今年1月には市内の福祉施設から心肺停止状態で搬送された90歳代男性に血圧を上昇させる薬剤を投与していた際、追加が必要な状況で薬剤の準備ができず投与が間に合わない間に男性は死亡。また昨年10月に80歳代の男性患者が亡くなった経緯で院内から検証を求める意見が出たものの調査しなかったほか、複数の患者の電子カルテで記載漏れが確認されたといいます。

 市保健所は、「必要な調査を適切に実施しておらず、組織体制を含めた抜本的な見直しが必要」と指摘。病院側に3月上旬までに改善計画書の提出を求め、従わなければ一部業務停止などの罰則の対象となります。

 同病院の担当者は、「指導を受けている中で死亡事案が続いたことは重く受け止めている。改善命令には真摯に、適切に対応していく」とコメントしました。同病院は3月末まで、救急車による患者の受け入れを停止するといいます。

 2024年2月20日(火)

🟧スギ人工林の2割に当たる98万ヘクタールを「重点区域」に設定 花粉症対策で植え替え・伐採

 林野庁は19日までに、花粉症対策を推進するスギ人工林の「重点区域」として、香川、沖縄両県を除く45都道府県の97万8563ヘクタールが設定されたと公表しました。全国に440万ヘクタールあるスギ人工林の面積の2割に当たります。

 今後は各自治体が中心となって、花粉の発生が少ないスギの苗木への植え替えや伐採を進めます。農林水産省は2023年度の補正予算などを活用し、重点区域で林道の整備や植え替えにかかる人件費などの費用を補助します。

 重点区域の設定は、政府が昨年10月にまとめた花粉症対策に関する「初期集中対応パッケージ」の1つ。人口20万人以上の都市部から50キロ圏内に位置するエリアなどを対象としました。都道府県から報告を受けた民有林(私有林と自治体などの公有林の合計)89万7050ヘクタールと、その近隣にある国有林8万1513ヘクタールが区域に決まりました。 

 都道府県別にみると、愛知県が5万ヘクタールと最も広く、千葉県や京都府などの都市圏も3万ヘクタール以上が設定されました。

 2024年2月20日(火)

2024/02/19

🟧合成麻薬LSDに似た成分含む製品など6種類、販売禁止命令 厚労省

 合成麻薬のLSDに似た成分が入った製品など6種類について、厚生労働省は19日、全国の店舗やインターネットでの販売を禁止する命令を出しました。

 販売禁止となったのは、合成麻薬のLSDに似た「1DーLSD」の名称で流通している薬物の入った3製品と、大麻に類似した「HHCPO」が含まれる3製品です。

 厚労省によりますと、今年1月、「1DーLSD」を含むとみられる製品を摂取した20歳代男性が錯乱状態となるなど、健康被害が報告されているということです。

 こうした状況を受け、厚労省は指定薬物以外の成分でも生産や流通を広域的に規制する必要があるとして、19日付けで医薬品医療機器法に基づき、全国の店舗やインターネットでの販売を禁止する命令を出しました。

 法律で規制されている薬物に似た成分が含まれる危険ドラッグを巡っては、昨年、大麻に似た成分が入った製品を摂取した後、病院に搬送されるなど体調不良を訴えるケースが相次ぎ、厚労省は昨年12月にグミやクッキーなどの38製品の販売を禁止していて、19日に6製品を追加したことで販売を禁止したのは44製品になりました。

 厚労省は販売を禁止した製品に入っている成分について、指定薬物として規制対象にすることも検討しています。

 2024年2月19日(月)

🟧厚労省が飲酒に関する初のガイドラインを決定 高血圧、少量でもリスク増

 厚生労働省は19日、飲酒に伴うリスクを周知し健康障害を防ぐため、飲酒に関する初の指針「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を正式決定しました。疾患ごとに発症リスクが高まる酒量を純アルコール量換算で示し、適量を心掛けるよう呼び掛けています。高血圧などは少量でもリスクが上がると警告しました。

 ガイドラインは、生活習慣病リスクを高める純アルコール量の参考値として「男性1日40グラム以上、女性20グラム以上」を提示。20グラムはビール中瓶1本(500ミリリットル)、日本酒1合(180ミリリットル)に相当します。

 発症リスクが高まる量として、大腸がんは男女ともに1日20グラムとしました。ただ、高血圧や男性の食道がん、女性の出血性脳卒中などは、少しでも飲むと発症リスクが高まる恐れがあると指摘。「より少ない飲酒量とすることが望まれる」と強調しました。 

 健康への配慮として、あらかじめ量を決めて飲む、飲酒前や飲酒中に食事を取る、合間に水を飲む、1週間のうち飲酒しない日を設ける、などが必要と説明しました。短時間の大量飲酒や他人への強要、不安や不眠を解消するための飲酒は避けるよう求めました。

 厚労省などによると、成人1人当たりの酒類の消費量は1992年をピークに減っている一方、アルコール依存症の総患者数は2017年時点で4・6万人と、1996年の4・7万人と同水準となっています。

 2024年2月19日(月)

2024/02/18

🟧高い枕で寝る人ほど脳卒中の発症率が高い 循環器病研究センターが発見

 国立循環器病研究センターの研究チームは、枕の高さが高い人ほど脳卒中の原因となる「特発性椎骨動脈解離」の発症リスクが高いことを発見しました。首が曲がることなどで負荷がかかりやすくなり、発症につながる可能性があるといいます。枕を低くすることで予防につながるとみています。

 特発性椎骨動脈解離は首の後ろ側にある「椎骨動脈」という血管が裂けてしまう病気のうち、原因が詳しくわからないタイプを指します。若者や中年で脳卒中が起きる原因の1つとみられています。

 研究チームは、特発性椎骨動脈解離の患者の一部が極端に高い枕を使うことに着目しました。この病気の患者約50人と他の病気の患者約50人について、発症時の枕の高さで分類しました。

 高さ12センチメートル未満の普通の枕を使うグループのうち、特発性椎骨動脈解離の患者は約4割でした。だが高さ15センチメートル以上の高い枕を使うグループでは、この病気の患者が約9割を占めました。こうした関係を詳しく調べ、枕が高いことと病気の発症リスクが関連することを突き止めました。こうした関係は枕が硬いほど顕著だといいます。

 枕が高いと首が曲がって負荷がかかり、さらに寝返りの時にも負荷がかかりやすくなり、発症につながる可能性があるといいます。

 研究チームは、「何げない睡眠習慣が脳卒中のリスクになり得ることを認識してもらい、予防につなげてほしい」と話しています。

 2024年2月18日(日)

🟧医師免許ない臨床工学技士が手術で皮膚を縫合、山形済生病院に保健所が立ち入り検査

 山形市沖町にある山形済生病院で2021年1月~2022年4月に、整形外科の手術中に、臨床工学技士が皮膚の縫合を行っていたことがわかりました。医師法は医師免許のない者による医療行為を禁じており、同市保健所が昨年12月、同法に抵触する可能性があるとして病院に立ち入り検査を行いました。

 石井政次院長によると、臨床工学技士は2021年1月~2022年4月、医療機器の操作のため十数件の手術に参加。整形外科の執刀医の指導のもと、皮膚の縫合を複数回行ったといいます。病院は、手術を受けた患者全員に事情を説明しました。健康被害は確認されていないとしています。

 皮膚の縫合を行った臨床工学技士は、医師の負担軽減のための業務分担と認識しており、医師法に違反するとの認識はなかったといいます。

 石井院長は、「コンプライアンスを徹底するよう、全職員に通達した。今後の管理を徹底したい」と話しました。

 また、山形済生病院はホームページで、「病院の業務管理が不十分であったことが一因で、今後、このような事案が起こらないよう院内体制を整備し、再発防止を徹底します。患者様にはご心配をおかけしていることを深くおわび申し上げます」とコメントしています。

 2024年2月18日(日)

🟪「がん予防」うたう再生医療で敗血症、厚労省がクリニック運営法人などに改善命令

 医療法人輝鳳(きほう)会(東京都豊島区)が運営する医療機関で自由診療の再生医療を受けた2人が敗血症となった事案で、厚生労働省は24日、再生医療安全性確保法に基づき、輝鳳会と都内の医療機関代表2人に対し、再発防止策の策定などを求める改善命令を出しました。調査では複数の法令違反や...