福井大学の研究チームは6日、大腸がんが発症するメカニズムを解明したと発表しました。特定の遺伝子の変異によってタンパク質の複合体が活性化することが原因だとして、それを抑える薬の開発が、がんの治療に有効だとしています。
福井大学医学系部門の青木耕史教授(薬理学)らのチームは、6日福井市で記者会見を開き、大腸がんの発症を引き起こすメカニズムを解明したと発表しました。
それによりますと、「APC遺伝子」と呼ばれる遺伝子が変異し、「PAF1」というタンパク質を仲介してタンパク質の複合体が活性化することで、大腸がんのもととなるがん幹細胞が生まれやすくなるということです。
これまで、遺伝子の変異ががんの発症につながっていることは判明していたものの、がん幹細胞を生み出す詳しい過程はわかっていなかったということです。
研究チームは、遺伝子の変異で起きるタンパク質の複合体の活性化を抑える薬をマウスに投与したところ、がんの発症につながる腫瘍ができにくくなったということです。
国立がん研究センターによりますと、2019年に大腸がんが確認された人は全国で15万5000人余りで、がんの中では最も多くなっています。
青木教授は、「これまでの薬物治療ではがん幹細胞が残って再発が起きる可能性があった。研究を通じて幹細胞を抑えてがんが再発しなくなるような治療薬の開発に貢献したい」と話していました。
この研究の成果は、イギリスの科学誌に1月に掲載されたということです。
2024年2月25日(日)