2024/02/25

🟧大腸がんの発症メカニズム解明、福井大学の研究チーム

 福井大学の研究チームは6日、大腸がんが発症するメカニズムを解明したと発表しました。特定の遺伝子の変異によってタンパク質の複合体が活性化することが原因だとして、それを抑える薬の開発が、がんの治療に有効だとしています。

 福井大学医学系部門の青木耕史教授(薬理学)らのチームは、6日福井市で記者会見を開き、大腸がんの発症を引き起こすメカニズムを解明したと発表しました。

 それによりますと、「APC遺伝子」と呼ばれる遺伝子が変異し、「PAF1」というタンパク質を仲介してタンパク質の複合体が活性化することで、大腸がんのもととなるがん幹細胞が生まれやすくなるということです。

 これまで、遺伝子の変異ががんの発症につながっていることは判明していたものの、がん幹細胞を生み出す詳しい過程はわかっていなかったということです。

 研究チームは、遺伝子の変異で起きるタンパク質の複合体の活性化を抑える薬をマウスに投与したところ、がんの発症につながる腫瘍ができにくくなったということです。

 国立がん研究センターによりますと、2019年に大腸がんが確認された人は全国で15万5000人余りで、がんの中では最も多くなっています。

 青木教授は、「これまでの薬物治療ではがん幹細胞が残って再発が起きる可能性があった。研究を通じて幹細胞を抑えてがんが再発しなくなるような治療薬の開発に貢献したい」と話していました。

 この研究の成果は、イギリスの科学誌に1月に掲載されたということです。

 2024年2月25日(日)

2024/02/24

🟧医薬品の供給停止や出荷制限の情報、4月からホームページで公表 厚労省

 風邪薬やせき止めなどの医薬品の供給不足が長引く中、厚生労働省は今年4月から、薬の供給停止や出荷制限についての情報をホームページで随時公表することになりました。医療機関や薬局が代わりの薬を確保するなどの対策を取るための情報として役立ててもらうことにしています。

 医薬品を巡っては、2020年末以降、ジェネリック医薬品(後発薬)メーカーによる不祥事が相次ぎ、業務停止命令などで生産量が減少したことなどを切っ掛けに供給不足が続いています。

 現在は、日本製薬団体連合会が供給情報をホームページで公開していますが、1カ月に1度の更新で、即時の情報は反映できず、直近の薬の供給状況を医療機関などが把握できないことが課題になっていました。

 こうした状況を受けて、厚労省は今年4月から、医師が処方する医薬品のうち、供給が停止したり、出荷に制限がかかった薬の情報をホームページで随時公表することになりました。 

 医療機関や薬局が、代わりの薬を確保するなどの対策を取るための情報として役立ててもらうほか、厚労省も供給状況を見極めた上で、代わりになる薬を作っているメーカーに増産を依頼することにしています。

 日本製薬団体連合会の調査によりますと、今年1月末時点で、1万7905品目の医薬品のうち、25・9%に当たる4629品目で出荷量を調整する「限定出荷」や「供給停止」が行われ、依然として多くの医薬品の供給が不安定で、医療機関や薬局で、必要な医薬品の入手が困難な状況が続いているということです。

 2024年2月24日(土)

🟧子供の花粉症、この10年で増加 小学生のほぼ半数に症状

 子供の花粉症について製薬会社が保護者を通じてアンケート調査を行ったところ、花粉症とみられる症状がある16歳以下の子供は全体の40%余りに上ることがわかりました。10年前の同様の調査と比べて、およそ10ポイント増えているということです。

 この調査はロート製薬が1月に、0歳から16歳までの子供の保護者を対象にインターネットを通じて行ったもので、7131人から回答を得ました。

 それによりますと、子供が「花粉症の診断を受けている」と回答した人が21・8%、「花粉症だと思う」と回答した人が20・8%で、合わせて42・6%が、子供に花粉症や花粉症とみられる症状があると回答したということです。

 10年前に行われた同様の調査では32・7%だったということで、今回は9・9ポイント増えていました。

 また、このうち小学生については、花粉症や花粉症とみられる症状があったのは47・4%と、ほぼ半数に上っていたということです。

 勉強に集中できないなど日常生活への影響もみられました。専門家は生活環境の変化に加え、親の花粉症発症率の高さも要因と指摘しています。

 調査結果について、日本医科大学医学部耳鼻咽喉科の大久保公裕教授は、「室内で遊ぶことが増えるなど、環境の変化によってアレルギーになる子供が増えていると思う。治療を受けないと毎年悪化していくので、顔を触るしぐさや、くしゃみを連発するなどの症状があれば一度、医療機関で検査をしてほしい」と話していました。

 2024年2月23日(金)

2024/02/23

🟧有機フッ素化合物「PFAS」、暫定目標値の300倍検出 東広島市の井戸水から

 広島県東広島市は22日、市内の井戸水から、健康への影響が懸念される有機フッ素化合物の「PFAS(ピーファス)」が国の暫定目標値(1リットル当たり50ナノグラム)の300倍に当たる濃度で検出されたと発表しました。市は県とともに発生源の調査のためとして、近くにあるアメリカ軍施設に関する情報の公表などを国に要望しています。

 市は、昨年11月に市内にあるアメリカ軍の川上弾薬庫近くの瀬野川下流で目標値を超す濃度のPFASが検出されたことなどを受け、今年1月に付近の井戸水について、計58地点で調査しました。

 その結果、15地点の井戸水から暫定目標値を超す濃度のPFASが検出されたといいます。そのうち、瀬野川上流の水路近くの井戸水から暫定目標値の300倍の1リットル当たり1万5000ナノグラムの値が検出されました。

 井戸水は飲用されており、市は専門家らによる委員会を立ち上げて汚染範囲の特定を進める方針。数値が高かった井戸を利用する世帯の希望者を対象に、健康診断をすることも検討しています。

 記者会見した高垣広徳市長は、「発生源の特定が課題だ」と述べました。

 国内ではアメリカ軍基地の周辺で、高濃度のPFASが検出される例が出ています。市は19日に防衛相に要望書を提出し、アメリカ軍に対して川上弾薬庫に関する情報の公表や対応を要求するよう求めました。また、国に対して発生源の調査も要望しています。

 2024年2月23日(金)

2024/02/22

🟧精神疾患で休職の自治体職員、10年前の1・8倍 目立つ20歳代と30歳代

 2022年度に精神疾患など「精神および行動の障害」で1カ月以上休んだ自治体職員は、10万人当たり換算で2143人(2・1%)だったことが17日、地方公務員安全衛生推進協会の調査で明らかになりました。1993年度の調査開始以降で初めて2000人を上回り、10年前の約1・8倍になりました。年齢別では、20歳代と30歳代が平均を上回りました。

 総務省幹部は、「昔に比べて職員1人当たりの仕事量が増え、デジタル対応や感染症対策など内容も複雑になっている」と業務負担が重くなっていると分析しました。職場の余裕が失われて若手の教育に手が回らないほか、行政に対する過度なクレームなどハラスメントも影響している可能性があるとしています。

 2024年2月22日(木)

🟧新出生前診断で新ルール、検査対象拡大時は学会が意見 

 妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる新出生前診断について、こども家庭庁の専門委員会は21日、検査対象を広げる際には、日本医学会の認証施設が臨床研究として実施し、事前に日本産科婦人科学会など3学会に意見を求めて必要な対応をすることとするルール案をおおむね了承しました。

 新出生前診断は、ダウン症などの原因になる3種類の染色体異常の有無を判定する検査。認証施設で実施されるものの、3種類以外の病気に対象を広げて検査する無認証施設が多くなっています。3種類以外の検査は妥当性が検証されていないため、臨床研究として進める必要があります。

 ルール案では、検査対象を拡大する場合、遺伝カウンセリングなどのサポート体制が整備された認証施設の研究者が事前に日本産科婦人科学会、日本人類遺伝学会、日本小児科学会に研究計画を提出し、各学会の意見を踏まえて必要な対応をした上で、実施施設で審査することを求めました。

 また胎児の病気を早期発見し、治療につなげることを念頭におくこととしました。

 無認証施設で臨床研究をせずに不十分なカウンセリング体制などで検査し、妊婦が混乱する実態が指摘されていました。

 2024年2月22日(木)

2024/02/21

🟧給湯器の点検商法に関する相談が9カ月で3倍に急増 国民生活センターが注意喚起

 電話や訪問で給湯器を点検すると持ち掛け、「古くて危険な状態だ」などと不安をあおり、高額な給湯器へ交換するよう迫られたなどといった相談が相次いでいるとして、国民生活センターが注意を呼び掛けています。

 国民生活センターによりますと、全国の消費生活センターなどに寄せられた「給湯器の点検商法」に関する相談は、昨年4月から12月までの9カ月間で1099件に上り、前の年の同じ時期と比べておよそ3倍に増えています。

 具体的な事例としては、80歳代の男性が業者の給湯器点検の訪問に応じたところ、「古くて危ないので交換が必要だ」などといわれおよそ30万円の契約をしたものの、ガス会社に改めて見てもらったら「交換の時期ではなく費用も高額だ」といわれたという相談や、60歳代の女性の自宅に知らない業者が「ガス給湯器の無料点検だ」といって訪れ、「劣化していて火災の心配もある。今なら割引きできる」としてその場でおよそ30万円の契約をしてしまったなどといった相談が寄せられているということです。

 平均の契約金額はおよそ45万円で、契約した人の7割余りが70歳代以上の高齢者だったということです。

 相談の中には、「自治体から委託を受けた」「契約中のガス会社から依頼を受けた」などと身分を偽って点検を持ち掛けたケースもあったということです。

 国民生活センターでは、電話や訪問で点検を持ち掛けられても安易に点検させず、点検したい時には契約先などに自分で連絡することや、点検を受けてもその場では契約しないこと、それに、不安なことがあれば「消費者ホットライン」の「188(いやや)」などに相談するよう呼び掛けています。

 国民生活センター相談第1課の藤田樹さんは、「こうした点検商法はこれまで屋根の工事に関するものが多かったが、行政処分が行われたり注意喚起が広がったりして給湯器にシフトしてきているのではと推測している。まずは突然の電話や訪問に対して点検させないことが大切で、不安に思ったら『188』などに気軽に相談をしてほしい」と話しています。

 2024年2月21日(水)

🟪「がん予防」うたう再生医療で敗血症、厚労省がクリニック運営法人などに改善命令

 医療法人輝鳳(きほう)会(東京都豊島区)が運営する医療機関で自由診療の再生医療を受けた2人が敗血症となった事案で、厚生労働省は24日、再生医療安全性確保法に基づき、輝鳳会と都内の医療機関代表2人に対し、再発防止策の策定などを求める改善命令を出しました。調査では複数の法令違反や...