2024/03/19

🟧認知機能低下による死亡リスク、「独居」の高齢者は「同居」の高齢者より低い 7万5000人を調査

 認知機能の低下や認知症は、将来の死亡リスクを高める要因として知られています。この関係に「孤立」がどう作用しているか調べたところ、1人暮らしの場合、同居の人がいるよりも、認知機能低下が死亡につながる関係性は弱かったとの意外な分析結果を、東京都健康長寿医療センター研究所の研究チームがアメリカの医学誌に発表しました。

 研究チームは、2015年に東京都足立区で自宅に居住し、認知症との診断を受けていない65歳以上の約7万5000人に、認知機能や世帯構成、他者との交流頻度などに関するアンケートに答えてもらいました。このデータを、区の協力で得たその後5年間の死亡情報と突き合わせて、認知機能低下と死亡リスク、孤立の状況の関係を分析しました。

 その結果、調査時に認知機能が低下していた人は、していなかった人と比べて、5年後までの死亡リスクが1・37倍高くなりました。特に、他者との交流が少ない人の死亡リスクは1・60倍と高く、交流が多い人は1・24倍と低くなりました。

 誰かと同居している場合、認知機能低下による死亡リスクは1・43倍だったのに対し、独居の人の認知機能低下による死亡リスクは1・13倍と低くなりました。

 調査結果をまとめた社会参加とヘルシーエイジング研究チームの村山洋史研究副部長は、「認知機能が低下すると死亡リスクが高まり、他者との交流が少ないとますますリスクが高まるが、独居は必ずしもそうではない。家事を独りでできるなど、生活力があるから独居できていることもある。孤立の実態を注意深く把握し、支援やケアの在り方に役立てるべきだ」と話しています。

 2024年3月19日(火)

2024/03/18

🟧環境省がPFAS除去の指針を策定へ 各地の健康懸念受け

 発がん性が指摘される有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」を巡り、水道水や生活用水の水源などで高濃度で検出された場合の具体的な除去技術をまとめた指針を環境省が夏ごろ策定することが16日、わかりました。国の暫定目標値を超えるPFASが各地で相次ぎ検出されて、健康への影響が懸念されており、自治体などが取るべき対応を明確にします。

 汚染が確認された岐阜県各務原市や沖縄県宜野湾市では、活性炭などを使った除去の実証を進めており、知見を指針に反映させます。最新の研究事例も盛り込む方針で、環境省の専門家会議で議論します。

 活性炭は低コストで多用途に使える除去技術として、PFAS除去でも利用が拡大。だが岡山県吉備中央町の浄水場汚染は、野ざらしで保管された使用済みの活性炭からPFASが流出したのが原因とみられており、政府関係者は「活性炭使用後の適切な処理の徹底を同時に図る必要がある」と強調しています。

 PFASはフライパンのコーティングや航空機用の泡消火剤など幅広く使われてきました。極めて分解されにくく、環境中に出ると長期間残留して人の体内などに蓄積。発がんリスクやコレステロール値の上昇、免疫機能への悪影響などが懸念されています。

 2024年3月18日(月)

2024/03/17

🟧大阪名物「551の豚まん」19万6600個を自主回収 16日に販売した一部商品に樹脂片が混入

 大阪名物の豚まんなどを製造販売する551蓬莱(大阪市浪速区)は17日、16日に販売した商品の一部に樹脂片が混入していたと発表しました。健康被害を訴える情報はないものの、同社は16日に販売した「豚まん」「チルド豚まん」約19万6600個の自主回収を進めています。

 同社によると、工場の従業員が16日正午ごろ、チルド用の豚まんに使用するあんに樹脂片が入っているのを見付けました。タマネギを洗浄してカットする機械に取り付けている水はね防止カバーの一部が欠けて欠けており、混入したと判断。午後6時には販売を中止したものの、すでに20店舗以上に具が納入されており、9人の客から樹脂片の混入が報告されました。

 同社は「深くおわび申し上げます。今後このような事態が発生することのないよう、一層の管理体制の強化に努め、万全を尽くします」などとコメントしています。

 店舗への持ち込みか郵送で回収し、返金または交換に応じます。問い合わせは551蓬萊品質管理室(電話06・6567・0551)。

 2024年3月17日(日)

2024/03/16

🟧新型コロナ患者数、5週連続減少 インフルエンザ患者数は増加に転じる

 厚生労働省によりますと、3月10日までの1週間に全国約5000の定点医療機関から報告された新型コロナウイルスの患者数は、前の週から2252人減って3万2236人となりました。

 また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は6・53人で、前の週の0・93倍でした。前の週から減少が続くのは5週連続となります。

 都道府県別では、多い順に宮城県が12・1人、新潟県が11・94人、山形県が11・16人、岩手県が10・9人、青森県が10・5人など。少なかったのは東京都4・25人、大阪府4・34人などでした。31都道府県で前の週より減少しています。

 3月10日までの1週間に、全国約500の定点医療機関から報告された新たに入院した患者の数は2290人で、前の週と比べて139人の減少でした。

 厚労省は全国の流行状況について、「全国でみると減少傾向が続いているものの、減少幅は緩やかな傾向にある。引き続き感染対策を行ってほしい」としています。

 国立感染症研究所などによりますと、3月10日までの1週間に全国約5000カ所の定点医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は、前の週より1万760人多い7万9643人だったということです。

 1医療機関当たりでは、全国で16・14人と前の週から2・18人増え、4週間ぶりに増加に転じました。

 都道府県ごとの1医療機関当たりの患者数は、石川県が37・10人、北海道が35・01人、新潟県が31・79人、山形県が28・28人、富山県が26・21人などとなっています。

 こうしたデータを基に推計されるこの1週間の全国の患者数は約47万人で、昨年9月4日以降の累積の患者数は約1636万6000人と推計されています。

 また、直近5週間に検出されたウイルスを分析すると「B型」のインフルエンザが77%で、最も多くなっているということです。

 日本感染症学会のインフルエンザ委員会で委員長を務める倉敷中央病院の石田直副院長は、「気温の低い日が全国的に続き、患者の増加に影響しているとみられる。例年であれば今月から来月にかけて減っていく見込みだが、『B型』に免疫がない人が多く急には減少しないと考えられるので、引き続き感染対策を続けてほしい」と話していました。

 2024年3月16日(土)

2024/03/15

🟧新型コロナワクチン費用助成で自己負担7000円に 4月以降、高齢者らの定期接種

 65歳以上の高齢者らを対象に2024年度から始まる新型コロナウイルスワクチンの定期接種を巡り、厚生労働省は15日、自己負担額が7000円程度になるよう費用を助成すると発表しました。厚労省は、「負担が急激に増えないように検討した」と理由を説明。定期接種の対象者は3600万人程度と想定し、対象外の人は原則自費で打つ任意接種となり、国の助成は適用されず、費用は医療機関などによって異なる見通し。

 厚労省によると、各メーカーから非公開で聴取した希望価格を基に、ワクチン代を「1万1600円程度」と算出。医療者の手技料を含む接種費用は「1万5300円程度」とし、超過分の8300円を市町村に支給します。2025年度以降も支給を続けるかは未定といいます。

 新型コロナワクチンは3月末まで「特例臨時接種」として無料で打てるものの、4月以降は65歳以上の高齢者と60~64歳で基礎疾患がある人を対象に年1回秋冬に打つ定期接種となり、自己負担が生じることになっていました。

 生活保護の受給者など低所得者は、無料で接種を受けられるよう、国が市町村に交付金を出します。

 日本では2021年2月に、新型コロナワクチンの接種が始まりました。首相官邸によると、3月12日公表時点の累計接種回数は約4億3500万回。2023年秋以降の接種率は22・3%となっています。

 2024年3月15日(金)

2024/03/14

🟧同性婚認めないのは憲法違反、札幌高裁 2審での違憲判断は初

 同性同士の結婚が認められていないのは憲法に違反するとして、北海道に住む同性のカップルが国を訴えた裁判で、2審の札幌高等裁判所は憲法に違反するという判断を示しました。

 札幌市など北海道に住む3組の同性のカップルは、同性同士の結婚を認めていない民法などの規定は、婚姻の自由や法の下の平等を定めた憲法に違反すると主張し、国に賠償を求める訴えを起こしていました。

 3年前、1審の札幌地方裁判所は、「差別的な扱いだ」として法の下の平等を定めた憲法に違反するという初めての判断を示した一方で、国に賠償を求める訴えは退け、原告側が控訴していました。

 2審で原告側は、「民法などの規定の合理性が疑わしい状況であることは明白だ」などと訴えていました。これに対し国は、「憲法は異性間の結婚を前提としている」などとして争っていました。

 14日の判決で、札幌高等裁判所の齋藤清文裁判長は憲法に違反すると判断しましたが、国に賠償を求める訴えは退けました。

 同様の集団訴訟は全国5カ所で起こされていて、1審では憲法違反と判断されたケースがありましたが、2審では初めてです。

 同性のカップルなどが結婚が認められないのは憲法に違反するとして国に賠償を求める集団訴訟は、全国5カ所で6件、起こされています。

 これまで賠償を認めた判決はありませんが、憲法判断は分かれていて、今日の札幌高等裁判所と東京地方裁判所を含めて「違憲」が3件、「違憲状態」が3件、憲法に違反しない「合憲」が1件となっています。

 2024年3月14日(木)

2024/03/13

🟧5歳未満の男児がはしか感染、東京都内で今年3人目 南アジアから帰国後発症

 東京都は12日、都内に住む5歳未満の男児がはしかに感染したことが確認されたと発表しました。

 都によると、男児は2月下旬に家族と南アジアから帰国し、3月3日午後、足立区の「びっくりドンキー足立東和店」を利用し、3月4日に発熱しました。最初に受診した医療機関では、はしかと診断されなかったものの、その後、発疹の症状が出たため、9日に別の医療機関を受診したところ、はしかと診断されました。入院中ですが、快方に向かっているといいます。

 都内でのはしかの確認は今年3人目。

 はしかは、発熱や発疹が出るウイルス性の感染症で、感染力が極めて強く、肺炎や脳炎など重い合併症を引き起こすなど重症化する場合もあります。

 都は、はしかは予防接種で防げる病気で、1歳の時と、小学校に入学前の1年間の合わせて2回ワクチンを接種することが必要だとしていますが、昨年度の都内の2回目の接種率は92・0%と、前年より1・2ポイント下がって集団免疫を得る目安となる95%を下回っています。

 都は、昨年の夏、ヘルパンギーナや咽頭結膜熱など主に子供がかかる感染症が流行したことから、保護者が医療機関での接種を控えるケースが増えたことが要因とみています。

 都の担当者は、「2回目の接種は、小学校就学前の3月まで公費負担で受けられるので、対象の人は早期の接種を検討してほしい」と呼び掛けています。

 2024年3月13日(水)

🟪新型コロナ、沖縄県が独自で注意喚起へ 流行時に「拡大準備情報」を発出 

 沖縄県は19日、新型コロナウイルス感染症の流行が疑われる場合、県独自で「新型コロナ感染拡大準備情報」を発出すると発表しました。新型コロナについては、過去の感染データの蓄積が乏しいことなどから、国がインフルエンザのような注意報や警報の発令基準を設けていない一方、重症化する高齢者...