2024/06/19

🟧旧大口病院患者殺害、元看護師に1審に続き無期懲役 東京高裁

 横浜市の病院で入院患者3人の点滴に消毒液を混入して殺害した罪などに問われた元看護師に対し、東京高等裁判所は1審に続き無期懲役を言い渡しました。

 横浜市神奈川区の旧「大口病院」の元看護師、久保木愛弓被告(37)は、8年前の2016年9月、70歳代から80歳代の入院患者3人の点滴に消毒液を混入し、殺害した罪などに問われています。

 1審の横浜地方裁判所は3年前、起訴された内容を認定した上で、「立ち直りの可能性が認められる」などとして無期懲役を言い渡し、検察と弁護側の双方が控訴していました。

 19日の判決で、東京高等裁判所の三浦透裁判長は、久保木元看護師に対し、1審に続いて無期懲役を言い渡しました。

 これまでの裁判では、久保木元看護師の責任能力と刑の重さが争点となっていました。

 1審の横浜地方裁判所は、久保木元看護師の当時の精神状態について「自閉スペクトラム症の特性を有し、うつ状態と認められるが、完全責任能力があった」と判断し、責任能力が限定的だったとする弁護側の主張を退けました。

 一方で、刑の重さについては「患者が亡くなった際に家族にどなられて強い恐怖を感じた。ストレスをため込み、一時的な不安軽減のため、患者を消し去るほかないと考えた。こうした動機の形成過程は被告のために考えるべき事情と言える。立ち直りの可能性もあり、死刑を選択するのはちゅうちょを感じざるをえない」として、無期懲役を言い渡しました。

 検察と弁護側の双方が控訴し、2審で検察は「3人を殺害した事件であり、死刑を回避すべき事情はない」などと主張したのに対し、弁護側は死刑にすべきではないと主張していました。

 久保木愛弓被告は、神奈川県秦野市の県立高校を卒業後、看護の専門学校に通い、2008年に看護師の免許を取りました。

 1審の裁判では、看護師のイメージについて「患者の近くに寄り添い、不安や苦痛を取り除く素晴らしい仕事だと思いました」と述べていました。

 1審判決によりますと、免許を取った後に旧大口病院とは別の病院のリハビリ病棟や老人保健施設などに勤めましたが、患者が亡くなった際に同僚の看護師が遺族から責められているのを見てショックを受けるなどし、その後、抑うつ状態と診断されました。

 勤め先を辞め、事件が発覚する前の年の2015年に旧「大口病院」に採用されました。

 およそ1年後、夜勤中に救命措置をとった患者が亡くなる出来事があり、遺族から「看護師に殺された」などと、どなられることがあったということです。

 これを切っ掛けに、自分が勤務していない時間帯に患者が亡くなれば、患者の家族から責められるリスクが減ると考えるようになったと、1審判決は認定しました。

 1審の審理の最後、久保木元看護師は「身勝手な理由で大切な家族を奪ってしまい、申し訳なく思っています。死んで償いたいと思います」と述べていました。

 2024年6月19日(水)

2024/06/18

🟧研修医の誤診などで16歳男子高校生死亡 日赤名古屋第二病院、十二指腸閉塞

 名古屋市昭和区にある日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院は17日、昨年、腹痛やおう吐を繰り返した16歳の男子高校生を当初、研修医が急性胃腸炎と誤って診断し、その後も対応した医師らが適切な治療を行わなかった結果、男子高校生が死亡する重大な医療過誤があったと発表しました。

 名古屋第二病院によりますと、昨年5月28日の早朝、16歳の男子高校生が、腹痛やおう吐、下痢などを訴え、救急車で搬送されたということです。

 研修医が診察し、CT検査で胃の拡張を確認した一方、血液検査で脱水が疑われる数値が出ていたことを見逃し、上司の医師に相談せずに急性胃腸炎と診断して整腸剤などを処方し、帰宅させました。

 高校生は症状が改善しなかったため、同じ日の昼前に再び救急外来を受診しましたが、別の研修医も新たな症状はないと判断して、翌日、近くのクリニックを受診するよう指示したということです。

 高校生が翌朝クリニックを受診したところ緊急処置が必要だと判断され、改めて名古屋第二病院を受診した結果、十二指腸が閉塞(へいそく)する病気、上腸間膜動脈症候群(SMA症候群)の疑いと診断され、入院しました。

 しかし、医師や看護師らによる処置が適切に行われず翌日の未明に心停止となり、意識不明のまま、およそ2週間後の6月15日に亡くなったということです。

 名古屋第二病院は事故調査委員会を設置して調査した結果、十二指腸の閉塞に対して適切な処置が行われず、脱水への治療も遅れたことなどにより心停止となり死亡したと結論付けられたとして、遺族に対して謝罪したということです。

 亡くなった高校生の家族は、「何度も助けられる機会はあったのに見過ごされてしまいました。目の前で苦しんでいる人の声をもっとしっかり聞いてください。16歳の男の子の人生を突然終わらせてしまったこと、夢見ていた未来を奪ってしまったことを決して忘れないでください」とコメントしています。

 佐藤公治病院長は、「苦痛とおう吐に苦しむ患者に最後まで適切な対応をせず、未来ある患者を救うことができなかった。大変申し訳なく、心からおわび申し上げたい。職員一丸となって再発防止に努めていきたい」と話しています。

 2024年6月18日(火)

2024/06/17

🟧中学生の肥満、やせの割合増加 コロナ下での休校など影響か

 新型コロナウイルス感染症の流行が始まった2020年からの3年間で、環境の変化によるとみられる中学生の肥満の割合が男女ともに増えたとの分析結果を、国立成育医療研究センターなどのチームが14日までにまとめました。2022年には、やせの割合も増えていました。

 チームは、休校や外出自粛で運動の機会が減ったほか、流行の長期化によるメンタルヘルス(心の健康)や親の経済状況の悪化が影響した可能性があるとみています。

 チームは2015~2022年度に中学校を卒業した子供約40万人分の健診データを分析。「肥満」「やせ」「視力低下」などの項目について、新型コロナ流行前の2019年と、流行後の2020~2022年を比較しました。

 肥満は、2020~2022年に男子で0・31~0・88ポイント、女子で0・20~0・36ポイント増加。やせは2020、2021年に顕著な傾向はみられなかったものの、2022年に男子で0・21ポイント、女子で0・34ポイント増えました。

 視力低下は2020、2021年に男子で最大2・17ポイント、女子で1・43ポイント増加。男子は2022年も1・80ポイント増えていました。

 2024年6月17日(月)

2024/06/16

🟧アメリカ軍、新型コロナで偽情報流布 フィリピンで中国製ワクチンの不信あおる

 ロイター通信は14日、新型コロナウイルスが世界的に流行していた2020年春から2021年半ばにかけて、アメリカ軍が中国製ワクチンに対する不信をあおる宣伝戦をフィリピンなどで展開していたと報じました。ワクチン外交を通じた中国の影響力拡大に対抗するため、偽情報をソーシャルメディアで流布していました。

 アメリカ製も含むワクチン全体への信頼を損なうもので、対中戦略のために民間人を危険にさらしたとの批判が出ています。元情報機関幹部も、「一線を越えた」と非難しました。

 フィリピンでは当時、接種の遅れによる被害拡大が問題になっていました。アメリカ

軍はフィリピン人になりすまして、「新型コロナは中国からきた。ワクチンも中国からきた。中国を信用するな!」などとタガログ語でX(旧ツイッター)やフェイスブックに投稿しました。

 中央アジアや中東でも、イスラム教で禁忌される豚のゼラチンが中国製ワクチンに含まれているとの偽情報を広めました。

 ドナルド・トランプ前政権で始まった宣伝戦は続いたものの、ジョー・バイデン政権になって停止が命じられたといいます。

 2024年6月16日(日)

2024/06/15

🟧新型コロナ感染者、5週連続増加 沖縄県が最多、医療現場に負担

 厚生労働省は14日、全国に約5000ある定点医療機関に6月3日~9日に報告された新型コロナウイルスの新規感染者数は計1万9719人で、1定点当たり3・99人だったと発表しました。前週(3・52人)の約1・13倍で、5週連続で増加しました。昨年の同時期は1定点当たり5・11人でした。

 都道府県別の最多は沖縄県の19・58人で、引き続き突出しており、医療現場に負担がかかっています。ほかに多かったのは鹿児島県8・73人、北海道6・67人。少なかったのは福井県1・72人、香川県1・85人、三重県2・07人など。東京都4・07人、愛知県4・72人、大阪府2・38人、福岡県4・12人でした。36都道府県で増加しました。

 9日までの1週間に全国約500の定点医療機関から報告された新規入院患者数は1400人で、前週(1266人)から134人増加。集中治療室(ICU)に入院した患者は66人で、前週(61人)から5人増えました。

 2024年6月15日(土)

2024/06/14

🟧温浴施設で最大400倍のレジオネラ菌検出、1年以上報告せず営業 宮崎市のホテル

 ルートインジャパン(東京都品川区)は13日、宮崎市青島西1で運営するホテル「ルートイングランティアあおしま太陽閣」内の温浴施設で基準値以上のレジオネラ菌が検出されたのに、宮崎市保健所に1年以上報告せず営業していたと発表しました。検出されたのは基準値の最大400倍でした。客らの健康被害は確認されていないとしています。

 同社によると、温浴施設は「健康ランド華の湯」。施設では衛生に関する管理要領などに基づき全浴槽で年2回以上、水質検査をしており、2023年3月、4月、9月、2024年2月、5月の検査でいずれも基準値以上のレジオネラ菌を検出しました。検出されたのは2023年3~9月は基準値の最大2倍、2024年2月は最大46倍、同5月は400倍でした。

 市の条例では、基準値を超えた場合には保健所に届け出て、指導に沿った配水管などの洗浄消毒を行い、再び基準値を超える菌が検出されないことの確認を求めています。施設では保健所に報告せず、独自に消毒洗浄し、陰性確認を行わないまま営業を再開していました。

 2023年度の水質検査結果を提出していないとして市保健所から複数回提出を求められたものの、その後も未提出で、市保健所から6月11日、立ち入り検査を受けたといいます。

 健康ランド華の湯は現在、営業を停止しているといいます。

 ルートインジャパンは、「保健所の指導のもと、より安心・安全な施設運営に努める」としています。

 2024年6月14日(金)

2024/06/13

🟧全国で初の猛暑日観測の福島県、会津坂下町で80歳女性が死亡 熱中症か

 日本列島は12日、高気圧に覆われて晴れ、広い範囲で気温が上昇しました。福島地方気象台によると、福島県内では伊達市梁川町で35・2度を観測、今年に入り全国で初めて、最高気温が35度以上の猛暑日となりました。

 全国914の観測地点のうち、30度以上の真夏日となったのは、梁川町を含めて326地点。

 県内では福島市で33・8度、喜多方市で33・7度、会津若松市で33・5度となるなど、30ある観測地点のうち21地点で今年最高を更新しました。

 一方、会津若松地方消防本部によると、12日午後3時50分ごろ、会津坂下町の畑で「女性が倒れている」と近隣の男性から119番通報がありました。女性(80)は心肺停止の状態で見付かり、その場で死亡が確認されました。熱中症とみられ、県によると、県内で熱中症の疑いによる死者は今年初めてといいます。

 県内ではこのほか、熱中症による搬送が相次ぎました。各消防本部の午後5時現在のまとめによると、福島、郡山、いわき、伊達、猪苗代、中島の6市町村で計7人が熱中症の疑いで病院に搬送されました。いずれも軽症とみられます。

 気象台によると、13日の県内も晴れや曇りの予想で、昼ごろから激しい雨になる所もある見込み。予想最高気温は福島市と会津若松市で32度、郡山市で30度などで、13日も真夏日の場所がある見通し。

 2024年6月13日(木)

🟩愛知県の岡崎市民病院、投薬量誤り70歳代男性死亡 1000万円の賠償支払いで遺族と和解へ

 愛知県の岡崎市民病院は、2023年6月に入院していた70歳代の男性が脳出血で死亡した原因に投薬ミスがあったとして、遺族に1000万円を賠償して和解することになったと発表しました。  これは、岡崎市民病院が16日に会見を開いて明らかにしました。  それによりますと、愛知県幸田町...