2024/12/01

🟪イギリス議会下院「安楽死」法案、予想外の大差で賛成多数 余命6カ月未満の18歳以上対象

 イギリス議会下院(定数650)で11月29日、終末期患者の「安楽死」を認める法案を巡る1回目の採決が行われ、賛成多数で法案審議が次の段階に進むことになりました。2015年に同様の法案が提出された際は反対多数で廃案となりました。世論は安楽死容認派が多く、法制化されるかどうか注目が集まっています。

 法案は議員立法の形で、与党・労働党の議員が提出しました。余命6カ月未満の18歳以上の患者が、医師から処方された薬物を服用して命を絶つことを認めます。患者の明確な意思があることなどを2人の医師が確認した上で、裁判官が最終的に判断します。

 賛否が拮抗(きっこう)するとの見方もありましたが、採決の結果は賛成330、反対275。イギリス国民の間では安楽死を受け入れる考えが広まっている模様で、調査会社ユーガブが11月19、20日に実施した世論調査では法案への賛成は73%で、反対は13%でした。

 一方、採決前の討論では、家族などに負担をかけたくないとの思いから安楽死を選ぶ人が増えるといった反対意見が出ました。今後の審議で条文は修正される可能性があり、下院での法案採決は来年になる見通し。法案成立には上院に当たる貴族院も通過する必要があります。

 安楽死には、医師が患者に薬物を投与する「積極的安楽死」もあります。イギリスBBCによると、安楽死はオランダやベルギー、スペイン、カナダ、アメリカの一部の州などで合法化されています。

 ロンドン中心部のイギリス議会の前では、議員たちに自らの声を直接届けようと、法案に賛成と反対、それぞれの立場をとる合わせて数百人が集まりました。

 賛成派が掲げたプラカードには「幸福な人生には、幸福な死を」などという主張が、反対派のプラカードには「死ぬためではなく、生きるための支援を」などという訴えがそれぞれ書かれていました。

 2024年12月1日(日)

2024/11/30

🟩全国14カ所の水道でPFAS基準超え、2020〜2023年度 2024年度はゼロ

 環境省と国土交通省は29日、健康への悪影響が指摘される有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」のうち「PFOS(ピーフォス)」「PFOA(ピーフォア)」について、全国の水道事業者が実施した水質検査の結果をとりまとめました。2020年度から2023年度にかけ、全国の14カ所において、PFOSとPFOAの合計で1リットル当たり50ナノグラム(ナノは10億分の1)という国の暫定目標値を一時的に上回っていたことがわかりました。

 2024年度については9月末時点で、暫定目標値を上回る水道事業者はありませんでした。岩倉市水道事業(愛知県)と新上五島町水道事業(長崎県)、むかわ町穂別簡易水道事業(北海道)では、49〜47ナノグラムと暫定目標値に近い数値が検出されました。

 環境省と国交省は2024年5月末から9月末にかけ、全国の水道事業者から水質検査の結果を集めました。回答した3595の事業者のうち、検査実績があったのは6割強でした。給水人口が少ない事業者も対象にした大規模調査は初めてとなります。環境省は回答結果を参考にPFASの規制強化について検討を進めます。

 2020年度は東京都や神奈川県座間市など11カ所、2021年度は兵庫県西脇市など5カ所で国の目標値を上回りました。

 目標値を超えた水道事業者は2022年度は4カ所、2023年度は3カ所と減少傾向にあるものの、岐阜県各務原市と岡山県吉備中央町では4年連続で目標値を上回っていました。各務原市では活性炭による浄化システムの稼働など、応急工事を実施しました。吉備中央町でも水源の変更や活性炭の入れ替えなど対策を進めました。

 厚生労働省は2020年、PFOSとPFOAについて水道水1リットル当たり計50ナノグラムとする暫定目標値を設定しました。体重50キロの人が生涯毎日2リットルの水を飲んだとしても、健康に悪影響が生じないと考えられる水準とされます。

 環境省は暫定目標値の位置付けや数値を見直す検討をしています。現在は水道法上で検査の義務が課されない「水質管理目標設定項目」で、目標値を超えることがないよう事業者に管理を依頼する形にとどまっています。

 検査義務などが課される「水質基準」とするかや、目標値を個別に設定するかなどが焦点となります。今回の調査で検査実績がないと回答した事業者は4割程度に上りました。測定義務がないことを理由としているところもありました。

 PFASは炭素とフッ素などが結合した有機化合物の総称で、1万種類以上あるとされます。ほとんど分解されることなく自然界に蓄積される特徴があり、「永遠の化学物質」と呼ばれます。

 代表例がPFOSとPFOAで、発がん性が指摘されています。2023年12月、国際がん研究機関はPFOAを4段階のうち最も高い「発がん性がある」に分類しました。たばこやアスベストと同じ扱いになります。PFOSは下から2番目の「発がん性がある可能性がある」としました。

 国内ではPFOSは2010年、PFOAは2021年に製造・輸入が原則禁じられました。土壌などの環境中に残っていて、現在も検出されます。

 その他のPFASは熱に強く水や油をはじく性質があるため、生活の身近なところで広く利用されています。フライパンや食品包装のコーティング剤や、カーペットなどのはっ水加工のほか、産業用途ではリチウムイオン電池や太陽光パネルの部材、半導体の製造工程に使われています。

 欧米を中心に規制が進みます。アメリカではPFOSとPFOAをそれぞれ1リットル当たり4ナノグラムとする規制値を4月に公表しました。基準を超過した場合は、5年以内に削減の措置を設けます。世界保健機関(WHO)は2022年、暫定ガイドライン値としてPFOSとPFOAをそれぞれ1リットル当たり100ナノグラムとの値を示しました。

 2024年11月30日(土)

2024/11/29

🟩インフルエンザ患者数、全国的な流行期入りから3週連続で増加

 11月24日までに全国から報告されたインフルエンザの患者数は1医療機関当たり2・

36人で、全国的な流行期に入ってから3週連続で増加しました。

 国立感染症研究所などによりますと、11月24日までの1週間に全国約5000カ所の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は1万1678人で、1医療機関当たり2・36人と、前の週から0・48人増えました。

 全国的な流行期に入ってから患者数が増加するのは3週連続です。

 都道府県ごとにみますと、福岡県が5・79人、山形県が5・65人、沖縄県が5・52人、鳥取県が4・28人、長野県が4・09人などとなっているほか、東京都が2・39人、大阪府が2・17人、愛知県が2・06人でした。

 37の都道府県で前の週から増加しているほか、43の都道府県で「1」を上回っています。

 また、これらの数値からこの1週間の全国の患者数は約9万1000人と推計されています。

 厚生労働省は、手洗いやマスクの着用を始めとした「せきエチケット」、それにワクチン接種の検討などの感染対策を呼び掛けています。

 2024年11月29日(金)

2024/11/28

🟩裸眼視力1・0に満たない小中学生、過去最悪だった前の年と横ばい

 子供たちの視力の低下傾向が止まりません。裸眼での視力が1・0に満たない小中学生の割合は、過去最悪だった前の年とほぼ横ばいの状態であることが国の調査でわかりました。

 文部科学省は、全国の幼稚園や小中学校、高校の5歳から17歳までの子供の健康診断の結果について一部を抽出して調査し、毎年公表しています。

 昨年度の裸眼の視力が1・0に満たない子供の割合は、幼稚園が22・9%、小学校が37・8%、中学校が60・9%、高校が67・8%でした。

 ここ4年は新型コロナの影響で調査の時期が異なり、過去の結果と単純比較はできませんが、小学生と中学生の割合は、過去最悪だった前の年よりわずかに改善しましたが、ほぼ横ばいの状態でした。

 また、高校生の割合も前の年より3ポイント余り改善したものの過去3番目の大きさで、子供たちの視力の低下傾向が止まりません。

 裸眼の視力1・0未満を学年別にみると、小1は24・05%ですが、小6は50・49%となり、その後も学年が上がると、増える傾向がみられました。0・3未満は小学生11・07%、中学生28・33%、高校生39・46%でした。

 一方、虫歯については改善傾向が続いていて、虫歯がある子供の割合は、幼稚園が22・6%、小学校が34・8%、中学校が28%、高校が36・4%と、いずれも過去最小となりました。

 子供たちの視力の低下傾向について、文部科学省は「新型コロナが5類移行し、外出する機会が増えたことでわずかに改善した可能性があるものの、タブレット端末の利用など近くを見る作業が増えていて、注意が必要だ。30センチ以上目を離すなどのルールを子供や保護者に呼び掛けていきたい」と話しています。

 2024年11月28日(木)

2024/11/27

🟩世界最高齢のイギリス人男性、112歳で死去 健康の秘訣は「何事もやりすぎない」

 存命中の世界最高齢男性だったイギリス人のジョン・ティニスウッドさんが25日、イングランド北西部サウスポートの介護施設で亡くなりました。112歳。さまざまな世界記録の認定で知られるギネス・ワールド・レコーズ社が26日に、家族の話として発表しました。

 1912年8月26日にリバプールで生まれたティニスウッドさんは、今年4月に世界最高齢の男性に認定されました。

 タイタニック号が沈没した年に生まれ、企業の会計係などを務め、戦時中は陸軍の財務管理の仕事に従事し、2度の世界大戦を生き抜いたティニスウッドさんは、長寿の秘訣は「純粋な運」だとコメント。「長生きするか短命かは運次第で、自分ではあまりできることはない」とギネス・ワールド・レコーズ社に語っていました。

 それでも、健康を保つためにあらゆることに節度を保つべきだとして、「飲みすぎたり、食べすぎたり、歩きすぎたり、何かをやりすぎると、最終的には苦しむことになる」と話していました。

 ティニスウッドさんは毎週金曜に、イギリス料理の代名詞フィッシュ&チップスを食べるのが習慣だったといいます。

 2024年11月27日(水)

2024/11/26

🟩マイコプラズマ肺炎の患者数、過去最多をさらに更新 1医療機関当たり2・84人

 発熱や長引くせきといった症状が特徴で、子供が感染することの多いマイコプラズマ肺炎の流行が続いています。11月17日までに全国の医療機関から報告された患者数は1医療機関当たり2・84人と過去最多を更新しました。

 マイコプラズマ肺炎は子供に多い細菌性の感染症で、飛まつや接触で広がり、感染すると発熱や全身のけん怠感、頭痛、せきといった症状がみられます。

 中でもせきは1週間以上続くことがあるほか、一部の人は肺炎が重症化したり衰弱したりして入院するケースもあります。

 国立感染症研究所のまとめによりますと、11月17日までの1週間に全国約500カ所の医療機関から報告された患者数は1医療機関当たり前の週から0・41人増加して2・84人と、これまでで最も多かった10月下旬の2・49人を上回り、現在の方法で統計を取り始めてから最も多くなりました。

 都道府県別でみますと、最も多いのが福井県で8・83人、次いで青森県で5・00人、茨城県で4・92人、京都府で4・71人、北海道で4・59人、広島県で4・50人、埼玉県、愛知県で各4・33人、東京都で4・32人、岐阜県で4・20人、奈良県で4・17人と続きます。

 日本呼吸器学会などは、マスクの着用や手洗いといった基本的な感染対策を徹底することや、せきなどの症状があって周囲にも同じような症状の人がいる場合は医療機関を受診することなどを呼び掛けています。

 2024年11月26日(火)

2024/11/25

🟩丸美屋食品工業、「釜めしの素」に虫の一部混入で自主回収

 食品メーカーの「丸美屋食品工業」は「釜めしの素(もと)」として販売している商品に、ゴキブリとみられる虫の一部が混入していたとして、約1万5000個を自主回収すると発表しました。

 自主回収するのは丸美屋食品工業が新潟県の工場に委託して製造し、全国で販売した「とりごぼう釜めしの素」で、このうち賞味期限が2025年8月21日と9月3日で、内袋に「U4230N54」と印字がある商品です。

 会社によりますと11月、消費者から「商品の内袋に異物が入っている」と指摘があり、その商品を確認したところゴキブリとみられる虫の一部が混入していたということです。

 混入した具体的な経緯についてはわからないとしています。これまでのところ健康被害の報告はないということです。

 購入者は同社公式サイトの登録フォームから必要事項を入力すると、宅配業者が商品を回収し、商品代金相当のクオカードを後日送ります。問い合わせ先は(0120)566275。 

 丸美屋食品工業は「多大なご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げます。今後このような事態が発生することのないよう品質管理体制を強化し、再発防止に努めてまいります」としています。

 2024年11月25日(月)

🟩訪問介護事業所、107町村でゼロ 中山間地や離島多く、経営難など

 ヘルパーが高齢者宅を訪れて身の回りの世話をする訪問介護サービスを提供する事業所がゼロの自治体が、2024年末時点で32都道府県の107町村に上ることが25日、わかりました。人口減少や高齢化が進む中山間地や離島の自治体が目立ちました。物価高などに伴う経営難やヘルパー不足が影響し...