2024/12/04

🟪香港投資ファンドが小林製薬に提訴を請求 前会長らに100億円余り

 紅麹(べにこうじ)の成分を含むサプリメントを巡る一連の問題を受けて、小林製薬は、会社の株式の7%余りを保有する香港の投資ファンドから、創業家出身の前会長などに100億円余りの損害賠償を求める訴えを起こすよう、請求を受けていたことがわかりました。

 小林製薬を巡っては、積極的な経営改革を求める「アクティビスト」として知られる香港の投資ファンド「オアシス・マネジメント」が、11月19日時点で、小林製薬の発行済み株式の7・54%を取得しています。

 そうした中、紅麹の成分を含むサプリメントを巡る一連の問題を受けて、オアシス・マネジメントが創業家出身の前会長、小林一雅特別顧問、前社長の小林章浩取締役、山根聡社長、社外取締役4人の合わせて7人について「会社に損害を与えた」などとして、合わせて100億円余りの損害賠償を求めて提訴するよう会社側に求めていることが関係者への取材でわかりました。

 このほかにもオアシス・マネジメントは、小林特別顧問が会長職を退いてもいまだに会社の会長室を使い続けていると指摘した上で「経営陣は、創業家依存からの脱却を進める意思があるのか疑わしい」などと主張し、一連の問題の再調査と、新たな社外取締役の選任を求める株主提案を行っています。

 投資ファンド側の要求が強まる中、小林製薬がどう対応するかが焦点です。

 2024年12月4日(水)

2024/12/03

🟪肥満治療薬「ゼップバウンド」製造販売を承認 美容・ダイエット目的の不正使用で世界的に一時品薄

 厚生労働省の専門家部会は2日、アメリカの製薬大手イーライリリーが開発した肥満症治療薬「ゼップバウンド」について、製造販売の承認を了承しました。2月に肥満症としては約30年ぶりの新薬となる、デンマークの製薬大手ノボノルディスクファーマの「ウゴービ」が発売されており、治療の選択肢が広がることになります。

 ゼップバウンドは注射薬で、食欲を抑え、体重減少の効果があります。肥満症と診断され、高血圧や脂質異常症の持病があるなど、一定の条件を満たす患者が対象となります。日本人を対象とした臨床試験では、高用量での投与を週1回、72週続けたグループの体重が平均22・7%減少しました。

 イーライリリーは、同じ成分の薬を2型糖尿病の治療薬としてすでに販売していますが、世界的な需要増に加え、美容・ダイエット目的での不適切な使用も相次ぎ、一時、品薄状態となっていました。

 専門家部会では、遺伝性の筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)の治療薬「クアルソディ」の製造販売承認も了承されました。ALS患者の約2%を占める遺伝子変異がある患者が対象。筋力低下を招く有害なタンパク質の生成を抑える効果が期待されます。

 2024年12月3日(火)

2024/12/02

🟪今日からマイナ保険証に「一本化」、従来の健康保険証も最長1年有効

 現行の健康保険証は2日に新規発行が停止され、マイナンバーカードに保険証の機能を持たせた「マイナ保険証」に原則として移行します。混乱を回避するため、従来の健康保険証は2025年12月1日までの最長1年間使用できます。マイナ保険証の利用は低迷しており、円滑な移行には今後、利用の促進をどこまで図ることができるかが課題となります。

 マイナ保険証の利用登録は、10月時点で7747万人が手続きをすませています。全国の医療機関や薬局の92%(9月時点)がマイナ保険証に対応します。

 従来の保険証の使用は、市区町村が運営する国民健康保険と後期高齢者医療保険では来夏までが基本で、会社員らが入る健康保険組合や全国健康保険協会は最長の1年間になります。

 従来の健康保険証の期限切れ前に、マイナ保険証を持っていない人や、マイナンバーカードを保険証として利用登録していない人には、申請しなくても健保組合などから「資格確認書」が交付されます。病院で提示すれば、従来の健康保険証と同じように保険診療を受けられます。

 マイナ保険証を使った場合、本人が同意すれば、医師は病院の受診歴や処方薬の履歴を確認できます。従来は新規加入や転居・転職時に新たに健康保険証を発行してもらう必要がありましたが、マイナ保険証は継続して利用できるメリットもあります。

 ただ、他人の情報がひも付けられたトラブルなどの影響で、マイナ保険証の利用率は10月時点で15%にとどまっています。高齢者を中心に不安を抱く人が多く、政府は国民の不安 払拭(ふっしょく)に向け、利便性の理解につながる情報提供に力を入れる方針です。

 2024年12月2日(月)

2024/12/01

🟪イギリス議会下院「安楽死」法案、予想外の大差で賛成多数 余命6カ月未満の18歳以上対象

 イギリス議会下院(定数650)で11月29日、終末期患者の「安楽死」を認める法案を巡る1回目の採決が行われ、賛成多数で法案審議が次の段階に進むことになりました。2015年に同様の法案が提出された際は反対多数で廃案となりました。世論は安楽死容認派が多く、法制化されるかどうか注目が集まっています。

 法案は議員立法の形で、与党・労働党の議員が提出しました。余命6カ月未満の18歳以上の患者が、医師から処方された薬物を服用して命を絶つことを認めます。患者の明確な意思があることなどを2人の医師が確認した上で、裁判官が最終的に判断します。

 賛否が拮抗(きっこう)するとの見方もありましたが、採決の結果は賛成330、反対275。イギリス国民の間では安楽死を受け入れる考えが広まっている模様で、調査会社ユーガブが11月19、20日に実施した世論調査では法案への賛成は73%で、反対は13%でした。

 一方、採決前の討論では、家族などに負担をかけたくないとの思いから安楽死を選ぶ人が増えるといった反対意見が出ました。今後の審議で条文は修正される可能性があり、下院での法案採決は来年になる見通し。法案成立には上院に当たる貴族院も通過する必要があります。

 安楽死には、医師が患者に薬物を投与する「積極的安楽死」もあります。イギリスBBCによると、安楽死はオランダやベルギー、スペイン、カナダ、アメリカの一部の州などで合法化されています。

 ロンドン中心部のイギリス議会の前では、議員たちに自らの声を直接届けようと、法案に賛成と反対、それぞれの立場をとる合わせて数百人が集まりました。

 賛成派が掲げたプラカードには「幸福な人生には、幸福な死を」などという主張が、反対派のプラカードには「死ぬためではなく、生きるための支援を」などという訴えがそれぞれ書かれていました。

 2024年12月1日(日)

2024/11/30

🟩全国14カ所の水道でPFAS基準超え、2020〜2023年度 2024年度はゼロ

 環境省と国土交通省は29日、健康への悪影響が指摘される有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」のうち「PFOS(ピーフォス)」「PFOA(ピーフォア)」について、全国の水道事業者が実施した水質検査の結果をとりまとめました。2020年度から2023年度にかけ、全国の14カ所において、PFOSとPFOAの合計で1リットル当たり50ナノグラム(ナノは10億分の1)という国の暫定目標値を一時的に上回っていたことがわかりました。

 2024年度については9月末時点で、暫定目標値を上回る水道事業者はありませんでした。岩倉市水道事業(愛知県)と新上五島町水道事業(長崎県)、むかわ町穂別簡易水道事業(北海道)では、49〜47ナノグラムと暫定目標値に近い数値が検出されました。

 環境省と国交省は2024年5月末から9月末にかけ、全国の水道事業者から水質検査の結果を集めました。回答した3595の事業者のうち、検査実績があったのは6割強でした。給水人口が少ない事業者も対象にした大規模調査は初めてとなります。環境省は回答結果を参考にPFASの規制強化について検討を進めます。

 2020年度は東京都や神奈川県座間市など11カ所、2021年度は兵庫県西脇市など5カ所で国の目標値を上回りました。

 目標値を超えた水道事業者は2022年度は4カ所、2023年度は3カ所と減少傾向にあるものの、岐阜県各務原市と岡山県吉備中央町では4年連続で目標値を上回っていました。各務原市では活性炭による浄化システムの稼働など、応急工事を実施しました。吉備中央町でも水源の変更や活性炭の入れ替えなど対策を進めました。

 厚生労働省は2020年、PFOSとPFOAについて水道水1リットル当たり計50ナノグラムとする暫定目標値を設定しました。体重50キロの人が生涯毎日2リットルの水を飲んだとしても、健康に悪影響が生じないと考えられる水準とされます。

 環境省は暫定目標値の位置付けや数値を見直す検討をしています。現在は水道法上で検査の義務が課されない「水質管理目標設定項目」で、目標値を超えることがないよう事業者に管理を依頼する形にとどまっています。

 検査義務などが課される「水質基準」とするかや、目標値を個別に設定するかなどが焦点となります。今回の調査で検査実績がないと回答した事業者は4割程度に上りました。測定義務がないことを理由としているところもありました。

 PFASは炭素とフッ素などが結合した有機化合物の総称で、1万種類以上あるとされます。ほとんど分解されることなく自然界に蓄積される特徴があり、「永遠の化学物質」と呼ばれます。

 代表例がPFOSとPFOAで、発がん性が指摘されています。2023年12月、国際がん研究機関はPFOAを4段階のうち最も高い「発がん性がある」に分類しました。たばこやアスベストと同じ扱いになります。PFOSは下から2番目の「発がん性がある可能性がある」としました。

 国内ではPFOSは2010年、PFOAは2021年に製造・輸入が原則禁じられました。土壌などの環境中に残っていて、現在も検出されます。

 その他のPFASは熱に強く水や油をはじく性質があるため、生活の身近なところで広く利用されています。フライパンや食品包装のコーティング剤や、カーペットなどのはっ水加工のほか、産業用途ではリチウムイオン電池や太陽光パネルの部材、半導体の製造工程に使われています。

 欧米を中心に規制が進みます。アメリカではPFOSとPFOAをそれぞれ1リットル当たり4ナノグラムとする規制値を4月に公表しました。基準を超過した場合は、5年以内に削減の措置を設けます。世界保健機関(WHO)は2022年、暫定ガイドライン値としてPFOSとPFOAをそれぞれ1リットル当たり100ナノグラムとの値を示しました。

 2024年11月30日(土)

2024/11/29

🟩インフルエンザ患者数、全国的な流行期入りから3週連続で増加

 11月24日までに全国から報告されたインフルエンザの患者数は1医療機関当たり2・

36人で、全国的な流行期に入ってから3週連続で増加しました。

 国立感染症研究所などによりますと、11月24日までの1週間に全国約5000カ所の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は1万1678人で、1医療機関当たり2・36人と、前の週から0・48人増えました。

 全国的な流行期に入ってから患者数が増加するのは3週連続です。

 都道府県ごとにみますと、福岡県が5・79人、山形県が5・65人、沖縄県が5・52人、鳥取県が4・28人、長野県が4・09人などとなっているほか、東京都が2・39人、大阪府が2・17人、愛知県が2・06人でした。

 37の都道府県で前の週から増加しているほか、43の都道府県で「1」を上回っています。

 また、これらの数値からこの1週間の全国の患者数は約9万1000人と推計されています。

 厚生労働省は、手洗いやマスクの着用を始めとした「せきエチケット」、それにワクチン接種の検討などの感染対策を呼び掛けています。

 2024年11月29日(金)

2024/11/28

🟩裸眼視力1・0に満たない小中学生、過去最悪だった前の年と横ばい

 子供たちの視力の低下傾向が止まりません。裸眼での視力が1・0に満たない小中学生の割合は、過去最悪だった前の年とほぼ横ばいの状態であることが国の調査でわかりました。

 文部科学省は、全国の幼稚園や小中学校、高校の5歳から17歳までの子供の健康診断の結果について一部を抽出して調査し、毎年公表しています。

 昨年度の裸眼の視力が1・0に満たない子供の割合は、幼稚園が22・9%、小学校が37・8%、中学校が60・9%、高校が67・8%でした。

 ここ4年は新型コロナの影響で調査の時期が異なり、過去の結果と単純比較はできませんが、小学生と中学生の割合は、過去最悪だった前の年よりわずかに改善しましたが、ほぼ横ばいの状態でした。

 また、高校生の割合も前の年より3ポイント余り改善したものの過去3番目の大きさで、子供たちの視力の低下傾向が止まりません。

 裸眼の視力1・0未満を学年別にみると、小1は24・05%ですが、小6は50・49%となり、その後も学年が上がると、増える傾向がみられました。0・3未満は小学生11・07%、中学生28・33%、高校生39・46%でした。

 一方、虫歯については改善傾向が続いていて、虫歯がある子供の割合は、幼稚園が22・6%、小学校が34・8%、中学校が28%、高校が36・4%と、いずれも過去最小となりました。

 子供たちの視力の低下傾向について、文部科学省は「新型コロナが5類移行し、外出する機会が増えたことでわずかに改善した可能性があるものの、タブレット端末の利用など近くを見る作業が増えていて、注意が必要だ。30センチ以上目を離すなどのルールを子供や保護者に呼び掛けていきたい」と話しています。

 2024年11月28日(木)

🟪新型コロナ、沖縄県が独自で注意喚起へ 流行時に「拡大準備情報」を発出 

 沖縄県は19日、新型コロナウイルス感染症の流行が疑われる場合、県独自で「新型コロナ感染拡大準備情報」を発出すると発表しました。新型コロナについては、過去の感染データの蓄積が乏しいことなどから、国がインフルエンザのような注意報や警報の発令基準を設けていない一方、重症化する高齢者...