2025/01/17

🟧インフルエンザ感染者、1医療機関当たり35・02人 全国的に警報レベル続く

 厚生労働省は17日、全国約5000カ所の定点医療機関から直近(1月6~12日)の1週間に報告された季節性インフルエンザの感染者数が、1医療機関当たり35・02人で、年末年始で多くの医療機関が休みだった前の週の33・82人から増加したと発表しました。警報レベルとなる30人を依然として上回っています。

 全国の医療機関をインフルエンザで受診した患者数は推計約145万1000人で、前週(約110万4000人)を上回りました。一方、定点医療機関から報告された新たな入院患者数は4684人で、前週(5304人)を下回りました。

 都道府県別では、徳島県が57・38人(前週42・32人)で最多、次いで宮崎県が57・24人(同45・27人)、高知県が56・36人(同46・48人)、愛媛県が50・69人(同34・30人)、佐賀県が50・67人(同45・42人)でした。東京都や神奈川県、大阪府などの7都道府県を除く40府県で警報レベルを上回っています。

 また、保育所や小学校など1132施設で、休校や学級・学年閉鎖の措置が取られました。

 1月12日までの直近5週間で流行しているのは、2009年に新型インフルエンザとして感染が広がったH1N1(A型)で、94%を占めています。

 厚労省は手洗いやうがい、マスクの着用や換気など、可能な範囲での感染対策を呼び掛けています。

 2025年1月17日(金)

2025/01/16

🟧神戸徳洲会病院、カテーテル治療後に死亡の10件は「医療事故に該当せず」 患者死亡問題で見解公表

 神戸徳洲会病院(神戸市垂水区)で入院患者が相次いで死亡した問題で、同病院は15日までに、カテーテル治療後に死亡した事例など10件について、外部の専門家を交えた院内検証の結果、医療事故には該当しなかったとの見解をホームページで公表しました。

 同病院では、患者死亡事例など15件が国の医療事故調査制度に基づく調査や院内検証の対象となりました。このうち3件は、同病院が医療過誤による死亡と認め、遺族に謝罪しています。病院はこのうちカテーテル治療後に死亡した90歳代女性や、糖尿病の既往歴を見落として亡くなった70歳代男性など3件で医療過誤による死亡と認め、遺族に謝罪しています。

 今回対象となったのは、残る12件のうち、外部による調査などのため未公表の2件を除いた10件分。同病院は2023年8月から院内検証を行い、患者が死亡した9件について「カテーテル検査や治療が死亡の原因になったものはない」と結論付けました。治療中に冠動脈損傷の合併症を引き起こした1件も、処理は適切だったとしました。

 同病院は10件のうち7件で遺族や本人に対する説明をすませたといいます。

 同病院では2023年7月、循環器内科の男性医師がかかわったカテーテル治療後、複数の患者が死亡していたことが表面化しました。神戸市は昨年2月、医療法に基づく改善命令を出し、病院側が3月に改善計画を出しました。

 2025年1月16日(木)

2025/01/15

🟧新型コロナ国内初確認から5年 感染者7000万人以上、死者13万人

 新型コロナウイルス感染者が国内で初確認されてから、1月15日で5年を迎えました。感染者数は抗体保有率の調査から2024年3月時点で7000万人以上と推計され、人口動態統計による死者数の累計は同8月時点で13万人に上り、このうち65歳以上の高齢者が96%を占めます。オミクロン株による感染が急拡大した2022年をピークに死者数は減っているものの、インフルエンザより圧倒的に多くなっています。新型コロナは2023年5月に感染症法上の5類に移行しましたが、流行は今も夏と冬に繰り返されており、警戒が続いています。

 古瀬祐気・東京大教授(感染症学)は、「人口の大半が感染するであろうことはわかっていた。ただ、有効なワクチンが短期間で開発され、ほかの対策と併せ流行の波を小さくできた」と評価する一方で、「コロナの流行は今後も社会に負荷をかけるだろう。基本的な感染対策といった負荷を減らす努力や仕組み作りを続けてほしい」と呼び掛けています。

 厚生労働省が22府県を対象に2024年3月に実施した血液調査では、コロナ感染で得られる抗体の保有率は60・7%。日本の人口に置き換えると、少なくとも約7300万人が一度は感染したことになります。さらに複数回感染した例も多く報告されています。

 新型コロナの死者数は、厚労省の人口動態統計によると、2020~2023年(確定数)は10万5956人で、2024年は8月までの概数で2万6302人となっています。年代別では、80歳代が39%で最も多く、90歳以上が37%で続きます。

 厚労省は1月14日、全国約5000カ所の定点医療機関から昨年12月30日〜今年1月5日の1週間に報告された感染者数が1医療機関当たり5・32人だったと発表しました。

 福岡資麿厚労相は14日の閣議後記者会見で、「感染拡大に備えて、医療提供体制の確保に万全を期したい」と述べました。

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会長を務めた尾身茂・結核予防会理事長は、日本の新型コロナ対応について「政府の検証が十分とはいえない」と述べ、徹底的な検証を求めました。

 政府は、コロナ禍の反省を踏まえ、感染症対応の司令塔となる内閣感染症危機管理統括庁を2023年9月に設置し、2024年7月には次の感染症危機に備えるための行動計画を改定しました。

 尾身氏はこうした動きを評価しつつ、「医療逼迫(ひっぱく)が起きた理由は何か。医療体制を根本的に見直す必要があるのかなど、本質的な問題をもっと深く分析する必要がある」と述べました。

 今後の感染症危機については、世界の人口は増加を続け、グローバル化で人や物が国境を越えて動く現状を踏まえ、「我々は新しいウイルスがいつきてもおかしくない時代に生きている」と指摘。「パンデミック(世界的大流行)はこれからも必ず起こる」と警鐘を鳴らします。

 3年余りのコロナ禍を振り返り、「100年に1度といわれる危機で、大変な思いをしなかった人は誰もいない。新型コロナは致死率が下がり、普通の病気になりつつあるが、『喉元過ぎれば』とならないようにすることが大切だ」と強調。「ワクチンの開発は国や医療界の責任だが、一般の人々は日ごろから意識して免疫力を高めたり、マスク着用などの感染対策をうまく日常生活に取り入れたりしてほしい」と呼び掛けました。

 2025年1月15日(水)

2025/01/14

🟧「十分に眠った」と感じているのに、実際は睡眠不足も 筑波大発表、自己評価と客観的分析に差

 「十分に眠った」と感じているのに、実際は睡眠不足―。筑波大国際統合睡眠医科学研究機構(茨城県つくば市)の柳沢正史機構長らが14日、睡眠の時間や質に関する自己評価は、脳波の測定に基づく客観的な結果とは異なる場合が多いと発表しました。睡眠障害の早期発見や予防には、計測による正確な把握が重要だとしました。

 421人の被験者から、自身の睡眠状態の自己評価や睡眠中の脳波などのデータを収集し、医師の見解との差を分析しました。結果、十分な睡眠があると自覚している人の45%が実際には睡眠不足だった一方、睡眠に不調を感じている人の66%が客観的には問題ありませんでした。

 また、主な睡眠障害の一つ「睡眠時無呼吸症候群」で、中等症以上の危険性がある人の割合は、睡眠の質の自己評価にかかわらず同程度であることが判明。自覚だけでは睡眠の健康状態を十分に評価できないため、脳波の計測といった客観的なデータに基づく判断が必要と訴えています。

 客観的には眠れているのに「眠れない」と感じる人もいることから、睡眠脳波の分析を進め、メカニズムを解明したいとしています。

 2025年1月14日(火)

2025/01/13

🟧東京女子医科大学の元理事長を背任容疑で逮捕、新校舎工事で1億1700万円不正支出 一部を私的流用か

 国内有数の私立医大、東京女子医科大学(東京都新宿区)の新校舎建設工事を巡り、同大に約1億1700万円を不正に支出させたとして、警視庁は13日、同大元理事長の岩本絹子容疑者(78)(江戸川区東葛西)を背任容疑で逮捕しました。同庁は、資金の一部を自身に還流させて私的に使ったとみて、事件の全容解明を進めます。

 職員への不正給与疑惑や子女枠推薦入試での寄付金受領など、同大を巡る一連の問題は、元トップが逮捕される事態に発展しました。

 発表によると、岩本容疑者は2018年7月~2020年2月、同大河田町キャンパス(新宿区)の新校舎2棟の建設工事を巡り、同大の非常勤職員の肩書を持つ一級建築士の男性(68)がコンサルティング業務を行っていないにもかかわらず、「建築アドバイザー報酬」名目で現金計約1億1700万円を21回にわたり、男性名義の口座に送金させ、同大に損害を与えた疑い。

 警視庁は昨年3月、岩本容疑者の側近だった元職員が同窓会組織「至誠会」から約2000万円の給与を不正に受け取った疑いがあるとして、一般社団法人法の特別背任容疑で、同大本部や岩本容疑者の自宅など十数カ所を一斉捜索。押収資料の分析や、関係者への事情聴取を進めてきました。

 警視庁の捜索後に設置された同大の第三者委員会は昨年8月、調査報告書を公表し、岩本容疑者側に大学資金が不正に還流した可能性を指摘しました。報告書で「金銭に対する強い執着心があった」と批判された岩本容疑者は同月、同大の全役職から解任されていました。

 2025年1月13日(月)

2025/01/12

🟧千葉県銚子市の鳥インフルエンザ陽性、41万羽を殺処分へ 今季2例目

 千葉県は12日、高病原性鳥インフルエンザの疑いがあった銚子市の養鶏場の採卵鶏について、遺伝子検査で陽性が判明したと発表しました。県は同日、自衛隊に災害派遣を要請しました。養鶏場で飼育されている約41万羽の殺処分や消毒などの防疫措置を進めます。今季、県内での鳥インフルエンザ発生は昨年10月の香取市の事例に続き2例目。

 県畜産課によると、感染拡大防止のため、半径10キロ圏内にある養鶏場など55カ所で飼育する計約527万羽の移動や搬出を制限しました。

 県は12日午前に対策本部会議を開き、熊谷俊人知事は「本県養鶏業への影響を最小限に抑える必要があり、まん延防止に万全を期すように」と関係部署に指示しました。

 県は自衛隊、地元自治体などと連携し、16日までの殺処分完了を目指します。11日午後に養鶏場から県東部家畜保健衛生所に「鶏の死亡羽数が増加している」と通報があり、12日に遺伝子検査を行いました。

 2025年1月12日(日)

2025/01/11

🟧介護事業者の倒産、昨年172社で過去最多に  人手不足や物価高騰、報酬改定が影響か

 2024年に倒産した介護事業者は計172社と前の年から1・4倍増え、介護保険制度が始まった2000年以降で最多となったことが9日、東京商工リサーチ(東京都千代田区)の調査でわかりました。人手不足や物価高騰に加え、2024年度の介護報酬改定で一部サービスの公定価格が引き下げられたことが影響したとみられます。

 負債額1000万円以上の倒産を同社が集計しました。サービスの種類では、ヘルパーが高齢者の自宅で入浴介助や調理などを行う訪問介護が81社と約半数を占めました。デイサービスやショートステイ(短期入所)は56社、有料老人ホームは18社、ほかに認知症グループホームなどで17社でした。

 訪問介護を巡っては、厚生労働省が2024年度の報酬改定で、ヘルパーの賃上げ分を事業所に支給する「処遇改善加算」を増額した一方、光熱水費などの運営費に充てる単価を引き下げました。

 規模別でみると、約8割は従業員数10人未満の事業者で、小規模なほど経営が苦しい実態が浮かび上がります。同社の後藤賢治課長は「地方の介護は、規模の比較的小さい事業者で支えられている。サービスの空白地域を作らないためにも、国は事業者同士の協働化や再編を後押しする必要がある」と話しています。

 厚労省の調査(2023年10月現在)では、全国で介護サービスを行う事業所は、訪問介護は3万6905カ所、デイサービスは2万4577カ所あります。事業者が倒産したとしても、他の事業者が代わりにサービスを提供できることから利用者への影響は限定的とみられます。

 2025年1月10日(金)

🟪倒産した医療機関、上半期で全国35件 過去最多ペース

 今年の上半期に倒産した医療機関は全国で35件となり、倒産が過去最多となった昨年を上回るペースであることが信用調査会社のまとめでわかりました。  帝国データバンクによりますと、今年1月から6月までに倒産した医療機関を経営する事業者は全国で合わせて35件となり、年間で64件が倒産...