2025/06/19

🟩アメリカFDA、新型のHIV感染予防薬を承認 年2回注射、高い有効性

 アメリカ食品医薬品局(FDA)は18日、アメリカの製薬大手ギリアド・サイエンシズのエイズウイルス(HIV)感染予防薬を承認しました。年に2回だけの注射で感染を予防でき、HIVの感染減につながることが期待されています。

 ギリアド・サイエンシズによれば、第3相臨床試験(治験)で抗ウイルス薬「レナカパビル(販売名イェズトゥゴ)」は99・9%以上の予防効果が確認できました。イギリスのグラクソ・スミスクライン(GSK)も同様の長期的な効果がある予防薬を展開していますが、2カ月に1回とより頻繁な投与が必要です。

 アメリカ疾病対策センター(CDC)によると、アメリカで2023年に3万9000人がHIVに感染しました。アメリカメディアによると、保険適用前の年間価格は約2万8000ドル(約400万円)といいます。

 ギリアド・サイエンシズのダニエル・オデイ最高経営責任者(CEO)は今回の承認について声明を出し、「この薬は年2回の注射で済むため、HIV予防を根本的に変えることができる。HIV撲滅という目標を現実に近付けることができた」と強調しました。現在ギリアド・サイエンシズが展開している錠剤の予防薬は毎日の摂取を必要としています。

 「レナカパビル」は「シュンレンカ」の製品名で、HIV感染者の治療薬として利用されています。今回は予防薬としてFDAに承認されました。

 アメリカのジェフリーズのアナリスト、マイケル・イー氏は予防薬としてのレナカパビルの売上高が2025年に1億3500万〜1億5000万ドル、2030年に35億ドルに上ると分析しています。

 ギリアド・サイエンシズはアメリカ以外でレナカパビルの承認申請をヨーロッパ連合(EU)やオーストラリア、ブラジルなどでしていることも明らかにしました。

 2025年6月19日(木)

2025/06/18

🟩尿を用いた検査でステージ0の肺がん患者を早期発見 名古屋大発の新興企業が発表

 尿を用いてがんのリスクを検査する「マイシグナル」を提供している名古屋大発のスタートアップ(新興企業)、Craif(クライフ、東京都文京区)は16日、北海道で行った共同研究で、検査でリスクが高いと判定した人から肺がんの疑いのある腫瘍が見付かり、手術で超早期のステージ0の肺がんを取り除いたと発表しました。

 小野瀨隆一最高経営責任者(CEO)は発表会で、「がんは早期発見できれば生存率も高く、治療のコストも低くできる。早期に発見して治療するのが当たり前の社会にしていきたい」と強調しました。

 同社が開発したマイシグナルは、尿からがん細胞が放出する「マイクロRNA」を高い精度で検出し、がんのリスクを判定します。

 共同研究は北海道大学病院の加藤達哉教授らと実施し、北海道岩内町などの100人にキットを無償提供して検査しました。この結果、5人が肺がんの「中」リスクと判定され、精密検査を受けたところ、1人に肺がんの疑いのある腫瘍が見付かりました。その後、手術で取り除き、完治しました。研究成果は呼吸器外科学会学術大会で発表しました。

 北海道は面積が広大で、医療機関の不足などもあって、がん検診の受診率が低くなっています。マイシグナルは自宅で尿を採取して検査できるため、医療機関で行う血液検査などより手軽といいます。

 2025年6月18日(水)

2025/06/17

🟩東京都内、熱中症の疑いで54人搬送 千葉県内では30人搬送

 東京消防庁によりますと、17日、東京都内では、午後3時までに14歳から96歳までの合わせて54人が、熱中症の疑いで救急搬送されました。このうち2人が重症、24人が中等症、28人が軽症だということです。

 また、千葉県によりますと、千葉県内では午後2時までに30人が熱中症の疑いで搬送されました。3週間以上の入院が必要な重症の患者はいませんでした。

 消防では、のどが渇く前にこまめに水分を補給することや室内で適切に冷房や扇風機を利用することなど対策の徹底を呼び掛けています。

 2025年6月17日(火)  

2025/06/16

🟩環境省などが和歌山県、香川県、鹿児島県、沖縄県に熱中症警戒アラート エアコンの適切な使用を呼び掛け

 熱中症の危険性が極めて高い危険な暑さが予想されるとして、環境省と気象庁は16日、和歌山、香川県全域と鹿児島県奄美地方、沖縄県八重山地方に「熱中症警戒アラート」を発表しました。

 環境省によると、和歌山県、香川県、鹿児島県への警戒アラートは今季初めて。急激な気温の上昇で暑さに慣れていない人も多いため、熱中症への注意が必要だといいます。

 「熱中症警戒アラート」が発表されたエリアでは、▼普段以上に屋内の気温や湿度に気を配り、エアコンなどを適切に使用し、より涼しい環境で過ごしてください。▼こまめに休憩を取り、水分・塩分を補給してください。▼人の健康にかかわる被害が生じる恐れがあります。暑さから自分の身を守ってください。

 一方、▼屋外やエアコンが設置されていない屋内での運動・作業・活動は、できるだけ中止や延期を検討してください。▼激しい運動は禁物です。さらに、▼特に暑さに弱い高齢者や障害者の人たち、小さな子供たちに対しては、大丈夫かどうか声をかけてあげてください。

 2025年6月16日(月)

2025/06/15

🟩美容医療トラブルに特化した救急外来が本格開始 東京都新宿区の病院が6月から

 まぶたの二重手術や脂肪吸引など美容医療のニーズが高まる一方で、一部では、合併症や後遺症などの健康被害も起きています。そうした中、東京都新宿区の病院が6月から、美容医療のトラブルに特化した救急外来を本格的に開始しました。

 美容医療を巡っては全国の消費生活センターなどに寄せられた健康被害の相談が、昨年度822件と、5年前の1・7倍に増加しています。

 こうした中、東京都新宿区で24時間、救急患者を受け入れている春山記念病院は、患者を迅速に治療するため、6月から、美容医療のトラブルに特化した救急外来を本格的に開始しました。

 病院はこれまでも、美容医療による合併症などの緊急手術を行ってきましたが、どんな施術を受けたのかわからず、処置に苦慮するケースも少なくなかったといいます。

 このため6月には、東京都内の美容クリニックと覚書を交わし、クリニックで施術を受けた患者を病院が受け入れる場合は、施術内容など、治療に必要な情報を共有していくことになりました。

 治療は公的な医療保険が適用されない自由診療で行われます。

 美容医療の健康被害を巡っては、厚生労働省の検討会も昨年、美容クリニックと、合併症などに対応できる医療機関の連携を深める必要性を指摘しています。

 覚書を交わした美容クリニックの深堀純也理事長は。「これまで施術後の死亡事故や重篤な後遺症は起きていないが、今後、予期せぬ合併症が起こる可能性もあり、安心して美容医療を提供する上で、救急病院と連携できるのは心強くありがたい」と話していました。

 春山記念病院の事業責任者の櫻井裕基医師は、「一刻一秒を争う事例があるため協定を事前に結ぶ取り組みを始めた。今後はほかのクリニックとの連携も広げていきたい」と話していました。

 2025年6月15日(日)

2025/06/14

🟩ALS嘱託殺人、医師の上告を最高裁が棄却 懲役18年の実刑確定へ

 6年前の2019年、難病の筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)を患う京都市の女性を本人からの依頼で殺害した罪などに問われ、無罪を主張した医師について、最高裁判所は12日までに上告を退ける決定をし、懲役18年の判決が確定することになりました。

 医師の大久保愉一(よしかず)被告(47)は元医師の山本直樹被告(47)(上告中)とともに6年前、全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病のALSを患っていた京都市の当時51歳の女性から依頼を受け、薬物を投与して殺害した嘱託殺人や、14年前の2011年、精神疾患のある山本被告の父親を殺害した罪などに問われました。

 医師側は裁判で「女性が尊厳ある死を選択し、医師が応じたものだ。医師を処罰するのは個人の尊厳などを保障する憲法に違反する」などとして、無罪を主張していました。

 2審の大阪高等裁判所は「尊厳ある人生の終わりを決める権利は尊重されるべきだが、嘱託殺人が直ちに許されるわけではない。医師は、女性の気持ちが変わらないか慎重に見極めることが必要だったのに、わずか15分程度の面会で犯行に及び、130万円の謝礼も受け取っている。女性を思っての犯行とは考えがたい」などとして、医師側の主張を退け、1審に続いて懲役18年を言い渡しました。

 医師側が上告していましたが、最高裁判所第2小法廷の高須順一 裁判長は12日までに退ける決定をし、懲役18年の判決が確定することになりました。

 亡くなった女性の父親(84)は、「判決が確定することになっても娘は帰ってきません。医師には薬物を投与して殺害する前、娘が思いとどまるような言葉をかけてほしかった。同じような事件が2度と起こらないことを願っています」と話していました。

 2025年6月14日(土)

2025/06/13

🟩長崎県で30歳代妊婦が鳥から感染する「オウム病」で死亡か 飼育歴なく感染経路不明

 長崎県内で昨年亡くなった30歳代の妊婦が、鳥のふんなどに含まれる細菌に感染して引き起こされる「オウム病」で亡くなった疑いがあると、長崎県が発表しました。県は鳥との過度な接触を避けるなど、感染予防を呼び掛けています。

 長崎県によりますと、昨年1月、県内の医療機関を受診した30歳代の妊婦が発熱や呼吸困難、意識障害などの症状が出た後、亡くなりました

 医療機関が調べたところ、今月5日、妊婦の検体から「オウム病クラミジア」という細菌の遺伝子が検出され、妊婦が「オウム病」で亡くなった疑いがあることがわかったということです

 長崎県内で「オウム病」の患者が確認されたのは、2017年以来です。

 厚生労働省や長崎県によりますと「オウム病」はオウム病クラミジアという細菌が引き起こし、発熱やせき、全身のけん怠感などインフルエンザのような症状が出る病気で、特に妊婦は重症化する傾向にあり、呼吸困難や意識障害となって死亡する場合もあります

 オウムやインコ、ハトなどのふんに含まれた細菌を吸い込んだり、餌を口移しで与えたりすることで人に感染しますが、人から人への感染は確認されていないということです

 長崎県によりますと、亡くなった妊婦は鳥を飼っておらず、感染経路はわかっていないということです

 県は、鳥との過度な接触を避け、飼育する場合はケージ内の羽やふんをこまめに掃除し、鳥の世話をした後は手洗いやうがいをするなど感染予防を呼び掛けています。

 人獣共通感染症に詳しい岐阜大学の福士秀人名誉教授は、「オウム病という名前がついているが、どの種類の鳥でも原因となる病原体を持っている。病原体が鳥のふんに含まれていて感染の原因になる。空気中に舞い上がった病原体を吸い込んで呼吸器に感染する」と話していました

 その上で「妊婦は重症になる可能性が高いと思われる。また、高齢者など免疫が弱っている人も重症化しやすい」としています

 また、「巣の近くにいる時などに知らない間に感染してしまうこともあり、野外で感染する可能性があることを覚えていてほしい。野外での感染を防ぐ方法はあまりない。重症化すると死亡する可能性もあるが、抗生物質を飲めば治療できるので、高熱が出た時などにはオウム病の可能性も疑って治療してもらってほしい」と話していました。

 2025年6月13日(金)

🟪救急現場に居合わせた市民による心肺蘇生、講習経験などで患者回復割合高く

 救急の現場に居合わせた人が心臓マッサージなどを行う際、過去に講習を受けた経験があったり、消防から電話で指導を受けたりした場合は、患者が回復する割合が高くなるという研究結果を東京慈恵会医科大学などのグループがまとめました。  東京慈恵会医科大学の田上隆教授らのグループは、一般市...