2025/10/05

🟥医師のうつ病診断を助けるAIが承認取得 脳活動のパターンを解析

 国際電気通信基礎技術研究所(本社・京都府)などが開発した、脳の活動を解析して医師のうつ病診断を助ける人工知能(AI)が厚生労働省から薬事承認を受けた。血流の変化を捉える機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)の撮影画像を用いて脳活動のパターンを数値化し、臨床現場で客観的な診断を助ける。

 うつ病は抑うつ気分のほか不眠、気力の減退などの多様な症状が出る症候群。血液中の物質など診断基準となる指標が見付かっていないため、ほかの疾患との判別が難しく、診断がばらつくことが課題だった。

 開発チームは、健康な人とうつ病のある人の平常時の脳活動を記録したfMRI画像約1200人分を収集。うつ病に特徴的な脳活動のパターンをAIに学習させた。画像からうつ病の程度を算出した結果、どの施設の画像でも、うつ病かどうかを約70%の精度で判別できたという。

 医療用のソフトウエア(プログラム医療機器)としての承認を今年3月に取得。現在進行中の臨床試験の結果を踏まえ、来春にはうつ病の確率を導き出す2段階目の承認に向けた申請を予定する。将来的に保険適用を目指すとしている。

 開発チームは統合失調症や双極性障害、自閉スペクトラム症の診断を補助する手法も開発中だ。特に双極性障害はうつ病との判別が難しく、AIが有用な可能性があるという。うつ病治療薬の効きやすさを調べるプログラムも実用化を目指す。

 国際電気通信基礎技術研究所脳情報通信総合研究所の川人光男所長(計算論的神経科学)は、「患者は検査をしてもらえなかったり、診断名が数年で変わったりすることにストレスを感じている。客観的な診断で診断名が揺るがなくなれば福音だ」と話した。

 2025年10月5日(日)

2025/10/04

🟥全国の新型コロナ感染者、2週連続減少 前週比0・85倍

 厚生労働省は3日、全国約3000の定点医療機関から9月22〜28日の1週間に報告された新型コロナウイルスの新規感染者数が2万2640人だったと発表した。1機関当たりの感染者数は5・87人で前週比0・85倍。2週連続で減少した。

 都道府県別で1機関当たりの感染者数が最も多かったのは愛媛県の10・11人で、大分県10・10人、宮崎県9・21人と続いた。少なかったのは青森県3・29人、北海道と東京都3・62人などだった。

 2025年10月4日(土)

🟥病院ごとの臓器移植実施数を公表 待機者数も、登録時参考に

 日本臓器移植ネットワークは1日、臓器移植手術を担う病院ごとの移植実施数、待機患者数などの情報をホームページで公開した。移植を希望する患者が、手術する病院を登録する際の参考にできるようにする。臓器によっては情報が公開されていない病院もあるが、今後、追加するという。

 公表された情報は他に、移植を担当する医師名や、認定医師数、患者への説明などを担う「コーディネーター」の人数など。待機患者数と待機期間に関係がないことも記した。実施数が0件の病院も含まれる。

 心臓では認定されている全12施設の情報を公表。2022~2024年の実施数が最も多かったのは、国立循環器病研究センター(大阪府)の77件で、2024年末時点の待機者は152人。東京大病院は同じ期間で71件、220人、大阪大病院は43件、137人だった。

 肺も全12施設を公表。一方、肝臓、膵臓、小腸、腎臓は半数程度にとどまっている。

 これまでは全国での臓器別の実施数、待機者数が公表され、腎臓は、都府県別の情報が示されていた。

 2025年10月4日(土)

2025/10/03

🟥東京都でインフルエンザ流行入り、昨年より1カ月以上早く

 東京都は、インフルエンザの流行期に入ったと発表した。定点医療機関から1週間に報告された感染者数が、9月22〜28日に1機関当たり1・96人となり、流行開始の目安(1・0人)を超えた。昨年(11月4~10日)より1カ月以上早い。

1 都内の小中学校や高校では9月1〜28日、インフルエンザが原因とみられる学級閉鎖や休校などが46件発生し、17件だった昨年の3倍近くに上った。

 都は、今後の本格的な流行が予想されるとして、こまめな手洗いや消毒、マスク着用などを呼び掛けている。

 2025年10月3日(金)

2025/10/02

🟥昨年度の介護費用、11・9兆円に膨らむ 介護報酬プラス改定も押し上げ要因に

 介護保険からの給付や利用者負担を含めた2024年度の介護費用は11兆9381億円で過去最多を更新した。前年度比3・7%増。高齢化による利用者の増加や、サービス提供事業者が受け取る介護報酬が2024年度にプラス改定されたことも押し上げ要因となった。厚生労働省が9月30日に発表した。

 集計を始めた2001年度の4兆3782億円から約2・7倍に膨らんだ。

 介護費用のうち、要介護認定を受けて利用する介護サービス分は11兆6179億円、状態が軽い人向けの介護予防サービス分は3202億円だった。

 利用者数は、介護サービスが前年度比1・1%増の573万1100人、介護予防サービスが4・8%増の130万3900人だった。

 1人当たり介護サービス費用(2025年4月審査分)を都道府県別に見ると、鳥取県が22万9900円で最も多く、新潟県が22万500円で続いた。

 介護保険制度は2000年度に始まった。

 2025年10月2日(木)

2025/10/01

🟥新型コロナワクチン定期接種、1日開始 高齢者ら対象、国の助成なし

 新型コロナウイルスワクチンの2025年度の定期接種が1日、65歳以上の高齢者と基礎疾患のある60〜64歳の人を対象に開始された。2024年度の国による自治体への助成(1回当たり8300円)はなくなり、自治体独自の補助のみとなる。

 補助がない場合、接種費用は1万5600円程度。自治体によって自己負担額に差が生じるが、低所得者は無料となる。2026年3月末までに1回接種できる。

 使用されるワクチンは5製品。ファイザー、モデルナ、第一三共の「mRNAワクチン」3製品と、武田薬品工業の「組み換えタンパクワクチン」、Meiji Seika ファルマのmRNAが細胞内で複製される「レプリコンワクチン」となる。

 2025年10月1日(水)

🟥熱中症搬送、5月から9月までに初の10万人超 記録的猛暑や早い梅雨明けが影響か

 総務省消防庁は9月30日、熱中症により5月1日~9月28日に全国で10万143人が救急搬送されたとの速報値を公表した。搬送者が10万人を超えたのは、集計の対象を5〜9月に広げた2015年以降初めて。記録的な猛暑や、梅雨明けが早かったことなどが影響したとみられる。

 死者は116人。3週間以上の入院が必要な重症は2206人、短期の入院が必要な中等症は3万4242人だった。

 65歳以上の高齢者が57・2%を占めた。都道府県別の搬送者は、東京都が9309人で最多。大阪府が7175人、愛知県が6630人と続いた。

 2025年10月1日(水)

🟥成人した小児がん経験者の14%に心臓の晩期合併症

 小児がんの治療成績は近年大きく向上し、8割以上の患者が長期生存できるようになった。一方、抗がん剤投与や放射線照射の長期にわたる影響で心臓などに障害が発生する恐れがあることが知られている。  聖路加国際病院と順天堂大浦安病院は、小児がん経験者の7人に1人に当たる14%で、心臓が...