2023/12/07

🟧冷房機器の温室効果ガス排出量、2050年までに68%削減で合意 COP28で日本含む63カ国

 アラブ首長国連邦(UAE)で開催中の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)で5日、日本やアメリカを含む63カ国が、冷房部門の温室効果ガス排出量を2050年までに2022年比で少なくとも68%削減する誓約に賛同し、署名しました。

 国連環境計画(UNEP)などの報告書によると、世界全体の電力消費量のうち、冷房部門は約20%を占め、温暖化や人口増に伴う冷房機器の需要増によって、2050年までに2倍以上になると予測されています。

 また、冷房機器は一般的に二酸化炭素(CO2)の数百~1万倍超の温室効果がある代替フロンを冷媒に使用しており、対策をとらなければ、冷房部門の温室効果ガス排出量は2050年までに全体の10%以上を占めるといいます。

 誓約では、建物の断熱対策やエネルギー効率のよい冷房を導入して消費電力を削減すれば、冷房部門の温室効果ガス排出量を2050年までに60%以上削減し、最大5兆ドル(約735兆円)の電気代を節約できる可能性があると指摘しました。

 一方、アフリカやアジアでは約12億人が冷房機器を利用できず、温暖化による猛暑で、命の危険にさらされているといいます。

 UNEPのインガー・アンダーセン事務局長は、「気温上昇から人命を守るには冷房機器の導入が不可欠だが、脱炭素につながるものでなければならない。今すぐ行動を起こす必要がある」と述べました。

 2023年12月7日(木)

2023/12/06

🟧 世界の二酸化炭素排出量、今年は過去最大の見通し COP28で報告書発表

 世界で今年、化石燃料の利用で排出される二酸化炭素の量は昨年に比べ1・1%増え、過去最大になる見通しだと、各国の研究機関で作るグループが発表しました。現在の水準の排出が続けば、7年後には50%の確率で世界の平均気温の上昇が1・5度を超えるとしています。

 日本など世界各国の90を超える研究機関などで作るグループ「グローバル・カーボン・プロジェクト」は5日、アラブ首長国連邦(UAE)で開かれている気候変動対策の国連の会議、COP28で報告書を発表しました。

 この中で、今年、石炭や石油、天然ガスの化石燃料を燃やして排出される世界の二酸化炭素の量は368億トンで、昨年に比べ1・1%増え、過去最大の排出量になる見通しだと発表しました。世界の二酸化炭素排出総量は409億トンと、過去最大だった昨年から横ばいにとどまるとみられます。森林伐採など土地使用に由来する排出量がやや減ったことが影響しました。

 このうち、燃料別の排出量では石炭が全体の41%を占めて最も多く、昨年に比べ1・1%増えるとしています。

 また、主要な国では、ヨーロッパ連合(EU)や、アメリカが昨年に比べ減少した一方、インドは8・2%、中国は4%増加すると見込んでいます。インドは電力需要が同国の再生可能エネルギー供給能力よりも急速に伸び、化石燃料で不足分を穴埋めしているためです。中国の排出量増加はゼロコロナ政策解除後の経済活動再開が原因です。

 その上で、現在の水準の排出が続けば、7年後の2030年には、50%の確率で、産業革命前からの世界の平均気温の上昇が1・5度を超えると指摘しました。

 2023年12月6日(水)

🟧受精卵着床の過程、iPS細胞で再現 京都大が世界初、不妊症の解明期待

 人の受精卵(胚)が子宮に着床する前後の過程をiPS細胞(人工多能性幹細胞)などを使って再現したと、京都大の高島康弘准教授(再生医学)らのチームが5日、イギリスの科学誌「ネイチャー」に発表しました。着床前後の過程を再現した胚モデルは世界初といいます。

 胚を使う研究は生命尊厳の観点から制限されており、受精卵が個体に成長するまでの過程は多くの謎に包まれています。大量に増殖できるiPS細胞などから作製した胚モデルは試験管内で体系的に研究することが可能となります。不妊症や、妊娠初期の胎児に先天異常が起きる仕組みの解明などにつながることが期待されます。

 チームは、受精から間もない状態に近く、狙った細胞に成長させやすいiPS細胞と胚性幹細胞(ES細胞)を準備し、初期の胚を構成する2種類の細胞を同時に誘導。後に体になったり胎児の栄養となったりする細胞で、混ぜ合わせておくとそれぞれが外側と内側に分離した2層の球状構造が形成されました。

 2023年12月6日(水)

🟧大麻草成分の医薬品利用解禁、使用罪も新設 改正大麻取締法が成立

 大麻草から抽出した成分を含む医薬品で、安全性と有効性が確認されたものを使用可能にする大麻取締法などの改正法が6日、参院本会議で与党などの賛成多数により可決、成立しました。薬物乱用対策として、大麻も麻薬取締法の対象にして他の規制薬物と同様に使用罪が適用できるようにします。公布から1年以内に施行します。

 現在は、大麻草から製造された医薬品は治験をすることはできるものの、法律に使用禁止規定があり医療現場で使えません。

 欧米では大麻由来成分カンナビジオール(CBD)を含む難治性てんかん治療薬がすでに薬事承認されており、日本の患者団体などは、海外で使えるのに国内で使えないドラッグ・ラグ(新薬承認の遅延)を解消するよう要望していました。

 改正法では、大麻と、有害な大麻由来成分テトラヒドロカンナビノール(THC)を麻薬と位置付けます。使用禁止規定は削除し、大麻由来成分を含む医薬品は、痛み止めなどに使われる他の麻薬と同様に免許を取得すれば使用できます。

 大麻の不正所持や使用は、麻薬取締法違反で7年以下の懲役となります。現行法では大麻の所持や栽培の禁止にとどまっていて、使用を罰する規定はありませんでした。

 2023年12月6日(水)

🟧9〜11月の世界平均気温15・30度で、観測史上最高に 1~11月も記録更新

 ヨーロッパ連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」は6日、今年9~11月の世界平均気温は15・30度で、同時期としては1940年からの観測史上最高だったと発表しました。1~11月の世界平均気温も記録を更新し、これまで最高だった2016年を0・13度上回りました。

 11月の世界平均気温は14・22度で、これまでの記録だった2020年を0・32度上回りました。世界の月間平均気温は5カ月連続の記録更新です。

 コペルニクス気候変動サービスは「2023年は観測史上最も暑い年になる」と指摘。温室効果ガスの濃度が上昇し続ける限り、「気温は上昇し、熱波や干ばつの影響も大きくなる」と警告しました。

 今年はアジアや北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカが熱波に見舞われ、カナダやギリシャなどで山火事が相次ぎました。6~8月の世界平均気温も16・77度で史上最高。7月の世界平均気温は16・95度で、単月の平均としても最高となりました。

 2023年12月6日(水)

🟧カビ毒検出の小麦を使ったせんべい汁、体調不良13人 仙台市立小の給食で児童が腹痛嘔吐

 JA全農いわてが販売した岩手県産の小麦から「カビ毒」が検出された問題で、仙台市内の10の小学校でもこの小麦を使用した給食が提供され、これまでに13人の児童が腹痛や嘔吐などの体調不良を訴えていたことを仙台市教育委員会が5日、明らかにしました。

 いずれも軽症といいます。カビ毒と体調不良の因果関係はわかっていないということです。

 JA全農いわてが販売した岩手県産の2022年産小麦「ナンブコムギ」から、嘔吐などを起こす恐れがある「カビ毒」が基準値を超えて検出されました。

 宮城県内ではこれまでに、気仙沼市の小中学校や、岩沼市と女川町の県立支援学校でこの小麦を使った「せんべい汁」が提供され、気仙沼市の児童や生徒が体調不良を訴えていたことが明らかになっています。

 これについて、仙台市内の10の小学校でも給食が提供されていたことが新たにわかりました。

 仙台市教育委員会によりますと、11月27日に、仙台市青葉区の南吉成学校給食センターで作られた「せんべい汁」が提供され、児童13人が腹痛やおう吐などの体調不良を訴えていたということです。学校ごとの体調不良者の人数は公表していません。

 「カビ毒」との関連はわかっていないということですが、11月29日以降に「せんべい汁」を提供する予定だった市内の15の中学校では提供を停止したということです。

 仙台市教育委員会は、「児童の体調不良の状況などを引き続き学校と連携して確認を進めたい」としています。

 また、神奈川県小田原市も5日、市立小1校の給食でこの小麦を使っていたと発表しました。健康被害はないとしています。

 2023年12月6日(水)

2023/12/05

🟧市販薬を過剰摂取する若者が急増し、依存症や救急搬送が増加

 医療現場では、薬局やインターネットで手軽に買える風邪薬やせき止めなどの市販薬の過剰摂取(オーバードーズ)による依存症や救急搬送が増えています。救急搬送の8割は女性で、10歳代を含む若い女性が多く、専門家は生きづらさが背景にあると指摘しています。

 国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)の実態調査によると、全国の精神科で薬物依存症の治療を受けた10歳代の患者が使用していた主な薬物は、2014年は48%が危険ドラッグでしたが、2020年には市販薬が56%と過半数におよび、2022年には65%を占めました。10歳代の若者が関心を持つ薬物が世代交代した形です。

 「規制強化で危険ドラッグが流通しなくなったため、市販薬で高揚感を得ているのだろうと考えがちだが、そうではない」と話すのは、若者の依存症に詳しい松本俊彦・同センター薬物依存研究部長。麻薬や覚醒剤の化学構造を少し変えた危険ドラッグを乱用していた人たちは学校をドロップアウトしたり非行歴があったりする男性が多かったものの、市販薬は非行歴や犯罪歴のない高校生や卒業生が多く「乱用する人たちが完全に変わった」といいます。

 松本さんは、「市販薬は医師が処方する薬に比べて安全だと思われているが、医療現場では処方されなくなった危険な成分や依存性のある成分が使われていることが多い」と警告します。

 厚生労働省が乱用の恐れがあると指定し、松本さんが問題視するのは、せき止め薬と風邪薬の2大成分であるメチルエフェドリンとジヒドロコデイン。前者は覚醒剤の原料で気分を爽快にする作用があり、後者はアヘンから作られ麻薬取締法の規制対象になっています。いずれも少量であるため、用法・用量を守る限りは問題ないものの、長期または大量に服用すると依存症になったり精神症状が出たりすることがあります。

 厚労省は2020年9月に、これらの成分を含む医薬品の一部は販売時に1人1箱と定め、若年者には名前などを確認するようドラッグストアに求めました。今年4月からは医薬品の対象を拡大しました。

 購入制限に掛からないせき止め成分のデキストロメトルファンは乱用すると幻覚が生じる上、飲み合わせによっては血中濃度が上昇し、致死量に達する可能性があります。

 解熱鎮痛薬に含まれるアリルイソプロピルアセチル尿素は、出血しやすくなる血小板減少性紫斑病を引き起こすリスクが海外で報告され、医療現場では長らく使われていません。眠気を覚まし、頭がすっきりするカフェインは多くの市販薬に入っていますが、医師が処方する薬には含まれていません。

 厚労省研究班の調査によると、2021年5月~2022年12月に全国7救急医療施設に救急搬送された市販薬の過剰摂取による急性中毒患者122人の平均年齢は26歳で、女性が8割を占めました。使われた市販薬は189品目で、解熱鎮痛薬が25%、せき止め19%、風邪薬が18%でした。平均102錠を服用し、自傷・自殺目的が74%を占めました。

 また、救急搬送された人のほとんどが入院したほか、集中治療が行われた人は半数を超え、後遺症で通院が必要になった人もいたということです。

 松本さんは、市販薬を乱用する女性は、子供時代にさまざまな虐待を受けたり、家庭内や学校でメンタルヘルスに起因する問題を抱えたりしている人が多いといいます。

 「生きづらさを抱えていつ死んでもおかしくない子供たちが市販薬を乱用しながら何とか生き永らえている現状があるのではないか。規制強化だけではなく、若者が持つ問題に目を向け支援の手を差し伸べる必要がある」と話しています。

 2023年12月5日(火)

🟪小中学生の体力調査、中学生男子はコロナ感染拡大前を上回る

 全国の小学5年生と中学2年生を対象に、50メートル走など8つの項目で体力や運動能力を調べる今年度の国の調査で、中学生の男子の合計点は新型コロナウイルスの感染拡大前を上回りました。一方で、小学生の男女は低下傾向にあり、スポーツ庁は運動の機会を増やす取り組みに力を入れていく方針で...