2025/11/01

🟥インフルエンザ患者数、前週と比べ約1・9倍に 新型コロナは6週連続減

 10月26日までの1週間に全国から報告されたインフルエンザの患者数は、前の週と比べて約1・9倍に増えた。東京都や沖縄県など5つの都県では1医療機関当たり10人を超えている。

 国立健康危機管理研究機構などによりますと、10月26日までの1週間に全国約3000カ所の定点医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は2万4276人で、前の週の約1・9倍に増えた。

 1医療機関当たりの患者数は6・29人と、前の週から3・03人増えている。

 都道府県別にみると、沖縄県で19・40人、神奈川県で11・88人、千葉県で11・82人、埼玉県で11・73人、東京都で10・37人と5つの都県で1医療機関当たり10人を超えている。

 また、44の都道府県で前の週から増加した。

 厚生労働省は手洗いや適切なマスクの着用など基本的な感染対策を徹底するとともに、ワクチンの接種も検討するよう呼び掛けている。

 一方、厚生労働省は31日、全国約3000の定点医療機関から10月20〜26日の1週間に報告された新型コロナウイルスの新規感染者数が計8665人だったと発表した。1医療機関当たりの感染者数は2・25人。前週比0・88倍で6週連続の減少となった。

 都道府県別にみると、愛媛県の4・92人が最多で、宮城県4・69人、新潟県4・29人が続いた。少なかったのは福井県1・10人、大阪府1・29人、島根県1・35人などだった。

 2025年11月1日(土)

2025/10/31

🟥食道がんの胸腔鏡手術、開胸手術に劣らない結果 負担少なく「推奨」

 食道がんの手術で、従来の開胸手術に比べ、より患者の負担が少ない胸腔鏡(きょうくうきょう)による手術を行った場合でも、長期的な生存期間が劣らないとする研究結果を、国立がん研究センターなどが30日、発表した。今後、食道がんの診療ガイドラインが改訂され、胸腔鏡手術の推奨度が上がるという。

 食道がんは、年間に約2万7000人が診断され、中高年男性に多い。のどと胃をつなぐ食道にできるために手術範囲が広く、従来の開胸手術は患者の負担が大きいことが指摘されてきた。近年、胸に小さな穴を開け、カメラや器具を入れて行う胸腔鏡手術が普及し、多くの医療機関で行われているものの、長期的な成績を比較した研究はなかったという。

 研究は、国立がん研究センターが支援し、国内の多施設が参加する日本臨床腫瘍(しゅよう)研究グループ(JCOG)が行った。2015〜2022年に手術可能と判断された患者300人を、開胸手術と胸腔鏡手術に無作為に割り当てて調べた。

 その結果、開胸手術は3年後の生存割合が70・9%だったのに比べ、胸腔鏡手術は82・0%。合併症の発生に大きな違いはなく、術後の呼吸機能の低下は開胸手術が12・5%、胸腔鏡手術は9・7%と抑えることができた。傷の痛みは胸腔鏡手術が少なかったという。

 研究チームの竹内裕也・浜松医科大教授は、「今回の研究では、日本内視鏡外科学会の技術認定医など熟練した外科医のもとで手術が行われた。今後の治療も、同等の技術のもと行われるようガイドラインで推奨する」と話す。

 一方で、近年はロボット支援による手術も急速に増えつつあるものの、長期的な有効性などが十分示されておらず、さらなるエビデンスの蓄積が必要だとした。

 論文はイギリスの医学誌に掲載された。

 2025年10月31日(金)

2025/10/30

🟥熱中症搬送が初めて10万人超す 5〜9月、死者117人・重症者2217人

 総務省消防庁は29日、今年5〜9月に熱中症で医療機関に救急搬送されたのは全国で過去最多の10万510人だったとの確定値を発表した。10万人を超えたのは、集計対象を5〜9月に広げた2015年以降初めて。梅雨明けが早かったことや、記録的猛暑が影響した。

 消防庁の担当者は、「6月中旬ごろから一気に気温が上がって搬送者が急増し、厳しい暑さが長期間にわたって続いた」と分析している。月別では、6月が前年比2・4倍の1万7229人で過去最多。9月が9766人で過去2番目となった。

 5〜9月の死者は117人で、3週間以上の入院が必要な重症は2217人。短期の入院が必要な中等症は3万4399人だった。65歳以上の高齢者が5万7433人で、搬送者の57・1%を占めた。都道府県別の搬送者数は東京都が9315人で最多。大阪府7202人、愛知6653人と続いた。

 気象庁によると、今年の夏(6〜8月)の日本の平均気温は平年を2・36度上回り、統計開始以降で最高。過去最も早い梅雨明けとなった地方も多かった。リスクが高まった際に注意を促す「熱中症警戒アラート」は、過去最多の延べ1749回発表された。

 2025年10月30日(木)

2025/10/29

🟥成人した小児がん経験者の14%に心臓の晩期合併症

 小児がんの治療成績は近年大きく向上し、8割以上の患者が長期生存できるようになった。一方、抗がん剤投与や放射線照射の長期にわたる影響で心臓などに障害が発生する恐れがあることが知られている。

 聖路加国際病院と順天堂大浦安病院は、小児がん経験者の7人に1人に当たる14%で、心臓が血液を送り出す機能に問題があったとの共同研究結果を発表した。

 研究では、聖路加国際病院で検査を受けた18歳以上の小児がん経験者108人で、心臓の超音波検査の結果を解析して心機能を詳しく調べた。対象者は、いずれも小児がんの診断から10年以上、治療を終えてから5年以上(平均16年)経過し、検査時の年齢は中央値で25歳だった。

 解析により、108人中15人は、左心室の血液がどのぐらい押し出されたかを表す「駆出率」が53%以下に低下し「がん治療関連心機能障害」と診断された。

 この15人では、駆出率の低下に先駆けて変化することが知られている左心室の「縦方向の伸縮の程度」が低下し、しかも、特定の部位にその低下が目立つことも明らかになった。研究チームは、これを調べられれば機能障害の早期発見につながる可能性があり、発見時の有効な治療法についても検証する。

 こうした心機能障害はアントラサイクリン系と総称される抗がん剤を投与された場合に発症リスクが上がる。今回の研究では、総投与量が体表面1平方メートル当たり150ミリグラム以上でリスクとなることも判明した。

 小児がん経験者は、がん治療の内容や使った薬剤の種類、量を記録した「治療サマリー」を治療終了後も長期に保管し、自分で把握しておくことが大切だとしている。

 2025年10月29日(水)

2025/10/28

🟥抗菌薬効かない「耐性菌」、百日せき患者の約8割から検出

 今年大きな流行となった「百日せき」について専門の学会が調査したところ、通常の治療に使われる抗菌薬が効かない「耐性菌」が調査対象の患者の約8割から検出されたことがわかった。専門家は「耐性菌にも効果のある抗菌薬を探す必要がある」と指摘している。

 百日せきは激しいせきが続く細菌性の感染症で、十分な免疫を持たない乳児が感染すると、重症化する恐れがある。

 国立健康危機管理研究機構によると、今年の患者数は8万人を超え、すべての患者を報告するようになった2018年以降で最も多くなっている。

 また、通常の治療に使われる抗菌薬が効かない「耐性菌」に感染して重症化するケースが各地で報告されていることから、日本感染症学会など4つの専門の学会は、4月から耐性菌の広がりについて調査を行っている。

 これまでに北海道から九州まで24の医療機関で35人の患者から採取した細菌の遺伝子を分析したところ、約8割の患者から耐性菌が検出されたということである。

 調査を取りまとめている千葉大真菌医学研究センターの石和田稔彦教授は、「調査はまだ続いているが今年の流行は耐性菌の増加が関係しているとみられる」としている。

 その上で、「耐性菌にも効果のある抗菌薬を探すなど、新たな治療の在り方を検討していく必要があるほか、ワクチンによる予防がより重要になる」と指摘している。

 2025年10月28日(火)

2025/10/27

🟥第三者機関の医療事故推奨に32%報告なし 2015~2024年、112件

 患者の予期せぬ死亡原因を調べる医療事故調査制度が始まった2015年から昨年末までに、医療機関から相談を受けて、第三者機関が事故として報告を推奨すると助言した計346件のうち、112件(約32%)の報告がなかったことが27日、第三者機関を運営する日本医療安全調査機構への取材でわかった。医療機関側に助言に従う義務はないが、第三者機関で相談があった事例を分析し、運用について検証を行う。

 医療機関は提供した医療に起因するか、起因が疑われる予期せぬ死亡が発生した場合、第三者機関の医療事故調査・支援センターに報告する義務がある。事故に該当するかどうかの判断は医療機関側にある。

 医療機関はセンターに相談でき、医師や看護師など専門家による検討後、事故に該当するかどうか助言を受ける仕組みがある。

 機構によると、2015年10月~2024年12月、医療機関からセンターに計578件の相談があった。専門家による検討後、センターが事故報告を推奨したのは346件(約59%)。うち234件は事故として報告された。81件が非報告だった。

 2025年10月27日(月)

2025/10/26

🟥徳島大で1型糖尿病の治験開始 患者自身の細胞から取り出した「幹細胞」使い完治目指す

 血糖値を下げるホルモンのインスリンが分泌されなくなる1型糖尿病患者に対し、患者自身の細胞から、さまざまな細胞のもととなる「幹細胞」を取り出し、インスリンを出す細胞を作り出して移植する臨床試験(治験)を、徳島大の研究チームが24日までに始めた。自らの細胞から作るため拒絶反応のリスクが低いといい、完治を目指す。

 1型糖尿病は、膵(すい)臓の細胞が自己免疫などによって壊れて発症し、患者は血糖値を下げるためにインスリン注射が不可欠となり、低血糖により失神することもある。国内に約10万〜14万人の患者がいるとみられ、子供の発症が多いとされる。

 徳島大病院の池本哲也教授らの研究チームは、脂肪から作られる「脂肪由来幹細胞」に注目。患者の脚の付け根から皮下脂肪を採取し、インスリン産生細胞(IPC)を作製した。IPCを膵臓に近い腸間膜に移植することで、血液中の糖濃度に応じてインスリンが体内へと供給される仕組みだ。

 池本教授は今年3月、「医薬品医療機器総合機構(PMDA)」に治験計画届を提出し、9月から重症患者を対象に実施。移植後の血糖値コントロールを分析して安全性を確認する。

 2025年10月26日(日)

🟥新型コロナ感染者、わずかに増加 1医療機関当たり2・28人

 厚生労働省は7日、全国約3000の定点医療機関から10月27日〜11月2日の1週間に報告された新型コロナウイルスの新規感染者数が8777人で、1医療機関当たり2・28人だったと発表した。前週比1・01倍で、前週まで6週連続で減少していたが微増した。  都道府県別で1医療機関当...