2025/12/03

🟥サンフランシスコ市、超加工食品の製造業者提訴 健康被害への責任追及

 アメリカのカリフォルニア州サンフランシスコ市は2日、超加工食品の製造業者を相手取り訴訟を起こしたことを明らかにした。超加工食品を巡っては、数十年にわたる過剰摂取の結果、多くのアメリカ人が肥満になったと専門家らは指摘している。

 訴訟の対象には、クラフト・ハインツ、コカ・コーラ、ネスレ、ケロッグなど大手食品メーカーも含まれる。

 サンフランシスコ市の法律顧問を務めるデービッド・チウ氏は、「これらの企業は、超加工食品の開発とマーケティングによって公衆衛生の危機を引き起こした」と述べ、「食品を人の体にとって有害なものに変えてしまった」と批判した。

 チウ氏は、アメリカ人は超加工食品を避けたいと考えているものの「私たちはそれらに取り囲まれている。これらの企業は公衆衛生の危機を生み、大きな利益を上げてきた。今こそ、もたらした害に対して責任を取るべきだ」と主張した。

 超加工食品を巡っては、ロバート・ケネディ・ジュニア保健福祉長官も、特に若者の間で肥満や慢性疾患、健康状態の悪化を招いているとして批判している。

 アメリカ疾病対策センター(CDC)によると、アメリカ人の40%が肥満とされ、約16%が糖尿病を患っている。

 サンフランシスコ上級裁判所に提出された訴状は、アメリカのスーパーマーケットで販売されている製品の約70%が超加工食品だと指摘。製造業者がその危険性を知りながら、たばこ企業と同様の手法でリスクを無視・矮小化したマーケティングを展開してきたと主張している。

 一方、訴訟の対象となった多くの企業を束ねる業界団体、コンシューマー・ブランズ協会のサラ・ガロ氏は、これらのメーカーは「アメリカ人がより健康的な選択をし、製品の透明性を高めることを支援している」と反論。

 さらに「超加工食品の科学的な定義は現時点で確立しておらず、単に加工されているという理由だけで食品を不健康と分類したり、栄養価全体を無視して悪者扱いするのは、消費者を誤解させ、健康格差を広げる」と指摘し、「企業は政府が定めた厳格な、証拠に基づく安全基準を順守しており、消費者が日常的に利用する安全で手頃な価格の便利な製品を提供している」と述べた。

 2025年12月3日(水)

2025/12/02

🟥医療機関の受診、原則マイナ保険証の利用に 従来の保険証も3月までOK

 12月2日から、会社員やその家族が加入する健康保険組合の健康保険証に代わって、マイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせた「マイナ保険証」の利用が原則となった。1日までですべての健康保険証の有効期限が切れたため。厚生労働省は患者が期限切れの保険証を提示しても、来年3月末までは窓口で医療費の全額の支払いを求めない対応を認める方針を示している。制度の切り替えによる混乱を避けるためだ。

 健康保険証の有効期限が切れた後は、「マイナ保険証」か「資格確認書」を提示して受診することが必要になる。75歳以上の人が加入する後期高齢者医療制度の保険証や、多くの自治体の国民健康保険(国保)の保険証はこの夏に期限切れになっており、厚労省は3月末までは、期限切れの保険証でも通常通りの窓口負担で済むよう医療機関に求めている。今回、会社員やその家族が加入する健康保険組合や協会けんぽなどについても、同様の対応とする。

 上野賢一郎厚労相は2日の記者会見で、全国民の健康保険証(従来型)が有効期限を迎え、マイナ保険証を基本とする仕組みに2日から完全移行したことに「メリットを広く享受してもらえるよう、マイナンバーカードの安全性を含め周知を図る」と述べた。

 上野厚労相は、マイナ保険証の利用が「本人の健康状態や、医療情報を活用したより良い医療の提供に大きく寄与する」と説明。10月時点で37・1%だった利用率は増加傾向だとして「今後さらなる利用が期待される。不安の声にも丁寧に対応する」と語った。

 2025年12月2日(火)

2025/12/01

🟥ゴールドウイン、PFAS不使用に 年内に衣料品の素材切り替え、海外拡大で

 アパレル大手で衣料品の素材として有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」を使うことを取りやめる動きが広がっている。「ザ・ノース・フェイス」などを展開するゴールドウインは2025年内で代替素材に切り替える。PFASは熱に強く、アウトドア向け衣料で活用されている。健康への有害性が指摘されて米欧で規制が進んでおり、対応を急ぐ。

 PFASは主に炭素とフッ素からなる有機フッ素化合物の総称で、1万種類以上あるとされる。水や油をはじき、熱に強い性質があるため、半導体から衣料品まで幅広い製品で使われている。自然界でほとんど分解されないため「永遠の化学物質」とも表現される。一部の物質では飲み水などから人体に入ると、発がん性などのリスクがあるとされる。

 こうした懸念から、ゴールドウインは2025年内でPFAS素材の使用を全16ブランドでやめる。同社の売りはノース・フェイスやヘリーハンセンなどの高機能衣料品で、これまで荒天時や雪山での着用を想定したレインジャケットやバッグ、シューズ類の加工でPFASを使っていた。

 ザ・ノース・フェイス事業本部の畑野健一氏は、「PFASを使わない素材はPFAS使用の生地と比べ、はっ水機能や生地の張りが損なわれる」と話す。そのため、「バルトロライトジャケット」などノース・フェイスの定番商品では、着用感が変わらないよう糸の編み方や加工の方法を模索した。2026年春夏シーズンから発売する全商品で新製法・加工に切り替える。

 日本でのPFAS規制は一部種類にとどまる。アメリカではPFAS全種類を使用した商品の販売規制が進むなど、米欧の規制は先行している。米欧に販路を持つ大手ブランドを中心に、PFASフリー素材への切り替えが進んでいる。

 日本ゴアが製造する機能素材「ゴアテックス」は表面加工のはっ水剤などでPFASを使用してきたが、2025年内に全製品で切り替える。ゴアテックスは3層構造で、「メンブレン」という真ん中の膜が防水機能の肝となる。機能性を保つ代替素材の研究を続け、新素材「ePEメンブレン」を開発した。

 2022年から一般向けで代替を進め、2025年からより高い機能が求められる競技用のウエアでも切り替えている。同社から調達したゴアテックスを商品に使用しているデサントも、2026年春夏から切り替えを進める。

 世界的ブランドでは対応が先行している。アメリカのナイキは2024年度にPFASフリー素材に切り替え、ドイツのアディダスも2024年秋冬までに99%の商品で切り替えた。アメリカのパタゴニアも2025年から、全製品でPFASを使った防水・はっ水加工をしていない。

 ゴールドウインは海外での店舗拡大を進めている。米欧で2店舗を展開する「ゴールドウイン」ブランドでは、2033年までにロンドンやニューヨークなど8店舗に拡大する。全社では2029年3月期に海外売上高比率を10%と足元から倍増させる計画だ。

 1万種類に上るPFASのうち、有害性が指摘されている物質は一部とされるが、海外ではPFAS全体に忌避感が高まっている。世界最大市場であるアメリカやヨーロッパでの事業を拡大するには、消費者の懸念払拭が急務だ。素材に関する情報の開示や安全性を示す取り組みも求められる。

 2025年12月1日(月)

2025/11/30

🟥インフルエンザ、昨年より約1カ月早く流行 特に子供で広がる

 インフルエンザの流行が昨年よりもおよそ1カ月早いペースで進んでいる。特に今シーズンは子供の患者が多く、専門家は学校での換気や人混みでのマスクの着用など対策を呼び掛けている。

 国立健康危機管理研究機構などによると、11月23日までの1週間に全国約3000カ所の定点医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は19万6895人と前の週のおよそ1・35倍に増えた。

 1医療機関当たりの患者数は51・12人と今シーズン初めて50人を超え、昨年より、およそ1カ月早いペースで流行が進んでいる。

 特に今シーズンは子供での感染が広がっていて、厚生労働省などによると年代別の患者数がわかっている11月9日までの1週間では、全国の定点医療機関から報告されたインフルエンザの患者8万4183人のうち、およそ80%に当たる6万7150人が20歳未満となっている。

 日本小児感染症学会の理事長で、新潟大学医学部の齋藤昭彦教授は、「埼玉県や東京都などでは小児専門の病棟に入院する子供が増え、病床がひっ迫している医療機関もある。インフルエンザ脳症を起こすなどして重症化する子供も出ている」として、集団で過ごす時間が長い学校などでの換気や人混みでのマスクの着用、手洗いなどの感染対策のほか、重症化を防ぐためにもワクチン接種を検討してほしいとしている。

 2025年11月30日(日)

2025/11/29

🟥肺がん診療ガイドラインに薬剤費一覧掲載 費用の高額化「医師が認識を」

 日本肺癌学会が公表した2025年版の診療ガイドラインに、付録として治療薬の薬価一覧が掲載された。最新の知見に基づいて推奨する治療法などをまとめるガイドラインに、薬剤費の情報が盛り込まれるのは異例。肺がん治療では、年間3000万円を超える新しいタイプの薬も登場するなど、薬剤費が高額となるケースがある。

 ガイドライン策定に携わった高橋利明静岡県立静岡がんセンター副院長は、「医師に費用への認識を持ってもらうための情報提供として加えた」と狙いを語った。

 肺がんはがんの中で死者数が最も多い。抗がん剤に加え、免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬などの新薬が次々と登場し、治療の選択肢が増えた一方、開発コストの高さを背景に高額な新薬も多い。

 ステージ4の非小細胞肺がん患者に多く使われる分子標的薬「タグリッソ」は年間676万7000円とされ、免疫チェックポイント阻害薬「キイトルーダ」を使うと年間745万6000円、「オプジーボ」と「ヤーボイ」を併用すると1256万8000円かかる。再発した小細胞肺がんが対象の新規治療薬「イムデトラ」は年間3184万5000円という。

 2025年11月29日(土)

2025/11/28

🟥アステラス製薬、眼疾患治療薬「アイザベイ」を日本で発売

 アステラス製薬は27日、眼疾患治療薬「アイザベイ」を日本で発売したと発表した。加齢黄斑変性という眼疾患向けで、目の細胞の機能が中心部から衰える「地図状萎縮」の進行を遅らせる国内初の治療薬となる。眼科領域に強く、販売で提携する千寿製薬と共同で医師向けの情報提供を進める。

 地図状萎縮を発症すると視力低下を引き起こす可能性がある。国内では約10万人が罹患(りかん)していると推定されており、適切なタイミングで治療を受けないと失明や重度の視覚障害に至るリスクがある。アイザベイは最初の1年は月1回、13カ月目からは2カ月に1回、注射で投与する。

 今回の発売による業績影響は2026年3月期の連結業績予想に織り込み済みとしている。21日に千寿製薬と販売パートナーシップの契約を結んでいた。

 2025年11月28日(金)

🟥インフルエンザ感染者19万人、2週連続で「警報レベル」 新型コロナは減少

 厚生労働省は28日、全国約3000の定点医療機関から17〜23日の1週間に報告されたインフルエンザの感染者数が19万6895人となり、1医療機関当たり51・12人だったと発表した。前週(37・73人)から大幅に増加。全国平均で「警報レベル」とされる30人を2週連続で上回った。

 今年は感染拡大のペースが速く、1医療機関当たりの感染者は前年同期の約2倍に上った。

 都道府県別では、1医療機関当たり89・42人の宮城県が最多を記録した。

 新型コロナウイルスの新規感染者数は6302人だったと発表された。1医療機関当たり1・64人で、2週連続で感染者は減少している。

 2025年11月28日(金)

🟥2025年の世界気温、観測史上2番目の暑さに ヨーロッパ気候監視機関

 ヨーロッパ気候監視機関「コペルニクス気候変動サービス」は9日、2025年が観測史上2番目に暑い年を記録する見通しだと発表した。  コペルニクスのデータは、地球の気温が産業革命前の水準を1・5度上回る見通しであることを裏付けるもので、これは2015年のパリ協定で合意された閾値を...