2023/09/02

🟧今夏の日本の平均気温、125年間で最高に 平年比1・76度高く

 気象庁の検討会が「異常気象」と指摘したこの夏、日本の平均気温は平年と比べて1・76度高く、気象庁が統計を取り始めてからの125年間で最も高くなったことが、わかりました。日本近海の海面水温も過去最高となり、地上も海も最も暑い夏だったことが、データから裏付けられました。

 気象庁は1日、今年6月から8月のこの夏の天候のまとめを発表しました。

 それによりますと、今年の夏の平均気温は平年と比べ1・76度高くなりました。

 夏の平均気温としては1898年の統計開始以降、これまで最も高かった2010年の1・08度を大きく上回り、この125年間で最高となりました。

 特に北日本では高温の傾向が顕著で、平年を3度上回りました。

 各地で相次いだ猛暑は夜間にも影響し、8月10日には新潟県の糸魚川市で最低気温が31・4度と歴代の全国1位を更新するなど、全国248地点で最低気温が最も高くなりました。

 この暑さは陸にとどまらず海域にも影響し、日本近海の平均海面水温は平年より1度高く、統計を取り始めた1982年以降、昨年の0・8度を上回り、過去最も高くなりました。

 特に、北海道の日本海沿岸や北海道から青森県にかけての太平洋の海域「北海道南東方」で3・1度、北海道と青森県の西方の海域「日本海北部」で2・56度、東北から山陰にかけての「日本海南部」で2・1度、東北から関東にかけての海域「本州東方」で1・73度高くなり、いずれも夏の平均海面水温として観測史上最も高くなりました。

 この記録的な暑さについて気象庁の専門家による検討会は8月28日、日本付近は高気圧に覆われやすく、暖かく湿った空気が流れ込み続けたためだとして、「異常気象だといえる」と指摘しています。

 一方、夏の期間を通した降水量は北日本の太平洋側では少なくなりました。

 この夏の天候を月ごとにみていくと、6月は高気圧に覆われやすく、北日本と東日本を中心に気温が上がり、7月は東北地方から九州地方が梅雨明けした下旬以降、全国的に晴れる日が多く、猛暑日が相次ぎました。

 8月に入ると気温はさらに上がり、5日に福島県伊達市で、10日には石川県小松市で、いずれも40度ちょうどに達するなど記録的な暑さとなりました。

 東京都の都心でも今年の猛暑日は8月31日までに22日観測され、1875年に統計を取り始めてから過去最多となったほか、最高気温が30度以上の日が8月31日までの57日間にわたり続きました。

 一方、8月は北日本や東日本の日本海側では高気圧に覆われてまとまった雨が降らず、記録的な少雨となりました。1カ月の雨量が、新潟市ではわずか2ミリ、北海道南部の江差町では11・5ミリ、山形県酒田市では13ミリと、8月として過去最も少なくなりました。新潟県内では一部のダムで貯水率が0%になったほか、稲が枯れるといった農作物への影響も出ました。

 気象庁によりますと、日本付近は9月いっぱいは暖かい空気に覆われると予想され、東日本から西日本では猛暑日となる日も多いと見込まれています。

 気象庁は特に北日本と東日本では今後1週間程度は雨が少なく、2週間程度は気温が高い状態が続くとして、「少雨と長期間の高温に関する気象情報」を発表し、引き続き、熱中症に警戒するとともに、農作物や水の管理にも十分注意するよう呼び掛けています。

 2023年9月2日(土)

🟧2022年度の概算医療費、46兆円 2年連続で過去最高更新

 厚生労働省は1日、2022年度に病気やけがの治療で全国の医療機関に支払われた概算の医療費が過去最大を更新し、46兆円だったと発表しました。新型コロナウイルス感染拡大などで、前年度から1兆8000億円増えました。増加幅は4%でした。

 厚労省は、コロナ患者の医療費は参考値で前年度の倍近い8600億円としています。担当者は、「オミクロン型の流行により、発熱外来などの患者数が大幅に増えた影響が大きい」と説明しました。

 年齢別でみると、75歳以上の人が18兆円で全体の39・1%を占めました。1人当たりの医療費は、前の年度より1万6000円増えて36万8000円となり、年代別では、75歳未満が24万5000円だったのに対し、75歳以上は95万6000円で3・9倍となっています。

 入院は18兆1000億円。外来は16兆2000億円でした。

 診療所の外来医療費では、子供のコロナ患者増などにより小児科が30・8%増。2022年度より不妊治療の保険適用が拡充されたことを受け、産婦人科は53・9%増えました。

 概算医療費は、患者の窓口負担や公的医療保険で賄う費用を合計。労災保険や全額自己負担の場合は含まれず、医療費全体の約98%に当たります。

 厚生労働省は、医療費が増加した主な要因について、オミクロン型の流行で新型コロナの患者数が増えたことに加え、2020年度の受診控えの反動で医療機関を訪れる人が増えたことなどを挙げています。

 2023年9月2日(土)

2023/09/01

🟧ファイザーのオミクロン型「XBB・1・5」対応コロナワクチンを承認 9月20日から開始の追加接種に使用予定

 新型コロナウイルスのオミクロン型の1種で「XBB・1・5」に対応したワクチンが1日、厚生労働省に承認されました。このワクチンは、9月20日から始まる予定の追加接種で使われる予定です。

 承認されたのは、ファイザーが開発した、オミクロン型の「XBB・1・5」に対応した成分を含むmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンで、12歳以上用、5歳から11歳用、生後6カ月から4歳用の3種類です。

 厚労省によりますと、ファイザーから今年7月に承認申請が行われ、有効性が確認でき安全性にも重大な懸念はないとして、1日、使用が承認されたということです。

 一方、同じく承認申請が行われていたモデルナのワクチンは、引き続き審査が行われることになりました。

 1日に承認されたワクチンは、9月20日から生後6カ月以上の人を対象に行われる予定の無料の追加接種で、使われる予定です。

 2023年9月1日(金)

🟧2021年の日本人の死亡率、10年ぶり増加 新型コロナや老衰などが要因

 2021年の日本人の死亡率は前の年に比べて2%余り増加し、10年ぶりに増加したことが、国立がん研究センターの調査で明らかになりました。研究チームでは、新型コロナウイルスの流行が影響した可能性があるとしています。

 国立がん研究センターの研究チームは、国が公表している1995~2021年までの27年間の「人口動態統計」を基に、年ごとの死亡率の変化について統計学的な手法で調べました。

 その結果、2021年の死亡率は人口10万当たり989・6人で、前の年の人口10万当たり968・4人に比べて2・2%増加したということです。

 日本人の死亡率はこの数年、減少傾向が続いており、前の年より増加するのは東日本大震災の影響を受けた2011年以来、10年ぶりで、当時の1・4%増を上回ったということです。

 死因別に分析したところ、前の年から増加が大きかったのは、いずれも人口10万当たりで、新型コロナウイルスの感染の11・8人、老衰の93・8人、心不全などの心疾患の145・2人で、研究チームでは、新型コロナウイルスの流行やコロナ禍で診療体制が制限されたことなどが影響した可能性があるとしています。

 国立がん研究センターがん対策研究所の田中宏和研究員は、「コロナ禍の影響が死亡率にも表れる結果となった。ほかにもがん治療の先延ばしや検診の受診控えなどが今後、がんの死亡率に影響してくる可能性があり、注視していく必要がある」としています。

 2023年9月1日(金)

🟧東京都、新型コロナ感染者が2週連続増 高齢者の感染拡大に警戒を

 東京都内の新型コロナウイルスの感染者数は、前の週の1・33倍と2週連続で増え、専門家は「10歳未満や60歳以上の増加が目立っており、重症化リスクの高い高齢者などの感染拡大に警戒が必要だ」と呼び掛けています。

 都は8月31日、都内の新型コロナウイルスの感染状況についてモニタリング項目を発表しました。

 それによりますと、定点把握の対象になっている都内419の医療機関のうち410カ所から報告があり、8月27日までの1週間の感染者数は合わせて5956人で、1医療機関当たり14・53人でした。

 これは前の週の10・96人の1・33倍で、増加したのは2週連続です。

 8月28日時点での入院患者数は、前の週とほぼ変わらず2684人でした。

 専門家は「先週は診療日数減少の影響を受けており、前週比の評価には注意が必要」とした上で、「感染者を年代別に見ると、10歳未満や60歳以上の増加が目立っており、特に重症化リスクが高い高齢者などの感染拡大を警戒する必要がある」として、場面に応じたマスク着用や換気などとともに、体調が悪い時は外出を控えるよう呼び掛けています。

 新型コロナの感染拡大時に、住民に注意喚起する際の参考にしてもらう目安として国が作成した4つの指標について、東京都は8月31日、都に当てはめた数値を公表しました。

 それによりますと、医療機関が「外来がひっ迫している」と回答した割合が25%を超える時、感染者数が1医療機関当たり19・78人を超える時、入院患者数が2230人以上の時、確保している病床の使用率が50%を超える時、としています。

 31日に発表された都のモニタリング項目では、入院患者数が2684人と国の目安を超えていますが、都の担当者は「数値はあくまでも参考であり、都内の病床はひっ迫している状況ではない。注意喚起に当たっては専門家による医療現場の状況確認や、数値の増加スピードなどを踏まえて総合的に判断していく」としています。

 2023年9月1日(金)

2023/08/31

🟧新型コロナの全国感染状況、前週比1・26倍 増加に転じ5類変更後最多

 新型コロナウイルスの全国の感染状況は、8月20日までの1週間では1つの医療機関当たりの平均の患者数が17・84人で、前の週の1・26倍となっています。厚生労働省は「お盆期間や祝日に人に会う機会が増えた影響などもあり、緩やかな増加に転じた。例年、お盆が明けた時期に感染拡大のピークを迎える傾向があり、このまま増加傾向が続くかどうか注視したい」としています。

 厚労省によりますと、8月14日から20日までの1週間に全国約5000の医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から1万9686人増えて8万6756人となりました。

 また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は17・84人で、前の週の1・26倍となりました。直近は2週連続で減少していましたが、今回、増加に転じ、感染症法上の位置付けが5類に変更された5月8日以降で最多となりました。

 都道府県別では多い順に、岐阜県が31・03人、岩手県が30・42人、秋田県が28・48人、茨城県が27・42人、石川県が26・69人、青森県が25・93人、愛知県が25・69人、福島県が25.・27人などとなっていて、41の都道府県で前の週より増加しています。前週比が最も高かったのは秋田県の2・42倍。

 少なかったのは沖縄県7・65人、鹿児島県10・89人、東京都10・96人、大阪府11・88人、福井県12・51人、兵庫県12・70人。

 このほか、8月20日までの1週間に新たに入院した人は全国で1万3135人で、前の週と比べて554人増加し、前週比1・04倍となりました。

 2023年8月31日(木)

🟧RSウイルス感染症のワクチン、日本国内初承認へ 対象は60歳以上

 子供や高齢者が感染すると、重い肺炎になることもある、RSウイルス感染症のワクチンについて、厚生労働省の専門家部会は28日夜、60歳以上を対象に使用を認めることを了承しました。今後、厚労省の正式な承認を経て、RSウイルス感染症のワクチンの製造・販売が国内で初めてできるようになります。

 28日の専門家部会で了承されたのは、イギリスの製薬大手グラクソ・スミスクラインが開発した、RSウイルス感染症のワクチン「アレックスビー」です。

 RSウイルス感染症は、発熱やせきなど、風邪のような症状が出る病気で、幼い子供や高齢者が感染すると肺炎などを引き起こし、重症化することがあり、今回のワクチンは、重い症状になるのを防ぐ効果や発症を防ぐ効果が期待されています。

 グラクソ・スミスクラインが昨年10月に厚労省に承認申請を行い、28日夜開かれた厚労省の専門家部会は、有効性が確認でき、安全性にも重大な懸念はないとして、使用を認めることを了承しました。

 グラクソ・スミスクラインの臨床試験によりますと、ワクチンは17カ国の約2万5000人の60歳以上が接種を受けて、有効性が確認できたということです。

 RSウイルス感染症は、ウイルスに感染して発熱やせき、鼻水など風邪のような症状が出る病気。乳幼児を中心に流行し、多くは軽症ですみますが、特に幼い子供が初めて感染した場合などにはせきがひどくなったり、肺炎を引き起こしたりして重症化することがあります。

 また、幼い子供だけでなく、免疫の働きが低下した高齢者が感染した場合も症状が重くなって亡くなるケースもあるほか、重症化したことを切っ掛けに寝たきりになったり、食事を取りづらくなったりすることも少なくないということです。

 グラクソ・スミスクラインなどの研究グループの推計によりますと、日本国内でRSウイルスに感染して入院する60歳以上の人は、1年間に約6万3000人、入院して亡くなる人はおよそ4000人とみられるということです。

 2023年8月31日(木)

🟧アメリカの病院でブタ腎臓移植の男性死亡 手術から2カ月、退院して療養中 

 アメリカで、脳死状態の患者以外では世界で初めて、遺伝子操作を行ったブタの腎臓の移植を受けた60歳代の患者が死亡しました。移植を行った病院は、患者の死亡について移植が原因ではないとみています。  これはアメリカ・ボストンにあるマサチューセッツ総合病院が11日、発表しました。  ...