出血を伴う膀胱炎で、多くは子供が罹患
出血性膀胱(ぼうこう)炎とは、肉眼で見えるほど尿に血が混じっており、白く濁る膿尿(のうにょう)の症状がない膀胱炎。急性出血性膀胱炎とも呼ばれます。
この出血性膀胱炎の原因は、ウイルスや細菌の感染、抗がん剤の投与、食物や薬のアレルギーなどですが、ウイルス性のものが多く、一般的に出血性膀胱炎といえばウイルスが原因とされます。
子供がかかりやすく、アデノウイルスによるものが一番多くみられます。アデノウイルスは夏風邪のウイルスの一種で、プール熱や流行性結膜炎などの原因としても知られています。このアデノウイルスによる出血性膀胱炎では、排尿時に痛みがあり、真っ赤な血尿が出ます。肉眼的血尿、排尿痛のほか、頻尿、残尿感や、微熱程度の発熱がある場合もあります。
また、白血病の治療に使われる抗がん剤のエンドキサンなどの投与によって、出血性膀胱炎を起こすことがあります。
子供が出血性膀胱炎にかかった場合、症状を口でいうことができないことがあります。トイレに行く様子がおかしかったり、おしっこをしてもじもじしているようなら、膀胱炎を疑ったほうがよいでしょう。基本的には自然治癒を待つことが多いのですが、出血性膀胱炎による血尿であることを判断し、別の大きな疾患であることを否定するためにも、小児科を受診することが勧められます。
医師による出血性膀胱炎の診断では、尿検査を行って、尿を赤くしているものが血液かどうかを調べたり、膀胱炎の時に出てくる細胞が現れているかどうかを確認します。また、尿のウイルスの種類を検査し、原因となるウイルスを検査することもあります。
アデノウイルスに効く薬は今のところないため、アデノウイルスによる出血性膀胱炎も安静と十分な水分摂取を心掛けて、自然治癒を待ちます。一般的に、肉眼的血尿の症状は数日で改善され、尿検査でも血尿は10日間ほどでなくなります。排尿痛、頻尿、残尿感も1週間以内になくなります。細菌性尿路感染症と区別が付くまで、抗生剤を内服することもあります。
抗がん剤など薬剤による出血性膀胱炎の場合、軽い血尿には止血剤を使用したり、原因の薬剤を中止することで改善されます。症状が重い場合、血尿中で血液が塊となり、尿閉を起こしたり、膀胱委縮が起こることもあります。薬を服用中は、水分を多めに取り、たくさん排尿し、膀胱炎を予防することが大切です。