中国が28日に発表した新型コロナウイルス新規感染者が5日連続で過去最多を更新しました。週末には厳しいコロナ規制に対する抗議活動が各地で行われ、習近平体制下で異例の事態となっています。
27日にデモ隊と警察が衝突した上海市では、中心部にバリケードが築かれました。上海市と北京市では28日、新たな抗議活動が起こる兆しはありません。
世界の大半の国がコロナ規制をほぼ解除する中でも、中国はゼロコロナ政策を堅持しています。
政府は今月、より的を絞った対策に修正する姿勢を打ち出し、近く全面的な経済再開につながるとの観測が高まったものの、感染再拡大を受けて早期の大幅な制限緩和への期待は後退。多くのアナリストは、早くても来年3月か4月まで中国が経済を大幅に再開する可能性は低いとみており、専門家はワクチン接種拡大が必要だと指摘しています。
27日の新規感染者は4万347人と前日の3万9791人から増加。海外からの渡航者を除く新規の市中感染者は4万52人で、こちらも前日を上回りました。大都市の広州市と重慶市では数千人規模の感染者が出ており、流行抑制に苦慮しています。
市民による異例の抗議を受けて中国のゼロコロナ政策や経済への影響を巡る懸念が高まり、世界の金融市場は下落。中国株や人民元も売られました。
国営メディアはデモに言及せず、論説で規制を守るよう呼び掛けました。
週末には武漢市や蘭州市などの都市で、住民がコロナ検査所のテントを倒すなどしました。また、新疆ウイグル自治区のウルムチ市で24日に起きた火災を切っ掛けに、各地の大学でも怒りを募らせる学生らが集まって抗議しました。
首都・北京市では27日夜から28日未明にかけて数百人が北京三環路沿いに集まり、平和的な抗議活動を実施。あるグループは抗議の象徴である白い紙を掲げて「コロナ検査は要らない、自由が必要」などと叫びました。通りすぎる車の多くもクラクションを鳴らして、デモ参加者に支持を示しました。
軍が民衆を弾圧した1989年の天安門事件を経験した北京市で、この規模の抗議集会が開かれるのは極めて珍しく、現場には制服を着た警察官が数十人出動し、私服の治安要員も群衆の中に見られました。
上海市では26日夜、ウルムチ市にちなんで名付けられた市内の道路に住民が集まって追悼集会が行われ、27日未明に抗議活動へと発展しました。
ネット上の動画などによると、大規模な集団が「中国共産党は退陣しろ、習近平(国家主席)は退陣しろ」と叫び、指導部に対し異例の抗議の声を上げました。
2022年11月28日(月)