2022/12/09

🟧オミクロン型「BQ・1・1」「XBB」に抗ウイルス薬有効 東大研究チーム

 東京大学医科学研究所の河岡義裕特任教授(ウイルス学)らの研究チームは8日、新型コロナウイルスのオミクロン型の派生型「BQ・1・1」と「XBB」に対して、国内で承認されている3種類の抗ウイルス薬が増殖を抑える効果があったとする論文を発表しました。 夏の第7波で流行の主流だった「BA・5」に変異が加わった「BQ・1」や「BQ・1・1」は、アメリカやヨーロッパで増えています。アジアでは、「BA・2」系統の「XBB」が広がっています。

 日本国内では今のところ、「BQ・1・1」と「XBB」は大きな流行には至っていません。11月8~14日の東京都のゲノム解析では、「BA・5」が感染者の77%を占め、「BQ・1」と「BQ・1・1」の「BQ・1」系統は6・6%にとどまります。ただ、国立感染症研究所の推定では、12月5~11日に「BQ・1」系統が36%まで伸びています。

 アメリカ疾病対策センター(CDC)の推定によると、11月27日~12月3日のアメリカの新規感染者のうち「BQ・1」系統が計60%を超えました。直近の主流だった「BA・5」は13・8%まで減り、置き換わりが進んでいます。

 研究チームは「BQ・1・1」や「XBB」に感染した細胞に抗ウイルス薬を加えて、ウイルスの増殖を抑える効果を調べました。アメリカのギリアド・サイエンシズの点滴薬「ベクルリー(レムデシビル)」とアメリカのメルクの飲み薬「ラゲブリオ(モルヌピラビル)」、アメリカのファイザーの飲み薬「パキロビッド」の成分「ニルマトレルビル」については、いずれも新型コロナ流行初期の従来型ウイルスと同様に有効でした。

 抗ウイルス薬では11月に塩野義製薬の飲み薬「ゾコーバ」が承認されました。河岡特任教授は「ゾコーバは(オミクロン型の)BA・1に対して高い有効性を示しており、有効と考えられる」と話し、「BQ・1・1」や「XBB」の新たな派生型への効果にも期待を示しました。

 抗体医薬が「BQ・1・1」や「XBB」の細胞への感染をどれほど防ぐかも調べました。国内で承認されているイギリスのアストラゼネカの抗体医薬「エバシェルド(チキサゲビマブ・シルガビマブ)」やイギリスのグラクソ・スミスクラインなどの「ゼビュディ(ソトロビマブ)」、アメリカのリジェネロン・ファーマシューティカルズなどの「ロナプリーブ(カシリビマブ・イムデビマブ)」は、いずれも効果が低くなりました。これまで流行してきた「BA・2」や「BA・5」で高い効果を示していた国内では未承認のアメリカのイーライ・リリーの「ベブテロビマブ」も、同様に効果が低くなりました。

 河岡特任教授は「今後の派生型でも抗体医薬の効果が低い状態が続き、抗ウイルス薬に期待が高まる」と指摘しています。

 国立感染症研究所や国立国際医療研究センターとの共同研究で、7日付のアメリカの医学誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に掲載されました。

 2022年12月9日(金)

🟧モデルナ製コロナワクチン追加接種、対象年齢を18歳以上から12歳以上に引き下げ

 アメリカのモデルナ社製の新型コロナウイルスワクチンについて、厚生労働省の専門家部会は8日、3回目以降の追加接種に使うワクチンの対象年齢を現在の18歳以上から12歳以上に引き下げることを了承しました。今後ワクチン分科会でも議論し、了承されれば実際に12歳から接種を受けられるようになります。

 対象のワクチンは現在主流となっているオミクロン型の派生型「BA・5」対応品、以前流行した「BA・1」対応品、流行初期のウイルスに対応した従来品の3種類。前回接種から3カ月以上の間隔を空けます。

 モデルナ製は遺伝情報の一部である「mRNA」を使ったワクチン。9月に「BA・1」、11月に「BA・5」対応のワクチンがそれぞれ承認され、接種が始まっています。アメリカのファイザー製ワクチンは、すでに12歳以上に使うことができます。

 厚労省によると、有効性について、ワクチンをうった12~17歳の約260人が参加した臨床試験で、感染を防ぐ中和抗体の働きが、ワクチンをうった18歳〜25歳と同程度であることが確認できました。安全性については12~17歳の約1300人のデータで、死亡例や重篤な有害事象はなかったといいます。

 2022年12月9日(金)

🟧武田薬品のデング熱ワクチン、ヨーロッパでも承認取得

 武田薬品工業は8日、同社開発のデング熱ワクチン「キューデンガ」がヨーロッパ連合(EU)での使用承認を得たと発表しました。キューデンガは、デング熱が流行するインドネシアですでに承認を得ており、重症化を防ぐ効果が高いとされます。中南米などの流行国に加え、日本やアメリカでの承認取得も目指しています。

 デング熱は蚊が媒介するウイルス感染症で、毎年3億9000万人が感染し、子供を中心に毎年2万人から2万5000人が死亡しているとされます。同社のワクチンは複数のデングウイルスに有効で、4歳以上を接種の対象とします。

 ヨーロッパ医薬品庁(EMA)から肯定的な見解を得ていましたが、2万8000人以上を対象とした臨床試験を経て正式に承認を受けました。

 2015年に世界で初めて承認されたフランスの製薬会社サノフィの「デングワクシア」に続くデング熱ワクチンとなります。

 ただ、サノフィが2017年に「血清反応陰性」の子供で重症化リスクが高まることを公表した後、同社ワクチンの使用は大幅に縮小されました。

 武田薬品工業のデングプログラム責任者のデレク・ウォレス氏はインタビューで、自社のワクチンは有効であるという十分な証拠があり、安全性の懸念となる証拠は何もないと述べました。

 同社のワクチン事業の売上高は2023年3月期に約500億円の見通し。2024年3月期以降にキューデンガの本格的な収益貢献を見込んでいます。

 2022年12月9日(金)

2022/12/08

🟧「がん検診」の受診率目標 60%に引き上げ 厚労省の第4期基本計画案

 日本人の2人に1人がかかるとされているがんの対策について、厚生労働省の有識者協議会は、自治体が行うがん検診の受診率の目標を、これまでの50%から60%に引き上げることを盛り込んだ、「第4期がん対策推進基本計画案」を取りまとめました。

 国のがん対策の柱となる基本計画は、患者や医師らで作る厚労省の有識者協議会で定期的に見直されており、7日、今後6年間の方針を定める新しい基本計画の案がおおむね了承されました。

 計画案では現在の基本計画に盛り込まれている「予防」「医療の充実」「がんとの共生」の3つの柱を維持し、課題や取り組むべき施策などを定めるとしています。

 具体的には「がん検診」について、新型コロナの影響で受診者が1割から2割ほど減少しているという研究報告を踏まえ、感染症のまん延時などに備えた準備や対応を検討することを初めて盛り込んだほか、自治体が行うがん検診の受診率の目標を、これまでの50%から60%に引き上げるとしています。

 また、「医療」では、患者の痛みや精神的な苦しみを和らげる「緩和ケア」について、診断された時からすべての医療従事者が適切に支援できるよう、がん相談支援センターとの連携など体制の整備を進めるとしています。

 がん対策の基盤の整備では、遺伝子情報をもとにした「全ゲノム解析」など、新技術を活用し、効果が高い治療薬の研究などを進めるとしています。

 厚労省は、この基本計画案についてパブリックコメントを実施して、広く意見を聞いた上で、来年3月までに閣議決定することを目指すことにしています。

 厚労省の研究班によりますと、新型コロナの感染拡大が始まった2020年度のがん検診の受診者数は、それ以前の3年間の平均と比べて胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮けいがんの5つのがんで約1割から3割減少し、このうち減少幅が最も大きかった胃がんでは35%減少したということです。

 がん検診の受診率は、いずれのがんでも増加傾向にあるものの、2019年時点で、男性の肺がん検診を除いて「第3期がん対策推進基本計画」の目標だった50%を達成できていません。

 2022年12月8日(木)

🟧新型コロナ、東京都 で1万4104人感染 年末年始に向け感染急拡大の可能性も

 東京都は8日、新型コロナウイルス感染者を新たに1万4104人確認したと発表しました。1週間前の木曜日より1772人増え、前週の同じ曜日を上回るのは3日連続です。50歳代から100歳以上の22人の死亡も発表しました。

 8日までの週平均の感染者数は1日当たり1万2136・9人で、前週(1万2004・4人)の101・1%でした。

 新規感染者を年代別にみると、最多は20歳代の2598人、次いで30歳代2534人、40歳代2406人と続きました。重症化しやすいとされる65歳以上は1215人でした。

 入院しているのは3376人で、このうち「人工呼吸器か体外式膜型人工肺(ECMO<エクモ>)を使用」とする都基準の重症者は、前日と同じ17人でした。

 重症者用の病床使用率は7日から1ポイント上がって23・2%、全体の病床使用率は0・9ポイント上がって44・9%でした。

 一方、新型コロナウイルスの感染状況について、東京都内の分析結果が公表され、専門家は新規感染者数が高い水準のまま推移しているとして、人との接触機会が増える年末年始に向けて感染が急拡大する可能性を指摘しました。 

 東京都は8日、都内での新型コロナの感染状況と医療提供体制について専門家によるモニタリング項目の分析結果を公表しました。

 それによりますと、新規感染者数の7日間平均は、7日時点で1万1882人と、前週比で108%となり800人余り増えました。前週比が100%を上回るのは6週連続となります。また、入院患者数も3301人と前週比で235人増えました。

 専門家は、4段階ある感染状況と医療提供体制の警戒レベルについて、いずれも上から2番目を維持した上で、「新規感染者数は高い水準のまま推移していて、年末年始に向けて人との接触機会が増えると感染が急拡大する可能性もあるため、今後の動向に十分な警戒が必要だ」と指摘しました。

 2022年12月8日(木)

🟧全国で新たに13万3065人が新型コロナに感染 死亡243人、重症363人

 厚生労働省は8日、新型コロナウイルスの感染者が全国で新たに13万3065人確認されたと発表しました。前週の木曜日から約1万4800人増え、3日連続で前週の同じ曜日を上回っています。

 また、国内で感染して亡くなった人は、北海道で34人、東京都で20人、神奈川県で16人、愛知県で15人、埼玉県で13人、長野県で12人、宮城県で11人、兵庫県で10人、千葉県で9人、大阪府で9人、三重県で7人、岡山県で6人、秋田県で6人、奈良県で5人、愛媛県で5人、茨城県で5人、山梨県で4人、岐阜県で4人、岩手県で4人、広島県で4人、熊本県で4人、青森県で4人、和歌山県で3人、福岡県で3人、福島県で3人、群馬県で3人、香川県で3人、京都府で2人、大分県で2人、山口県で2人、島根県で2人、栃木県で2人、石川県で2人、長崎県で2人、静岡県で2人、高知県で2人、山形県で1人、滋賀県で1人、鹿児島県で1人の合わせて243人、累計で5万1062人となっています。

 主な都道府県別の新規感染者数は、北海道6641人、埼玉県7282人、千葉県5931人、東京都1万4104人、神奈川県8413人、愛知県8034人、大阪府6950人、兵庫県4811人、福岡県5165人など。

 また、新型コロナウイルスへの感染が確認された人で、人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO<エクモ>)をつけたり、集中治療室などで治療を受けたりしている重症者は、8日時点で363人となっています。重症者の数は、7日と比べて17人増えました。

 一方、厚生労働省は8日、大阪府内で新たに6950人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。これで大阪府内の感染者の累計は233万5117人となりました。

 また、9人の死亡が発表され、府内で感染して亡くなった人は合わせて6802人となっています。重症者は40人と、7日より4人多くなっています。

 2022年12月8日(木)

🟧中国50都市以上で、公共の場所でのPCR陰性証明が不要に

 中国ではここ数日、全国各地で新型コロナウイルス感染症対策の規制緩和が進められています。統計を整理したところ、少なくとも50の都市では老人ホームや病院などの特殊な場所を除き、公共の場所におけるPCR検査の陰性証明の提示が不要になりました。

 北京市では6日から、スーパーマーケットやオフィスビル、その他の公共の場所に入る際にPCR検査の陰性証明の確認を受けることが不要になり、ロケーションQRコードをスキャンするだけで入場できるようになりました。また、コミュニティー(村)に入る際も陰性証明の確認はせず、住人はロケーションQRコードのスキャンも必要なくなりました。

 6日からは北京大興国際空港ターミナルと首都空港ターミナルに入る際のPCR検査の陰性証明の確認が行われなくなり、ロケーションQRコードをスキャンして、体温が正常であれば入場できるようになりました。

 さらに5日からは、バスや地下鉄運行会社が健康情報をチェックする際に、48時間のPCR検査陰性証明を持たない人の乗車を拒否できないことになりました。

 上海市では6日午前0時から、養老施設、児童福祉施設、医療機関、保育施設、学校、カラオケルームや将棋室、ネットカフェなど密閉度が高い娯楽施設、酒類を提供する場合を含む飲食店といった特別な予防対策が求められる場所を除き、その他の公共の場所ではPCR検査の陰性証明の確認が行われなくなりました。

 2022年12月8日(木)

🟧千葉県銚子市の鳥インフルエンザ陽性、41万羽を殺処分へ 今季2例目

 千葉県は12日、高病原性鳥インフルエンザの疑いがあった銚子市の養鶏場の採卵鶏について、遺伝子検査で陽性が判明したと発表しました。県は同日、自衛隊に災害派遣を要請しました。養鶏場で飼育されている約41万羽の殺処分や消毒などの防疫措置を進めます。今季、県内での鳥インフルエンザ発生...