2023/06/30

🟧機能性表示食品のサプリの有効性表示、届け出を逸脱 景表法違反で2例目の措置命令

 科学的根拠が不十分でありながら、機能性表示食品として有効性をうたってサプリメントを販売したことが景品表示法に違反するとして、消費者庁は30日、通販会社のさくらフォレスト(福岡市中央区)に対し、再発防止策などを求める措置命令を出したと発表しました。機能性表示食品の表示に対する措置命令は、今回で2例目。

 同社は本日付けで、機能性表示食品の届け出を撤回し、販売を終了しました。消費者庁では、今回の商品と同じ研究レビューを用いた約90件の届け出についても、再確認する方針を示しています。

 同社は、機能性表示食品のサプリメント「きなり匠」「きなり極」の2商品について、自社ウェブサイト、同梱冊子、容器包装で有効性をうたっていました。

 「きなり匠」はDHA・EPA、モノグルコシルヘスペリジン、オリーブ由来ヒドロキシチロソールの3成分を配合。消費者庁へ「中性脂肪を低下させる機能」「血圧が高めの方の血圧を下げる機能」「抗酸化作用を持ち、血中のLDLコレステロールの酸化を抑制」することが報告されているという表示を届け出ていた。

 しかし、自社ウェブサイトでは「血圧をグーンと下げる」など、届け出た表示を逸脱した表現が見られました。

 さらに、表示を裏付けるための科学的根拠が不十分と判断されました。DHA・EPAについては、研究レビューによって30報以上の研究論文を対象に評価しましたが、今回の商品よりも多くの成分を含む食品を用いた試験が多数あったといいます。

 モノグルコシルヘスペリジンについては、一般的な醤油を減塩醤油に置き換えた上で、サプリメントを摂取させるという試験の論文を用いましたが、「サプリメント単独の効果を裏付けるものではなかった」(表示対策課)と指摘しています。オリーブ由来ヒドロキシチロソールでも、評価方法が不適切だったといいます。

 同社からは、届け出資料を含む根拠資料が提出されたものの、合理的なものとは認められませんでした。消費者庁は同社に対し、現在も続いている容器包装の表示をやめることや、再発防止策の構築などを命じました。

 消費者庁では、今回の2商品と同じ研究レビューを使用している約90件の商品を対象に、届け出資料が適正かどうかを再確認する方針。内訳はDHA・EPAが31件、モノグルコシルヘスペリジンが14件、オリーブ由来ヒドロキシチロソールが47件としています。

 同時に業界に向けて、表示の裏付けとなる科学的根拠を欠く場合は景表法や食品表示基準に抵触することを周知する予定といいます。

 さくらフォレストは、「今回の措置命令を重く受け止めている。役員、従業員に周知徹底する方針で、コンプライアンス研修を実施し、広告・表示のチェック体制をいっそう強化していく」と話しています。

 2023年6月30日(金)

2023/06/29

🟧沖縄県、推計週1万人がコロナに感染 定点1医療機関当たり39・48人

 6月19~25日までの1週間に沖縄県内で確認された新型コロナウイルスの新規感染者は前の週の1・4倍近くとなり、総数は1万人と推計されています。沖縄県は県内の病院長らと対応を協議し、患者の状況に応じて対応する病院を振り分ける方針を確認しました。

  6月25日までの1週間に県内54の定点医療機関で報告された新規感染者は前の週の1・37倍の2132人で、1医療機関当たりの数は39・48人と、前の週時点の全国平均と比べると7倍以上に上っています。推計される新規感染者の総数は1万人とみられていて、県内の重点医療機関では6カ所で救急診療を制限し、5カ所で一般診療を制限する事態となっています。 

 新型コロナ患者に対応する重点医療機関36カ所(専用病床525床)の病床使用率は65・9%で、圏域別では本島68・5%、宮古30・8%、八重山53・8%でした。

 重点医療機関を含む県内各病院の入院患者は、29日午前11時時点で933人に上り、過去最も感染が広がった昨年8月の1666人に迫る勢いです。

 保健所別の定点報告数は、南部が711人(定点1医療機関当たり50・79人)と最多で、続いて、中部592人(同37・00人)、那覇市450人(同37・50人)、北部161人(同32・20人)、八重山116人(同38・67人)、宮古102人(同25・50人)でした。

 感染の急拡大に伴い、県は昨夜、県内の各病院や医師会と対応を協議しました。会議では、救急外来のある一部の病院に患者が集中している状況を改善するため、患者の症状や重症化のリスクに応じて対応することを議論しました。具体的には、入院治療が求められる患者、在宅医療で支えられる患者、介護者の見守りでよい患者の3つに分け、重点医療機関と地域のクリニックが連携して対処するとしています。

 県は5類に移行する前に県が担っていた入院調整を再開させることは難しいとした上で、入退院が円滑に進む施策を講じる考えを示しました。

 2023年6月29日(木)

🟧 無免許で女性2人に美容整形疑い 中国籍の女逮捕、埼玉県川口市

 医師ではないのに医療行為をしたとして、埼玉県警生活経済課と国際捜査課、川口署の合同捜査班は28日、医師法違反(無資格医業)の疑いで、川口市並木3丁目、中国籍の会社役員の女、李平(38)を逮捕しました。

 逮捕容疑は昨年1~3月ごろ、医師ではないのに自宅マンションの居室内で2回にわたり、県内に住む中国籍の20歳代と30歳代の女性2人に対して乳房や額などにヒアルロン酸のような液体などを注射するなどの医業を行った疑い。

 生活経済課によると、女は東京都内のエステサロン経営者。知人を介して知り合った2人とメッセージアプリで連絡を取り、それぞれ20万~30万円で手術を請け負いました。

 2人は術後しばらく経過しても痛みやはれが引かず、3月に川口署に来署。「医師免許がない中国人女性から豊胸手術を受け、胸に痛みがある」などと相談していました。

 生活経済課は、女の居室からヒアルロン酸用の注射液や麻酔剤、注射器数十本を押収しました。

 女は、「人に注射をしていいのは医者だけだと知っていたが、ヒアルロン酸を注射した人ははっきり覚えていない」と容疑を一部否認しており、「客に頼まれれば自分のお金にもなる。大事になると思わずにやってしまった」などと供述しているといいます。

 2023年6月29日(木)

🟧東京都の新型コロナ定点報告、1医療機関当たり6・22人 前週比0・37人増でほぼ横ばい

 新型コロナウイルスの感染者数について、東京都は6月25日までの1週間では、1医療機関当たり6・22人で、前の週に比べてほぼ横ばいと発表しました。

 都は29日、新型コロナの感染状況について、モニタリング項目を発表しました。

 発表によりますと、定点把握の対象になっている都内419の医療機関のうち、414カ所から報告があり、感染者数は6月25日までの1週間で計2577人でした。

 1医療機関当たりでは6・22人で、前の週に比べて0・37人増え、専門家は「ほぼ横ばいだが、今後の動向に十分な注意が必要だ」と分析しています。

 6月26日時点の入院患者数は1031人で、前の週に比べて75人増えました。

 専門家は「医療提供体制への大きな負荷はみられないが地域や診療科によってはほかの病気の受診者が増加してきており、状況を注視する必要がある」として、周囲の状況に応じた感染防止対策を心掛けるよう呼び掛けています。

 2023年6月29日(木)

🟧塩野義製薬、「ゾコーバ」の小児対象治験を開始 コロナ治療選択肢拡大も

 塩野義製薬は29日、新型コロナウイルスの飲み薬「ゾコーバ」について、6歳以上12歳未満の小児患者を対象とした最終段階の臨床試験(治験)を開始し、初回投与を28日に行ったと発表しました。12歳未満に使えるコロナ治療薬は現在、点滴薬しかありません。塩野義製薬は治験で成果が得られれば適用範囲の拡大を国に申請する方針で、「新たな選択肢として期待できる」としています。

 治験は軽症・中等症の患者を対象に5日間投与し、偽薬を投与した集団との比較で安全性などを確認します。国内で120人の患者を対象に実施する予定。

 ゾコーバは軽症・中等症患者向けで、基礎疾患などの重症化リスクの有無にかかわらず処方可能。昨年11月に緊急承認され、今年3月末から一般流通が始まったものの、対象は12歳以上となっています。

 国内でほかに新型コロナの飲み薬として流通しているアメリカのメルクの「ラゲブリオ」、アメリカのファイザーの「パキロビッド」も、12歳未満には投与できません。

 新型コロナの感染者数は4月ごろから増加傾向にあります。塩野義製薬によると「軽症・中等症の12歳未満には点滴までせず、対症療法にとどまる場合が多い。安全で飲みやすい抗ウイルス薬が求められている」といいます。

 2023年6月29日(木)

🟧沖縄県、救急搬送困難が急増 コロナ再拡大も要因

 新型コロナウイルスの感染再拡大により、那覇市消防局では、19~25日に急患の搬送先病院への「受け入れ照会4回以上」かつ、搬送先が見付かるまで「現場滞在30分以上」となった救急搬送困難事案が前週に比べて4倍の21件となっていることが28日、わかりました。

 沖縄県内各消防でも搬送人員が増加しています。県防災危機管理課によると、19~25日の搬送人員は計1858人で、前週から186人増加しました。搬送人員の内訳はコロナ関連が158人(前週比37人増)、一般救急が1700人(同149人増)でした。搬送人員は流行第7波を経験した昨年7月10~18日の1922人に迫りつつあります。

 各医療機関では入院患者の増加で病床確保が難しくなり、救急医療を制限する病院もあります。県内各消防のまとめでは、19~25日までに搬送時の「受け入れ照会4回以上」61件(前週比13件増)、「現場滞在30分以上」100件(同29件増)となるなど、患者の負担も増加しています。

 那覇市消防局などによると、近隣病院への搬送要請が断られる事例も目立つといいます。南部から中部の病院へ搬送するなど、医療圏域を越える事例も増えつつあります。

 県立中部病院救急科副部長の山口裕医師によると、同院救急救命センターでは、救急搬送や自ら病院を訪れる受診者が100人を超えるのは主に土日や連休中でしたが、6月中旬以降は平日でも度々100人を超えるようになりました。

 入院するのは、感染により基礎疾患が悪化した高齢者だけでなく、コロナ以外の呼吸器系ウイルス感染症を患う小児も増えています。医療現場では病床や医療従事者不足が常態化しており、医療者の負担感が増しています。

 本格的な夏を迎えるに当たり今後は熱中症が増えることも予想され、那覇市消防局はしっかり対策してほしいと呼び掛けています。

 2023年6月29日(木)

2023/06/28

🟧精子や卵子を使わず「胚」に似た組織の作製に成功 エール大とケンブリッジ大が発表

 精子や卵子を使わずに、受精卵から胎児になる初期の過程の「胚」に似た組織を作ることに成功したと、アメリカのエール大とイギリスのケンブリッジ大のチームが発表しました。それぞれの論文が28日、科学誌「ネイチャー」に掲載されます。

 いずれもさまざまな細胞に成長できる人の多能性幹細胞から人工的に作った「胚モデル」で、先天性疾患の原因究明などに役立つ可能性があります。将来的には人工的に人をつくる技術につながる恐れもあり、生命倫理の観点で議論を呼びそうです。

 アメリカのエール大の研究では、人の多能性幹細胞を特殊な環境下で培養すると、卵子と精子を使わずに受精後9日目ごろの胚に似た構造を確認したといいます。

 この胚モデルは細胞分裂によって、胎児や栄養分の元となる立体的な細胞塊に成長。筋肉や消化管などに発達する前段階の特徴もあり、チームは「人の胚の主要な特徴を試験管内で再構築した」としています。一方、胎盤の元になる細胞は含まず、そのまま培養を続けても胎児の体が形成される段階まで育つことはできないといいます。

 胚モデルを巡っては6月中旬、イスラエルや中国のチームも査読前の論文を公開しました。国際学会は子宮に移植することを禁止しているものの、心臓などの先天性疾患や不妊の原因究明に役立つと考えられており、世界で研究競争が激化しています。

 人の受精卵の培養期間は、臓器などの形成が本格化する14日以内とするルールが、日本など多くの国で採用されています。一方、胚モデルは研究が先行し、詳細なルール整備が追い付いていません。「生命の萌芽(ほうが) 」とされる受精卵に比べて倫理的な課題が少ないとして、14日超の培養を容認すべきだという声もあります。日本でも、内閣府が規制の必要性について議論を本格化させる予定です。

  北海道大の石井哲也教授(生命倫理)は、「研究が進展するほど、人工的に人を作る懸念が増す。研究者は胚モデルの作製目的を説明し、受精卵との違いを明確化する責任がある」としています。

 2023年6月28日(水)

🟩20歳代男性がレプトスピラ症に感染 茨城県内で5年ぶり確認

 茨城県は15日、県内の20歳代男性が、重症化の恐れがある感染症「レプトスピラ症」と確認されたと発表しました。男性は腎不全などで10月16日に入院したものの、すでに回復し、退院しています。茨城県内での確認は5年ぶり。渡航先のタイで感染したとみられます。  県感染症対策室によると...