全国の公立小中高校などで食物アレルギーがある児童生徒は6・3%で、約52万7000人に上ることが、昨年度、9年ぶりに実施された大規模調査で判明しました。2013年の前回調査より1・8ポイント上昇し、約12万人増えました。激しいアレルギー症状「アナフィラキシー」を起こしたことがある児童生徒は全体の0・6%で、こちらも増加傾向でした。教育現場では食物アレルギー対策が進むものの、道半ばです。
調査は公益財団法人・日本学校保健会(会長=松本吉郎・日本医師会長)が昨年10〜12月、全国の公立の小中高校と特別支援学校、義務教育学校、中等教育学校を対象に実施。77・6%に当たる2万5466校(在籍児童生徒約830万人)から回答を得て、今年3月に結果をまとめました。同会は2004年と2013年、文部科学省の委託事業として同様の調査を実施。2022年は国の補助金を受けて、同会の事業として実施しました。
食物アレルギーがある児童生徒は、2004年調査では32万9423人(回答校の児童生徒の2・6%)、2013年は40万7546人(同4・5%)、今回は52万6705人(同6・3%)。
原因食物は複数回答で、鶏卵が25・8%で最も多く、果物類25・0%、甲殻類14・9%、木の実類12・4%、ピーナツ11・2%などとなりました。
花粉症になると果物類のアレルギーを発症しやすいと指摘されており、花粉症の子供の増加が食物アレルギーの子供の増加につながっている可能性を指摘する専門家もいます。
食物アレルギーは、じんましんやせき、嘔吐(おうと)などの症状を引き起こします。複数の症状が急激に出る全身性のアナフィラキシーが起きることもあります。
今回の調査ではアナフィラキシーを起こしたことがある児童生徒の数も集計。2004年の1万8323人(同0・14%)、2013年の4万3621人(同0・48%)からさらに増え、5万1881人(同0・62%)でした。アナフィラキシーなどを想定した緊急対応の模擬訓練をした学校は26・8%でした。
2023年7月1日(土)