2023/07/04

🟧「最適化栄養食」を認証する取り組み開始 協会が独自のマークを商品に付与へ

 健康寿命を延ばすための政府の新たな目標が示される中、企業や専門家らが連携して、必要な栄養素をバランスよくとれる食品を認証する新たな取り組みが始まることになりました。

 大手の流通グループやコンビニ、食品メーカー、生活習慣病に詳しい専門家などが参加して設立された団体、「日本最適化栄養食協会」は3日、東京都内で発表会を開きました。

 この中で、今後の活動について、年齢や性別、生活習慣など体の状態に合わせて、必要な栄養素をバランスよくとれる食品を科学的なデータをもとに「最適化栄養食」として認証し、商品に表示できる独自のマークを付与する取り組みを始めると明らかにしました。

 発表会場では、対象となる食品の試作品が展示され、塩分やカロリーを抑えながら、たんぱく質など体に必要な栄養素をとれる、かつ丼やピザなどが紹介されていました。

 協会では、今後、認証基準などを整え、今年の秋ごろから、認証マークをつけた商品を市場に展開したい考えです。

 厚生労働省は、国民の健康作りに向けた基本計画で、1日当たりの塩分の平均摂取量を7グラム未満に引き下げるなど、食事や生活習慣についての来年度からの新たな数値目標を今年5月末に公表しており、協会の理事長を務める慶応大学予防医療センターの伊藤裕特任教授は「おいしく食べていく中で、自然と食事のバランスがとれることを期待している。日常の食事のクオリティーを上げるために努力していく」と話していました。

 日本では肥満や間違ったダイエット方法での栄養不足などが問題視されていて、近年、食品メーカーなどは健康に配慮した食品開発に力を入れています。

 2023年7月4日(火)

2023/07/03

🟧5月に報告された「クラミジア」と「尖圭コンジローマ」の感染者数、ここ10年で最多 性感染症が急増

 性感染症の「梅毒」の感染者が急増する中、「クラミジア」と「尖圭コンジローマ」という2つの性感染症も、5月に報告された感染者数がここ10年で最も多くなったことが、国立感染症研究所のまとめでわかりました。

 国立感染症研究所は、感染者数が特に多い4つの性感染症について、全国約1000カ所の医療機関から毎月の感染者数の報告を受け、1医療機関当たりの数を調べる「定点把握」を行っています。

 それによりますと、5月の1医療機関当たりの感染者数は、クラミジアが2・76人、性器ヘルペスが0・81人、尖圭コンジローマが0・62人、りん病が0・85人となりました。

 このうち、クラミジアと尖圭コンジローマの報告は、ここ10年で最も多くなりました。また、性器ヘルペスとりん病の感染者数も高い水準で推移しています。

 札幌医科大学の安田満病院教授は、ここ数年急増している「梅毒」以外の性感染症も増加傾向にあるとした上で、「性感染症はより身近な問題になっていて、誰でも感染し得ると考えてほしい。女性の場合は、感染を放置すると不妊につながる恐れもある。コンドームを使うなど、感染しないよう気を付けてほしい」と話しています。

 クラミジアは、「クラミジア・トラコマチス」という細菌が原因で、性感染症の中では最も感染者数が多いとみられています。

 目やのど、性器や尿道などのほか、女性の場合は卵管や子宮頸管に炎症などの症状が出ることがあり、放置すると不妊症の原因にもなりますが、無症状で感染に気付かない人も多いということです。抗菌薬の服用で治療できます。

 尖圭コンジローマは、子宮頸がんの原因ともなるHPV(ヒトパピローマウイルス)に感染することで起きる性感染症です。

 性器の周辺に小さなとがったいぼができますが、いぼができず、症状に気付かない場合も多いということです。

 手術でいぼを切除したり、塗り薬を使ったりして治療するほか、HPVワクチンで予防することもできます。

 性器ヘルペスは、「単純ヘルペスウイルス」の1型と2型が原因で、性器に潰瘍や水ほうができると歩くのが難しいほどの激しい痛みを感じることもありますが、無症状のことも多いということです。

 抗ウイルス薬や抗炎症薬などで治療を行いますが、一度感染すると、ウイルスが身体の中に潜伏し、何度も再発する可能性があります。

 りん病は「淋菌」が原因の性感染症で、感染力が非常に強いとされています。

 発症すると男性は性器から「うみ」が出ることがありますが、女性は症状に気付かない場合が多く、進行すると子宮内膜炎や卵管炎などを起こし、不妊症の原因になるということです。

 治療には抗菌薬が有効ですが、薬の効きにくい淋菌も増えていて、現在治療に使える抗菌薬は2種類にとどまるということです。

 このほか、国立感染症研究所は、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)や梅毒の感染状況も調べています。

 HPVは感染後、治療をせずに数年から10数年たつと、エイズ(後天性免疫不全症候群)の発症につながります。

 体の免疫機能が低下し、さまざまな合併症を引き起こしますが、ウイルスが増えるのを抑え、病気の進行を抑える治療薬も普及しています。

 また、梅毒は1999年に今の方法で統計を取り始めてから最多となるペースで増加しています。

 感染しても無症状だったり、症状が出ても、すぐに消えたりすることがあり、治療せずに放置すると全身に炎症が起こって深刻な状態になることもあります。

 妊婦が感染すると、死産や流産につながるリスクがあるほか、母子感染で子供が「先天梅毒」になり、皮膚や骨の異常、難聴や視覚障害といった症状が出る恐れもあります。

 抗菌薬を一定期間服用したり、抗菌薬を注射したりする治療法が確立しています。

 2023年7月3日(月)

🟧被爆者11万3649人に減少 平均年齢85・01歳、いっそう高齢化進む

 広島、長崎に投下された原爆で被爆し「被爆者健康手帳」を持つ人は3月末現在で11万3649人(前年比5286人減)となり、旧原爆医療法の施行で手帳交付が始まった1957年度以降で最少を更新したことが3日、厚生労働省のまとめでわかりました。

 平均年齢は85・01歳で、前年から0・48歳上昇しました。高齢化がいっそう進み、医療や介護の支援拡充、被爆体験継承が課題です。

 厚労省によると、都道府県別では広島県の5万3460人が最多で、次いで長崎県2万8339人、福岡県4576人。全国の人数は1980年度末の37万2264人をピークに減少し、2013年度末に20万人を下回りました。

 2022年度に亡くなった被爆者は9350人。

 2023年7月3日(月)

🟧沖縄県の新型コロナ入院患者が1000人超える 最大流行時の昨年8月に匹敵

 沖縄県で新型コロナウイルスの入院患者数が2日時点で、少なくとも1031人になりました。最大の流行となった第7波のピーク時(昨年8月)の1166人に匹敵する規模です。

 また、6月25日までの1週間の1定点医療機関当たりの平均患者数は39・48人となり、今年1月の第8波のピークを超えたことが2日、わかりました。

 感染症法上の位置付けが5月8日に5類へ移行して以降、社会活動が活発になったほか、感染力の強い変異型が主流になったことが背景にあるとみられる。検査を受けていない「隠れ感染者」も多数いるとみられ、数字以上に流行が広がっている恐れがあります。

 新型コロナの感染者が再び急増している中、沖縄県那覇市内のPCR検査所では朝の時間帯などに行列ができ始めています。5類移行を境に検査は有料になり、検査数はいったん落ち着きつつあったものの、次第に増加し陽性率も上昇しています。入院患者は増え続け、医療も逼迫(ひっぱく)し、感染の最大波が押し寄せていた昨年夏のような光景が再び現れています。

 「沖縄PCR検査センター」を県内5カ所で運営するミタカトレード沖縄支社によると、ゴールデンウイークが明けて1週間あたりから検査数が増え始めました。6月後半には陽性者数は連日100人を超え、陽性率が5割を突破する日もあります。

 通常のPCR検査費は5000円ですが、感染急増を受け7月1日から抗原検査を含め2週間限定で1000円にしました。同日朝、那覇市内の店舗ではオープン前から数十人が列を作りました。子供と並んだ30歳代女性は「親にうつしたくないので、念のため受けに来た」と話しました。

 同センターの担当者は直近の状況を「(第7波があった)昨年夏にタイムスリップしたようだ」と説明し、「受けたい人は潜在的にまだ多く、やはり値段はネックだと感じる。陽性率が高いので、この機会に社会活動の判断材料にしてほしい」と話しました。

 2023年7月3日(月)

2023/07/02

🟧塩野義製薬「ゾコーバ」、国内シェア6割に 新型コロナ飲み薬

 新型コロナウイルスの感染者が増加傾向にあり「第9波」が始まった可能性も指摘される中、塩野義製薬が開発、販売する国産唯一の新型コロナウイルス感染症の飲み薬「ゾコーバ」の使用が拡大しています。国内のクリニックなどで処方される新型コロナ飲み薬でのシェアは5~6割。先行して承認されたアメリカ製2剤と異なり、若者を中心に重症化リスクのない患者も服用でき、使いやすいとの評価が医療現場で高まっています。

 医療従事者向けサイトを運営するエムスリー(東京都港区)は独自のデータベース「JAMDAS」から、全国のクリニックなど中小規模の医療機関約4100施設の処方データを分析しました。その結果、新型コロナ飲み薬の処方全体に占めるゾコーバの割合は6月19~25日の1週間平均で57・8%、アメリカのメルクの「ラゲブリオ」が35・8%、アメリカのファイザーの「パキロビッド」が6・4%でした。

 ゾコーバは3剤のうちで最も後発で、昨年11月に緊急承認されました。政府が購入した200万人分を指定された医療機関や薬局に供給していた今年2月上旬までは10%台にとどまっていたものの、一般流通が始まった3月末から急速に伸び、4月中旬には50%に達しました。年齢別では18~39歳が約40%を占め、60歳以上が約50~60%のアメリカ製2剤と対照的に、若年層に集中する傾向にあります。

 感染者数が急増している沖縄県内の医療機関でもゾコーバへの関心は高く、大浜第一病院(那覇市)で診療する藤田次郎・おもと会グループ特別顧問が1日に診療する新型コロナ陽性者数は約10人で「経験したことのない(多い)数」といい、多くは基礎疾患のない軽症の20~30歳代で、特にのどの痛みなどの症状が強い場合にゾコーバを処方しています。

 ゾコーバは早期に投与すれば症状が消えるまでの期間を短縮するほか、倦怠(けんたい)感や集中力の低下などの後遺症のリスクを低減させる効果も確認されています。藤田医師は「処方できる患者の範囲が広く、飲み薬を積極的に使う医師にとっては使いやすい」と指摘しています。

 ゾコーバが「広く使いやすい」理由は、薬の特性にあります。3剤とも軽症・中等症患者向けで、アメリカ製2剤は処方対象が高齢者のほか、心疾患や糖尿病などの重症化リスクのある患者に限られるのに対して、ゾコーバは若年層などリスクがない場合も服用できます。

 塩野義製薬によると、新型コロナ陽性者の7~8割は重症化リスクがないとみられ、ゾコーバの利用拡大につながっていると考えられます。一方、服用のリスクについて患者からの同意書取得が義務付けられ、併用できない薬が多いパキロビッドはシェアが低迷しています。

 ただ、ゾコーバは妊婦や妊娠の可能性のある女性には処方できず、高血圧や高脂血症の薬の一部など、併用できない薬も多いため同意書取得が必要で、医療現場では引き続き注意が求められます。治療薬代は9月末まで全額公費支援ですが、3割負担の支払額はゾコーバが約1万5000円、アメリカ製の2剤は約3万円となります。

 2023年7月2日(日)

🟧鹿児島県、インフルエンザ感染者が全国最多18・09人 新型コロナも全国で2番目の11・71人

 鹿児島県では、さまざまな感染症の流行が拡大しています。6月30日に発表されたインフルエンザの1医療機関当たりの1週間の報告数は、全国最多の18・09人でした。新型コロナウイルスの1医療機関当たりの1週間の報告数も、全国で2番目に多い11・71人となっています。

  鹿児島県によりますと、6月25日までの1週間に、県内91の医療機関から寄せられたインフルエンザ感染者の報告数は、1医療機関当たり18・09人で全国最多です。2位の宮崎県の6・81人の2・6倍で、全国でも突出して多く、6月22日から県内全域に流行発生注意報が出されています。

 保健所別では、伊集院46人、西之表40人、川薩38・14人などとなっていて、流行発生警報の目安となる30人を超えているところもあります。

 学校への影響も出ていて、6月25日までの1週間で、インフルエンザによる学級閉鎖が小学校13校と高校3校の合わせて16校で、学年閉鎖が小学校9校で行われました。

 新型コロナの1医療機関当たりの報告数は前の週より1・22倍多い11・71人で、沖縄県の39・48人に次いで全国で2番目に多い状況が続いています。

 6月28日時点で、医療機関に入院中は299人、宿泊施設で療養中は4人です。重症者は1人で、病床使用率は17・8%です。

  そのほかの感染症も増えていて、子供を中心に感染するいわゆる夏風邪の一種「ヘルパンギーナ」の報告数は、1医療機関当たり12・25人でした。県内全域で流行発生警報が継続しています。

 こうした状況を踏まえ、県は「両感染症の感染拡大が続く要因については不明」とし、同時流行に備え、体温確認や手洗い、換気、適切なマスク着用といった基本的な感染対策に取り組むよう呼び掛けています。

 2023年7月2日(日)

🟧20本以上の歯がある人、80歳で51・6% 2022年、厚労省の実態調査

 入れ歯がなくてもほとんどのものを食べられる目安とされる、20本以上の歯がある人の割合は80歳では推計で51・6%と、2人に1人以上となったことが、厚生労働省の歯科疾患実態調査でわかりました。

 20本は入れ歯なしにほとんどのものを食べられる目安とされていて、厚労省は80歳になっても20本以上を保つことを目指す取り組みを進めています。

 調査は2022年11月、12月、全国で地域を抽出し、2709人に歯科医による診察やアンケートを実施した。それによりますと、20本以上の歯がある人の割合は75歳から79歳では55・8%(前回比0・3ポイント減)、80歳から84歳では45・6%(前回比1・4ポイント増)でした。

 これをもとに80歳を推計すると51・6%となり、2016年の前回の調査より0・4ポイント増加していました。

 一方、「歯周ポケット」と呼ばれる、歯と歯ぐきの境目の溝が4ミリ以上あり、歯周病の疑いがある人は15歳以上のすべての年代で47・9%に上りました。

 また、過去1年間に歯科検診を受診した人の割合は58・0%で、特に30歳代から40歳代の男性の受診率が低い傾向だったということです。

 厚労省は、「歯の健康に対する意識の向上で、80歳でも十分に歯が残っている人は増加傾向にある。今後もすべての年代を対象に歯科検診の受診率の向上に向けた取り組みを進めたい」としています。

 2023年7月2日(日) 

🟩20歳代男性がレプトスピラ症に感染 茨城県内で5年ぶり確認

 茨城県は15日、県内の20歳代男性が、重症化の恐れがある感染症「レプトスピラ症」と確認されたと発表しました。男性は腎不全などで10月16日に入院したものの、すでに回復し、退院しています。茨城県内での確認は5年ぶり。渡航先のタイで感染したとみられます。  県感染症対策室によると...