仙台市の宮城県立こども病院は6日、県内居住の小児患者に心臓手術を行ったところ、人工心肺用送血管が外れ、脳への血液供給が一時的に不十分となり、重度の障害が残る医療事故が発生したと発表しました。
病院によると、昨年2月25日、先天的に心臓内にある左右の心房を隔てる壁に穴がある「心房中隔欠損症」の患者の手術を行おうと、大動脈と送血管を接続した後に出血が始まりました。さらに、原因の確認に時間がかかったため、少なくとも約18分間、患者の脳への血液供給が不十分な状態になりました。患者は低酸素性脳症に陥り、日常生活で介護が不可欠となる重度の後遺障害(1級)となりました。人工心肺から体内へ血液を送り出す送血管が外れていたのが原因でした。
事故が起きた手術では、脇の下を切開する腋窩(えきか)側方切開が採用されたものの、この方法は傷口が目立ちにくくなるというメリットの半面、人工心肺のリスクが高くなり、難易度が上がるとされます。
手術は3人で行われ、研修医が執刀。この研修医は心房中隔欠損症を含めて40~50例の手術経験があったといい、「目視での確認を怠ってしまった」と話しているといいます。
記者会見した今泉益栄理事長は「経験や手術数を踏まえると問題はなかった」とした上で、「安全確認が不十分だった。多大なる苦しみを与えてしまったことに心から深くおわびを申し上げる」と謝罪しました。
今年6月2日に示談が成立し、病院は賠償金を支払いました。小児患者の性別や年齢などは非公表でした。
2023年7月9日(日)