北半球の各地を記録的な猛暑が襲っています。中国・北京市では6月に最高気温が40度を超え、冷涼なロシア・シベリアでは森林火災が拡大。欧米も熱波に見舞われています。今年は南米ペルー沖の海面水温が高くなる「エルニーニョ現象」が発生しており、世界全体の気温はさらに上昇するとの観測も出ています。
7月初旬、スマートフォンに北京市の気象当局からメッセージが届きました。「赤色警報。熱中症対策をしっかりして、高温時は屋外の作業をやめてください」。中国ではその日の気温の予測に応じ、警戒レベルを3段階に区分。6月下旬以降、最高気温が40度以上と最も深刻な「赤色」警報が相次いで出されました。
中国気象局は、6月の全国平均気温が1961年以来、2番目に高かったと公表。北京市では6月22日に最高気温が41・8度に達しました。市内のタクシー運転手は「外が暑すぎて、エアコンの効き目がない」とぼやきました。
アメリカでは西部や南部の広い範囲で熱波に見舞われ、アリゾナ州フェニックスでは7月15日までに16日連続で43度を超えました。アメリカ国立気象局は、西部・南部の州で「広範囲で厳しい」熱波についての警告が発せられ、8000万人以上が影響を受けるとの見方を示しました。
カリフォルニア州南部では山火事が相次ぎ、リバーサイド郡では3000ヘクタール超が焼失したほか、各地で避難命令が発出されました。
ヨーロッパでもスペインやイタリア、ギリシャなどで40度を超える日が出ており、イギリスのBBC放送は「今夏は昨年よりもさらに死者が増える恐れがある」と報じました。
世界気象機関(WMO)によると、先月は観測史上最も暑い6月となりました。7月7日に記録した世界平均気温は17・24度で、過去最高だった2016年8月16日の16・94度を更新。WMOはエルニーニョ現象が7年ぶりに発生したとし、さらに暑くなる可能性があると予測しています。
エルニーニョ現象の際は日本では冷夏になることが多いものの、逆の影響が出る「ラニーニャ現象」終息から間もなく、日本列島も16日、各地でこの夏1番の暑さとなりました。
ロシアのシベリアや極東でも6月から猛暑が続いています。現地メディアなどによると、アルタイ地方の中心都市バルナウルでは、20度台前半とされる例年6月の最高気温を大幅に上回り、6月7日に38・5度を記録しました。
雨不足もあり森林火災も拡大し、サハ共和国では160カ所以上で火災が発生。首都ヤクーツクの旅行会社経営ボチカリョフ氏は取材に「猛暑と森林火災は近年は毎年続いているが、今年は暑さ到来が特に早かった」と話しました。
インドでは、モンスーン(雨期)による豪雨に見舞われた北部で洪水や土砂災害が発生しています。首都ニューデリーではヤムナ川の水位が過去最高を記録しました。専門家は気候変動の影響により、同国におけるこうした自然災害の発生頻度と規模の増大を指摘しています。
2023年7月17日(月)