2023/09/10

🟧立ったまま撮影できるCT公開、疾患見付けやすく 愛知県の藤田医科大学病院で導入、国内臨床で初

 愛知県豊明市の藤田医科大学病院は9日、立ったまま撮影できる「立位CT(コンピューター断層撮影)」を報道陣に公開しました。今年5月に運用を始め、臨床現場では国内初の導入。

 内臓や脂肪、血管の位置などは重力の影響で変動するため、寝台に仰向け寝る従来のCTではわからなかった、患者が立った時に症状が出る痛みなどの原因の特定につながることが期待されています。

 患者が装置の中央に立つと、筒状の部分が上下に動いて体内の画像を撮影します。座ったままで、頭や首の内部の撮影も可能。運用開始以降、膝関節などの運動器や呼吸器、消化器など幅広い分野の診断に用いられています。キヤノンメディカルシステムズ(栃木県大田原市)が慶応大学と共同開発しました。

 現在は、副作用による転倒の可能性を考え、造影剤を用いた撮影はしていません。大野良治教授(放射線診断学)は、「気を失っても転倒しないような独自の装具を数年以内に開発し、立位CTを世界に普及させていきたい」と話しました。

 2023年9月10日(日)

🟧宿泊施設でレジオネラ属菌を検出、宮崎市が1年超指導せず 職員が報告を見落とし

 宮崎市は、1年余り前に市内の宿泊施設の浴槽から国の基準値を超えるレジオネラ属菌が検出されたという報告を受けたものの、消毒などを指導せず、再び基準の10倍以上の菌が検出されたとして謝罪しました。

 これまでに健康被害は確認されていないということです。

 これは、宮崎市が9日会見を開いて明らかにしました。

 市によりますと昨年7月29日、保健衛生課の職員が市内の観光地、青島にある「AOSHIMA SUIKOEN」から、浴槽の水質検査で国の基準値を超えるレジオネラ属菌が検出されたという報告をファックスで受け取った際に見落とし、消毒などを指導していなかったということです。

 その後、今年8月28日になって別の職員が2022年度分の報告書を確認していた際、見落としに気付いたのを切っ掛けに、宿泊施設に浴場の使用停止を依頼して立ち入り調査を実施し、水質検査の結果、男湯と女湯の浴槽などから基準の10倍から13倍のレジオネラ属菌が検出されました。

 宿泊施設側は最初に問題がわかって以降、浴槽などを消毒したものの、再検査は行っていなかったということです。

 毎月、平均で延べ800人から1000人の宿泊者がいましたが、これまでに健康被害は確認されていないということです。

 宿泊施設では現在、市の要請や指導に基づいて大浴場の利用を停止して浴槽や配管の洗浄などを行っています。

 宮崎市健康管理部の袈裟丸未央部長は会見で、「市民の皆様に不安と心配をおかけして大変申し訳ありません」と謝罪しました。市は報告書を担当者以外にも確認させるなどの再発防止策をとるといいます。

 2023年9月10日(日)

2023/09/09

🟧iPS細胞の心筋球移植で心臓の収縮機能倍増 2年後に実用化へ

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した心臓の筋肉(心筋)の細胞約1千個を球状に加工した「心筋球」計約5万個を、重い心不全患者の心臓に移植する世界初の治験を進めている慶応大学発の医療ベンチャー、ハートシード(東京都新宿区)が、手術を行った患者2人について顕著な症状改善効果を確認したことが9日、わかりました。心筋梗塞で硬化し収縮しづらくなった心臓の収縮機能が倍増。2年後の2025年の実用化を目指すといいます。

 治験の対象は、心臓の血管が詰まって心筋が壊死(えし)し、心臓の筋肉組織が硬くなって柔軟性が失われ、血液を送る力が衰えた「虚血性心筋症」という心不全の患者。息切れやむくみが起こり、悪化すると歩行ができなくなり生命の危険も生じます。

 すでに4手術を実施。そのうち昨年12月に1例目、今年2月に3例目の手術を、いずれも60歳代男性に対して実施した共同研究機関の東京女子医科大学病院(東京都新宿区)が、術後半年を経過したことから、治療の効果について取りまとめました。

 2人とも重篤な副作用はなく、細胞のがん化もありませんでした。心筋球は約30倍の大きさに成長して心臓と一体化し、筋肉組織は柔軟さを取り戻し機能が改善しました。生命にかかわる不整脈もなく、患者は退院し歩行のリハビリテーションも始めたといいます。

 手術から半年後の分析では、心臓が血液を送り出す力を示す収縮率(健常者は平均約65%)が、1例目が26%から28%に改善。3例目は、17%から38%に倍増しました。また、心筋梗塞を起こした心筋細胞数の指標となる物質も、1例目が血液1ミリリットル当たり1万1471ピコグラム(ピコは1兆分の1)から5733ピコグラムに急減。その後も減少が続いています。3例目は、5225ピコグラムから817ピコグラムに大幅減少し、重篤な心不全の基準となる900ピコグラム以下に改善しました。

 ハートシードの社長を務める福田恵一・慶応大学名誉教授は、「入念な準備を重ねた結果、大きな問題は起こっておらず、iPS心筋球移植の安全性と有効性を立証できた。日本発の新たな心不全治療法を世界に広げたい。今後は世界規模の最終段階の共同治験を行い、2025年ごろの実用化を目指している」と説明しています。

 今回の成果は、9日に開かれた日本心臓病学会学術集会で発表されました。

 2023年9月9日(土)

🟧インフルエンザの感染者、1万2638人に増加 学校の学級閉鎖も

 インフルエンザや新型コロナウイルスによる学級閉鎖が、夏休み明けから増加しています。財団法人の日本学校保健会は、全国にある保育園や幼稚園、学校などのうち、登録のあった約4万の施設の学級閉鎖などの状況を集計しています。

 それによりますと、多くの学校で2学期が始まった8月25日の時点で学級閉鎖となったのは、新型コロナで11クラス、インフルエンザで1クラスでしたが、1週間前の9月1日では、新型コロナで205クラス、インフルエンザで42クラスに、8日午後3時の時点では、新型コロナで515クラス、インフルエンザで186クラスに増えています。

 全国のインフルエンザの患者数は9月3日までの1週間で1医療機関当たり2・56人となり、前の週より増加しました。流行の目安とされる「1人」を超える状態が続いています。

 厚生労働省によりますと、9月3日までの1週間に全国約5000カ所の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は、前の週から5700人余り増えて1万2638人でした。1医療機関当たりでは、前の週の1・40人から2・56人に増えました。

 地域ごとでは、いずれも1医療機関当たりで沖縄県で9・41人、宮崎県で4・95人、三重県で4・42人、千葉県で4・20人、福岡県で4・16人などとなっています。

 インフルエンザは、全国で1医療機関当たり1人を超えると「流行期入り」の目安とされていていますが、昨年の12月25日までの1週間に「1・24人」となって以降、1人を上回る状態が続いています。

 厚労省によりますと、この時期まで1人を上回る状態が続くのは、現在の集計方法となった1999年以降で初めてだということです。

 感染症に詳しい東邦大学の舘田一博教授は、「コロナ禍の感染対策が行われていた時期はインフルエンザは感染拡大が抑えられていたため、免疫を持たない人が増えたことが影響していると考えられる」と話しています。

 2023年9月9日(土)

🟧新型コロ治療薬、患者負担9000円 10月以降、低所得者は軽減

 政府が検討する新型コロナウイルス感染症の医療支援見直し案がわかりました。現在は全額公費で賄っている高額治療薬は10月以降、9000円を基本として患者に自己負担を求めます。所得に応じて6000円や3000円に軽減します。最大2万円の入院費補助は10月以降、1万円程度に減額します。

 新型コロナの感染症法上の位置付けが5月8日に「5類」になり、政府は医療支援の来春の廃止を検討。段階的な廃止に向け、今年10月以降、補助額を縮小します。この夏の感染状況とその対応を踏まえ、関係団体などの意見を聞いた上で最終判断する見込み。

 感染者の約1割が、高額な治療薬を使っており、ラゲブリオやパキロビッドなどの抗ウイルス薬は1人当たりの薬価が9万円台とされます。10月以降は、1割程度を自己負担してもらう考え。来年4月以降は通常の病気やけがと同様に、原則1~3割の負担とする方向です。

 現在の入院費は、1カ月の医療費が上限額を超えた場合に支給する「高額療養費制度」を適用した上で、さらに最大2万円を補助しています。

 2023年9月9日(土)

2023/09/08

🟧新型コロナ新派生型「BA・2・86系統」を初確認 東京都が警戒呼び掛け

 東京都は7日、新型コロナウイルスのオミクロン型の新たな派生型「BA・2・86」系統を1例確認したと発表しました。都によると、海外では南アメリカやデンマーク、アメリカなどで計42件(6日時点)の報告があるものの、国内では初めて。

 病原性や感染力は不明といいます。患者は軽症で、海外渡航歴はありません。

 国立感染症研究所の斎藤智也感染症危機管理研究センター長によると、ウイルスが細胞に侵入するためのタンパク質に多数の変異が見付かっています。

 免疫を逃れる性質は、現在主流の「XBB」系統よりも強いか同程度だと考えられているといいます。「感染者や重症者の動向を注視し、流行に応じた感染対策をしてほしい」と語りました。

 「XBB」系統と「BA・2・86」」系統の差について、感染症に詳しい東京医科大学の濱田篤郎特任教授は、「デルタ型とオミクロン型くらいの違いがあり、BA・2・86は免疫をすり抜ける力が高い可能性がある」と指摘します。

 国内では、9月20日に秋接種が始まります。使われるワクチンは「XBB・1・5」系統に対応しますが、「もしBA・2・86が今後広がれば、秋接種のワクチンがあまり効かない可能性はある」と警戒します。

 ただ、重症化の予防効果は期待できるといい、「まずは現在の流行を抑えるためにも、ワクチン接種を検討してほしい」と呼び掛けています。

 2023年9月8日(金)

🟧東京都の新型コロナ患者、1医療機関当たり17・01人 5類移行後で最多を更新

 東京都は7日、8月28日~9月3日の直近1週間の新型コロナウイルスの定点医療機関当たりの患者報告数を17・01人と発表しました。前の週の14・53人からおよそ1・17倍に増加し、新型コロナの感染症法上の5類移行後、最多を更新しました。

 5類移行後初の公表となった5月8~14日分の患者報告数は、2・4人でした。その後じわりと増加を続け、7月末には10人を超えていました。

 東京都が感染状況の分析を依頼する専門家は、「すべての年代で前週より増加している。重症化リスクの高い高齢者などの感染拡大を警戒する必要がある」とコメントしました。

 一方、「入院患者数」や「外来の逼迫(ひっぱく)状況」など4項目について、都は国に準じて感染拡大の注意喚起を促す目安を示しています。7日時点でこの目安を超えたのは「入院患者数」の2782人(目安は2230人以上)と「確保病床使用率」の50・4%(目安は50%超)。都の担当者は、「目安は超えたものの、確保病床以外の幅広い医療機関での入院受け入れは進んでいるが、それに伴う一般医療への影響が危惧される」としています。 

 2023年9月8日(金)

🟩公立病院の院長になる要件に「医師少ない地域での勤務」を検討 医師偏在で厚労省

 医師が都市部などに偏り地方で不足する「医師の偏在」への新たな対策として、厚生労働省が、公立病院の院長などの管理者になる要件に、医師が少ない地域で1年以上勤務することを新たに加える方向で検討を進めていることがわかりました。  「医師の偏在」は医師が都市部や特定の診療科などに偏り...