愛知県豊明市の藤田医科大学病院は9日、立ったまま撮影できる「立位CT(コンピューター断層撮影)」を報道陣に公開しました。今年5月に運用を始め、臨床現場では国内初の導入。
内臓や脂肪、血管の位置などは重力の影響で変動するため、寝台に仰向け寝る従来のCTではわからなかった、患者が立った時に症状が出る痛みなどの原因の特定につながることが期待されています。
患者が装置の中央に立つと、筒状の部分が上下に動いて体内の画像を撮影します。座ったままで、頭や首の内部の撮影も可能。運用開始以降、膝関節などの運動器や呼吸器、消化器など幅広い分野の診断に用いられています。キヤノンメディカルシステムズ(栃木県大田原市)が慶応大学と共同開発しました。
現在は、副作用による転倒の可能性を考え、造影剤を用いた撮影はしていません。大野良治教授(放射線診断学)は、「気を失っても転倒しないような独自の装具を数年以内に開発し、立位CTを世界に普及させていきたい」と話しました。
2023年9月10日(日)