2023/10/25

🟩2021年度の医療費、過去最高の45兆円 新型コロナ受診控えの反動で2年ぶり増

 保険診療の対象となる病気やけがの治療で全国の医療機関に支払われた2021年度の医療費の総額「国民医療費」は、前年度より2兆694億円(4・8%)増えて45兆359億円でした。年代別にみると、65歳以上が27兆3036億円で、全体の60・6%を占めました。

 厚生労働省が24日、発表しました。2019年度の44兆3895億円を上回り、過去最高となりました。

 新型コロナの感染拡大に伴う医療機関の受診控えが収まった反動で、前年度から増えた額では過去最大となりました。都道府県別でみると、前年度からの増加幅が最も大きかったのは東京都の7・4%でした。神奈川県、埼玉県、千葉県と続いていて、新型コロナの感染者数が首都圏で比較的多かったことが影響したとみられています。新型コロナにかかわる医療費は全体で4500億円となりました。

 2021年度の国民1人当たりの医療費は、前年度から1万8200円(5・3%)増えて35万8800円。年齢別では、「0~14歳」が前年度比16・7%増の16万3500円で、大きく伸びました。新型コロナ禍の受診控えの反動や、RSウイルスの流行などが影響したとみられます。「15~44歳」は前年度比9・3%増の13万3300円、「45~64歳」は前年度比4・9%増の29万700円、「65歳以上」が前年度比2・8%増の75万4000円でした。

 2020年度は新型コロナウイルスの感染拡大で受診控えが起きたほか、マスク着用や手洗いといった対策で、例年より他の感染症が流行しなかったことなどから、医療費が減少しました。2021年度は再び増加に転じました。

 2023年10月25日(水)

2023/10/24

🟩大麻草が原料の医薬品容認へ 大麻取締法などの改正案を閣議決定

 政府は、大麻草を原料にした医薬品の使用を認める一方、若者などの乱用を防ぐため、すでに禁じられている「所持」や「譲渡」に加えて「使用」も禁止することを盛り込んだ大麻取締法などの改正案を24日の閣議で決定しました。

 大麻草を原料にした医薬品は、欧米各国で薬事承認され、難治性のてんかんの治療目的などで使用されていますが、国内では大麻取締法で規制されて医療現場で使えないことから。医療関係者や患者から解禁を求める声が出ていました。

 政府が24日の閣議で決定した大麻取締法などの改正案では、大麻草を原料にした医薬品で、安全性と有効性が確認されたものは国内での使用を認めるほか、繊維や種子の採取、研究目的にのみ認められている大麻草の栽培を、医薬品などの原料を採取する目的でも認めるとしています。

 一方、若者などが大麻を乱用するのを防ぐため、新たに「麻薬及び向精神薬取締法」で規制する「麻薬」に位置付け、すでに禁止されている「所持」や「譲渡」などに加え、「使用」を禁止することも盛り込んでいます。

 厚生労働省によりますと、難治性のてんかん治療などに使用するための大麻草を原料にした医薬品は、すでに国内での治験が始まっており、使用が可能になれば2万人から4万人が対象になると見込まれています。

 政府は今の臨時国会で改正案の成立を目指す方針で、2024年にも施行します。

 2023年10月24日(火)

🟩新型コロナなど4種類のウイルスを同時検査 富山大と東洋紡がキット開発

 富山大は23日、フィルムや機能繊維などを手掛ける東洋紡(大阪市)と共同で、新型コロナウイルスとA型インフルエンザ、B型インフルエンザ、RSウイルスに感染しているかどうかを同時に調べられる検査キットを開発したと発表しました。富山大独自の新型コロナに関する技術を活用し、各ウイルスを別々に調べる負担を軽減し、検査の効率化につなげます。10月末から東洋紡が医療機関や検査施設向けに販売します。

 東洋紡によると、この4種類のウイルスを一度に検査するキットが、厚生労働省から製造販売承認を受けたのは国内初。検査時間は約15分といいます。従来はコロナとインフルや、インフルとRSウイルスの同時検査にとどまっており、症状だけでは判別しにくいことから何度も綿棒を患者の鼻の中に入れて調べる必要がありました。

 開発にかかわったのは、富山大先端抗体医薬開発センターの磯部正治センター長と学術研究部工学系の黒澤信幸教授の研究チーム。2021年5月に東洋紡とともにコロナの抗原検査キットを開発した後、4種類を一度に検査する研究を進めてきました。研究チームの持つコロナの抗体取得技術などを活用しました。

 今冬は新型コロナとインフルの同時流行が懸念されており、磯部センター長は「本格的な冬を前に販売にこぎ着けられてよかった。広く利用されることを期待したい」と話しました。

 2023年10月24日(火)

🟩プール熱の患者数、3週間ぶりに減少 専門家「流行は落ち着くだろう」

 子供を中心に感染する咽頭結膜熱、いわゆるプール熱の患者数が3週間ぶりに減少しました。

 咽頭結膜熱、いわゆるプール熱は、子供を中心に高熱や結膜炎などの症状が出るウイルス性の感染症で、せきやくしゃみなどの飛まつで感染するほか、ウイルスが付着したタオルや

プールでの接触などを介しても感染します。

 国立感染症研究所によりますと、10月15日までの1週間に全国約3000の小児科の医療機関から報告された患者の数は5516人で、前の週よりも300人余り減少しました。

 1医療機関当たりでは1・75人で、過去10年で最多だった前の週よりも0・12人少なくなっています。患者数が減少するのは3週間ぶりです。

 地域別では、福岡県が5・62人、沖縄県が5・19人、奈良県が4・15人、佐賀県が3・22人、大阪府が3・06人となり、国の警報レベルの目安となる「3」人を超えています。

 子供の感染症に詳しい国立病院機構三重病院の谷口清州院長は、「すでに多くの人が感染したため、今後、流行は落ち着くだろう。一方、インフルエンザの患者数が増え始めていて、過去3年間大きな流行がなかったことを考えると、今年は大きな流行になるリスクがある。体調不良の時は休み、熱が続く時は医療機関にゆくなど引き続き注意をしてほしい」と話しています。

 2023年10月24日(火)

🟩ポップコーンで心肺停止、4歳未満に与えないで 小児科学会が窒息リスクに注意呼び掛け

 ポップコーンを喉に詰まらせて窒息する危険性があるとして、日本小児科学会が4歳未満の子供には与えないよう呼び掛けています。特にトウモロコシを加熱した際に破裂せず残ってしまった未破裂コーンは硬くて嚙み切りづらいため、より注意が必要だとしています。

 小児科学会の傷害速報では、昨年12月に起きた事故を報告。当時1歳9カ月だった女児は、大型商業施設に設置された自動販売機で購入したポップコーンを食べていた際にむせ込みました。母親が背中をたたくとコーンを数粒吐き出したものの、すぐに顔色不良、全身脱力し、反応が消失したといいます。通行人により心肺蘇生措置が実施され、1分後に反応が出現して救急搬送。

 蘇生から1時間後、医療機関に到着。気管支鏡検査で気道に異物を確認後、バスケットカテーテルで摘出されました。摘出後は心停止後症候群として5日間集中治療室(ICU)で全身管理を行い、13日後に後遺症なく退院しました。

 気管支から摘出されたのは未破裂コーンで、直径6ミリほどの大きさでした。同学会は「市販の製品に未破裂コーンが交じっている可能性は低いが、自販機で買ったり自宅で作ったりした際は取り除いてから食べる必要がある」としています。

 ポップコーンは破裂したものでも窒息リスクが高く、アメリカ小児科学会(AAP)は、4歳未満の子供の手の届かないところで保管するよう推奨しています。一方、日本ではこれまで、ポップコーンに関して、年齢制限や誤嚥に関する注意喚起は行われていませんでした。食品を口の中に入れたまま走るなどの行動により窒息や誤嚥につながりやすいものの、今回は容器を傾けて一気に摂取したことが窒息リスクを高めたと思われます。

 日本小児科学会は予防について、①ポップコーンは窒息リスクの高い食品であることを知っておく、②食事の際には窒息につながる要因をできるだけ減らす、③ポップコーンを食べる際には未破裂コーンが混在することがあると知っておく、④4歳未満児にはポップコーンを与えない、⑤ポップコーンを食べる際には未破裂コーンを取り除いて1個ずつ食べるーを推奨してしています。

 赤坂ファミリークリニック(東京都港区)院長の小児科医、伊藤明子(みつこ)さんによると、4、5歳ぐらいまでの幼児は、のみ込んだ飲食物が気道に入るのを防ぐ喉頭蓋がうまく働かないために、誤嚥しやすいため、ポップコーンに限らずプチトマトやブドウなどでも同様に窒息事故のリスクがあるといいます。

 また、今回の事故では、女児が底に残ったポップコーンを一気に食べようと、容器を傾けて口に流し込むようにしていたことも重視。「4歳未満の子供に食べ物を与える時は、あらかじめ小さく切っておき、親がそばで顔を見られる位置、角度、距離で様子を見守ることが大切だ」と話しています。

 2023年10月24日(火)

2023/10/23

🟩沢井製薬、胃炎薬の品質確認試験を不正な方法で実施 2015年から継続的に

 大阪市に本社のある後発薬大手の沢井製薬は23日、九州工場(福岡県飯塚市)で製造する胃潰瘍や急性胃炎向けの後発薬で、厚生労働省に提出した承認書とは異なる方法で品質確認試験をしていたと発表しました。2015年以降、8年間にわたって不正が続いていました。後発薬では他社でも品質不正が相次いでおり、信頼の回復が求められています。

 不正があったのは「テプレノンカプセル50ミリグラム(サワイ)」。製造後3年が経過した薬のカプセルが、胃の中で問題なく溶け出すかを調べる試験(溶出試験)で不正がありました。カプセルに入っている中身を取り出し、劣化していない新しいカプセルに詰め替えて試験していたといいます。

 23日の記者会見で沢井製薬の木村元彦社長は、2023年4月に、九州工場の品質管理部門の担当者が代わったことを切っ掛けに不正が発覚したと説明しました。6月に外部の専門家や弁護士を含む特別調査委員会を立ち上げ、10月20日に報告書を受け取りました。7月には使用期限内のすべてのテプレノンを自主回収したとしています。

 木村社長は「(違うカプセルに)詰め替えをして試験してもよいという間違った認識が広がってしまっていた」と不正が起きた理由を説明しました。現場のリーダー格の社員が、誤った手順での試験を上層部からの指示であると誤認し、試験不正を繰り返していました。詰め替えは担当者間で、口伝えで指示されてきたといいます。

 健康被害については、「カプセルが溶けないため薬効が期待できないものの、今回の問題で健康被害の報告はないし、起こる可能性は非常に低い」としています。同様の試験不正は他の工場では行われておらず、九州工場でもテプレノンのみにとどまると説明しました。

 工場の操業停止については、「当局の判断に委ねる」として明言を避けました。厚労省の担当者は「行政処分に関してはまだ調査中の段階で未定。調査結果を踏まえた上で、不正に対しては厳正に対処していく」としました。省内からは「今回の不正に関しては特に健康被害が出るものではない」との声も出ており、慎重に処分内容を検討します。

 後発薬業界では品質を巡る不正が相次いでおり、2020年12月には小林化工が製造した真菌症の治療薬に睡眠導入剤の成分が混入し、服用後に意識を失うなどの健康被害が相次ぎました。2021年3月には日医工が、国が承認した工程とは異なる手法での製造を10年以上前から続けていたとして業務停止命令を受けました。

 品質不正を受けて小林化工は後発薬事業から撤退し、生産・物流拠点をサワイグループホールディングス(大阪市)が引き継いでいました。日医工は2022年5月に私的整理を申請し、企業再生ファンドのもとで経営再建を進めています。

 長生堂製薬(徳島市)や共和薬品工業(大阪市)などの後発薬メーカーも品質不正で行政処分を受けています。後発薬メーカーは規模が比較的小さく、品質検査などに十分な人員を配置できないことも、不正の一因になっているとみられます。

 小林化工や日医工の問題が発生して以降、供給力が大きく落ち込んだことで後発薬不足が表面化しました。大手である沢井製薬の供給が停滞すれば、後発薬の不足にさらに拍車がかかる可能性があります。

 2023年10月23日(月)

🟧デング熱や新型コロナなどのウイルス増殖を抑える化合物を発見 北海道大

 北海道大学はデングウイルスや新型コロナウイルスの増殖を抑える化合物を発見しました。ウイルスに感染したマウスに化合物を投与すると、生存率が向上することを確かめました。製薬企業と連携し、数年以内に臨床試験(治験)を始めたい考えです。

 デングウイルスなどの遺伝情報はRNA(リボ核酸)に刻まれており、RNAからRNAを複製して新しいウイルスを作り出します。発見した化合物はRNAの材料となる物質に似た構造をしています。ウイルスが増殖する際にこの化合物を利用すると、RNAの複製が失敗し、ウイルスの増殖を抑えることができます。

 新型コロナウイルス治療薬のラゲブリオやベクルリーも同様にRNAの複製を失敗させる仕組みです。「効果は同等もしくはやや弱いが、安全性は高そうだ」と北海道大学の前仲勝実教授は話しており、発見した化合物を体内に投与した際、生物の遺伝情報に変異を引き起こす度合いが検出限界以下だったことを確かめました。

 デングウイルスに感染したマウスに化合物を飲ませたり、新型コロナウイルスに感染したマウスに注射したりしたところ、いずれもマウスの生存率が向上しました。例えばデングウイルスに感染させた直後に化合物を多く投与すると、感染から16日たっても6割が生存しました。化合物を投与しなかったマウスは10日で全滅しました。

 デングウイルスや新型コロナウイルス以外にも、日本脳炎やジカ、黄熱などRNAを遺伝情報に持つさまざまなウイルスに対して効果があることも、細胞実験で確認しました。特にデング熱やジカ熱は有効な治療薬がなく、世界的に問題となっています。現在連携する企業を探しており、まずはデング熱で数年以内に治験を始めたいとしています。

 2023年10月23日(月)

🟪マダニ感染症「SFTS」、神奈川県内の60歳代女性が入院 発熱や倦怠感、経路は不明

 神奈川県は11日、主にマダニが媒介するウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」を、松田町在住の60歳代女性が発症したことを確認したと発表しました。  県によると、県内でSFTSの患者が発生したのは2023年以来、2例目。女性は発熱や全身の倦怠(けんたい)感などの...