2023/10/26

🟩福島第一原発、汚染水処理設備で作業員5人に廃液かかる 除染と経過観察のため2人入院

 東京電力は、福島第一原子力発電所で、汚染水の処理設備を洗浄していた作業員5人に誤って放射性物質を含む廃液がかかるトラブルがあったと発表しました。いずれも防護服などを着用していましたが、このうち2人は除染をしても放射線量が基準を下回らなかったことから、福島県立医科大学に搬送して引き続き除染を続けています。

 東京電力によりますと、25日午前10時半すぎ、協力会社の20~40歳代の男性作業員5人が汚染水の処理設備で、配管の内部を洗浄していたところ放射性物質を含む廃液をタンクに流すためのホースが外れ、約100ミリリットルの廃液が周囲に飛び散りました。

 この際、作業員に廃液がかかりましたが、いずれも防護服と全面マスクを着用していて、放射性物質を体の中に取り込むことはなかったということです。

 ただ、このうち4人は廃液が皮膚まで届き、東京電力は水で洗い流す対応を取ったということですが、20歳と40歳代の男性作業員2人は9時間近くがたっても、放射線量の値が一定のレベルを下回らなかったため、福島県立医科大学に入院して除染を続けているということです。

 東京電力によりますと、医師の診断の結果、放射線による急性の障害はみられていないということで、詳しい被ばく線量などを確認しているということです。入院期間は不明ですが、2週間は経過観察する見通し。

 東京電力によりますと、20歳代男性の外部被ばく線量はベータ線で6・6ミリシーベルト。線量計に設定していた5ミリシーベルトを上回り、現場でアラームが鳴りました。40歳代男性の被ばくは1・6ミリシーベルトでした。ガンマ線による2人の被ばくは最大0・11ミリシーベルトで、25日の作業で想定していた最大量0・6ミリシーベルトを下回りました。

 2023年10月26日(木)

🟩新型コロナワクチン誤接種、9歳児に12歳以上用 千葉県習志野の医療機関

 千葉県習志野市は25日、新型コロナウイルスワクチンの接種を巡り、市内の医療機関で、本来は12歳以上を対象とするオミクロン型対応型ワクチンを誤って9歳11カ月の男児に接種していたと発表しました。これまでのところ男児の健康状態に変化はなく、体調に問題はないとしています。

 市によると、この医療機関では12歳以上が対象のワクチンしか取り扱っていないものの、接種の予約を受け付けた時点と10月21日の接種当日の両方で男児の年齢確認を怠ったことで誤接種が発生したとしています。

 23日に医療機関側が男児の接種情報をシステム上に登録しようとしたところ、年齢誤りのエラーが出たため、誤接種を認知。医療機関側は保護者に連絡し、謝罪しました。

 市は再発防止策として、コロナワクチンの接種を手掛ける市内の医療機関を対象に、今回の誤接種のケースを共有するとともに、接種時の年齢確認の徹底を指導していくとしています。

 2023年10月26日(木)

2023/10/25

🟩性別変更の条件に生殖能力なくす手術必要な規定は「違憲」 最高裁大法定決定

 性同一性障害の人が戸籍上の性別を変更するには生殖能力をなくす手術を受ける必要があるとする法律の要件について、最高裁判所大法廷は「意思に反して体を傷付けられない自由を制約しており、手術を受けるか、戸籍上の性別変更を断念するかという過酷な二者択一を迫っている」として、憲法に違反して無効だと判断しました。

 法律の規定を最高裁が憲法違反と判断するのは戦後12例目で、性的少数者(LGBTなど)の権利に関しては初めて。国会は法律の見直しを迫られることになります。

 性同一性障害の人の戸籍上の性別について定めた性同一性障害特例法では、生殖機能がないことや、変更後の性別に似た性器の外観を備えていることなど複数の要件を満たした場合に限って性別の変更を認めていて、事実上、手術が必要とされています。

 この要件について、戸籍上は男性で女性として社会生活を送る当事者は「手術の強制は重大な人権侵害で憲法違反だ」として、手術なしで性別の変更を認めるように家庭裁判所に申し立てましたが、家裁と高等裁判所は認めませんでした。

 25日の決定で、最高裁判所大法廷の戸倉三郎裁判長は、生殖機能をなくす手術を求める要件について「憲法が保障する意思に反して体を傷付けられない自由を制約しており、手術を受けるか、戸籍上の性別変更を断念するかという過酷な二者択一を迫っている」として、憲法に違反して無効だと判断しました。

 一方、そうした制約の必要があるかどうかについて、子供が生まれ、親子関係の問題が生じるのは極めてまれで解決も可能なこと、特例法の施行から19年がたち、これまで1万人以上の性別変更が認められたこと、性同一性障害への理解が広がり、環境整備が行われていること、海外でも生殖機能がないことを性別変更の要件にしない国が増えていることなどを挙げて「社会の変化により制約の必要性は低減している」と指摘しました。

 憲法違反の判断は、裁判官15人全員一致の意見です。最高裁は2019年1月、性別変更後に変更前の生殖機能で子供が生まれれば、親子関係で社会に混乱が生じる恐れがあるとして生殖不能手術要件を合憲と判断していました。この際は裁判官4人の小法廷による決定でしたが、裁判官全15人が審理に参加する大法廷で憲法判断を変更しました。

 一方、手術なしで性別の変更を認めるよう求めた当事者の申し立てについては、変更後の性別に似た性器の外観を備えているという別の要件について審理を尽くしていないとして、高等裁判所で審理をやり直すよう命じました。申立人の性別変更が認められるかは結論が持ち越されました。

 下級審は最高裁の判断に拘束されるため、生殖不能手術を受けていない人が今後、性別変更を望んだ場合、他の要件を満たしていれば性別変更を認めることが可能となります。ただ、外観要件は維持されるため、変更後の性別の性器に近付ける適合手術が必要となるケースは残るとみられます。

 2023年10月25日(水)

🟩旧優生保護法で不妊手術強制、2審も国に賠償命じる 仙台高等裁判所

 旧優生保護法(1948~1996年)の下で不妊手術を強いられたとして、宮城県内の男性2人が国に計6600万円の賠償を求めた訴訟の控訴審判決が25日、仙台高等裁判所でありました。小林久起裁判長は、国に計3300万円の賠償を命じた1審・仙台地方裁判所判決を支持し、国側の控訴を棄却しました。

 同種訴訟は全国12地裁・支部に起こされ、高裁判決は7件目。過去6件のうち4件は請求を認めたものの、残る2件は、不法行為から20年がすぎると賠償請求権が消える「除斥期間」を適用するなどして請求を退けており、判断は分かれています。

 訴えたのは、70~80歳代の男性2人。それぞれ1950~1960年代に旧優生保護法に基づいて不妊手術を受けさせられたと主張。子供を生み育てるかどうか意思決定する自由などを奪われ、憲法に違反するなどとして提訴しました。

 今年3月の1審判決は旧優生保護法について、幸福追求権を定めた憲法13条や法の下の平等を保障した憲法14条に反すると判断。国が優生思想を普及させる中、提訴するのは難しかったとし、除斥期間の適用は「著しく正義・公平の理念に反する」として国に賠償を命じていました。

 2023年10月25日(水)

🟩2021年度の医療費、過去最高の45兆円 新型コロナ受診控えの反動で2年ぶり増

 保険診療の対象となる病気やけがの治療で全国の医療機関に支払われた2021年度の医療費の総額「国民医療費」は、前年度より2兆694億円(4・8%)増えて45兆359億円でした。年代別にみると、65歳以上が27兆3036億円で、全体の60・6%を占めました。

 厚生労働省が24日、発表しました。2019年度の44兆3895億円を上回り、過去最高となりました。

 新型コロナの感染拡大に伴う医療機関の受診控えが収まった反動で、前年度から増えた額では過去最大となりました。都道府県別でみると、前年度からの増加幅が最も大きかったのは東京都の7・4%でした。神奈川県、埼玉県、千葉県と続いていて、新型コロナの感染者数が首都圏で比較的多かったことが影響したとみられています。新型コロナにかかわる医療費は全体で4500億円となりました。

 2021年度の国民1人当たりの医療費は、前年度から1万8200円(5・3%)増えて35万8800円。年齢別では、「0~14歳」が前年度比16・7%増の16万3500円で、大きく伸びました。新型コロナ禍の受診控えの反動や、RSウイルスの流行などが影響したとみられます。「15~44歳」は前年度比9・3%増の13万3300円、「45~64歳」は前年度比4・9%増の29万700円、「65歳以上」が前年度比2・8%増の75万4000円でした。

 2020年度は新型コロナウイルスの感染拡大で受診控えが起きたほか、マスク着用や手洗いといった対策で、例年より他の感染症が流行しなかったことなどから、医療費が減少しました。2021年度は再び増加に転じました。

 2023年10月25日(水)

2023/10/24

🟩大麻草が原料の医薬品容認へ 大麻取締法などの改正案を閣議決定

 政府は、大麻草を原料にした医薬品の使用を認める一方、若者などの乱用を防ぐため、すでに禁じられている「所持」や「譲渡」に加えて「使用」も禁止することを盛り込んだ大麻取締法などの改正案を24日の閣議で決定しました。

 大麻草を原料にした医薬品は、欧米各国で薬事承認され、難治性のてんかんの治療目的などで使用されていますが、国内では大麻取締法で規制されて医療現場で使えないことから。医療関係者や患者から解禁を求める声が出ていました。

 政府が24日の閣議で決定した大麻取締法などの改正案では、大麻草を原料にした医薬品で、安全性と有効性が確認されたものは国内での使用を認めるほか、繊維や種子の採取、研究目的にのみ認められている大麻草の栽培を、医薬品などの原料を採取する目的でも認めるとしています。

 一方、若者などが大麻を乱用するのを防ぐため、新たに「麻薬及び向精神薬取締法」で規制する「麻薬」に位置付け、すでに禁止されている「所持」や「譲渡」などに加え、「使用」を禁止することも盛り込んでいます。

 厚生労働省によりますと、難治性のてんかん治療などに使用するための大麻草を原料にした医薬品は、すでに国内での治験が始まっており、使用が可能になれば2万人から4万人が対象になると見込まれています。

 政府は今の臨時国会で改正案の成立を目指す方針で、2024年にも施行します。

 2023年10月24日(火)

🟩新型コロナなど4種類のウイルスを同時検査 富山大と東洋紡がキット開発

 富山大は23日、フィルムや機能繊維などを手掛ける東洋紡(大阪市)と共同で、新型コロナウイルスとA型インフルエンザ、B型インフルエンザ、RSウイルスに感染しているかどうかを同時に調べられる検査キットを開発したと発表しました。富山大独自の新型コロナに関する技術を活用し、各ウイルスを別々に調べる負担を軽減し、検査の効率化につなげます。10月末から東洋紡が医療機関や検査施設向けに販売します。

 東洋紡によると、この4種類のウイルスを一度に検査するキットが、厚生労働省から製造販売承認を受けたのは国内初。検査時間は約15分といいます。従来はコロナとインフルや、インフルとRSウイルスの同時検査にとどまっており、症状だけでは判別しにくいことから何度も綿棒を患者の鼻の中に入れて調べる必要がありました。

 開発にかかわったのは、富山大先端抗体医薬開発センターの磯部正治センター長と学術研究部工学系の黒澤信幸教授の研究チーム。2021年5月に東洋紡とともにコロナの抗原検査キットを開発した後、4種類を一度に検査する研究を進めてきました。研究チームの持つコロナの抗体取得技術などを活用しました。

 今冬は新型コロナとインフルの同時流行が懸念されており、磯部センター長は「本格的な冬を前に販売にこぎ着けられてよかった。広く利用されることを期待したい」と話しました。

 2023年10月24日(火)

🟪「健康寿命」ほぼ横ばいで推移、厚労省発表 男性72・57歳、女性75・45歳

 厚生労働省は24日、介護を受けたり寝たきりになったりせずに日常生活を送れる期間を示す「健康寿命」が、2022年は男性72・57歳、女性75・45歳だったと公表しました。前回調査の2019年(男性72・68歳、女性75・38歳)から、ほぼ横ばいで推移しました。  健康寿命は3年...