2023/10/28

🟩脳死判定、累計1000例に達す 臓器移植法施行から26年、提供数底上げ急務

 日本臓器移植ネットワークは28日、中国・四国地方の病院に脳出血で入院していた60歳代の男性が、26日午後7時22分に臓器移植法に基づく脳死と判定されたと発表しました。脳死判定は1997年の臓器移植法施行後26年で1000例目。厚生労働省などによると、1000例の中には脳死判定後に臓器提供に至らなかったケースがあります。

 脳死下の臓器提供は増加傾向にあるものの、実際に移植を受けられたのは希望者の3%に満たず、臓器提供者(ドナー)不足が依然として課題となっています。

 脳死となった人からの臓器提供が初めて実施されたのは1999年。当時は「意思表示カード」などで生前に意思を書面で示しておく必要があったため、ドナーは年間3~13人にとどまっていました。

 2010年に改正法が施行され、家族の承諾による臓器提供と15歳未満からの臓器提供が可能になり、同年はドナーが32人に増えました。その後も増加傾向が続き、2019年には過去最多の97人に上りました。累計は2017年に500例に達した後、6年で倍増しました。 

 今年は27日時点で脳死提供数が100件と過去最多。脳死下の提供が増える一方で心停止後の提供は減っています。脳死提供臓器の移植を受けたのは25日時点で4347人。

 日本臓器移植ネットワークによると、これまでに移植された臓器は腎臓が最も多く、肝臓、肺、心臓の順でした。心停止後に提供できる臓器は腎臓、膵臓(すいぞう)、眼球に限られるものの、脳死後は心臓や肺、肝臓なども可能となります。心臓、肺、肝臓の移植件数は、昨年までの累計が700件を超えています。

 ドナーの年齢別(昨年末時点)で最も多かったのは、50歳代の194人で、40歳代181人、60歳代124人と続きました。18歳未満は65人で、うち6歳未満は25人でした。

 一方、待機患者約1万6000人のうち、昨年移植を受けたのは約3%の455人。臓器提供の約8割は本人の意思表示がなく、家族の承諾に基づいており、理解が進んでいないことも背景にあるとされます。

 日本臓器移植ネットワークは、「臓器移植は善意のドナーの存在があって初めて成り立つ医療。臓器提供の意思表示について家族などと話し合ってほしい」としています。

 2023年10月28日(土)

🟩5〜9月、熱中症で救急搬送9万1467人 過去2番目の多さ

 総務省消防庁は27日、今年5~9月に熱中症で救急搬送されたのは全国で9万1467人だったとの確定値を発表しました。2018年の9万5137人に続いて、過去2番目の多さでした。

 今年は5月中旬から各地で真夏日を記録し、気象庁によると7~9月の平均気温は3カ月連続で過去最高を更新。搬送者数も高止まりし、月別では5~7月と9月が過去2番目、8月も過去3番目に多くなりました。

 搬送後最初に行われた診断で死亡が確認されたのは107人で、3週間以上の入院を必要とする重症が1889人、短期入院の必要な中等症が2万7545人、軽症が6万1456人でした。

 年齢別では、65歳以上の高齢者が5万173人と半数あまりを占め、次いで、18歳以上65歳未満が3万910人、7歳以上18歳未満が9583人、7歳未満が801人となっています。

 場所別では、住居が3万6541人と最も多く、全体の4割近くを占め、次いで道路が1万5186人、屋外の駐車場や競技場などが1万1742人でした。

 この夏は青森県で初めて38度を上回ったほか、札幌市では過去最高の36・3度を観測するなど北日本でも暑さが際立ち、これに伴って搬送者も1万2032人と昨年(5512人)の2倍以上に上りました。

 総務省消防庁は、「全国的に暑い日が続いたので熱中症の搬送者数も多い日が続いた。来年に向けて厳しい暑さに慣れていない北日本での熱中症対策の普及や啓発をこれまで以上に進めていく」と話しています。

 2023年10月28日(土)

2023/10/27

🟩全国の新型コロナ感染者数、7週連続減 前週比0・86倍

 厚生労働省は27日、全国約5000の定点医療機関に16~22日に新たに報告された新型コロナウイルスの感染者数は前の週から2512人減って1万6075人で、1医療機関当たりの平均は3・25人だったと発表しました。前週比0・86倍で、7週連続で減少しました。

 8月末に流行のピークがみられ、その後減少が続いています。1週間で40都府県で減少しました。

 都道府県別で1医療機関当たりの感染者数が多かったのは北海道6・79人、長野県5・17人、福島県4・93人、山梨県4・63人、石川県4・38人などとなっていて、7つの道と県で前の週より増加しています。少なかったのは島根県1・87人、東京都2・11人、神奈川県2・19人、福岡県2・29人、大分県2・29人など。

 また、10月22日までの1週間に、全国約500の医療機関から報告された新たに入院した患者の数は1138人で、前の週と比べて133人の減少でした。

 厚生労働省は全国の流行状況について、「新型コロナの患者数は7週連続で減少し、新たに入院した患者も減少傾向であるが、例年、冬になるとコロナの感染が拡大傾向にあることから引き続き感染対策は続けてほしい」としています。

 感染症に詳しい東邦大学の舘田一博教授は、新型コロナウイルスの流行状況について、「感染者の数はかなり低い水準を維持しているが、これまでの経験からピークから4カ月か5カ月たつと、人々の免疫が低下し再拡大するリスクがある。引き続き冬や年明けの時期の流行には注意が必要だ」と話しています。

 そして今後の注意点について舘田教授は、「感染拡大を防ぐためには、インフルエンザも新型コロナも今まで行ってきた感染対策をできる範囲で継続していくしかない。具合が悪い時は外出せず、自宅療養を心掛け、不安がある人は早めに医療機関を受診し、薬を処方してもらうことが大事だ。また、インフルエンザはワクチンの接種が始まっているので、希望する人は早めに接種してほしい」と話しています。

 2023年10月27日(金)

🟩「スギ花粉米」実用化を促進、政府 医薬品に活用、アレルギー緩和

 政府は、近く取りまとめる新たな経済対策に、摂取すると花粉によるアレルギー症状緩和が期待できるコメ「スギ花粉米」の研究開発促進を盛り込む方針を固めました。粉末化した花粉米を錠剤やカプセルに加工し、医薬品としての活用を想定しています。2024年度中に医療機関で安全性と効果を確かめる臨床試験を始めたい考えで、10年以内の実用化を目指します。政府関係者が26日に明らかにしました。

 スギ花粉米は、花粉症の原因物質となるタンパク質の一部遺伝子を組み込んだイネを栽培して作ります。農林水産省所管の農業・食品産業技術総合研究機構が2000年度から開発を進めています。マウスにこのスギ花粉米を食べさせる実験を行った結果、普通のコメを食べさせているマウスよりも、花粉症を引き起こす抗体を70%減らす効果があることが確かめられています。

 実用化されれば、スギ花粉の飛散開始を前にスギ花粉米の有効成分を含んだ錠剤を一定期間服用して徐々に体を慣らすことで、アレルギー症状の緩和が期待できるといいます。

 2023年10月27日(金)

🟩インフルエンザ感染者、前週比1・48倍で推計54万人 愛媛県は「警報」レベルに

 厚生労働省は27日、全国約5000の定点医療機関から16~22日に報告されたインフルエンザの感染者数は計8万1160人で、1医療機関当たり16・41人だったと発表しました。前週比1・48倍で、沖縄県を除く46都道府県で増加。全国の推計感染者数は約54万4000人でした。

 都道府県別で1医療機関当たりの感染者数が最多なのは愛媛県の39・90人で、「警報」の基準となる30人を上回りました。次いで多いのは千葉県29・39人、埼玉県28・41人で、警報目前となっています。「注意報」レベルの1医療機関当たり10人を超えたのは31都府県。

 少なかったのは福井県2・15人、富山県3・42人、岩手県3・62人など。休校や学級閉鎖などになったのは全国で計3751施設でした。

 新型コロナウイルスの流行が始まった2020年以降はインフルエンザの流行規模が小さく、免疫が低下するなどして、すべての年代が感染しやすくなっているとみられます。

 厚労省はマスク着用や手洗いなど、基本的な感染対策が有効だと呼び掛けています。

 2023年10月27日(金)

2023/10/26

🟩井戸から国の値の10倍のPFAS検出 静岡市清水区の化学工場、敷地の外で

 発がん性が疑われる有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」を使用していた静岡市清水区三保の化学工場従業員の血液から高濃度のPFASが検出された問題で、工場敷地外の井戸で24日に採取した水から国の目標値を10倍以上上回るPFASが検出されたことが、京都大准教授と静岡新聞社の調査で25日までにわかりました。

 内部資料から2006年12月、工場敷地内南西にある井戸から目標値の3万8000倍以上に当たるPFASの一種PFOA(ピーフォア)が検出されていたことも、明らかになりました。

 工場は、現在の「三井・ケマーズフロロプロダクツ」の清水工場で、「テフロン」で知られるフッ素樹脂などを生産しています。2000年代初頭まで年間10トン程度のPFOAを大気中や敷地外の水路に排出し、2007年までに排出をほぼ全廃。2013年には使用自体を工場全体で廃止しました。

 敷地外の井戸のPFASの濃度は、京都大医学研究科の原田浩二准教授(環境衛生学)が分析。静岡新聞社が地主の許可を得て、工場敷地内南西の井戸から半径数百メートル以内にあり、地下5~10メートルから採水する家庭菜園用の井戸2カ所から24日に採水した水を調べました。現在製造や輸入が禁止されているPFASの一種PFOAとPFOS(ピーフォス)の1リットル当たりの濃度は534・72ナノグラムと234・68ナノグラムとなり、同50ナノグラムとする目標値の10・6~4・6倍でした。

 原田准教授は、「過去の経緯から清水工場由来のPFASであると考えてよいだろう。行政は広範囲の地下水、土壌調査を行う必要がある」と指摘しました。

 内部資料によると、2006年12月時点で工場敷地内南西の井戸からは、国の目標値の3万8760倍となる1リットル当たり193万8000ナノグラムを計測。PFOA排出をやめた2007年3月にも目標値の1万6880倍の同84万4000ナノグラムでした。

 三井・ケマーズフロロプロダクツは、工場からの排水は「適切な管理をしている」とした上で、工場の敷地外の調査はしていないとしました。今後は「周辺環境(敷地外)調査は行政の要請にもとづき、協力していく」と回答しました。

 2023年10月26日(木)

🟩東京都のプール熱の感染者数、前週に続き警報の基準超える

 東京都内の感染症について、都は26日、10月22日までの1週間の動向を公表しました。

 それによりますと、子供を中心に感染する咽頭結膜熱、いわゆるプール熱の感染者数は、1医療機関当たり2・41人で、前の週の1・18倍に増え、引き続き警報の基準を超えています。

 また、インフルエンザの感染者数は、1医療機関当たり21・74人で、前の週の1・34倍になり、引き続き注意報の基準を超えています。

 一方、新型コロナの感染者数は、1医療機関当たり2・11人で、7週続けて減少しています。

 都によりますと、10月16日から22日までの1定点医療機関当たりの患者報告数は2・11人で、前の週の2・33人からさらに減少しました。減少は7週連続で、今年5月の新型コロナ5類移行後で最も低くなりました。

 また、10月23日時点の入院患者数は580人で、前の週から約100人減少しました。

 専門家は、「入院患者数は引き続き減少し、現時点では入院医療提供体制への大きな負荷はみられない」と分析しています。

 都は、換気や、場面に応じたマスクの着用、せっけんでの手洗いなどの感染対策を呼び掛けています。

 2023年10月26日(木)

🟪今年の日本の平均気温、近海の平均海面水温、統計史上最高の見通し  気象庁が発表

 気象庁は25日、2024年の日本の平均気温が統計のある1898年以降で最も高くなる見込みだと発表しました。11月末時点で平年(1991〜2020年の平均)を1・64度上回り、これまで最高だった昨年のプラス1・29度を上回ることが確実となりました。  日本近海の平均海面水温も1...