2023/11/02

🟩中国の海洋プラスチック汚染対策「ブルーサイクル」、国連環境計画の「地球大賞」を受賞

 国際連合総会の補助機関である国連環境計画(UNEP)が10月30日、ケニアのナイロビで発表した環境に関する最高栄誉「2023年地球大賞」では、中国南東部沿岸の浙江省が着手した海洋プラスチック廃棄物管理モデル「ブルーサイクル(藍色循環)」が選出されました。「ブルーサイクル」は、世界2500のプロジェクトの中でこの賞を獲得しました。

  「ブルーサイクル」プロジェクトは2020年に浙江省で始まった持続可能な海洋プラスチック汚染対策モデルで、IoT(モノのインターネット)とブロックチェーン技術を組み合わせることにより、海洋プラスチック廃棄物の収集から保管、輸送、再生、製造までの全プロセスを可視化するクローズドループ管理システムを構築し、海洋プラスチック廃棄物の発生抑制、低炭素リサイクル、高付加価値利用を実現するものです。

  この手法に基づき、浙江省では台州、舟山、寧波などの沿岸都市に海洋廃棄物回収スポット80カ所が設置されました。対象は1万隻以上の漁船や商船で、開始以来1万トン以上の海洋廃棄物が回収され、うち2000トン以上がプラスチック廃棄物でした。

 地球大賞は国連環境計画が2005年から毎年発表している賞で、環境を変革する影響を与えた個人、団体、機関を表彰するものです。今年の地球大賞は「プラスチック汚染に対する持続可能な解決策の発見」をテーマに募集し、2500の個人、団体、機関がノミネートされ、うち5個人、団体、機関が受賞。「ブルーサイクル」は地球大賞の「企業ビジョン部門」を受賞しました。

 国連環境計画のインガー・アンダーセン事務局長は、「私たちの健康と地球環境のために、プラスチック汚染を終わらせなければならない。そのためにはプラスチックの生産量を削減し、プラスチックの使い捨てをやめることを徹底し、繰り返し利用できる仕組みや代替品に切り替えることで、プラスチック汚染による環境や社会への悪影響を回避することが不可欠だ」と語り、今年の受賞者については「革新的な環境ガバナンスが確かに効果的であることを示し、人間とプラスチックとの関係を見直すヒントを与えてくれた」と述べました。

 2023年11月2日(木)

🟩ブタからの心臓移植2例目の患者、6週間で死亡 アメリカ・メリーランド大学

 

 世界で2例目となる、遺伝子を改変して拒絶反応のリスクを抑えたブタの心臓の移植手術を受けたアメリカ人男性が10月30日、術後約6週間で死亡しました。手術を行ったメリーランド大学医学部が10月31日、発表しました。

 死亡したのはローレンス・フォーセットさん(58)。9月20日に移植手術を受けていました。術後の経過は当初、順調で家族と一緒に過ごし、1カ月後には心臓の機能を助けるための投薬を中止していました。

 しかし、最近になって移植した心臓に対して拒絶反応が出ていたということです。

 同大の心臓異種移植プログラム責任者のムハンマド・モヒウディン氏は、「(患者が死亡に至った)要因を徹底分析し、将来の移植の際には克服できるようにしたい」と述べました。

 2022年1月にやはりメリーランド大学で行われた遺伝子を改変したブタの心臓の最初の移植事例でも、当時57歳の男性患者は「体力低下など複合的要因」で2カ月後に死亡しています。 

 アメリカでは現在、10万人以上の患者が臓器提供待ちの状態にあります。ただ、人間の臓器提供は慢性的に不足しているため、動物の臓器移植が問題の解消につながると期待されています。

 2023年11月2日(木)

🟩大塚食品、「クリスタルガイザー」38万本を自主回収 水が漏れやすい状態

 大阪市に本社がある「大塚食品」は1日、輸入・販売しているミネラルウォーターの「クリスタルガイザー」について、ペットボトルの口の部分に不具合が見付かったとして、約38万本を自主回収すると発表しました。

 自主回収の対象となるのは、大塚食品がアメリカから輸入し、販売している「クリスタルガイザー」の、500ミリリットルのペットボトルで、賞味期限が2025年8月となっている製品のうち、印字されている管理番号が「01S2」「02S2」「17S2」「18S2」「21S2」のものです。

 10月23日に行った輸入時の製品検査で不具合が見付かったということです。不具合のあるボトルではキャップが飲み口と密着しておらず、ボトル内の水が漏れやすい状態になっている可能性があるとしています。

 10月上旬以降、関西や東北、東海、四国などに出荷されており、対象は約38万本に上ります。

 これまでのところ、水の品質や健康被害に関する問い合わせはないということですが、大塚食品は「多大なご迷惑とご心配をおかけしますことを深くおわび申し上げます。今後、いっそう品質管理の徹底に努める所存です」とコメントしています。

 会社は、11月1日からホームページの専用フォームで回収を受け付けるほか、2日から電話窓口も設けるとしています。電話番号は、0120-194-905です。

 2023年11月2日(木)

2023/11/01

🟩塩野義製薬、睡眠障害治療に参入 アメリカのアプニメッドと合弁で経口薬開発

 塩野義製薬は睡眠障害の治療に参入します。1日、睡眠障害の治療薬を開発するアメリカのスタートアップのアプニメッド社とアメリカに合弁会社を設立し、睡眠時無呼吸症候群の治療薬の開発・販売に取り組むことを発表しました。同時に製薬中堅の持田製薬と提携し、不眠症治療の新薬の販売で提携することも発表しました。

 アメリカのマサチューセッツ州に設立した合弁会社には、アプニメッドと50%ずつ出資します。塩野義製薬が持つ豊富な化合物の情報とアプニメッドの睡眠障害薬の開発に関するノウハウを組み合わせ、経口薬を中心に開発や販売を進めます。

 睡眠時無呼吸症候群は、主に肥満や下顎が小さいことにより睡眠中に気道がふさがるなどし、夜間の酸素レベルが低下して睡眠の質が低下します。慢性疾患につながることや労働生産性を損なうことが示唆されています。機械で鼻から強制的に空気を送り込む治療法が中心なものの、患者の負担が大きいため、より利便性の高い治療薬の開発が求められていました。

 持田製薬と販売で協力する不眠症治療薬はすでに欧米で販売されており、日本では持田製薬とそーせいグループの子会社であるイドルシア・ファーマシューティカルズ・ジャパン(東京都港区)が共同開発してきました。既存薬より翌日の眠気や認知機能低下が少ないとされ、10月31日に厚生労働省に製造販売承認を申請しました。日本での承認が得られ次第、販売に取り組みます。

 2023年11月1日(水)

🟩重度訪問介護、22時間余の利用認めるよう命じる初の判決 千葉地裁

 重い障害がある人に自治体が提供する「重度訪問介護」を巡り、難病で寝たきりの千葉県松戸市の男性が、1日当たり24時間の介護サービスを求めた裁判で、千葉地方裁判所は「基本的に24時間に相当する介護支給が認められるべきだ」として、別の医療サービスなどを受けている時間を除く、22時間余りの利用を認めるよう市に命じました。

 難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)で寝たきりの松戸市に住む男性(62)は、たんの吸引や人工呼吸器の装着などが必要で、費用のほとんどが公費で賄われる「重度訪問介護」のサービスを受けていますが、昨年3月に市が決めた1日当たり18時間余りの利用では不十分だとして、24時間の介護サービスが受けられるよう求めていました。

 10月31日の判決で、千葉地方裁判所の岡山忠広裁判長は「男性の病状は深刻であり、介護がなければ生命を維持するのが困難な状態である。介護を担う妻は子供の育児や家事、仕事を担い負担が集中していて疲れでたんの吸引などができない恐れがある」と指摘しました。

 その上で「市は妻の心身の状況などを十分に考慮すべきで、基本的に1日24時間に相当する介護支給が認められるべきだ」として、別の医療サービスでたんの吸引などを行っている時間を除く、1日22時間余りの利用を認めるよう市に命じる判決を言い渡しました。

 「重度訪問介護」は障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの1つです。重度の障害で常に介護を必要とする人に入浴や食事などの介護をするヘルパーを派遣し、その費用のほとんどが公費で賄われます。

 「重度訪問介護」を月に何時間まで利用できるかは市町村が本人や家族、それに医師から話を聞くなどして決めますが、判断基準はそれぞれの自治体が作成していてばらつきがあるのが実情です。

 原告の松戸市に住む男性は、全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病、ALSの患者です。

6年前から疲れやすくなったり手足が震えたりするようになり、翌年、56歳の時にALSと診断されました。

 徐々に筋肉が衰えて一昨年から寝たきりになり、昨年からは人工呼吸器を常に装着している上、たんの吸引などのため24時間の介護が必要です。

 男性は妻と5歳の息子の3人暮らしで、妻が男性の介護や育児に加えてアルバイトで家計を支えることで生活を続けてきましたが、疲労やストレスから体調を崩しているということです。

 判決を受けて原告側の藤岡毅弁護士は、「重い障害がある人が家族と同居している場合、

1日3時間程度は家族が介護すべきだとして、『重度訪問介護』の時間を差し引くことが全国の多くの自治体でなされている。今回裁判所が男性の病状や家族の状況から基本的に訪問介護が1日24時間相当必要だと判断したことは、日本の社会保障の在り方に影響するほど大きなインパクトがある」と指摘しました。

 その上で「当事者や家族がつらい思いをしているケースは多く、この判決で解決の方向に向かってほしい」と述べました。

 2023年11月1日(水)

🟩平日の寝不足、週末寝だめでは補えず アメリカの研究者、心血管系の数値が悪化

 平日に十分な睡眠を取れなければ、週末に寝だめをすればいいとの考えは、少なくとも心血管系の健康にとっては間違いだとする研究結果を、アメリカのペンシルベニア州立大の研究者が心身医学の専門誌に発表しました。

 心拍数や血圧などの心血管系の健康指標は、睡眠が1日5時間に制限されると1週間で悪化し、週末の睡眠を増やしても正常に戻すには不十分でした。睡眠不足が何日も続くと、回復には週末より長い期間が必要な可能性があるとしています。

 20~35歳の健康な男性15人に入院してもらい、最初の3夜は10時間まで眠れるが次の5夜は睡眠を5時間に制限し、その後2夜、再び10時間までの睡眠を許可しました。この間、安静時心拍数と血圧を2時間ごとに測定して分析しました。

 その結果、入院当初は1分間に69回だった平均心拍数が、日を追うごとに増加。試験終了時には78回まで増えていました。収縮期の血圧も1日当たり約0・5ずつ上昇し、当初の平均116だったのが、終了時には119・5に。寝だめの効果は回復には不十分なことが示されたとしている。

 研究チームは、「今回の研究で、長期的な睡眠障害が心臓血管の健康にダメージをもたらす潜在的なメカニズムが明らかになりました。特に若いうちから十分な睡眠を取れていない人は、年齢を重ねると心臓血管疾患を発症する可能性が高くなります。睡眠が健康を改善する上で焦点となることを、多くの人に知ってほしいと思います」と注意を促しています。

 2023年10月31日(火)

🟩脳死下の臓器提供1000例目、長崎大病院で肝臓移植 

 長崎大学病院(長崎市)は10月30日、国内1000例目の脳死による臓器提供に伴って肝臓の移植手術を28日に同病院で実施したと公表しました。提供を受けたのは原発性硬化性胆管炎の30歳代男性で、術後の経過は良好といいます。

 日本臓器移植ネットワークによると、1000例目は中国・四国地方の病院に脳出血で入院していた60歳代男性。家族が臓器提供に同意し、10月26日午後7時22分に脳死と判定されました。28日午前5時15分に摘出手術を開始。長崎大学病院では午前9時15分に移植手術を始め、午後1時44分に臓器が到着し、午後8時41分に終了しました。

 肝臓以外の移植手術はいずれも長崎県外で行われ、60歳代男性に心臓、40歳代男性に肺、50歳代女性と40歳代男性に腎臓が提供されたといいます。

 同病院でこれまでに、脳死と判定されて臓器提供者(ドナー)となった事例は15件あるといいます。

 2023年11月1日(水)

🟪小中学生の体力調査、中学生男子はコロナ感染拡大前を上回る

 全国の小学5年生と中学2年生を対象に、50メートル走など8つの項目で体力や運動能力を調べる今年度の国の調査で、中学生の男子の合計点は新型コロナウイルスの感染拡大前を上回りました。一方で、小学生の男女は低下傾向にあり、スポーツ庁は運動の機会を増やす取り組みに力を入れていく方針で...