2023/11/12

🟩強度近視から長期的に失明など視覚障害となるかAIで高精度予測 東京医科歯科大が開発

 東京医科歯科大は9日、失明リスクのある「強度近視」の患者の長期的な視力低下や視覚障害のリスクを高い精度で予測する方法を人工知能(AI)を使って開発したと発表しました。失明予防の治療などにつながる可能性があります。論文は同日までに、海外の眼科関連の学術誌に掲載されました。

 強度近親は、近親よりも眼球の長さが伸び、視力低下などを引き起こします。網膜剥離や緑内障などの合併症を発症して、失明につながることもあります。近視の人は世界的に増加しており、海外の研究グループによると、2050年には全世界の人口の約半数が近親となり、強度近視は約1割にまで増加すると推計されています。

 東京医科歯科大の大野京子教授(近視、網膜疾患)らのチームは、同大で診察を受け、初診時は正常な視力だった症例計813例の診察時の情報や眼底写真などのデータをAIに学習させました。

 その結果、86・8%の正答率で、眼鏡などで矯正しても5年後に視力が0・5未満になるリスクを判断できました。また、別の症例を学習させたモデルでは、3年後と5年後の矯正後の視力をそれぞれ68%、66%の精度で予測できたといいます。

 大野教授は、「強度近視の患者は、今は視力がよくてもいつか合併症を発症して失明するのではとの不安を抱えている」と指摘。「障害のリスクや将来的な視力を予測することで、患者の不安軽減にもつながるのではないか」と話しました。

 2023年11月12日(日)

🟩すい臓の自律神経刺激でインスリン増加 マウスの糖尿病改善、東北大

 すい臓につながる神経を刺激すると、血糖値の調節に必要なすい臓の細胞が体内で増えることを、東北大学のチームがマウスを使った実験で突き止めたと発表しました。糖尿病の新たな治療法などの開発につながる成果として、注目されています。

 この研究は東北大学大学院医学系研究科の今井淳太准教授たちのチームが、10日付の国際的な科学雑誌「ネイチャー バイオメディカルエンジニアリング」で発表しました。

 血糖値を下げるインスリンはすい臓にある「β細胞」と呼ばれる細胞から分泌されますが、この細胞が減少すると血糖値の調節ができなくなって、糖尿病を発症することが知られています。

 チームではすい臓にある自律神経の1つ「迷走神経」とβ細胞の関係に注目し、マウスのすい臓でこの神経を刺激すると血液中のインスリンの量が増加し、β細胞の働きがよくなることを突き止めました。

 さらに、糖尿病の状態にしたマウスのすい臓でこの刺激を3週間ほど続けたところ、体内でβ細胞の数が2倍以上に増えていて、血糖値が上がるのを抑えられることも確認できたということです。

 チームでは今回の成果を応用することで今後、糖尿病の新たな治療法や予防法の開発につながることが期待されるとしています。

 2023年11月12日(日)

🟩「エクソソーム」を美容目的などに使う自由診療が拡大 「将来的に規制を」再生医療学会が提言

 細胞が分泌する「エクソソーム」と呼ばれる物質を美容目的などで使う自由診療が拡大しているとして、日本再生医療学会は、将来的に何らかの規制のもとに置くことを求める提言をまとめました。

 この提言は、日本再生医療学会がまとめ、学会の理事長を務める慶応大学の岡野栄之教授が、10日に開かれた厚生労働省の再生医療に関する部会で報告しました。

 エクソソームは、細胞から分泌される組織の再生を促す物質などが含まれた微少な粒子で、病気の治療への応用を目指した研究が進められています。

 提言によりますと、現在、エクソソームをアンチエイジングなどの美容目的で自由診療で投与するクリニックなどが広がっているということです。

 エクソソームは細胞そのものではないため再生医療の安全に関する法律の対象外となっていますが、管理が不十分な場合などには敗血症などの細胞加工物と類似の重篤な事故が起こる可能性があり、海外でもクリニックなどでの安易な使用にはリスクがあるとする指摘が出ているということです。

 このため学会ではエクソソームを治療に応用する際のガイドラインの作成が急務だとし、製造過程などを含めて、将来的には何らかの形で規制のもとに置くことが望ましいと提言しました。

 2023年11月12日(日)

🟩チクングニア熱に初ワクチン、アメリカが承認 蚊媒介の感染症

 アメリカ食品医薬品局(FDA)は9日、蚊が媒介するウイルス感染症「チクングニア熱」に対する初のワクチンを迅速承認しました。フランスの企業バルネバが開発し、臨床試験では防御効果を期待できる免疫反応が得られました。今後、実際に病気を防げることが示されれば本承認となります。

 チクングニア熱はアメリカのほか、アフリカや東南アジアなどの熱帯・亜熱帯地域を中心に110カ国以上で発生。蚊に刺されて4~7日で、激しい関節痛や発熱の症状が現れます。死に至ることはまれですが、関節の痛みが月単位、年単位で続くことがあります。

 病名は初確認されたアフリカ・タンザニアの言葉で、痛みによって「かがんで歩く」が由来。特効薬はなく、予防法は虫よけのみでした。

 2023年11月12日(日)

🟩新型コロナの危険度、高齢者らは「高」から「中」に改定 WHO新治療指針

 世界保健機関(WHO)は10日、新型コロナウイルス感染症の治療指針を改定し、重症化して入院する危険度をこれまで「高」としてきた65歳以上の高齢者や、糖尿病やがん患者、腎臓や肝臓の疾患を抱えた人らを、新設した「中」の危険度に分類し直しました。これにより危険度が「高」となるのは、免疫不全の人に限定されることになりました。

 WHOは危険度が「高」と「中」の患者への治療薬として、経口抗ウイルス薬パクスロビド(日本ではパキロビッド)を「最善の選択肢」として強く推奨。パクスロビドが入手できない場合、「高」の患者には経口抗ウイルス薬モルヌピラビル、もしくは抗ウイルス薬のレムデシビルを使うよう勧めています。

 危険度が「中」の患者については、モルヌピラビルとレムデシビルは、得られる効果よりも害を及ぼす可能性が高いとして使わないよう求めました。

 抗寄生虫薬イベルメクチンは、重症患者に対する臨床試験でのみ使用されるべきだとし、軽症患者への投与には「強く反対」しています。

 入院率は危険度「高」では6%、「中」は3%で、これら以外の「低」に該当する人たちは0・5%。WHOは「低」の患者にはいかなる抗ウイルス薬の使用も勧めないとしており、熱や痛みなどの症状は鎮痛薬での対処で十分だとしています。

 2023年11月12日(日)

2023/11/11

🟩宅配専用「明治牛乳」から動物用医薬品の成分を検出、福井県など2府23県で流通 4万4577本を回収

 大手食品メーカー「明治」の大阪府の工場で製造された瓶詰の牛乳から、牛の感染症予防などに使用される医薬品が検出されたとして、大阪府は会社に対して4万4000本余りの回収を命じました。これまでに健康被害の報告はないということです。

 回収を命じられたのは大手食品メーカー「明治」の大阪府貝塚市にある工場で製造された、180ミリリットル入りの瓶詰の牛乳「明治牛乳」。

 大阪府によりますと、11月6日に行った保健所による定期検査で、この牛乳から動物用の医薬品「スルファモノメトキシン」が0・02ppmの濃度で検出されたということです。

 このため大阪府は食品衛生法に基づき、会社に対して賞味期限が11月13日の製品、4万4577本の回収を命じました。

 大阪府によりますと、検出された成分は微量で、健康に影響はないとみられるということです。

 「スルファモノメトキシン」は牛などの感染症予防や治療に使用される抗菌剤で、食品衛生法では、成分の混入を防ぐため搾乳する72時間以内の使用が禁止されています。

 回収対象の製品は主に西日本エリアの個人宅などを中心に、福井県など2府23県で流通したとみられるということですが、これまでに健康被害の報告はないということです。

 大阪府は成分が混入したいきさつや流通先の確認を進めています。

 商品回収は、フリーダイヤルのほか、ホームページの商品回収窓口の登録フォームで受け付けます。登録フォームに必要事項を入力し送信すると、明治指定の配送会社が回収にきます。商品のフタのみを返送するよう求めていて、現金かクオカードで代金相当を返します。未開封の場合は牛乳の廃棄を求めています。

 問い合わせは株式会社明治商品回収係 商品回収窓口 フリーダイヤル 0120-233-112

受付時間 午前9時から午後5時(土日祝祭日除く)(11月11、12 日の午前9時~午後5時は受け付けます)

 2023年11月11日(土)

🟩特許切れ先発医薬品、患者負担額引き上げへ 後発医薬品との差額、保険外に

 厚生労働省は価格の安い後発医薬品(ジェネリック医薬品)への置き換えをさらに進めるため、特許が切れている先発医薬品について患者の負担額を引き上げる方針で、年末までに具体策をまとめたいとしています。

 厚労省は医療費の増加を抑制し、新薬の開発を後押しする財源を捻出するため、医療機関で処方される薬の患者の負担額について検討を進めてきました。

 こうした中、9日開かれた社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の医療保険部会で厚労省は、価格の安い後発医薬品への置き換えをさらに進めるため、効能が同じで特許が切れている先発医薬品について、患者の負担額を引き上げる方針を示しました。

 現在の患者の負担額は薬の価格の1割から3割になっていますが、先発医薬品を選んだ場合は、後発医薬品との差額の一部を保険適用対象から外し、自己負担額に上乗せする方向です。

 部会の委員からは、一部の後発医薬品は供給不足が生じていることから、生産体制にも配慮しながら検討を進めるべきだという指摘が出されたものの、おおむね異論はなく、厚労省は来年度の薬価改定も念頭に、年末までに具体策をまとめたいとしています。

 2023年11月11日(土)

🟥将来の妊娠に備えた「卵子凍結」、1回20万円を上限に補助へ 10都道府県程度を予定

 こども家庭庁は2026年度、将来の妊娠に備えた「卵子凍結」を希望する女性に必要な費用を補助する方針を固めた。1回20万円を上限とする。妊娠を保証するものではないことなどを理解してもらうとともに、事業を通して卵巣の病気などに関係するデータも集めたい考えだ。  卵子凍結では、卵子...