2023/11/23

🟩飲酒リスク、初ガイドラインで周知へ 男性40グラム、女性20グラム以上はリスク

 飲酒ガイドラインについて議論する厚生労働省の有識者検討会は22日、国内初のガイドラインの案をまとめました。参考となる飲酒量の数値として、生活習慣病のリスクを高める飲酒量を「1日当たりの純アルコール摂取量が男性40グラム以上、女性20グラム以上」と示しました。

 一方、近年は少量の飲酒でも高血圧やがんなどのリスクが上がるとの研究結果が出ていることもあり、ガイドラインは「飲酒量をできるだけ少なくすることが重要」と指摘しました。

 厚労省は今後、パブリックコメント(意見公募)をするなどして、今年度中に最終決定します。

 飲酒ガイドラインは、飲酒の健康影響や飲み方の注意点などを示すもの。国のアルコール対策の第2期基本計画(2021~2025年)に作成の方針が盛り込まれました。これを受け、2022年から有識者検討会が議論してきました。

 ガイドライン案では、飲酒の影響が年代や性別、体質によって異なることを示しました。過度の飲酒でアルコール依存症や生活習慣病、がんなどを発症しやすくなることも記載しました。

 また、お酒に含まれる純アルコール量に着目。世界保健機関(WHO)などが、純アルコール量が少ないほどがんなどのリスクが少なくなると報告しているとし、高血圧や男性の食道がん、女性の出血性脳卒中などでは、少量の飲酒でも発症リスクを上げる可能性があると指摘しました。

 大腸がんでは、1日当たりの純アルコール量約20グラム以上の飲酒を続けると発症のリスクが上がるという研究結果も紹介しています。

 純アルコール量は、飲んだ酒の量とアルコール度数などを掛け合わせて計算でき、例えばアルコール度数5%のビールでは、中瓶1本やロング缶に当たる500ミリリットル飲むと、純アルコール量は20グラムに当たります。7%の酎ハイは350ミリリットル、12%のワインは小さいグラス2杯分の200ミリリットル、15%の日本酒は1合弱、25%の焼酎は100ミリリットル、43%のウィスキーはダブルに当たる60ミリリットルです。

 これらを踏まえ、厚労省は「自分の普段の飲酒量を把握し、あらかじめ飲む量を決めることが重要」としました。

 厚労省は今後、国民向けのリーフレットを作成し、普及を図ります。

 2023年11月23日(木)

🟩中国で子供の肺炎が増加しクラスターが発生 WHO、詳細情報の報告を要請

 世界保健機関(WHO)は、中国の子供たちの間で肺炎が増加し、クラスター(感染者集団)が発生しているとして、中国に詳細な情報提供を要請しました。一方、中国当局は、発熱やせきなどの症状が特徴の「マイコプラズマ肺炎」が流行しているなどとして、注意を呼び掛けています。

 WHOは22日、中国北部で10月中旬以降、インフルエンザのような症状の患者が過去3年間の同じ時期と比べて増加しているなどとする声明を発表しました。

 それによりますと、国際感染症学会が21日に子供たちの間で肺炎が増加しクラスターの発生を報告したとしています。

 一方、中国の保健当局、国家衛生健康委員会は11月13日に記者会見を開き、「今年は北部を中心に発熱やせきなどの症状が特徴の『マイコプラズマ肺炎』が流行し、3歳以下の子供が感染するなど低年齢化の傾向がある」と注意を呼び掛けていました。

 また、インフルエンザの感染も広がっているとして、中国当局は新型コロナウイルスなどとともに監視を強めると強調しています。

 こうした状況を受けて、WHOは中国に対し、呼吸器疾患の増加や子供のクラスターに関する情報提供を要請するとともに、中国国民に対し、各種予防接種、患者との距離の確保、不調の際の自宅待機、日常的な手洗い、適切なマスク着用といった予防措置を呼び掛けています。

 2023年11月23日(木)

2023/11/22

🟩新型コロナのワクチン接種費用、64歳以下は原則自己負担 2024年度から

 厚生労働省は新型コロナウイルスのワクチン接種の全額公費接種を2023年度で終了します。2024年4月以降は公費支援の対象を65歳以上の高齢者らに絞ります。64歳以下は任意接種とし、原則自己負担とします。

 厚生科学審議会(厚労相の諮問機関)が22日に開いた予防接種・ワクチン分科会で支援の縮小を決めました。季節性インフルエンザと同じ「定期接種」に位置付けることに伴う措置です。

 新型コロナワクチン接種は現在、予防接種法上の「特例臨時接種」に定められています。接種費用は全額、国が負担しています。

 定期接種には結核など集団予防に重点をおく「A類」と、季節性インフルエンザなど個人予防に重点をおく「B類」があります。A類は国の補助額が高く、原則無料で接種を受けられます。B類は補助額が少なく、一部の定期接種対象者には自己負担が生じます。

 今回の変更で、新型コロナワクチンについてはB類に位置付けとなります。

 定期接種は65歳以上の高齢者と一定の基礎疾患を有する60歳〜64歳が対象で、年1回、秋冬の時期に実施します。対象者には自治体からの補助があり、地域によって自己負担額は異なります。低所得者などは無料で接種できます。

 予防接種の価格はワクチンを製造する企業が設定します。厚労省は2023年度中におおよその価格を把握する予定です。アメリカではモデルナが商用販売への移行後の価格を1回当たり130ドル(およそ1万9000円)に引き上げるとしています。

 2023年11月22日(水)

🟩犬を飼う高齢者、認知症の発症リスク低い 東京都健康長寿医療センターの調査

 犬を飼っている高齢者は、飼っていない高齢者に比べて認知症の発症リスクが低いという研究結果を、東京都健康長寿医療センターのチームが22日までに国際科学誌「予防医学レポート」に発表しました。ペット飼育と認知症との関連を明らかにしたのは初めてとしています。

 調査は、東京都の65歳以上の男女1万1194人を対象に、2016年から2020年までのデータを分析。対象者の平均年齢は74・2歳、女性の割合は51・5%でした。2020年までの介護保険情報に基づく要介護認知症の新規発症率は5・0%で、犬を飼っている人は飼っていない人に比べ、認知症になるリスクが40%低くなりました。

 さらに犬を飼っている人のうち、運動習慣がある人や、社会的に孤立していない人のほうが発症リスクが低い傾向にあることもわかりました。猫の場合は、飼育の有無で発症リスクに差はありませんでした。犬の飼育率は8・6%、猫の飼育率は6・3%でした。

 同センター協力研究員で国立環境研究所の谷口優主任研究員は、「犬特有の散歩を介した運動や、知人の輪の広がりが飼い主へのよい効果をもたらしている」と指摘。犬の飼育によって認知症予防や健康維持が期待できるとしています。

 チームはこれまで、犬を飼う高齢者は介護や死亡のリスクが低いとの研究もまとめています。

 2023年11月22日(水)

🟩大阪市の会社製造グミの検出成分、22日付で指定薬物に追加 流通禁止へ、厚労省

 大麻に近い成分を含むグミを食べた人が体調を崩して相次ぎ搬送された問題で、厚生労働省の指定薬物部会は21日、東京都内のグミ販売店で見付かった製品から検出された合成化合物HHCH(ヘキサヒドロカンナビヘキソール)を指定薬物に指定することを了承しました。

 22日に指定薬物に追加し、10日後の12月2日から所持や使用、流通が禁止される見通し。

 厚労省はHHCHに似た別の成分が新たに流通する可能性があるとして、構造が似た成分をまとめて禁止する「包括指定」も検討しています。

 HHCHは、大麻由来の違法成分で幻覚や意識障害を引き起こすTHC(テトラヒドロカンナビノール)と構造が似ているものの、規制対象にはなっていませんでした。

 THCに似た成分を含む製品の流通が近年続き、厚労省は医薬品医療機器法に基づいて指定薬物への追加を進めています。昨年3月にHHC(ヘキサヒドロカンナビノール)、今年8月にはTHCH(テトラヒドロカンナビヘキソール)を規制対象に追加しました。

 厚労省麻薬取締部はグミの製造会社「WWE」(大阪市)と東京都や大阪市の販売店などに立ち入り検査を実施。見付かったグミの鑑定を進め、一部からはすでにHHCHが検出されています。

 健康被害が多く報告されているのを受け、武見敬三厚労相は「重大な保健衛生上の問題だ」として速やかに指定薬物に指定する意向を示していました。

 2023年11月22日(水)

2023/11/21

🟩炭水化物と脂質の極端な摂取や制限で死亡リスク増 名古屋大が調査

 近年、炭水化物や脂質の摂取制限が体重減少や血糖値の改善を促し健康的だともてはやされているものの、極端な摂取制限は死亡リスクを高めるとの研究結果を、名古屋大の田村高志講師(予防医学)らの研究チームがアメリカの専門誌に発表しました。男性の低炭水化物摂取と女性の高炭水化物摂取は死亡リスクを高めることがわかったといいます。

 研究チームは、日本人でがんや心臓血管系の病気のない男性約3万5000人と女性約4万6000人を追跡したところ、平均約9年間で男女計2783人が死亡しました。食事のアンケートに基づき、炭水化物や脂質の摂取量と死亡リスクとの関係を分析し、喫煙や飲酒は影響がないよう統計的に調整しました。

 その結果、男性では全エネルギーに対する炭水化物の摂取割合が50%以上55%未満の人を基準にして、40%未満の人は、すべての原因による死亡リスクが1・59倍、がんによる死亡リスクに限ると1・48倍になりました。循環器病の死亡リスクは45%以上50%未満と、基準よりやや少ないだけで2・32倍となりました。脂質は摂取割合が20%以上25%未満の基準と比べて、35%以上の人は、がんの死亡リスクが1・79倍となりました。

 女性については、炭水化物の摂取割合が65%以上と多めの人は5年以上の追跡で、全死亡リスクが1・71倍となりました。45%以上50%未満と少なめの人は5年未満の追跡で、循環器病による死亡リスクが4・04倍、60%以上と多い人は3・46倍となり、多すぎても少なすぎてもリスクが大きく高まりました。また、脂質摂取量が増えるほど死亡リスクが減少する傾向がみられました。

 田村講師は「男女とも一律にローカーボ食(低炭水化物食)がよい、あるいは脂質摂取は控えるほうがよいとする食事習慣は見直しが必要だ。将来の死亡リスクを考える上では、食事のバランスが重要であるといえる 」と話しています。

 2023年11月21日(火)

🟩梅毒の感染者1万2965人、3年連続で過去最多を更新するペース

 国立感染症研究所のまとめによりますと、11月12日までに全国から報告された梅毒の感染者数は1万2965人と、現在の方法で統計を取り始めた1999年以降で最も多かった昨年の同じ時期を上回り、3年連続で過去最多を更新するペースとなっています。

 都道府県別にみますと、東京都が3173人、大阪府が1726人など人口の多い地域で患者数が多くなっていますが、佐賀県、長崎県、石川県など人口の少ない地域でも昨年から大幅に増加しているところがあります。

 性感染症の梅毒は放置すると深刻な症状につながることがあるほか、女性の場合は妊娠中に胎児に感染する「先天梅毒」を引き起こすこともありますが、抗菌薬の投与や注射で治療できる病気です。

 性感染症に詳しいプライベートケアクリニック東京の尾上泰彦院長は、「診療の現場では20歳代の女性のほか、男性も30歳代から50歳代の幅広い年代での増加を実感している。不特定の人とのコンドームを着用しない性行為といった感染リスクの高い行動をして、不安に感じている場合、症状がなくても専門の医療機関で検査してほしい」と話しています。

 梅毒の感染者の急増に伴い、梅毒に感染した妊婦から胎児に母子感染する「先天梅毒」の報告も急増しています。

 国立感染症研究所によりますと、「先天梅毒」の報告は今年は10月4日の時点で32人と、現在の方法で統計を取り始めてから最も多かった2019年1年間の23人をすでに超えています。

 先天梅毒は治療した経験のある医師が少ないということで、日本小児感染症学会は検査や治療の方針をまとめた「診療の手引き」を作成し、21日、ウェブサイトで公表しました。

 それによりますと、通常、妊婦の健診では梅毒の検査を行いますが、妊娠中に感染したり健診を受けていなかったりするケースがあるため、手引きでは、生まれた子供に皮膚の異常など先天梅毒の症状がなくても出産の前後に母親が梅毒に感染していることがわかった場合や、過去に感染したことがあるものの治療したかどうかがはっきりしない場合なども検査や治療を行うことを推奨しています。

 また、先天梅毒は、成長するにつれて発達の遅れや難聴といった症状が出ることもあるため、定期的に診察して様子を確認するべきだとしています。

 手引きを取りまとめた愛知医科大学の伊藤嘉規教授は、「知識を医師の間で共有することで先天梅毒の増加に備えるとともに、妊婦の方にも先天梅毒のリスクや、妊娠前の検査について知ってもらいたい」と話しています。

 2023年11月21日(火)

🟪「健康寿命」ほぼ横ばいで推移、厚労省発表 男性72・57歳、女性75・45歳

 厚生労働省は24日、介護を受けたり寝たきりになったりせずに日常生活を送れる期間を示す「健康寿命」が、2022年は男性72・57歳、女性75・45歳だったと公表しました。前回調査の2019年(男性72・68歳、女性75・38歳)から、ほぼ横ばいで推移しました。  健康寿命は3年...