2023/11/28

🟩国産の新型コロナ「XBB」対応ワクチン、初承認 12月の無料接種で使用へ

 製薬大手の「第一三共」が開発した新型コロナウイルスワクチンについて、厚生労働省の専門家部会は、使用することを了承しました。厚労省の正式な承認を経て、早ければ12月上旬から自治体に配送され、国産のワクチンが初めて実際の接種で使えるようになります。

 使用が了承されたのは、製薬大手の「第一三共」が開発した、新型コロナウイルスのオミクロン型の派生型「XBB」系統に対応するワクチンで、今年9月、厚労省に承認申請が行われました。

 27日に開かれた厚労省の専門家部会では、有効性が確認でき、安全性にも重大な懸念はないとして、使用を認めることを了承しました。

 厚労省によりますと、国内の新型コロナウイルスのワクチン接種は、これまで海外の製薬メーカーのものが使われ、国産のワクチンとしては、今年8月に、「第一三共」が開発した従来型のワクチンが承認されましたが、実際の接種では使われていませんでした。

 今回の「XBB」系統対応ワクチンについて、厚労省は製造・販売を承認した後に140万回分を購入することで第一三共と合意したと、先日発表しています。

 承認後、「特例臨時接種」の対象となり、早ければ12月上旬から自治体に配送されるということで、国産のワクチンが初めて実際の接種で使えるようになります。

 販売名は「ダイチロナ」で、国内の製薬会社が開発したものとしては、初めてのmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンです。

 mRNAはタンパク質の「設計図」に当たる遺伝情報で、ワクチンを体内に投与すると、体内で新型コロナウイルスが感染する際の足掛かりとなるスパイクタンパク質が作られ、これに対する免疫の働きで抗体が作られます。

 ファイザーやモデルナが開発したmRNAワクチンは、ウイルスのスパイクタンパク質全体が作られますが、第一三共のワクチンは、スパイクタンパク質の中でも、人の細胞と結合する受容体結合ドメイン(RBD)という部分だけが作られるため、設計図となるmRNAの長さがより短くなっています。

 第一三共によりますと、mRNAの長さが短いため、製造工程で品質を管理しやすいほか、変異ウイルスに対応してmRNAを作り直す作業が進めやすいといった利点があるということです。

 2023年11月28日(火)

🟩岩手県産「ナンブコムギ」から「かび毒」検出 製粉会社が自主回収に動く

 JA全農いわてが販売した岩手県産の小麦「ナンブコムギ」からおう吐などを起こす恐れがある「かび毒」が検出され、この小麦を使っていた菓子店などで製品の自主回収や廃棄が進められています。JAなどによりますと、これまでのところ健康への被害の訴えは確認されていないということです。

 JA全農いわてによりますと、かび毒が検出されたのは昨年・2022年産の県産小麦「ナンブコムギ」で、11月9日、販売先の東京都の製粉会社からかび毒が検出されたという連絡があり、JAがこの小麦を回収して検査したところ、11月17日、基準値の3倍から4倍のかび毒が検出されたということです。

 なお、販売前のJAの検査では、基準値を超えるかび毒は検出されていなかったということです。

 内閣府の食品安全委員会によりますと、赤カビによるかび毒は一度に大量に食べた場合、おう吐や食欲不振、それに下痢などの症状が出る恐れがあり、熱に強く、加工や調理をしても毒性はほとんど減らないということです。

 また、別の製粉会社を通じて昨年・2022年産の県産小麦「ナンブコムギ」を購入している盛岡市にある老舗の南部せんべい店「白沢せんべい店」では、27日昼すぎから臨時休業して製品の自主回収や廃棄作業に当たっているということです。

 岩手県も、流通状況などの情報を収集しながら自主回収が進むよう業者を支援する考えです。

 JAや「ナンブコムギ」を購入した店舗によりますと、これまでのところ健康への被害の訴えは確認されていないということです。

 JA全農いわての担当者は、「産地や収穫時期、販売数量など正確な情報について確認を進め、速やかに公表したい」としています。

 2023年11月28日(火)

🟩肥満学会、新薬「ウゴービ」で適正使用を提言 美容やダイエット目的に警鐘

 日本肥満学会は27日、デンマークの製薬大手ノボノルディスクの新たな肥満症治療薬「ウゴービ」が保険適用されたことを受け、適正な使用を訴える提言を公表しました。「美容やダイエットなどの目的で用いる薬剤ではない」と注意喚起しています。メーカーは来年2月22日に日本での販売開始を予定しており、肥満症の新薬登場は約30年ぶりとなります。

 ウゴービは皮下注射で投与する治療薬。提言では、対象患者は肥満症と診断され、高血圧位や脂質異常症、2型糖尿病といった持病があり、食事療法や運動療法を行っても十分な効果が得られないなどの場合に限ると説明。肥満の状態だけでは投与対象にならないことや、低血糖や急性膵炎(すいえん)などの副作用にも注意すべきだと指摘しました。

 厚生労働省も専門医の指導による処方を求めています。

 2023年11月28日(火)

🟩緊急避妊薬の試験販売、今日から全国145の薬局で開始 処方箋なしで購入可能に

 意図しない妊娠を防ぐ「緊急避妊薬(アフターピル)」について、医師の処方箋がなくても薬局の店頭で適正に販売できるか調べる試験販売が、28日から全国145の薬局で始まりました。

 「緊急避妊薬」は、避妊の失敗や、性暴力などによる意図しない妊娠を防ぐための薬で、性行為から72時間以内に服用すれば、妊娠を一定程度防ぐことができます。

 現在は医師の処方箋が必要ですが、厚生労働省の検討会が医師の処方箋がなくても適正に販売できるか、一部の薬局で試験的に販売する調査研究を行うことを決め、日本薬剤師会が28日から全国145の薬局で試験的に販売を始めました。

 購入できるのは、調査研究への参加に同意した16歳以上の人で、16歳以上18歳未満の人は保護者の同意が必要になります。

 また、16歳未満の人に対しては薬局が産婦人科医などを紹介するということです。

 販売価格は、7000円から9000円程度を想定しているということです。

 試験販売を行っている薬局の情報は、日本薬剤師会のホームページなどからアクセスできる専用サイトで確認できます。

 薬局は、研修を受けた薬剤師がいて、夜間や土日、祝日なども対応が可能、近隣の産婦人科と服薬後に連携できて、個室があるなどプライバシーを確保できる、などの条件を満たした店舗が選定されているということです。

 購入した人にはアンケートに答えてもらい、検証に活用するということです。

 緊急避妊薬を医師の処方箋がなくても購入できるようにする「一般販売」については、2017年にも厚労省が専門家の会議で検討しましたが、乱用・悪用される懸念があるとの意見や薬剤師の知識不足などを理由に、判断が見送られました。

 一方、世界保健機関(WHO)は、2018年に「意図しない妊娠のリスクに直面するすべての女性と少女は緊急避妊の手段にアクセスする権利がある」として、各国に対応するよう勧告し、2020年4月には、緊急避妊薬へのアクセスを確保するよう提言しました。

 こうした流れを受けて、国内では2020年に男女共同参画基本計画で処方箋がなくても購入できるよう検討することが明記され、厚生労働省は2021年から専門家による検討会で導入の課題について議論を再開しました。

 昨年12月末から行ったパブリックコメント(意見公募)では4万件あまりの意見が寄せられ、賛成の意見が9割以上を占めました。

 一方で、薬の悪用や産婦人科との連携などを懸念する意見も寄せられ、専門家からは、一部の地域の薬局で試験的に販売を始め、データを分析するなどして対応を判断すべきだとする意見が挙がっていました。

 武見敬三厚労相は閣議の後、記者団に対し、「必要な方が適切にアクセス可能となるよう周知を図っていく。性交同意年齢に満たない16歳未満の人に対しては、産婦人科医や性犯罪、性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの紹介などの対応をとることが適切と考えている。対象年齢については調査研究の結果を踏まえつつ検討していく」と述べました。

 また、今回の試験的な販売が来年3月末で終了する予定となっていることについて、武見厚労相は予算が確保できれば、それ以降も継続していく考えを示しました。

 2023年11月28日(火)

2023/11/27

🟩人工妊娠中絶、2022年度は12万件超 総数は減少も20歳未満は増加

 2022年度に国内で実施された人工妊娠中絶件数は12万2725件で、前年度より3449件減少したことが、厚生労働省の調査で判明しました。単純に日割り計算すると「1日336件」のペースで行われたことになります。総数は減少傾向にある一方、20歳未満は9569件で、前年度より476件増加しました。

 調査は10月下旬、厚労省の「令和4年度衛生行政報告例の概況」で公表されました。

 人工妊娠中絶件数は68年前の1955年の117万143件をピークに右肩下がりの傾向にあるものの、今回の調査では、20歳未満の若年層の増加が目立ちました。

 特に19歳が最も多く4620件。19歳は2021年度(4051件)、2020年度(4581件)と比較しても多い結果となりました。

 調査を所管するこども家庭庁の担当者は、若年層が増加した背景について、「複数の要因が考えられ、これが理由と明確にするのはむずかしい」とした上で、「予期せぬ妊娠への対策は重要。都道府県などと連携し、性と健康に関する相談事業を推進していきたい」としています。

 来年度以降の調査では、今年4月に経口中絶薬が承認されたことを受け、人工妊娠中絶の全体件数に加え、薬による中絶の内訳も公表する方針です。

 母体保護法では、人工妊娠中絶は身体的、経済的理由で妊娠の継続が母体の健康を著しく害する恐れがある場合や、暴行脅迫を受けて妊娠した際に行うことができるとされ、妊娠22週未満に実施されます。

 2023年11月27日(月)

🟩島津製作所子会社、新生児検査向けPCR試薬を販売

 島津製作所傘下の島津ダイアグノスティクス(旧・日水製薬、東京都台東区)は、新生児の疾病の発症可能性を調べる「スクリーニング検査」で使うPCR試薬キット「TKSneoFinder」を国内の受託検査機関向けに、22日から発売しました。

 試薬キットを使い、新生児の血液から希少難病の重症複合免疫不全症(SCID)とB細胞欠損症(BCD)、脊髄性筋萎縮症(SMA)の可能性を発見でき、発症前の診断や治療開始につなげやすくなります。

 価格は1キットで16万5600円。1つのキットで92人分の検査に対応し、1年間で480キットの販売を目指します。

 同キットの販売に伴い、島津製作所子会社の島津テクノリサーチ(京都市)が、新生児スクリーニング検査の受託検査事業を2023年度内に開始する予定です。

 2023年11月27日(月)

🟩中国北部で増加の呼吸器疾患「インフルエンザが中心」 保健当局が通常の疾患と説明

 中国の保健当局は、中国北部で増加している呼吸器の疾患について「インフルエンザが中心だ」とする見方を示し、マスクの着用など感染対策を徹底するよう呼び掛けています。

 中国北部では10月中旬以降、呼吸器の疾患が増加しています。これについて、中国の保健当局、国家衛生健康委員会は26日の記者会見で「インフルエンザが中心だ」と説明しました。

 その一方で、インフルエンザ以外の病原体による疾患も確認されたとして、1歳から4歳では通常の風邪のウイルスの「ライノウイルス」が、5歳から14歳では発熱やせきなどの症状が特徴の「マイコプラズマ肺炎」が、15歳から59歳では新型コロナウイルスなどが、それぞれ一定程度みられるとしています。

 保健当局は、こうした複数の病原体が呼吸器疾患の増加にかかわっているとして、医療体制の整備を進めるとともに、国民に対しワクチンの接種やマスクの着用など感染対策の徹底を呼び掛けています。

 一方、台湾の保健当局、台湾疾病管制署は25日、中国北部で子供の肺炎感染が急増しているとして、空港や港湾の検疫で警戒を強化していると発表しました。中国からの旅客に、症状がないかどうか注意するよう呼び掛けています。

 中国へ渡航する台湾人に対しては、インフルエンザや新型コロナウイルスのワクチンを接種するよう促しました。中央通信社によると、今後、医療関係者らに対しても、流行状況を注視するよう通知します。

 世界保健機関(WHO)によると、中国北部で10月半ばから、過去3年間の同時期に比べ、インフルエンザのような疾患が増加しています。

 2023年11月27日(月)

🟪百日せきの流行さらに拡大、1週間で過去最多の3578人 

 感染によって、けいれん性の激しいせきが出る「百日せき」の流行が、拡大しています。国立健康危機管理研究機構によると、7月6日までの1週間、医療機関からの報告数が、全国で3578人と過去最多をさらに更新しました。都道府県別では、東京都の277人が最多で、埼玉県が254人と2番目に...