国立感染症研究所によりますと、子供がかかりやすく、発熱、のどの痛みなどを発症する「溶連菌感染症」の一種、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の患者数が、4週連続で過去最多を更新しました。
10日までの1週間に全国約3000の小児科の医療機関で報告された患者は、前の週から2093人増えた1万5196人で、1医療機関当たりの患者数は4・83人となりました。
都道府県別では、1医療機関当たりの患者が最も多いのは鳥取県の10・68人で、次いで宮崎県の8・31人、千葉県の8・17人となっていて、警報レベルとされる「8人」を超えいるほか、東京都では6・25人、大阪府では5・01人、愛知県では3・49人などとなっています。
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の患者数は過去10年間で最も多い状況が4週連続で続いており、専門家は「マスクの着用や換気、手洗いといった基本的な感染対策が重要だ」と話しています。
また、子供を中心に流行が続く咽頭結膜熱の10日までの1週間の患者数は、8週ぶりに前の週から減少しましたが、依然として多い状況が続いています。
咽頭結膜熱は子供を中心に高熱や結膜炎などの症状が出るウイルス性の感染症で、せきやくしゃみなどの飛まつで感染するほか、ウイルスが付着したタオルなどを介しても感染します。
国立感染症研究所によりますと、10日までの1週間に全国約3000の小児科の医療機関から報告された患者数は、前の週より755人少ない1万947人となりました。
1医療機関当たりでは3・48人と、前の週を0・24人下回り、8週ぶりに減少しましたが、依然として多い状況が続いています。
都道府県別では、福井県が8・76人、北海道が7・59人、富山県が6・59人、福岡県が6・09人となっているほか、東京都で3・23人などと合わせて24の都道府県で国の警報レベルの目安となる「3」人を超えています。また、大阪府と愛知県では2・57人となっています。
子供の感染症に詳しい国立病院機構三重病院の谷口清州院長は、「これから保育所や学校などが冬休みに入るため、患者数は一時的に減少するとみられるが年明けに再び増加する可能性がある。人が集まるところではマスクを着用する、換気を行うといった基本的な感染対策を引き続き取ってほしい。また、咽頭結膜熱のウイルスに対してはアルコール消毒が効きづらいので、手洗いで物理的にウイルスを洗い流すことが重要だ」と話しています。
2023年12月19日(火)