2023/12/24

🟧高齢者の介護保険料、年間所得420万円以上は増額へ 「応能負担」を強化

 65歳以上の高齢者が支払う介護保険料について、厚生労働省は来年度から年間所得が420万円以上の高齢者を対象に引き上げることを決めました。

 65歳以上の高齢者が支払う介護保険料は、国が示した基準をもとに市町村が決めています。

 現在の国の基準は年間所得や年間の年金収入に応じて9段階の区分を設けていて、最も低い区分の「80万円以下」の人から、最も高い区分の「320万円以上」の人まで、所得が高い人ほど増額される仕組みです。

 しかし、65歳以上の高齢者が支払う介護保険料について、厚労省は来年度から年間所得が420万円以上の高齢者を対象に引き上げることを決めました。

 具体的には、現在「320万円以上」に設定している最も所得の高い区分を細分化して、新たに「420万円以上」「520万円以上」「620万円以上」「720万円以上」の4段階を設け、年間所得が420万円以上の所得の高い高齢者(145万人)については、収入に応じて保険料を納める「応能負担」を強化し、これまでよりも高い介護保険料を負担してもらうことになりました。

 また、厚労省は所得が低い高齢者(1323万人)については介護保険料の負担額を減らすことにしています。

 負担割合の変更は来年、2024年4月から行われる予定です。

 介護保険料には、40歳から64歳までの現役世代が支払う保険料と、65歳以上の高齢者が支払う保険料の、2種類あります。

 介護費用が増え続ける中、持続可能な仕組みをつくるために、厚生労働省は65歳以上の高齢者のうち、所得が高い人の負担額を増やす案について検討してきました。

 65歳以上が支払う介護保険料は、介護保険制度が始まった23年前の2000年度は全国平均で月2911円でしたが、急速な高齢化が進む中、現在は月6014円と2倍以上になり、2040年度には月9000円程度になると推計されています。

 物価高なども重なって、所得が低い高齢者の実質的な負担が増していますが、厚労省は今回、所得が高い高齢者の負担額を増やし、所得が低い高齢者の負担額を減らすことで、同じ世代の中で高齢者同士負担を分け合い、制度を持続可能なものにするための見直しを行いました。

 2023年12月24日(日)

🟧小麦から「カビ毒」検出の岩手県、県内26市町村で利用確認 ふるさと納税返礼品や給食で

 JA全農いわてが販売する岩手県産小麦「ナンブコムギ」から基準値を超えるカビ毒が検出された問題で、学校給食やふるさと納税の返礼品などへの影響が広がっています。カビ毒の可能性がある小麦の利用が確認されたのは、県内全33市町村の約8割に当たる26市町村。これまでに健康被害は確認されておらず、県は「通常の摂取量で健康に影響をおよぼす可能性は低い」として、冷静な対応を呼び掛けています。

 JA全農いわては11月28日、県産小麦の一部から、カビ毒の一種「デオキシニバレノール」が、食品衛生法の基準(1キロ・グラム当たり1ミリ・グラム)の最大約6倍検出されたと発表。対象の小麦約710トンのうち、約404トンはすでに小麦粉などとして出荷され、製粉会社などが自主回収を始める事態となりました。

 ナンブコムギは地域の特産品にも広く利用され、12月7日には、花巻市がふるさと納税の返礼品「花巻産南部小麦そうめん」に使われていたと発表。ほかの自治体の返礼品でも利用が次々と判明し、影響は14日までに計8市町(計481件)におよびました。

 学校給食にも、すいとんや煎餅(せんべい)汁、ひっつみ汁などとして提供され、14日までに少なくとも県内計26市町村のほか、青森、宮城両県の小中学校などで利用が確認されました。

 内閣府の食品安全委員会によると、今回検出されたデオキシニバレノールは、汚染された食品を食べると嘔吐(おうと)や下痢などを引き起こす恐れがあるとされます。製粉や調理の過程で濃度が薄まるという報告もあるといい、同委員会は「基準は低く設定されている。超過しても、ただちに健康への影響が出る性質のものではない」としています。

 「南部せんべい」の原材料にナンブコムギを使っていた盛岡市の「老舗白沢せんべい店」は11月27日から休業して商品を自主回収するなどし、これまで約2万枚、商品価格で200万円以上のせんべいを廃棄したものの、12月18日に再開しました。一部の商品で安全性が確認された別のナンブコムギの利用を再開しており、白沢一美津社長(51)は「ごまにもピーナッツにも負けない風味と味があり、ずっしりした重量感も出る。今後も利用を戻していきたい」と話しました。

 2023年12月24日(日)

2023/12/23

🟧小中学生の体力調査、男子はコロナ以降で初めて前年度上回る 中2女子は過去最低を更新

 全国の小学5年生と中学2年生を対象に50メートル走など、8つの項目で体力や運動能力を調べる今年度の国の調査で、男子は新型コロナウイルスの感染拡大以降初めて合計点が前の年度を上回り、女子の低下傾向も、これまでより緩やかになったことがわかりました。 スポーツ庁は、新型コロナによる行動制限が緩和され、体を動かす活動が増えた影響が考えられると分析しています。

 国は、平成2008年度から、全国の小学5年生と中学2年生を対象に、50メートル走やボール投げ、反復横とび、上体起こし、握力、立ち幅跳び、長座体前屈などの8つの項目で体力や運動能力を調べており、今年度は約190万人が対象になりました。

 この中で、実技8項目の成績を数値化した「体力合計点」の全国平均は、男子が小中学生ともに新型コロナの感染拡大以降、初めて上昇傾向に転じ、「握力」を除く、すべての項目で前の年度を上回りました。

 中でも、「立ち幅跳び」は、小学生が1メートル51センチ余りで、前回より3ミリ伸びたほか、中学生が1メートル96センチ余りで、調査開始以来、最もいい成績となりました。

 一方、女子の体力合計点は、小学生がほぼ横ばい、中学生は過去最低を更新しましたが、低下傾向はこれまでより緩やかになり、改善の兆しがみられるということです。

 このうち、「長座体前屈」は、小中学生ともに前の年度を上回り、小学生が38センチ余りで、前の年度と比べて2・7ミリ伸びて、これまでで最もいい成績となり、中学生が46センチ余りで、過去2番目にいい成績となりました。

 全国体力テストの合計点は、男女ともに2019年度から低下が続き、昨年度は調査開始以来、最も低くなっていましたが、新型コロナの感染拡大以降、初めて改善傾向を示す結果となりました。

 これについてスポーツ庁は「学校や地域で行動制限が緩和されて、体を動かす活動が増えた影響が考えられる」と分析し、今後は、コロナ禍で減少した運動習慣を生活の中で定着させることが課題だとしています。

 調査結果の分析にかかわった、子供のスポーツ学が専門の中京大学の中野貴博教授は、男子と女子では体力合計点の回復の度合いに差があり、中学女子では、前の年度を下回ったことについて「運動に対する気持ちは、男子のほうがポジティブな傾向が強く、思春期の発達を考えても中学校2年生ぐらいの女子は、運動の好き嫌いが分かれ、やらない時間が続くことでちょっと距離を置く傾向がある。コロナ禍を経て、ほかの学年や男子に比べると、その影響が強く残った可能性がある」と指摘しています。

 その上で、「運動が得意だという意識が強くない女子でも、競技ベースではないものや、仲間同士でやるものには非常にいい反応を示すので、そこを理解して、いろいろな運動をさせる取り組みを強化していくことで、数年かけて元の水準に戻せるのではないか」と話していました。

 2023年12月23日(土)

🟧デング熱、2023年に500万件発生し5000人死亡 WHO発表

 世界保健機関(WHO)は22日、蚊が媒介するウイルス感染症のデング熱の発生件数が2023年に500万件を超えたと発表しました。80を超える国・地域で計5000人以上の死亡が報告され、地球規模で感染リスクが高まっていると判断しました。渡航や貿易の制限は勧告していません。

 発生件数は過去最悪の水準に近付いており、約8割が北アメリカと南アメリカに集中しているといいます。人口10万人当たりでは、ブラジルやペルー、メキシコなどが多くなっています。地球温暖化による気温上昇や脆弱な医療体制など複数の要因が感染急増につながっていると分析しました。

 WHOは、デング熱感染に対する特定の治療方法が確立されていないため、早期発見と医療機関への受診が死亡率を下げるとも指摘しています。

 デング熱は、ネッタイシマカやヒトスジシマカと呼ばれる蚊が媒介して感染します。最近では在留邦人などの感染事例も増加しています。感染対策としては、日中や外出時には長袖や長ズボンなどを着用することで肌の露出を控え、虫除けスプレーを使用し、蚊に刺されないことが重要となります。就寝時には蚊帳を利用し、蚊に刺されないように対策を取る必要があります。

 2023年12月23日(土)

🟧介護施設職員などの高齢者虐待が過去最多更新 2022年度856件、厚労省調査

 高齢者が介護施設の職員などから受けた虐待の件数は、昨年度850件余りと過去最多を更新したことが、厚生労働省のまとめで明らかになりました。

 厚労省が全国の自治体を通じて、高齢者が介護施設の職員などから受けた虐待について調べたところ、2022年度は856件で、前の年度から15・8%増の117件でした。また、市町村への相談・通報件数は16・9%増の2795件で、いずれも2年連続で増加し過去最多となりました。介護現場は深刻な人手不足に陥っており、過度な業務負担によるストレスや疲労などが影響している可能性がある。

 1件の虐待で被害者が複数いるケースもあり、被害者数では1406人。複数回答で、暴力や拘束といった身体的虐待が57・6%で最も多く、暴言などの心理的虐待が33・0%、長時間放置などの介護放棄が23・2%でした。死亡したケースも8件(8人)ありました。

 虐待が起きた要因は、「教育・知識・介護技術などに関する問題」が56・1%と最も多く、次いで「職員のストレスや感情コントロールの問題」が23%でした。

 一方で、家庭内での家族や親族などによる虐待は前の年より243件増えて、1万6669件でした。

 虐待が起きた要因を調べると、複数回答で、虐待を受けた高齢者に認知症の症状があったケースが56・6%。虐待をした家族側の要因では、介護疲れ・介護ストレスが54・2%、理解力の不足や低下が47・9%でした。

 また、介護者がネグレクトをしたり、介護疲れなどから家族を殺害するいわゆる「介護殺人」をしたりしたことなどから死亡したと判断した高齢者は、32人となりました。

 厚労省は、「件数が高止まりしているが虐待への意識が高まり、顕在化したことも要因の1つと考える。自治体と引き続き連携して対策を強化したい」としており、虐待の発生を防止するため来年度から義務付けている施設での職員研修の実施などの措置が行われていない場合には、施設に支払う介護報酬を減らすことを決めています。

 2023年12月23日(土)

🟧インフルエンザ患者0・89倍 前週比減も23道県で警報レベル

 厚生労働省は22日、全国約5000の定点医療機関が11~17日に報告した季節性インフルエンザ患者数は14万7858人で、1医療機関当たり29・94人だったと発表しました。前週(33・72人)比0・89倍と減少しましたが、23道県で警報レベルとされる「30人」を超え、例年の同時期と比べて患者数が多い状況が続いています。

 国立感染症研究所によると、全国の推計患者数は約101万9000人でした。直近5週間

で検出されたウイルスはA香港型と呼ばれるH3型が58%、2009年に新型として流行したH1型が38%で、2つのタイプのA型が同時に流行しています。

 都道府県別で1医療機関当たりの患者数が最も多かったのは大分県55・17人、最も少なかったのは沖縄県9・61人。休校や学年・学級閉鎖は全国で計6334校で、前週の6382校から48校減りました。

 多くの人は軽症ですむものの、子供が感染するとインフルエンザ脳症を発症する場合があ

ります。沖縄県は20日、10月から11月にかけて県内に住む16歳未満の子供がインフルエンザA型に感染し、インフルエンザ脳症で死亡した事例が2例あったと発表しました。

 2023年12月23日(土)

🟧新型コロナワクチン定期接種の自己負担額、最大7000円程度 来年度、高齢者ら対象

 来年度から一部自己負担が求められる新型コロナウイルスワクチンの接種について、厚生労働省は、接種費用の自己負担額を最大で7000円程度にする方針を決めました。

 新型コロナワクチンの接種は、現在は費用が全額公費負担で、無料で受けることができますが、来年度以降は季節性インフルエンザなどと同様に、原則費用の一部自己負担を求める「定期接種」で行われます。

 定期接種の場合、国の交付税で、接種費用の3割程度を補助した上で接種が行われますが、新型コロナワクチンはインフルエンザワクチンと比べると高額で、厚労省の専門家会議では委員から「自己負担が高額になることへの対策を考えてほしい」と意見が上がっていました。

 こうした中、厚労省は、インフルエンザワクチン定期接種の費用が約5000円となっていることを参考に、接種費用の自己負担額を最大で7000円程度にする方針を決めました。

 ただ、ワクチンの価格が高い場合に、差額を国が補助するかどうかなど、自己負担額を7000円に収めるための方法については、今後検討するということです。

 このほかに、自治体独自の補助が行われた場合は、さらに負担額が少なくなることも考えられるとしています。

 一方、定期接種の対象者は65歳以上の高齢者と、60歳から64歳で基礎疾患がある重症化リスクの高い人で、これ以外の人は「任意接種」となるため、自己負担額は7000円を超える見通しだということです。

 国内の新型コロナワクチンの価格は明らかになっていないものの、アメリカではワクチンの価格と手技料を合わせて2万円前後だといいます。

 2023年12月23日(土)

🟪「健康寿命」ほぼ横ばいで推移、厚労省発表 男性72・57歳、女性75・45歳

 厚生労働省は24日、介護を受けたり寝たきりになったりせずに日常生活を送れる期間を示す「健康寿命」が、2022年は男性72・57歳、女性75・45歳だったと公表しました。前回調査の2019年(男性72・68歳、女性75・38歳)から、ほぼ横ばいで推移しました。  健康寿命は3年...