65歳以上の高齢者が支払う介護保険料について、厚生労働省は来年度から年間所得が420万円以上の高齢者を対象に引き上げることを決めました。
65歳以上の高齢者が支払う介護保険料は、国が示した基準をもとに市町村が決めています。
現在の国の基準は年間所得や年間の年金収入に応じて9段階の区分を設けていて、最も低い区分の「80万円以下」の人から、最も高い区分の「320万円以上」の人まで、所得が高い人ほど増額される仕組みです。
しかし、65歳以上の高齢者が支払う介護保険料について、厚労省は来年度から年間所得が420万円以上の高齢者を対象に引き上げることを決めました。
具体的には、現在「320万円以上」に設定している最も所得の高い区分を細分化して、新たに「420万円以上」「520万円以上」「620万円以上」「720万円以上」の4段階を設け、年間所得が420万円以上の所得の高い高齢者(145万人)については、収入に応じて保険料を納める「応能負担」を強化し、これまでよりも高い介護保険料を負担してもらうことになりました。
また、厚労省は所得が低い高齢者(1323万人)については介護保険料の負担額を減らすことにしています。
負担割合の変更は来年、2024年4月から行われる予定です。
介護保険料には、40歳から64歳までの現役世代が支払う保険料と、65歳以上の高齢者が支払う保険料の、2種類あります。
介護費用が増え続ける中、持続可能な仕組みをつくるために、厚生労働省は65歳以上の高齢者のうち、所得が高い人の負担額を増やす案について検討してきました。
65歳以上が支払う介護保険料は、介護保険制度が始まった23年前の2000年度は全国平均で月2911円でしたが、急速な高齢化が進む中、現在は月6014円と2倍以上になり、2040年度には月9000円程度になると推計されています。
物価高なども重なって、所得が低い高齢者の実質的な負担が増していますが、厚労省は今回、所得が高い高齢者の負担額を増やし、所得が低い高齢者の負担額を減らすことで、同じ世代の中で高齢者同士負担を分け合い、制度を持続可能なものにするための見直しを行いました。
2023年12月24日(日)