2023/12/25

🟧ノババックスの新型コロナワクチン、有効期限を迎え国内接種終了へ 厚労省が発表

 新型コロナウイルスのワクチンのうち、従来型に対応したアメリカの製薬会社ノババックスのワクチンについて、厚生労働省は有効期限を迎えたため、国内での接種を終了すると発表しました。

 新型コロナウイルスのワクチン接種は現在、アメリカの製薬会社のファイザーとモデルナ、それに日本の製薬会社・第一三共が開発したオミクロン型の派生型「XBB」系統に対応したワクチンと、アメリカの製薬会社ノババックスが開発し、武田薬品工業が国内で生産した従来型ワクチンの合わせて4種類で行われています。

 このうちノババックスのワクチンについて、厚労省は、25日で購入したすべてのワクチンが有効期限を迎えるため、国内での接種を終了すると発表しました。

 厚労省によりますと、ノババックスのワクチンは、昨年5月から使用され、ファイザーやモデルナ、それに第一三共のワクチンとは異なり、遺伝子組み換え技術で作ったウイルスのタンパク質を接種する「組み換えタンパクワクチン」で、これまでのワクチンでアレルギー反応が出た人などに使うことを想定していたということです。

 当初に購入契約を結んだ1億5000万回分のうち、9割超に当たる約1億4176万回分の供給がキャンセルされた経緯があって、これまで約824万回分を購入し、このうち約110万回分が自治体に配送されて接種に使用されました。一方、配送されなかった約714万回分については、使用されずに廃棄される予定だということです。

 厚労省は、「希望する国民全員に接種の機会を提供するため、廃棄は発生したが無駄ではなかったと認識している」としています。

 2023年12月25日(月)

🟧成人は睡眠6時間以上を推奨 健康づくりで厚労省が睡眠ガイド

 適切な睡眠を取るための指針の改定を議論する厚生労働省の検討会は21日、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を取りまとめました。小学生は9~12時間、中高生は8~10時間、成人は6時間以上を目安に睡眠時間を確保するよう推奨。高齢者には、長時間睡眠は健康リスクだとして、寝床で過ごす「床上時間」が8時間以上にならないよう注意喚起しました。

 適切な睡眠時間は個人差があるものの、睡眠不足が慢性化すると、肥満や高血圧、心疾患などの発症リスクが上昇し、死亡率にも影響します。2019年の国民健康・栄養調査によると、1日の平均睡眠時間が6時間未満の人の割合は男性37・5%、女性40・6%。

 経済協力開発機構(OECD)の調査でも、日本人の睡眠時間は、世界のほかの国と比べても少ないという調査結果が出ています。2021年の調査によりますと、日本人の平均睡眠時間は7時間22分で、各国平均の8時間28分より1時間以上短く、33カ国の中で最も短いという結果になりました。

 ガイドは、睡眠で休養が取れている感覚「睡眠休養感」を高めることも大切だと説明。寝室にスマートフォンやタブレットを持ち込まずにできるだけ暗くして寝る、就寝直前の夜食や眠るための飲酒は控える、といった要点を挙げました。

 この中で世代を成人と子供、高齢者の3つに分け、このうち成人については推奨する睡眠時間を6時間以上を目安とするとしました。

 また、子供については、小学生は9時間から12時間、中学生・高校生は8時間から10時間確保することを推奨しています。

 一方、高齢者については、寝床にいる時間が8時間以上にならないことを目安に必要な睡眠時間を確保してほしいとしました。

 さらに、今回は睡眠について近年の研究で科学的に明らかになった内容も盛り込まれました。

 この中で、成人と高齢者は、目覚めた時に体が休まったと感じる「睡眠休養感」が重要で、アメリカで行われた調査では、40歳から64歳の働き盛りの世代について、睡眠時間が5時間半未満で「睡眠休養感」が低いほど死亡リスクが高まったという結果が紹介されています。

 そして、「睡眠休養感」を高める対策としては、就寝間際に夕食をとったり、朝食を抜いたりといった習慣の改善を挙げています。

 一方、子供については、研究の結果、睡眠時間が不足すると肥満のリスクが高くなったり、学業成績が低下したりしたという報告があり、対策として生活習慣に注意し、小学生から高校生までは1日に1時間以上体を動かし、ゲームやスマートフォンの利用時間を2時間以下にすることを推奨しています。

 今回取りまとめた「睡眠ガイド」は早ければ来月(1月)にも厚労省のホームページで公開し、どう活用していくかについて有識者会議を立ち上げ議論していくとしています。

 睡眠の問題に詳しく、厚労省の検討会の座長も務める久留米大学の内村直尚学長は、日本人の睡眠時間の短さについて、「日本人は睡眠に対して無頓着なところがあり、眠ることを犠牲にして働くことが頑張っている証拠だとして、戦後、睡眠を削って働いたり勉強したりすることによって経済成長と教育のレベルを高めてきたと思う。それが日本人の健康寿命を短くしたり幸福度を低くしたりといった1つの要因になっている」と指摘しています。

 2023年12月25日(月)

🟧アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」、患者への投与始まる 東京都と大阪市で50歳代に点滴

 アルツハイマー病の新たな治療薬「レカネマブ(商品名レケンビ)」が今月、保険適用となったことを受け、東京都内にある認知症の専門外来がある病院では、25日から患者への投与が始まりました。

 日本の製薬大手「エーザイ」とアメリカの「バイオジェン」が共同開発した「レカネマブ」は、アルツハイマー病の原因物質「アミロイドベータ」を取り除き、進行を遅らせるための国内で初めての治療薬で、12月20日から保険適用となっています。

 これを受けて、この薬の専門外来を設置した東京都健康長寿医療センター(東京都板橋区)では、25日午前から投与が始まり、都内在住でアルツハイマー病の50歳代の女性の患者が1時間余りかけて薬の点滴を受けました。

 この薬の対象となるのは、アルツハイマー病で認知症を発症する前の「軽度認知障害」や早期の認知症と診断された人で、副作用が起きていないかなどを定期的に確認する必要があることから、投与できるのは専門的な検査などが受けられる医療機関に限られています。

 薬は2週間に1回投与され、1年半をめどに続けられるということです。

 50歳代の女性は25日、主治医の井原涼子・脳神経内科医長の診察を受けて、体調を確認。午前9時半過ぎから1時間余りかけて点滴で投与を受け、投与後もアレルギー反応などに備えて、念のため院内で待機しました。

 女性は、「やっと薬を使わせてもらってほっとした。今まで通りの生活ができるように自分も気を付けたい」と話しました。

 今後も2週間ごとに通院して点滴を受けるほか、定期的にMRI(磁気共鳴画像)検査も受け、脳内に微小出血などの副作用が起きていないかチェックします。

 東京都健康長寿医療センターの岩田淳副院長は、「これまでの薬は症状を緩和させるためのものだったが、新薬でようやくアルツハイマー病と闘えるスタートラインに立てた」と話していました。

 このほか、大阪公立大学病院(大阪市)でも、21日に50歳代の男性に「レカネマブ」を投与したことがわかりました。同病院の武田景敏・脳神経内科講師によると、若年性認知症外来の受診者だといいます。

  アルツハイマー病は、認知症全体の6~7割を占めるとされます。記憶障害などの症状が現れる10~20年前から脳内にアミロイドベータが徐々に蓄積して神経細胞が傷付き、脳が委縮すると考えられています。世界保健機関(WHO)の推計では、世界の認知症患者数は約5500万人。

 2023年12月25日(月)

🟧血液製剤の免疫グロブリン製剤不足で治療に支障 厚労省が安定供給へ輸入計画変更

 免疫がかかわるさまざまな病気に有効な血液製剤の免疫グロブリン製剤が需要急増で不足し、厚生労働省が25日までに、本年度の輸入量を1・4倍に増やすため需給計画を変更しました。製剤は乳幼児に多い川崎病の治療にも使われ、東京都立小児総合医療センターは4都県の29病院に緊急調査を実施。うち6病院に製剤不足による患者の転院例があるなど、治療に支障も出ていることがわかりました。

 免疫グロブリンは抗体機能を持つタンパク質で、献血血液から高純度に精製・濃縮した製剤が作られます。重症感染症などの治療で長年使われ、川崎病の急性期のほか、近年は神経疾患のギラン・バレー症候群や慢性炎症性脱髄性多発神経炎と適応疾患が拡大。厚労省研究班の報告では国内供給量がこの10年で1・5倍程度に増えたとされます。

 新型コロナ関連の制限緩和で受診控えが減ったことも影響したとみられ、今年4月には国内で製造・販売する全4社(日本血液製剤機構、武田薬品工業、KMバイオロジクス、CSLベーリング)の製剤が限定出荷になりました。

 厚労省の血液事業部会は10月、本年度の需要見込みを約257万本から約273万本に変更し、輸入目標量を約50万本から約71万本に増やすことを決めました。

 2023年12月25日(月)

2023/12/24

🟧健康保険証、来年12月2日に廃止を正式決定 猶予期間は最長1年間

 政府は22日の閣議で、現行の健康保険証を来年、2024年12月2日に廃止することを正式に決めました。廃止後も最長1年間は猶予期間として今の健康保険証が利用できるほか、「マイナ保険証」を持っていない人には代わりとなる「資格確認書」を発行するとしています。

 マイナンバーカードと健康保険証の一体化を巡り、今年6月に成立した法律では2024年12月8日までに今の健康保険証を廃止することが定められています。

 先週、岸田文雄首相は予定どおり2024年秋に今の健康保険証を廃止して「マイナ保険証」に移行する方針を表明し、これを受けて政府は22日の閣議で、2024年12月2日に保険証の発行を終了し、廃止することを正式に決めました。同日以降、新規発行を停止します。

 現行の健康保険証は廃止された後も猶予期間として最長1年間使える一方、「マイナ保険証」を持っていない人には、有効期限が最長5年の「資格確認書」を発行し、医療機関を受診できるようにします。

 武見敬三厚生労働相は閣議の後の記者会見で、「多くの国民にマイナ保険証のメリットを実感してもらえるよう、あらゆる手段を通じて努力する」と述べました。

 その上で、マイナ保険証の利用率を向上させた医療機関に支援金を支給することなどを通じ、利用を促進していく考えを示しました。

 2023年12月24日(日)

🟧神戸徳洲会病院、インスリン投与せず糖尿病の男性患者死亡 院長が既往歴見落としか

 神戸徳洲会病院(神戸市垂水区)に入院していた糖尿病の70歳代男性が9月に死亡した事案があり、市保健所は22日、医師が既往歴を見落とし適切な対応をしなかった可能性があるとして、医療法に基づき病院を立ち入り検査しました。

 市や病院によると、通院患者だった男性は新型コロナウイルスへの感染で肺炎が重症化し、8月に別の大学病院に転院。症状が改善したため9月5日に神戸徳洲会病院に戻り入院したものの、9月15日に死亡しました。主治医の新保雅也院長が糖尿病の既往歴を見落とし、インスリンの投与など必要な治療がなされず、血糖値のコントロールができずに死亡した可能性があります。

 同病院は当初、遺族側に死因を肺炎と説明。内部で調査委員会を立ち上げたものの、医療事故かどうかの結論は出さず国などに報告していませんでした。市の指摘を受け12月、国の医療事故調査制度に基づき外部機関に検証を依頼しました。病院の担当者は、「市の指導を受けながら院内の情報共有体制などを調べる」としています。

 同病院を巡っては、循環器内科の男性医師がかかわったカテーテル手術後に11人の患者が死亡した問題が、7月に発覚。市が8月に、安全管理体制に不備があったとして行政指導しました。11月に指導の是正状況を病院に確認する過程で、今回の入院した男性へのインスリン投与を一時実施せず、死亡したことがわかったといいます。

 市が病院側に指摘した後、病院側は遺族への説明内容を「死因は肺炎」から「血糖値をコントロールする治療をできずに死亡した可能性がある」と変更したといいます。

 2023年12月24日(日)

🟧来年度の診療報酬改定、人件費など引き上げも薬価は引き下げ

 政府は20日午前、2024年度の診療報酬の改定を巡り、医師や看護師らの人件費に回る「本体」部分を0・88%引き上げる一方、薬代の「薬価」部分は、公定価格と市場での取引価格の差額を踏まえて1%引き下げ、診療報酬全体では0・12%のマイナス改定とすることを決めました。全体の引き下げは、2016年度以降5回連続となります。

 診療報酬の「本体」の改定率は、2022年度の前回改定(0・43%)を大きく上回る水準となります。鈴木俊一財務相と武見敬三厚生労働相が同日午前、閣僚折衝を行い合意しました。

 介護保険サービスの公定価格である介護報酬は1・59%、障害者への福祉サービスを行う事業者に関する障害福祉サービス等報酬も1・12%、それぞれ引き上げます。介護報酬は、前回2021年度改定の0・7%から大幅に増加。障害福祉サービス等報酬も、2021年度改定の0・56%を大きく上回りました。

 診療報酬は2年に1度改定され、介護報酬と障害福祉サービス等報酬は3年に1度改定されます。2024年度は6年に1度、これら3つの報酬が同時に改定されます。

 閣僚折衝の後、武見厚生労働相は記者会見を開き、「医療・介護・福祉の分野で働く人の賃上げを実現できる水準を確保できた。財務省と主張に開きがあったのは事実だが、賃上げによる経済の好循環を作る役割を果たすことを考えながら任に当らせていただいた。今後、この改定率を前提に賃上げや処遇改善につながる仕組みの構築に向けて具体的な議論を深めていきたい」と述べました。

 2023年12月24日(日)

🟪「健康寿命」ほぼ横ばいで推移、厚労省発表 男性72・57歳、女性75・45歳

 厚生労働省は24日、介護を受けたり寝たきりになったりせずに日常生活を送れる期間を示す「健康寿命」が、2022年は男性72・57歳、女性75・45歳だったと公表しました。前回調査の2019年(男性72・68歳、女性75・38歳)から、ほぼ横ばいで推移しました。  健康寿命は3年...